5000万円の住宅ローンを組むときつい?無理なく完済できる年収目安と返済シミュレーションを紹介

そこでこの記事では、ローンの融資額でお悩みの方に向けて、5,000万円の住宅ローンを組むのに必要な年収額を解説します。返済負担を抑えるポイントや借りる時の注意点も紹介。すべて読めば5,000万円の住宅ローンを無理なく組めるかがわかるでしょう。
記事の目次
5,000万円の住宅ローンを組むのに必要な年収額は?

5,000万円の住宅ローンを検討しているけれど、今の年収で審査に通過するかが心配とお悩みではありませんか。無理なく返済できると思って審査に申し込んでも、金融機関側が不安視すれば審査に落ちる可能性は高まります。5,000万円以上の住宅ローンを検討する方にチェックしてほしいポイントは以下のとおりです。
- 推奨される年収は700万円以上
- 800万円以上あると安心して完済を目指せる
5,000万円の融資を希望する方が知っておきたいポイントを詳しく解説します。
推奨される年収は700万円以上
5,000万円の住宅ローンを組む際に推奨される年収は700万円以上です。住宅ローンは高額の借り入れができるものの、申込者が希望した金額を必ず借りられるわけではありません。審査の際には、年収倍率がチェックされます。
年収倍率とは、家を購入する際にかかる総費用を、世帯年収で割って算出する数値です。住宅ローンの借り入れ上限額は世帯年収の8倍とされており、年収が700万円の場合は5,600万円が上限になります。
年収の8倍を超える融資を希望すると、年収倍率の点から審査に落ちる可能性があるため、申し込み前に年収×8の数字を算出することがおすすめ。希望融資額を決める判断材料になるでしょう。
また、返済負担率も確認することが大切です。返済負担率とは、年収に対する住宅ローンの年間返済額の割合を表す数値で、20%以内が望ましいとされています。年収700万円と500万円別に、返済負担率の例を見てみましょう。試算の条件は以下のとおりです。
- 借入希望額は5,000万円
- 年間返済額は155万円
- 変動金利型の0.475%
- 35年の返済期間
- 元利均等返済方式
上記の条件で年収別の返済負担率をまとめました。
年収 | 返済負担率 |
---|---|
700万円 | 22% |
500万円 | 31% |
年収700万円の場合は推奨される返済負担率に近いものの、500万円の場合は30%を超えます。返済負担率が高くなると審査に落ちやすくなるため、数値を算出したうえで融資額を決めることがおすすめです。
800万円以上あると安心して完済を目指せる
800万円以上の年収があれば、5,000万円の住宅ローンを組んでもスムーズに返済できます。前述したように、年収の年間返済額の割合である返済負担率は20%以内に収めることが理想です。推奨される数値である20%を下回れば、よりスムーズな返済を実現できるでしょう。
年収700万円の場合は22%ですが、年収800万円だと19%となり、20%を下回ります。返済負担率の数値が低くなるほど無理のない返済ができるため、滞りなく完済を目指せます。月々の返済額を増やせば完済までの期間も短くなるため、余裕を持って借り入れられるでしょう。
5,000万円の住宅ローンの返済シミュレーション

5,000万円の住宅ローンを組みたいけれど、月々の返済金額や返済期間がわからないから決めきれないとお悩みの方もいるかと思います。設定する返済期間によって月々の返済額も決まるため、年収に合った返済期間を選びましょう。20~35年別の返済シミュレーションを紹介します。試算の条件は以下のとおりです。
- 元利均等返済
- 変動金利型の0.475%
同じ返済方法と金利で試算した、返済シミュレーション結果をまとめました。
返済期間 | 総返済額 | 月々の返済額 | 年間返済額 |
---|---|---|---|
20年 | 5,242万2,480円 | 21万8,427円 | 262万1,124円 |
25年 | 5,303万7,300円 | 17万6,791円 | 212万1,492円 |
30年 | 5,365万6,920円 | 14万9,047円 | 178万8,564円 |
35年 | 5,428万1,220円 | 12万9,241円 | 155万892円 |
続いて、700万・900万・1,200万円別の返済負担率を見てみましょう。
700万円 | 900万円 | 1,200万円 | |
---|---|---|---|
20年 | 37% | 29% | 21% |
25年 | 30% | 23% | 17% |
30年 | 25% | 19% | 14% |
35年 | 22% | 17% | 12% |
推奨される返済負担率で借りるのであれば、700万円の方は30~35年、900万円の方は25~35年、1,200万円の方は20~35年で借りることがおすすめです。毎月の支出が多い場合は、推奨される返済負担率であっても支払いが滞る恐れがあります。
支出を見直して節約をする、または返済期間に余裕を持たせるなど工夫しましょう。
5,000万円の住宅ローンがきつい時に返済負担を抑える3つのポイント

700万円以上の年収で5,000万円の住宅ローンを組んだけれど、返済がきつい……と悩む方も少なくありません。日々の生活のなかで、時には大きな支出も発生するため、誰でも返済が滞る可能性があるからです。返済に不安を感じる方は、以下のポイントをチェックすることがおすすめです。
- 頭金をできるだけ用意する
- 収入が不安な場合は世帯収入で申し込む
- 住宅ローン控除を活用する
返済負担を抑えられる3つのポイントを詳しく解説します。
頭金をできるだけ用意する
家を購入する前に、頭金をできるだけ用意しておけば、返済負担を軽くできます。頭金とは、借り入れとは別に用意する自己資金です。頭金を支払えば借入額を減らせるため、月々の返済額を減らしたり、返済期間を短くしたりできるでしょう。
返済負担率をオーバーする融資額を希望する場合も、頭金を用意すれば審査に通る可能性を上げられます。マイホーム購入のために貯蓄しておいて損はないため、できる限り用意しておくことがおすすめです。
頭金の金額は人によって異なりますが、購入金額の30%ほどを用意するケースが多くなっています。1,000~5,000万円の金額別の頭金目安をまとめました。
借り入れ金額 | 頭金の目安 |
---|---|
1,000万円 | 300万円 |
2,000万円 | 600万円 |
3,000万円 | 900万円 |
4,000万円 | 1,200万円 |
5,000万円 | 1,500万円 |
上記の金額はあくまで目安であり、マイホーム購入までに必ず用意すべき金額ではありません。年収に見合った融資額を希望すれば、頭金が少なくても審査に通過する可能性はあります。しかし頭金はあるに越したことはないのでまずは貯蓄から始めましょう。
収入が不安な場合は世帯収入で申し込む
収入面でローン審査に落ちる不安がある方は、世帯収入で申し込むことがおすすめです。世帯収入は1家族全体の収入のことで、ペアローンか収入合算から選べます。
ペアローンは夫婦、または親子が申し込めるローンです。収入のある2人が借入額を折半してローン契約者になり、お互いを連帯保証人にします。5,000万円を夫婦で借りる場合は、夫が2,500万円、妻が2,500万円です。
収入合算は世帯全体の収入を合算したうえで、1人がローン契約を結びます。パートナーは連帯保証人になるケースが多いですが、基本的にはローン契約者が返済していくと考えておきましょう。
ペアローンと収入合算はいくつかの違いがあり、メリット・デメリットも異なります。それぞれのメリット・デメリットをまとめました。
契約方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ペアローン |
・契約者それぞれに団体信用生命保険が適用される
・契約者それぞれが住宅ローン控除を利用できる
・契約者それぞれが金利プランを選べる
|
・1人で組むローンに比べて手数料が高い
・完済前に離婚するとトラブルが起こりやすい
|
収入合算 |
・パートナーが審査に通過しやすい
・手続きが比較的楽に済む
・ペアローンに比べて手数料が安い
|
・団体信用生命保険と住宅ローン控除はローン契約者にしか適用されない |
ペアローンはローン契約者それぞれに団体信用生命保険(団信)と住宅ローン控除が適用されます。団体信用生命保険とは、契約者が亡くなる、または重度の障害を負った際にローンの返済が免除されるものです。収入合算はローン契約者にしか適用されないため、万が一のことを考えるならペアローンのほうが安心です。
審査の通過率や手数料を重視するなら、収入合算を選びましょう。収入合算はペアローンに比べて諸費用が安く、パートナー側の審査通過率も高いとされています。
契約方法別のメリットとデメリットを比較したうえで、利点が大きいほうを選ぶことがおすすめです。
住宅ローン控除を活用する
住宅ローンを利用してマイホームを取得する場合は、住宅ローン控除を活用することで返済負担を抑えられます。住宅ローン控除を適用すれば、所得税の支払い負担を抑えられるため、抑えた分を支払いや生活費に充てられます。
控除額は取得した物件によって違いがあるため、物件の詳細から確認しておきましょう。物件別の控除額と控除期間をまとめました。
建物の区分 | 借入限度額・控除期間 |
---|---|
認定長期優良住宅 低炭素建築物 低炭素建築物とみなされる特定建築物 |
4,500万円(13年間) |
特定エネルギー消費性能向上住宅 | 3,500万円(13年間) |
エネルギー消費性能向上住宅 | 3,000万円(13年間) |
一般の新築住宅 | 0万円 |
住宅の種類によって3,000~4,500万円の借入までは控除を13年間受けられるため、該当する方は所得税の面で大きな恩恵があるでしょう。一般の新築住宅は、令和6年6月30日までに建築された物件に限り、借り入れ上限額2,000万円まで控除を受けられます。ただし、期間が10年と短くなっている点に注意が必要です。
住宅ローン控除を受けるには、初年度の確定申告が必須です。2年目以降は年末調整で住宅ローン控除の手続きをおこなえるため、1年目の確定申告を忘れないようにしましょう。
5,000万円の住宅ローンを組む際の注意点

5,000万円の住宅ローンを組む際に注意しておきたいポイントがあります。住宅ローンは高額の借り入れを長期間返済していかなければならないため、ライフプランや完済時年齢を見据えて詳細を決める必要があるからです。
申し込み前に確認しておきたい2つの注意点を解説します。
共働きで申し込む時はライフプランの確認を
ペアローンで申し込む予定の方は、ライフプランの確認をしたうえで希望融資額や頭金の額を決めましょう。住宅ローン返済中に子どもができた場合、妻は出産・育児のために仕事を休まなければなりません。一定要件を満たして育児給付金を受け取っていても、休業開始前の給料の67%しか受け取れないため、返済が困難になる恐れもあるでしょう。
職場復帰後もいっときは時短勤務で収入が少なくなる可能性があります。今後妻の収入が減ることを見据えて、融資希望額を決めなければなりません。
申し込み前に頭金を多めに用意しておく、または収入が減る時期に金利優遇を受けられる住宅ローンを選ぶことで、トラブルを防げます。特に長期間の返済プランを選ぶ予定の方は、万が一の際の対策を考えることが大切です。
完済時の年齢に注意する
40代以上で住宅ローンに申し込む場合は、完済時の年齢に注意しましょう。40代で30年以上のローンに申し込むと、完済時の年齢が70歳になります。年金支給開始後にローンが残っていると返済困難になる恐れがあるため、年金支給開始前に完済することがおすすめです。
2024年1月現在、年金支給開始年齢は65歳です。40代以上で住宅ローンを申し込む場合は、20~25年の住宅ローンを組むことで年金支給開始前に完済できます。返済期間を短くすると月々の支払額が増えてしまうため、頭金を多く用意する工夫も必要です。
一点、注意したいのが退職金を返済に充てることです。退職金は定年退職後の重要な生活資金になるため、返済に充てると老後の生活が困窮する恐れがあります。安定した生活を送るために、年金支給前に完済し、退職金を返済に充てないように他の工夫をしましょう。
まとめ
5,000万円の住宅ローンを検討するなら、自身の年収額をチェックしておきましょう。年収700万円以上の人は滞りなく返済できる可能性が高いため、審査を受けてみることがおすすめです。自身の年収だけでは心許ない人は、ペアローンや収入合算を活用してみてはいかがでしょうか。
高額の融資を希望するなら、返済負担を抑えるポイントを実践することも大切です。頭金の用意や住宅ローン控除の利用など、できることを実践して無理なく完済を目指しましょう。
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執筆者
長谷川賢努
AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士
大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
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