7月期
ペタンクルアーチ
彼女に目を合わせると、彼女は不思議そうにぼくを見つめていた。
なにを考えていたの?
ああ、いや、居場所がわかるんなら、嘘はつけないなって思ってね。
いやだ、ほんとだ。ほんとにそう。
楽しそうに無邪気に笑う彼女がたまらなく愛おしかった。
それから彼女が、あっくじらさん、と言って空を指さした。
ぼくがふりむいて見上げると、そこには太陽を背にして、まばゆいばかりに白くかがやくひとかたまりの雲が、気持ちよさそうに青空のなかをただよっていた。
クジラ?
くじらさん。
くじらさん。
そう。鯨山をわたしたちはくじらさんって呼んでるの。
ふるさとの山だね。
うん。
ペタンクルアーチ