テーマ:ご当地物語 / 岩手県大槌町

ペタンクルアーチ

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読者賞について

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読者賞はノミネート掲載された優秀作品のなかから、もっとも読者から支持された作品に贈られます。

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彼女に目を合わせると、彼女は不思議そうにぼくを見つめていた。
なにを考えていたの?
ああ、いや、居場所がわかるんなら、嘘はつけないなって思ってね。
いやだ、ほんとだ。ほんとにそう。
楽しそうに無邪気に笑う彼女がたまらなく愛おしかった。
それから彼女が、あっくじらさん、と言って空を指さした。
ぼくがふりむいて見上げると、そこには太陽を背にして、まばゆいばかりに白くかがやくひとかたまりの雲が、気持ちよさそうに青空のなかをただよっていた。
クジラ?
くじらさん。
くじらさん。
そう。鯨山をわたしたちはくじらさんって呼んでるの。
ふるさとの山だね。
うん。

ペタンクルアーチ

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