テーマ:一人暮らし

カバタッピ

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読者賞はノミネート掲載された優秀作品のなかから、もっとも読者から支持された作品に贈られます。

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 次の日の月曜日、僕は有給を取ったといって、部屋にいることにした。ミチロウくんが昼寝したあとで、「大事な話があるんです」とキョウコさんにいって、テーブルを挟んで向き合った。と、タイミングよく、いや、最悪のタイミングかもしれない、妻から着信があった。出るべきだ、出て、すべてはすっきりさせるべきだ、と思いながら、僕は机の上で鳴る携帯電話に手を伸ばせなかった。あとワンコール、あとワンコールで出てやる、と思いながら、あとワンコールで切れてくれ、と思っているうちに、電話が鳴り止んだ。
 キョウコさんが電話に出たのだ。
「もしもし。私です。はい。ええ。おかげさまでミチロウは。ええ、ほんとに。この前はありがとうございました。カバタッピ、けっこううまくできました。はい。え? あはは。はい。わかりました。代わりますね」
「……」電話を代わった僕が戸惑っていると、妻がこういった。
「みんなつれて、早く帰ってきなさい」

カバタッピ

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