賃貸物件で水漏れ!対処法は?費用は誰が払うの?

トラブル

2020年2月28日更新

筆者:椎名 前太 住宅・不動産ライター/宅地建物取引士

椎名 前太

住宅・不動産ライター/宅地建物取引士

賃貸物件で水漏れ!対処法は?費用は誰が払うの?

水のトラブルは、予期せぬときに起こるものです。「部屋に帰ってきたら床が水浸しだった……」というとき、まずはどうするべきなのでしょうか。また、費用は誰が負担するのでしょうか。

記事の目次

  1. 賃貸物件での水漏れトラブルのケース別対処法
  2. 気になる水漏れ修理の費用...相場はどれくらい?
  3. 事前の水漏れトラブルを防ぐための4つのチェックポイント
  4. 重要なのは水漏れの発生原因!しっかりと特定しよう
  5. まとめ

賃貸物件での水漏れトラブルのケース別対処法

賃貸物件で水漏れトラブルに遭うケースには、自分の部屋が原因となるパターンと、他の部屋が原因となるパターンの二通りがあります。
どちらに当てはまるかによって、対処方法や費用負担の有無が変わります。

自分の部屋が水漏れトラブルを引き起こしてしまった場合

管理会社または貸主に連絡をする

自分で水漏れを引き起こす原因としては、お風呂のお湯の出しっぱなし、水まわり設備を無理に取り付けたことによる破損、洗濯機ホースの外れなどがあります。
また、自分の過失ではありませんが、トイレタンクの水が止まらない、排水管がひび割れたなど、設備の経年劣化によるものも考えられます。

いずれにしても、水漏れを発見したらまず管理会社または貸主へ連絡をし、対処を任せましょう。
その前に自分で直そうとするのは得策ではありません。素人が行うとさらに事態が悪化する可能性もあるからです。また、「少しぐらいならすぐ乾くだろう」と放っておくのも、カビや結露の発生の原因になるので避けるべきです。

水道業者へ連絡する

夜間などは管理会社へ連絡してもつながらないときがあります。
そのような場合は、自分で水道業者へ修理を依頼しましょう。連絡先はキッチンなど水まわり設備の近くにシールが貼ってあるか、契約時の書類に記載されているはずです。
すぐに見当たらない場合は、インターネットで「水漏れ 地域名」といったワードで検索すれば見つけやすいでしょう。修理後は、水漏れの原因を特定してもらいます。設備の経年劣化が原因ならば費用を貸主または管理会社へ請求できるからです。

電気会社へ連絡をする

水漏れによって電気配線やコードの絶縁体に水が入り込むと、漏電が起こる危険性があります。管理会社へ連絡が取れず自分で対処しなければならないときは、水道業者だけでなく電気会社へも連絡をする必要があります。

加入している火災保険の内容を確認する

上記が終わったら、物件の契約時に加入している火災保険の内容を確認しましょう。確認すべき項目は、特約として「借家人賠償責任保険」と「個人賠償責任保険」が付いているかどうかです。
もし自分の過失によって水漏れを起こしてしまって、貸主の所有物である壁や床などの修理が必要になったとしても、「借家人賠償責任保険」が付いていれば補償されます。また、下の階など他の部屋に損害を与えてしまった場合でも、「個人賠償責任保険」が付いていれば補償されます。

水漏れトラブルの被害を受けてしまった場合

管理会社または貸主に連絡をする

「突然天井から水がぽたぽた落ちてきた」など、明らかに自分が原因でなくても水漏れの被害を受けてしまうことがあります。
そのような場合もすみやかに管理会社または貸主へ連絡をしましょう。そうすれば管理者側が対処してくれるはずです。

加入している火災保険の内容を確認する

通常、同一物件内であれば他人が住む部屋でも同じ火災保険に加入しているはずです。そのため、管理者側が対処をしている間に加入している火災保険の内容を確認してみましょう。
特約として「個人賠償責任保険」が付いていれば、他の部屋が加入している保険で補償されます。

水漏れ発生部位と該当者を特定する

管理者側の対処には、水漏れ発生部位と該当者の特定も含まれます。
直接誰が原因なのかを自分で調べることはトラブルのもとになるので、管理者側に間に入ってもらいながら、修理手続きなどを進めていきます。

気になる水漏れ修理の費用...相場はどれくらい?

加入している火災保険に「借家人賠償責任保険」と「個人賠償責任保険」の特約が付いていなかった場合、またはトイレにものを詰まらせたといったように明らかに自分の過失による水漏れだった場合は、保険金は支払われません。
そのようなケースの修理費用の目安は以下のようになっています。

被害範囲が自分の部屋だけの場合

  • 蛇口まわりのパッキン交換など簡単な作業の場合:1万円~3万円前後
  • 壁や床などの張替えも必要な場合:数万円~数十万円

壁や床の張替えはリフォームと同義になります。修繕費は使用する部材の種類・面積によって大きく変化します。

他の住人に被害が及んでしまった場合

階下などほかの住人に被害が及んでしまった場合の修繕費は、上記の価格にプラスされることになります。
壁や床などの張替えが必要になる可能性があるほか、家電や家具などの家財も賠償の対象となります。そのため賠償金は数百万円になることもあり得ます。

事前の水漏れトラブルを防ぐための4つのチェックポイント

賠償金が非常に高額になることもある水漏れトラブル。そのような事態にならないようにするには、いったい何ができるのでしょうか?
水漏れトラブル防止の4つのチェックポイントをご紹介しましょう。

排水管

排水管は、一般的にキッチンや洗面台の扉を開けた奥にあります。
ここには排水・給水・給湯といった複数の管が通っており、そのなかで一番太いものが排水管になります。この管の接合部分のパッキンは10~15年ほどで劣化し、水漏れの原因となるので、注意が必要です。

給水管

排水管と同じくキッチンや洗面台の下にありますが、こちらは排水管よりも細めのもので、やはり接続部分のパッキンが劣化します。

給湯管

給湯管も給水管とほとんど同じ場所、つまりキッチンや洗面台の扉を開けると確認できます。多くの場合、給湯管が赤、給水管が青といったように色分けされてわかるようになっています。チェックをする部位は給水管と同じ接合部のパッキンなどです。

エアコン

エアコンの水漏れの多くはドレンホースの詰まりによるものです。ドレンホースとは、エアコンから排出される水を屋外へ流すホースで、この中にゴミや汚れが詰まっていたり極端に曲がっていたりすると水漏れの原因となります。定期的にドレンホースの排水口を確認し、詰まっていたら使い古した歯ブラシなどでかき出すようにしましょう。

排水溝のお手入れ・お掃除はこまめにしよう

この他に水漏れで注意したい場所として、バルコニーなどの排水溝があります。ここに落ち葉や泥などの汚れがたまると、大雨が降った際に排水が追いつかずに部屋の中や階下へ雨水が流れ込むことがあります。こちらも定期的にお掃除することをお勧めします。

これらのチェックポイントについては日常的な確認を習慣づけ、手入れや掃除をこまめにするようにしましょう。

重要なのは水漏れの発生原因!しっかりと特定しよう

賃貸物件の水漏れにおいてもっとも重要なのは、どこ(誰)が発生原因なのかです。自分なのか、管理者側なのか、他の部屋の住人なのか、それによって負担する金額がゼロになることもあれば、数百万円になることもあります。この部分は曖昧にせず、管理者側にしっかり特定してもらうようにしましょう。

まとめ

賃貸物件に限らず、住まいの水漏れはいつ・どこで発生するか予想しにくいものです。普段から「あり得る」という心構えで、対処法を考えておきましょう。
火災保険はもしもの時に自分の生活を守る上で非常に大事なものです。特約付きのものであればなお安心ですので、契約の内容を確認しておきましょう。