賃貸物件で起きやすいトラブル、こんなときどうする?原因と対処法

トラブル

2020年2月28日更新

賃貸物件で起きやすいトラブル、こんなときどうする?原因と対処法

賃貸物件へ入居する上で、すべてのトラブルを完全に避けることは難しいもの。しかし、どういった問題が起こりやすいのか事前に把握し、理想的な対応を理解していれば、その被害は最小限に抑えられるはずです。
この記事では、入居から退去までに発生しやすい賃貸にまつわるトラブルの原因と、その対処法を説明します。

記事の目次

  1. 賃貸での暮らしで起きやすいトラブルとは?
  2. 賃貸契約や金銭のトラブルはどこに相談すればいい?
  3. 近隣住民とのトラブルはどう解決する?相談先は?
  4. まとめ

賃貸での暮らしで起きやすいトラブルとは?

物件を借りるにあたり、暮らす上でどのようなトラブルがあるのかを事前に把握することは非常に重要です。賃貸物件を借りて生活する際に起こりやすいトラブルを、それぞれのタイミング別にご紹介していきます。

入居時の手続きで起きやすいトラブル

賃貸物件の契約時に起きやすいトラブルは、主に「申し込みにおけるトラブル」と「契約内容におけるトラブル」に分けられます。

申し込みにおけるトラブルで多いのは、「一度入居申込書を提出し、その後撤回しようとしたら、それを断られた」というケースです。
入居申込書はあくまで契約前の段階の書類であり、賃貸借契約書ではありません。契約書に署名し押印するまでは当然ながら契約は成立していませんので、撤回は可能であることを覚えておきましょう。

ただし、まれに契約書の締結前に賃貸借契約が成立しているケースもあります。こうしたトラブルを避けるためにも、入居を撤回する可能性がある場合は、申し込みの取り消しの可否や可能な場合の連絡期日を確認しておくようにしましょう。

契約内容におけるトラブルではまず、「契約より前に契約金の支払いを求められるケース」が考えられます。
契約金は契約する内容が定まって初めて支払われるものであり、契約内容に同意する前に支払いをする必要はありません。

また、「物件紹介時や内見時には説明になかったにもかかわらず、契約の段階であれもこれもと追加の金額を求められ、想定していた額より多くの金額を契約時に払わなくてはいけない」というケースもあります。契約に至るやりとりの中で、仲介手数料や火災保険料、管理費、諸経費や消費税額に至るまで、なるべく詳細な金額を不動産会社に出してもらうようにしましょう。お互いに納得をし、予定金額が変動しないようにしておくと安心です。

生活中に起きやすいトラブル

同じ部屋に継続して住んでいれば、入居時にはなかった故障・汚れの発生など、さまざまトラブルが起きる可能性があります。
生活中に特に起こりやすいトラブルについて、項目ごとに対処法を解説します。

水漏れ

水漏れは、早期に対応しなければ被害が拡大する緊急性の高いトラブルです。対応が遅れると、自室内への影響だけでなく、階下への水漏れやそれによる家財への損害等、大きな影響を与えてしまいかねません。
水漏れの際はその程度にかかわらずただちに管理会社に連絡しましょう。すぐに連絡を取るのが難しい時間帯であったり、ひとまず借主側での対応を求められたりした場合には、いち早く水道業者に連絡を取るようにしてください。

なお修理費については、原因の所在が貸主なのか借主なのかによりその負担者が変わってきます。
例えば水道の締め忘れなど、原因が借主側の過失にあれば修理費は借主負担、経年劣化であれば貸主負担となります。判断が難しいケースも考えられますので、水漏れの際にはスマートフォンで写真や動画を撮影し、保存しておくことをおすすめします。

賃貸物件での水漏れについては「賃貸物件で水漏れ!対処法は?費用は誰が払うの?」も併せてご覧ください。

設備の故障

賃貸物件の入居時にもともと設置されている設備としては、ガスコンロや照明、エアコン、給湯器などが考えられます。これらは貸主の所有物であるため、故障しても自分の判断で修理や交換をせず、まずは管理会社または貸主に連絡をしましょう。自己判断で修理をすると、貸主に修理費を負担してもらえない可能性が出てきます。

ただし、乱暴に扱ったことで故障したり、故障を放置して状態が悪化したりなど、入居者に過失がある場合には修理は借主負担となるケースもあります。どちらにしても、設備に不具合が生じたら早期に連絡することを心がけましょう。

カビなどの汚れの発生

お風呂のパッキンのカビや壁紙の汚れなどは、生活を続ける中でどうしても避けられない汚れの一つ。実際、家電の排熱による壁紙の黒ずみなどは、生活上必ず発生しうる汚れであるとして、借主の責任とはならないとされています。

一方、結露を放置したり換気を怠ったりしたことで発生したカビについては、適切な対処を怠ったものとして退居時に原状回復費用の対象となってしまう場合があります。
日頃から常識的な範囲で掃除・手入れを行うように心がけましょう。

近隣住民とのトラブル

マンションやアパートなどに入居していると、どうしても以下のようなことを理由にトラブルが発生しやすくなります。

  • 生活音や子ども・楽器による騒音
  • ルール通りにゴミ出しをしない
  • 共用部分の利用マナーが悪い
  • 契約者以外が駐車場を使用

ほんの少しだからと思って放っておいても、毎日のこととなるとストレスが溜まるものです。近隣住民がトラブルの原因になっている場合は、早めに管理会社に相談し解決をお願いしましょう。その際、いくら音やマナーが気になったとしても、トラブルを大きくすることを避けるために自分で相手方に乗り込むことは避けてください。

自分が近隣住民からトラブルの種だと判断されるケースもあります。そうならないように、テレビや音楽、アラーム音の大きさ、ゴミ出しの曜日などを常に気にしておくことはもちろん、共用部分における利用の決まりやマナーなどをしっかりと守り、自らがトラブルにならないよう配慮することも大切です。

近隣住民・隣人とのトラブルは「近隣・隣人トラブルに発展しやすい原因とは?トラブルを未然に防ぐには」「賃貸物件の騒音トラブルの対処法とトラブルを避ける部屋探しのコツは?」も併せてご覧ください。

更新時に起きやすいトラブル

次に、賃貸物件の更新時に起きやすいトラブルとしては以下のようなものが挙げられます。

  • 更新に伴う家賃・管理費の値上げ
  • 貸主が契約更新を拒否する

いずれも、正当な理由がなければ基本的に応じる必要はありません。そもそも、家賃や管理費の値上げといった契約変更は、貸主と借主の同意がなければ成立しません。また、正当性がないまま一方的に解約することはできません。
もし正当な理由があったとしても「解約時期の6カ月前」に通告しなければ、解約は認められないことになっています。

こういった前提条件のもと、もし借主が貸主の主張に応じる意思がなければ、更新期間の終了を境に「法定更新」が適用されます。この法定更新とは、契約満了までに契約更新が行われなかった場合に、満了前の契約内容がそのまま適用される賃貸契約です。
これにより、前提条件のない貸主の契約変更は認められず、借主は同じ条件のまま住み続けられることになります。

退去時に起きやすいトラブル

賃貸物件の退去時は、金銭トラブルが発生しやすいタイミングです。以下のようなトラブルが考えられます。

  • 敷金が戻ってこない
  • 多額の退去費用を請求される
  • 入居時にあった傷・汚れの修繕費を請求された

退去時における借主の負担は、国土交通省が公表する「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を基準に責任の所在を判断します。
ガイドラインの定義によれば、非常識な使い方による損耗・毀損がない場合、借主側に原状回復義務が生じることはありません。つまり、部屋の傷・汚れが経年劣化による損耗であるにもかかわらず、敷金が返ってこなかったり、多額の退去費用が生じたりする状況はガイドラインの定義に反することになります。

万が一、ガイドラインに基づいた指摘に応じてもらえないのであれば、次項でご紹介する専門機関へ問い合わせることをおすすめします。

賃貸契約や金銭のトラブルはどこに相談すればいい?

ここまで解説したトラブルのうち、賃貸契約や金銭にまつわる問題は、下記のような機関で相談できます。

相談先
消費者ホットライン http://www.kokusen.go.jp/map/index.html
法テラス https://www.houterasu.or.jp/madoguchi_info/call_center/index.html
不動産適正取引推進機構 http://www.retio.or.jp/consul/index.html
日本賃貸住宅管理協会 https://www.jpm.jp/consultation/
日本消費者協会 https://jca-home.jp/sodan/

賃貸契約や金銭トラブルに遭遇した際には、多くの問題を解決に導いている専門機関のサポートを受けるよう努めることが重要です。

近隣住民とのトラブルはどう解決する?相談先は?

近隣住民とのトラブルに悩まされている場合、まず検討すべき相談先は貸主や物件の管理会社です。直接トラブルを起こしている本人に注意する方法もありますが、ほとんど面識のない住民に伝える行為は勇気がいるものですし、先述の通り、注意したことでさらなるトラブルを招いてしまう可能性もあります。

連絡をする際には、トラブルを起こしている方に正確に注意喚起がされるようにしましょう。例えば騒音の問題であれば、どんな音なのか、何時ごろに聞こえることが多いのか、どの方向からの音なのかなど、状況を具体的に伝えるようにしましょう。

また、いざ貸主や物件の管理会社にトラブルを相談しようと思っても、相談先やその電話番号がすぐに分からないということもあると思います。
そういった場合には、「賃貸借契約書」や「重要事項説明書」を確認してください。これらの書類に、貸主や管理の委託先が記載されています。これらの書類は決してなくしたりすることがないように保管し、もしもの際にすぐに確認できるようにしておきましょう。

まとめ

トラブルを防ぐためは、その原因・対処法を把握することが非常に大切です。
他人事だと捉えることなく、いつトラブルに遭遇しても冷静かつスムーズに切り抜けられるよう、いま一度それぞれの問題について理解を深めることをおすすめします。
また、困ったときに相談すべきなのはどこなのかを把握しておくだけでも、もしもの際の対処が迅速になります。ぜひチェックしてみてください。