不動産投資はいくらから始められる?投資にかかる費用や年収別の融資額の目安を徹底解説

そこで本記事では、不動産投資はいくらから始められるのか、年収別の融資可能金額の目安までを徹底解説します。これから不動産投資を始めようと検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
記事の目次
不動産投資はいくらから始められるのか

まずは、不動産投資に自己資金はどれくらい必要なのか、いくらから始められるのかを見ていきましょう。
不動産を担保にすれば融資が受けやすくなる
不動産投資で融資を受ける場合、自宅や投資用の物件を担保として提供できます。金融機関は、借り手の年齢や勤務先、自己資金の有無など、さまざまな要素から返済能力を総合的に判断します。
物件を担保に出せば借り手が万が一返済できなくなった際も、物件を売却することで資金の回収が可能です。そのため、物件を担保にすることで融資を受けられる可能性が高まるのです。
自己資金は物件価格の2~3割程度が目安
不動産投資を始める際、一般的には購入物件価格の2〜3割程度が自己資金の目安だといわれています。ただし、投資用不動産を専門に扱う会社によっては、1割以下の自己資金があれば投資をスタートできる場合もあります。
例えば、5,000万円の物件を購入する場合、1,000〜1,500万円程度が自己資金の目安金額です。残りの3,500〜4,000万円は、金融機関などからの融資で賄うのが一般的です。
物件価格の2〜3割相当の自己資金が準備できれば、融資を受けられる可能性が高まるでしょう。一方で、ワンルームマンションなどの比較的低価格な物件であれば、1割を切る自己資金でも投資を始められるケースもあります。
ただし、融資審査でもっとも重視されるのは、自己資金の額だけではありません。借り手の年収水準や勤務先の評価、既存の借り入れ状況なども総合的に判断されます。自己資金が十分にあっても、他の条件が整わない際は融資が受けられない場合もあるため、注意が必要です。
もし、融資を受けられるか不安な場合は、豊富な実績と経験がある不動産投資会社に相談するのがおすすめです。なかには、物件価格の1割を切る自己資金でも融資が可能な場合もあるため、気軽に相談してみるとよいでしょう。
少額でも始められるのか
一般的な不動産投資は、投資用の物件を購入して第三者に賃貸をおこなうものです。しかし、この方法以外にも不動産投資にはさまざまなやり方があります。
例えば、不動産小口化商品や不動産クラウドファンディングなどの金融商品に投資するケースです。上記の商品は、多数の投資家から集めた資金を不動産に運用し、得られた収益を分配する仕組みです。
現物の不動産投資よりも少額から始められ、運用もプロにお任せできるので、初心者でも安心して投資できるでしょう。
なかには、わずか1万円から投資できる商品もあります。複数の商品に少額ずつ分散投資することで、リスク分散も図れるでしょう。最初は本当に小さな金額からスタートしたい方にもおすすめです。
【投資対象別】不動産投資でかかる必要な予算の目安

ここからは、建物別にかかる必要の予算の目安を以下の項目に分けて詳しく解説します。
- ワンルームマンション
- 一棟アパート
- 築古戸建て
- REIT(リート)・不動産小口化商品
- RCマンション
ワンルームマンション
ワンルームマンション投資とは、分譲マンションの1室を購入し、賃貸経営することで収益を上げる投資方法です。中古マンションのワンルームなら500万円程度の予算で始められますが、新築マンションの場合は1,000万円以上が必要となるでしょう。
ワンルームマンション投資のメリットは、フルローンでの融資が受けやすく、自己資金が少額で済むことです。リスクも比較的低めなので、安定収入を望む方に向いているでしょう。
ただし、利回りは都市部で3〜6%程度と、投資額に比べて利益が低いのがデメリットです。借入期間中は実感が湧きにくい面もあるでしょう。
また、金融機関から融資を受けるには、年収500万円以上の会社員や公務員、士業など、一定の収入と社会的信用が必要とされています。低リスクである分、条件は厳しくなる傾向にあるので注意が必要です。
一棟アパート
一棟アパート投資とはアパート全体を購入し、家賃で収益を得る投資方法です。予算は2,000万円程度が目安とされています。
メリットは、キャッシュフロー(現金収入)が多く、収益が期待できる点です。物件価格や借入額は高くなりますが、その分収入も増えるため、事業として成功しやすい可能性があります。
ただし、購入時の自己資金が2割程度必要になるなど、始める際のハードルは高めです。さらに、年収700万円以上や社会的信用が必要とされ、金融機関からの融資条件は厳しくなる傾向もあります。
また、賃貸経営のノウハウも問われるため、不動産会社との付き合いを深めたり、不動産投資に関する知識を日々アップデートしたりなどの工夫も必要です。
築古戸建て
築古戸建て投資とは、築年数の経った古い一戸建てを購入して賃貸経営する方法です。築古戸建てであれば、100万円程度の低予算から投資が始められます。
メリットは、利回りが10%を超えるケースも多く、高リターンが期待できることです。物件価格が安価なため、融資を受けずに投資を開始できるのも大きな利点といえるでしょう。
一方で、木造の古い物件は耐用年数が短く、融資を受けづらいデメリットがあります。また、リフォームや修繕などの管理コストもかかってくるでしょう。
築古戸建て投資は、多少のリスクを背負ってでも高リターンを求める方や、不動産投資の知識を高めたい方におすすめの投資方法です。成功させるためには、賃貸需要の推移や人口の予測など不動産経営のスキルが求められるでしょう。
REIT(リート)・不動産小口化商品
不動産投資のなかでもっとも低予算で始められるのが、REIT(リート)や不動産小口化商品です。REITは5万円〜、不動産小口化商品は1万円程度の少額から投資可能な商品もあり、資金に余裕のない方でも手を付けやすいでしょう。
REIT(リート)とは、投資家から集めた資金を不動産投資に用い、得た収益を投資家に分配する仕組みのことです。一方で不動産小口化商品は、投資家が共同で大型物件を購入し、家賃収入などを分配し合う仕組みが特徴です。
REIT(リート)と不動産小口化商品のメリットは、低予算で手軽に不動産投資ができることや安定した配当収入を得られることなどが挙げられます。予算も少なく済むため、十分な資金を用意できない方でも気軽に始められるでしょう。
ただし、一般的な不動産投資に比べると利回りが低めで、大きな資産形成は難しいというデメリットもあります。短期間で大きな利益を得るのではなく、長期的に安定した利益を得たい方に向いています。
RCマンション
RCマンション投資とは、マンション一棟全体を購入する高額投資方法のことです。キャッシュフローと資産価値の高さが大きなメリット。物件価格が高額なため、億単位の金額を融資として受けられるケースもあり、それだけの高収入が期待できます。
とはいえ、億単位の金額の融資を受けるためには、属性の高さも求められます。
また、失敗した際のリスクも甚大です。億単位の投資額を無駄にすれば、簡単には立ち直れないでしょう。物件価格が高額なため、複数物件による分散投資も難しいです。
RCマンション投資をするには、年収1,000万円以上で将来の収入の見通しも良好であることが必須条件。さらに、フルローンを組むのも難しいため、15〜30%程度の高額な自己資金も求められます。RCマンションは、資金に余裕があり、不動産投資事業をどんどん拡大させたい方に向いているでしょう。
【年収別】不動産投資ローンの借入可能額の目安

次に、年収別に不動産投資ローンの借入可能額の目安を解説します。
年収1,000万円以上
年収1,000万円以上の方の場合、金融機関からの借入可能額は約7,000万円〜1億円程度と見られています。高収入者は資金力が高いと判断されるため、複数の金融機関から融資の相談を受けやすくなるでしょう。
ただし、一方で高収入者ほど不動産投資ビジネスの標的にもなりがちです。なかには、不動産投資詐欺など、悪質な業者も紛れ込んでいる可能性があるので、慎重に検討しなければなりません。不動産会社との信頼関係を大切にし、悪徳業者に騙されないためにも、自分でも不動産投資に関する知識を身に付けることが大切です。
年収700万円
一般的に、金融機関から融資を受けやすくなる年収の目安は700万円といわれています。ただし、年収700万円以上であれば必ず融資が受けられるわけではありません。あくまでも、「融資してくれる金融機関の選択肢が広がる」と考えておきましょう。
実際の審査内容は金融機関によって異なり、年収700万円でも融資が難しいケースもあります。年収700〜1,000万円程度の方は、ネット銀行や地方銀行を選ぶと有利に審査を受けられる可能性が高いです。
年収500万円
年収500万円程度の方の場合、借入可能額の目安は4,000〜7,500万円前後です。メガバンクや地方銀行では融資を受けるのが難しいかもしれませんが、ネット銀行などを選べば、借り入れできる可能性は高まります。
初めての不動産投資なら、まずは借入額を4,500万円程度に抑えるのもポイントです。無理をせず、不動産投資に関する知識や実績を身に付けてから、次のステップに進むとよいでしょう。
年収400万円
年収400万円前後の方の借入可能額の目安は3,200〜6,000万円程度です。年収500万円の場合よりも、金融機関から融資を受けられるハードルが高くなる傾向にあります。
勤務先が上場企業やそれに準じる優良企業であれば、民間銀行から融資を受けられる可能性はあります。しかし、スムーズに融資を受けるのは難しいかもしれません。
不動産投資にかかる初期費用の内訳

不動産投資には、頭金や手数料など初期費用がかかります。すべてを融資で賄えるとは限らないので、まずは具体的にどのような費用が必要になるのかを確認しておきましょう。
物件購入の頭金
頭金とは、物件購入時に自己資金として一部を支払い、残りの金額をローンで賄う際の自己資金部分を指します。頭金の金額は「物件価格からローン金額を差し引いた額」で計算するとわかりやすいでしょう。
一般的に頭金の目安は物件価格の2〜3割程度が多いですが、物件によって異なります。
例えば4,000万円の物件なら800万円を頭金に充て、残り3,200万円を不動産投資ローンで賄うイメージです。
ただし、頭金が不要な物件もあります。自分の資金計画に合わせて、適切な投資判断が重要です。
その他の諸費用
不動産の売買契約には手数料や税金など、さまざま費用がかかります。具体的にどのような諸費用がかかるのか、以下の表にまとめたので、参考にしてください。
項目 | 詳細 |
---|---|
仲介手数料 | 不動産会社に支払う手数料のこと
・物件価格が400万円超の場合:物件価格の3%+6万円+消費税
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不動産 登記費用 |
物件の所有権を登記する際に必要な費用
・10万円程度
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不動産 投資ローン 事務手数料 |
融資を受ける際に金融機関に支払う手数料
・定額制:3万円程度
・定率制:借入額の1~3%
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融資保証料 | 保険会社による保証料
・一括支払い:借入額の2%
・金利に上乗せしての支払い:借入額の0.2%~0.3%
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登録免許税 | 物件の所有権を登記する際に必要な費用
・所有権保存登記の税率→4%
・所有権移転登記の税率→2%
・土地の購入(所有権移転登記)→2%
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印紙税 | 契約書類の作成時に必要な費用。印紙税法に基づいて納税が義務付けられている
・500万円を超え1,000万円以下の場合:5,000円
・1,000万円を超え5,000万円以下の場合:1万円
・5,000万円を超え1億円以下の場合:3万円
※2027年(令和9年)3月31日までの軽減後の金額
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不動産 取得税 |
土地や建物を購入(取得)した時に一度だけかかる税金
・物件価格(固定資産税評価額)の4%
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固定資産税 | 地方自治体が課す不動産関連の税金
・毎年支払いが必要になる税金で税率は約1.4%
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火災保険料 | 購入した物件には火災保険や地震保険をかけるのが一般的 月払いや年払いではなく一括払いにすると保険料が割安になる ・契約期間5年で3万6,000円程度
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自己資金なしで不動産投資をおこなうリスク

自己資金を一切用意せずに、フルローンで不動産投資をおこなう場合、いくつかのリスクがあります。損をしないためにも、どのようなリスクがあるのか理解しておきましょう。
毎月の返済負担が大きくなる
自己資金ゼロで不動産投資ローンを組めば、借入金額が増えるため、毎月の返済額も高額になります。さらに借入金額には金利が上乗せされるため、実際の返済総額は元金以上になります。
つまり、フルローンを利用する場合は、高い利回りが見込める物件を選ばなければ、損をしてしまう可能性があるのです。
返済額が収入を上回ってしまえば資金繰りが苦しくなり、場合によっては金融機関から一括返済を求められるリスクもあります。フルローンの活用は慎重に検討しなければなりません。
返済期間が長期になると出口戦略が限られる
返済期間が長引くほど、物件が自分の資産になるまでに時間がかかります。その結果、物件の売却(転売)や、次の投資物件の購入が難しくなるなど、出口戦略が限られるリスクが高まります。
出口戦略とは、購入した物件を最終的にどのように処分するかという戦略のことです。
フルローンで不動産投資を始める場合、返済額が高額になるため、返済期間も長期化する傾向にあります。投資を長く続けていきたい方や投資物件を増やしていきたい方は、ある程度の自己資金を用意してから不動産投資を始めたほうがよいでしょう。
少ない予算で不動産投資を始めるためのポイント

不動産投資は少ない予算からでも始められます。ここからは、ポイントを詳しく解説します。
個人の属性の高さを利用する
金融機関から融資を受ける際、個人の属性が大きなポイントとなります。例えば会社員であれば、安定した給与収入があるため審査で有利になりやすいです。
少額の資金から不動産投資を始めるには、融資の活用が必要不可欠です。自分の強みとなる属性を冷静に見極め、融資をうまく活用しましょう。
資産価値の高い物件を選ぶ
資産価値が高い不動産物件を選べば、フルローンや少ない自己資金で融資が可能になるため、投資時の予算を抑えられるでしょう。
価値の高い不動産の特徴は以下のとおりです。
- 人気立地で地価が安定している物件
- 収益性が高く安定収入が見込める物件
- 品質がよく長期間使用できる物件
物件価格は高くなりますが、融資をうまく活用することで、少額からでも投資を始められます。
日本政策金融公庫を利用する
自己資金が少なかったり年収が低かったりする場合でも、日本政策金融公庫からなら融資を受けられる可能性があります。日本政策金融公庫とは、政府が完全出資している公的な金融機関です。利益を得るよりも企業の成長や地域活性化を重視しているため、比較的融資を受けやすいといわれています。
ただし、日本政策金融公庫を利用するためには、不動産投資を事業としておこなう必要があります。個人の利益追求のための借り入れはできません。
また、税金や公共料金などの支払いで滞納があると審査が通りにくくなるので注意が必要です。相談する前に、しっかりと収支計画を立てておくことをおすすめします。
信頼できる不動産会社を探す
不動産会社のなかには、提携している金融機関があります。不動産会社を通して金融機関を紹介してもらえば、融資審査が通りやすくなるケースもあります。
仮に審査が通らなくても、将来的に融資が受けられるようアドバイスをしてくれるでしょう。
ただし、不動産会社のなかには悪質な会社が潜んでいる可能性もあります。不動産会社を探す際は、複数の会社を比較しながら慎重に検討することが大切です。実際に相談したり、提案の内容を聞いたりしながら、自分に合った信頼できる不動産会社を見つけましょう。
まとめ
不動産投資を始めるために必要な最低金額は、物件の種類やエリアによって異なります。しかしなかには、数万円程度から不動産投資を始められる商品もあります。
また、年収によっても借入金額の目安は変わってくるため、自分の年収に応じた投資計画を立てることが大切です。不動産投資は多額の投資が必要なイメージがあるかもしれませんが、意外と少額から始められる可能性もあります。
まずは少額の投資から始めてみて、不動産投資への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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執筆者
民辻伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
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