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資産運用に失敗する人の特徴は?よくある失敗例や成功させるコツを解説

資産運用に失敗しないためのコツをお教えします
政府は2022年6月7日に「経済財政運営と改革の基本方針2022」を公表し、その中で「資産所得倍増プラン」を策定しています。日本銀行が公表する「資産循環統計 」によると、個人金融資産は2,000兆円を超えましたが、その半数以上は預貯金によるものでした。そこで政府は資産所得倍増プランを通してNISAの拡充などの施策を実施し、預貯金を資産運用へシフトチェンジすることを目指しています。

将来、私たちが安心して老後生活を送るには、生活費を補てんするための老後資金が必須です。ただ、今は低金利時代のため、預貯金だけでは資産を増やせません。そこで、効率的に資産を増やすための方法として、資産運用が重要になってきます。

資産運用とは?

資産運用とは、資産を預貯金や投資に配分し、効率的に増やしていくことです。投資した資金は、企業や国などの活動資金として活用され、その対価として収益が得られる仕組みになっています。

資産運用の一つに投資があります。投資は、お金を増やすという点でギャンブルと混同されがちです。しかしギャンブルは娯楽であり、主催者が運営料を引いた残りの資金が勝った人へ分配されるだけで、資金の総額が増えるわけではありません。一方、投資では資金が、設備投資や運転資金などの企業活動に役立てられます。その結果、事業拡大やサービス向上が実現できれば利益が生まれ、企業の資産が増えることで、出資者へリターンとして戻っていきます。ここがギャンブルとは異なる点です。

初心者が資産運用をはじめる前に知っておきたい基礎知識やポイントは、下記の記事をご覧ください。

資産運用に失敗しやすい人の特徴は?

資産運用に興味はあるけど、失敗するのが怖い……と思っている人も少なくないと思います。
では、資産運用に失敗しやすいのはどのような人なのでしょうか。よくあるケースを5つご紹介します。

資産運用の目的や目標が明確でない

資産運用の目的や目標を決めず、お金を貯めることしか考えていない人は、自分に合わない商品を選んだり、売買のタイミングを逃したりして、損失を生みやすくなります。とりあえずはじめた投資は、金融商品の選択や売買の基準を持たないため、失敗しやすい傾向にあります。

物事を成功させるには、「到達点・ゴール(目的)」「目的を達成するためにやるべきこと(目標)」を設定するのが一番です。例えば、「老後資金を貯める」を資産運用の目的にしたとしましょう。そのために「〇〇〇万円になるまで貯める」「毎月〇円ずつ貯蓄する」などの目標を決めることで、成功に近づけるでしょう。

自分で調べず専門家に任せっきりにする

投資は難しくリスクをともなうため、専門家に頼る人も少なくありません。しかし、すべてを専門家に任せっきりにして、逆に損失を生む人がいます。そうなる理由は、専門家は投資に関する知識は豊富ですが、市場の動きまでは正確に読み取れないからです。

専門家に相談する前に、自分でも資産運用を学び、自分なりの考え方を定めておきましょう。そのうえで専門家の意見を聞けば、自分で納得のいく手段を選べます。

資産運用のルールを決めていない

資産運用では、資産価格の下落が続くことがあります。そんな時、ルールを決めていない人は「損切り(※)」するタイミングを逃しがちです。こうなると損失が膨らんで取り返しのつかないことになってしまいます。あるいは、値上がりしている時に欲を出して売却するタイミングを先延ばしにしていると、暴落して損失を出すことがあるかもしれません。

資産運用をする時は「損失が〇%になったら損切りする」「〇万円になったら売却する」など、自分なりのルールを決めておくことが大事です。
※損切りとは、購入時より価格が下落している金融商品を見切って売却し、損失を確定させること

短期間で結果を出そうとする

資産運用では、投資家でも短期間で収益を上げ続けるのは難しいものです。それでも、短期間で結果を出そうと高リスクの商品に手を出す人がいます。頭に入れておきたいのは、リターンが大きな商品は、その分リスクも大きいことです。高リスクの商品に手を出して、大きな損失を生むケースは多々あります。損失の可能性を考えずに、短期間でリターンを狙う投資のやり方は非常に危険なことです。

リスクを抑えるには長期投資が基本です。リターンを生むことばかり考えるのではなく、長期目標を設定し、安全策で運用するようにしましょう。

リスクヘッジを考えない

資産運用では、起こりうるリスクを事前に想定して、それに備えるリスクヘッジが大事です。一つの商品に損失が発生しても、他の商品で収益を上げていればリスクをカバーできます。しかし、リスクヘッジを考えずに投資する人は、損失が発生しても対処できません。

資産運用には為替変動リスク、信用リスク、金利変動リスク、株価変動リスク、カントリーリスク、流動性リスク(※)などのリスクがあります。購入する金融商品に起こりうるリスクを理解して、リスクヘッジを考えておきましょう。リスクヘッジには分散投資がおすすめです。
※為替変動リスクとは、為替相場の変動によって生じるリスクのこと
信用リスクとは、債券や株式の発行体(国や企業)の財務状況によって生じるリスクのこと
金利変動リスクとは、金利の変動によって生じるリスクのこと
株価変動リスクとは、景気や経済、社会情勢などの理由により価格が変動するリスクのこと
カントリーリスクとは、投資対象国が、景気や経済、社会情勢などの理由により価格が変動するリスクのこと
流動性リスクとは、有価証券等を売却しようとした際に、希望価格で売却できないリスクのこと

資産運用でよくある失敗例

資産運用によくある失敗事例をご紹介します

ここでは、資産運用にありがちな失敗例を4つご紹介します。基本的な注意点なので、ぜひ頭に入れておいてください。

値上がりしたら短期間で売却してしまう

資産運用では、購入した商品の価格が値上がりした時が売り時と考える人は少なくありません。Aさんもその1人で、「売り時を逃してはならない」と思うあまり、少し値上がりしただけで売却することを繰り返していました。Aさんは売り急ぐことで、かえって収益を上げる機会を逃しています。これを繰り返していては、資産はいつまで経っても増えません。

資産運用とは、資金をさまざまな金融商品に配分して、効率的に増やしていくことです。慣れないうちは値動きがあると不安になるかもしれません。けれども、分散投資や長期投資をすることで、リスクを抑えながら資産を増やすことが期待できます。短期間で売り急ぐのではなく、動向を見守ることも大事です。

資金をつぎ込みすぐに使えるお金がない

Bさんは「投資をしなくちゃ」と思い、手元にある現金をすべて投資につぎ込んでしまいました。その結果、肝心な時に現金がなく、生活に困る事態に陥ったのです。

資産運用のなかでも、預貯金はお金をすぐに引き出せます。しかし、投資は売るタイミングを考える必要があるため、すぐに現金化するのが困難です。

ここで大事なのは、生活費と資産運用の資金は分けて管理することです。近い将来必要になるお金、例えば教育費や住宅購入資金などは、預貯金など現金化しやすいもので管理し、投資はすぐに使う予定のないお金を利用しましょう。それには毎月の生活費や、近い将来に起こりうるライフイベントに必要なお金はどれくらいになるのかを知ることも重要です。

分散投資をしていない

1つの金融商品に集中して投資していたCさんは、ある時、投資していた金融商品が暴落し、かなりの損失を生んでしまいました。

投資には「卵を一つのカゴに盛るな」という格言があります。卵を全部一つのカゴに入れていると、カゴが落ちた時に中の卵が全部割れてしまいます。けれども、卵を複数のカゴに分散して入れておくと、一つのカゴが落ちて中の卵が割れても、他のカゴに入っている卵は守られます。

この格言にあるように、一つの金融商品だけに投資していると、損失が出た時に大事な資産を減らすことになるので注意が必要です。

金融商品の特徴を調べずに購入する

金融商品にはさまざまな種類がありますが、商品によって値動きやリスク、リターンの度合いは異なります。Dさんは金融商品の特徴を調べずに、知人に勧められた金融商品に投資していました。Dさんは自分の投資目標やリスク許容度に合わない商品を選んでいたため、結果として損失を生んでしまいました。

「知っている会社だから」「知人がいいといったから」「ランキングの上位に入っているから」などの理由で、商品内容をよく調べずに購入すると、失敗することがあります。

投資をするには、どれくらいのリスクなら許されるか、どのような値動きをする商品なのかを知ることが大事です。それにはある程度の金融知識が必要になります。そのうえで、自分が納得できる金融商品を選びましょう。

資産運用を成功させるコツは?

資産運用を成功させるにはどうすればいいのでしょうか?ここでは成功させるためのコツをご紹介します。

分散・長期投資をする

資産運用のリスクを軽減させるコツに「分散投資」があります。資産を異なる値動きをする商品(株式や債券、不動産など)に分散したり、国内や海外など投資する地域を分散したりして、リスクを分散させます。また、積立投資を利用して時間を分散するのもよいでしょう。

その他、効率的に収益を得るためには「長期投資」も大事です。分散・長期投資をすることで、安定した収益が期待できます。ちなみに分散・長期投資をする際は、20年間非課税投資ができる「つみたてNISA」がおすすめです。

余剰資金で投資する

資産運用では、生活費を確保して余剰資金で投資することが重要になります。月々の生活費と、近い将来起こるライフイベントで必要な資金を確保しておきましょう。さらに、いざという時生活に困らないように、半年分くらいの生活費を緊急資金として持っておくと安心です。そのうえで、使い道のないお金や老後資金などすぐに使わないお金を使って投資するようにしましょう。余剰資金で投資をすれば、もし損失が出た場合でも生活に大きな影響が出ることはありません。

投資ルールを決める

資産運用の中でもリスクをともなう投資では、事前にルールを決めておこないましょう。ルールがないと、不安になって正確な判断ができなくなったり、自分のリスク許容度に合わない商品を購入したりしてしまいます。

自分の投資ルールとして、損失が出た時に損切りするタイミング、または、売却するタイミングを決めておくと、冷静な判断ができます。投資では冷静になって状況を正確に把握することで、リスクを避けられます。

保有資産の売却タイミングを教えて!

基本的に長期投資をしている場合、値動きによる売却タイミングを見極める必要はありません。ここでは、長期投資ならではの売却タイミングをご紹介します。

目標金額に達した時

投資では自分なりのルールを決めることが大事だとお伝えしてきました。その際、売却タイミングとして目標金額を決めておくと、値動きに一喜一憂することなく売却できます。資産運用でいくら増やすかを決めて、目標金額を設定するとよいでしょう。

ライフイベントでまとまったお金が必要になった時

ライフイベントによる出費では、比較的まとまった資金が必要になります。その際、運用した資金を利用できます。事前にどのようなライフイベントで、どのくらいの資金が必要になるかを確認しておき、それを目標金額として設定するとよいでしょう。

資産をリバランスする時

リバランスとは、相場変動などで変化したポートフォリオ(※金融商品の組み合わせ)内の比率を修正することです。分散投資する際、どの資産をどれくらいの割合で持つかを決めますが、運用を続けていると、値動きで各資産の比率が変動します。その際、リバランスするために割合が増えた資産を売却するとよいでしょう。

例えば、国内株式に25%、海外株式に25%、国内債券に25%、海外債券に25%でポートフォリオを組むとします。リバランスを定期的におこない、割合が増えた資産を売却し、割合が減った資産を買い足します。個人の場合、リバランスのタイミングは1年に1回おこなうのがおすすめです。

このように3パターンの売却タイミングをご紹介しましたが、一気に全部の資産を売却する必要はありません。まずは一部を売却して様子を見ます。そして、再度値上がりした時に残りを売却してもよいでしょう。売却する時も時間分散をして、複数回に分けて売る方法もおすすめです。

まとめ

資産を預貯金や投資に配分して、効率的に増やしていくのが資産運用です。なかでも投資はリスクが付きものなので、内容を理解していないと失敗することがあるかもしれません。そこで、できるだけリスクを軽減するために「分散投資」をおすすめします。資産の分散、地域の分散、時間の分散を取り入れながら、長期投資でじっくりと時間をかけて増やしていきましょう。

投資方法の一つに、不動産を購入して家賃収入を得る「不動産投資」があります。もし、不動産投資に興味があれば、下記の記事をお読みください。

投資は内容を理解し、自分のリスク許容度に合った方法を選ぶことが大事です。まずは、気になる投資方法の内容を理解したうえで、自分に合っているかじっくり検討してからはじめましょう。

前佛 朋子

執筆者

前佛 朋子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者
家計コンサルティングZEN 代表

元々はライターだったが専門分野を持とうと考え、興味のあった金融知識を活かせるファイナンシャル・プランナーの資格を取得。Webコラムやメルマガなど金融関連記事を執筆するかたわら、安心とゆとりのある暮らしができる人を増やすために、家計見直しやライフプランなど相談業務をおこなう。ライフイベントに合わせて貯蓄や用途を分類するお金の整理を得意とする。保険や金融商品を売らないファイナンシャル・プランナーとして活動中。

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