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少額からできる不動産投資は?4種類とそれぞれのメリット・デメリット、始める際の注意点を解説!

少額からできる不動産投資のメリットやデメリットを解説します
「不動産投資は資金がないとできない」と思われている方も多いのではないでしょうか。しかし、実際には1万円から始めることも可能です。少額から始めることで、リスクを抑えながら運用ができます。不動産投資の経験も積むことができ、好きなタイミングで規模を大きくすることもできるでしょう。本記事では、少額で始められる不動産投資の種類やメリット・デメリットなどを解説します。不動産投資を始める際には、正しい知識を身に付けることが大切です。それぞれのメリット・デメリットを押さえ、自分に合った不動産投資を始めましょう。

記事の目次

少額から始められる不動産投資の種類

少額から始められる不動産投資を4つ解説します
少額から始められる不動産投資を4つ解説します

不動産投資にはさまざまな種類があります。本章では、少額で始められる不動産投資を4つご紹介します。

不動産小口化商品

不動産小口化商品とは、高額な不動産を小口化して、投資額に応じて収益を出資者に分配するものです。例えば、1億円の投資物件を1,000人で分割して購入するという形です。この場合、1,000人で物件の名義を共有するわけではありません。不動産小口化商品は、3種類に分けられます。それぞれの違いは以下となります。

不動産小口化商品の
種類
任意組合型 賃貸型 匿名組合型
投資金額 100万円〜 100万円〜 1万円〜
運用期間 長期 長期 短期
所有権 あり あり なし
所得区分 不動産所得 不動産所得 雑所得

任意組合型では、運営会社と投資家が「任意組合契約」を締結して物件を運用します。投資家は物件の持ち分を所有するため、所有権があり、所得区分は不動産所得となります。

賃貸型は、複数の投資家で所有する物件を、運営会社に貸し出します。投資家は、運営会社に管理を任せながら、賃料収入を得られます。任意組合型と同様、所有権を得られますが、数は多くありません。

匿名組合型は、運営会社と投資家が「匿名組合契約」を締結して物件を運用します。投資家は匿名で出資をするため、所有権はありません。投資金額も1万円から少額からでき、運用期間が短い点が特徴です。匿名組合型は次章で紹介する「不動産クラウドファンディング」とも呼ばれます。

不動産クラウドファンディング

クラウドファンディングとは「群衆」(クラウド)と「資金調達」(ファンディング)を組み合わせた造語。「モノやサービスを作りたい」と考えている人に、不特定多数の人が出資し、支援するものです。それを不動産でおこなうものが不動産クラウドファンディングです。不特定多数の投資家が出資し、その資金をもとに不動産投資がおこなわれます。

投資家だけでなく、運営会社も出資。不動産クラウドファンディングでは「優先劣後システム」が採用されており、運営で損失が出た場合、先に運営会社が一定の割合まで損失を被ります。運営会社の出資割合が大きいほど、リスクを軽減できるでしょう。

先述したように、所有権を持たないため、運用期間中に譲渡や売却はできません。しかし、1口1万円から不動産投資ができます。

REIT(リート)

2024年から新NISAが始まったこともあり、REIT(リート)を目にした方もいるのではないでしょうか。REITとは「Real Estate Investment Trust」の略語。アメリカで生まれたREITを日本版にしたものがJ-REITです。REITの特徴を下表にまとめました。

投資金額 5万円程度〜
運用期間 無期限
所有権 なし
所得区分 配当所得

投資家から集めた資金を不動産へ投資し、賃料収入や売却益などの収益を投資家に分配します。投資対象となる不動産は、マンションだけでなく、オフィスビルやホテル、商業施設などがあります。また、各商品で複数の不動産に対して投資・運用がおこなわれている点も特徴。1つの商品を購入するだけで、複数の不動産に投資ができるため、投資リスクを分散できます。

区分マンション投資

区分マンション投資とは、マンションの一室を購入し、他人に貸し出して賃料収入を得るもの。区分マンション投資で扱われる物件は、単身者向けのものがメインであるため、ワンルームマンション投資と呼ばれることもあります。投資金額や運用期間などをまとめたものは下表のとおりです。

投資金額 初期費用:物件価格の15%程度
月1万円程度〜
運用期間 長期
所有権 あり
所得区分 不動産所得

アパートやマンションを一棟買うわけではないため、物件価格が安く済みます。物件価格は安く済むものの高額であるため、一般的に不動産投資ローンを組んで購入します。また、不動産投資ローンを組む際には、手数料や税金などの初期費用がかかります。さらに、賃料収入を不動産投資ローンの返済に充てることになるため、賃料収入すべてが収益になるわけではない点に注意しましょう。

不動産小口化商品のメリット・デメリット

不動産小口化商品のメリットとデメリットを解説します
不動産小口化商品のメリットとデメリットを解説します

本章からは少額からできる不動産投資のメリット・デメリットを解説します。下表は不動産小口化商品のメリット・デメリットをまとめたものです。

メリット デメリット
・プロが選んだ物件に投資ができる
・相続税が節税できる
・融資が利用できない
・原則として中途解約ができない
・投資できない可能性がある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

【メリット1】プロが選んだ物件に投資ができる

不動産小口化商品のメリットとして、プロが選んだ物件に投資できる点が挙げられます。例えば、区分マンション投資では、自分で投資物件を選ばなければなりません。周辺の相場や賃貸需要などを見て、収益性が高い投資物件を選ぶ必要があります。一方、不動産小口化商品では、運用のプロが物件を選ぶため、投資家は物件探しをする必要がありません。また、大型マンションや商業ビルなど、個人では購入が難しい投資物件にも投資が可能です。

【メリット2】相続税が節税できる

不動産小口化商品の任意組合型と賃貸型では、投資物件の一部を所有するため、相続税において節税が可能です。相続税は、預貯金の場合ではそのままの額で評価されますが、不動産においては相続税を算出する「相続税路線価」が市場価格よりも低いことから、相続税が低くなります。

【デメリット1】融資が利用できない

融資が利用できない点は、不動産小口化商品のデメリットです。区分マンション投資であれば、購入する部屋を担保にして融資を受けられます。しかし、不動産小口化商品の場合、投資物件を担保にして融資を受けることができません。そのため、不動産小口化商品を購入する際には、全額自己負担となります。

【デメリット2】原則として中途解約ができない

不動産小口化商品のデメリットとして、原則として中途解約できない点が挙げられます。なかにはできる商品もありますが、手数料が引かれるため、解約する時期によっては元本割れしてしまうことも。車の購入費や教育費など、まとまった資金が必要になった場合でも、資金が引き出せないため、余裕資金でおこなうようにしましょう。

【デメリット3】投資できない可能性がある

不動産小口化商品は人気が高まっているため、申し込みの競争率が高く、投資できない可能性があります。先着順の場合は、募集開始から数分で終了してしまうこともあるそうです。なかには抽選方式もあるので、複数の運営会社に登録しておき、どういった商品があるか、チェックしておきましょう。

不動産クラウドファンディングのメリット・デメリット

スマホで完結できることもあり不動産クラウドファンディングの人気が高まっています
スマホで完結できることもあり不動産クラウドファンディングの人気が高まっています

次に、不動産クラウドファンディングのメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット デメリット
・1万円から投資ができる
・運用期間が短く元本を早期に回収できる
・インターネット上ですべてが完結する
・投資できない可能性がある
・レバレッジ効果を得られない

具体的な内容を解説していきます。

【メリット1】1万円から投資ができる

不動産クラウドファンディングは、他の不動産投資と比べても少ない金額で投資できる点がメリットです。投資対象には、ホテルや商業施設といった大型施設もあります。不動産投資ローンを組んでも、なかなか購入できないような物件に投資できる点も魅力でしょう。

【メリット2】運用期間が短く元本を早期に回収できる

不動産クラウドファンディングは、運用期間が短い案件が多く、元本を早期に回収できる点がメリットです。運用期間が長い場合、その分利益が得られる可能性は高くなります。しかし、災害などによって運用期間中に不動産価値が暴落するかもしれません。運用期間が短い場合、得られる利益は少なくなりますが、早期に元本を回収でき、元本割れのリスクを下げられます。

【メリット3】インターネット上ですべてが完結する

インターネット上ですべてが完結する点も、不動産クラウドファンディングのメリットです。現物の不動産投資では、不動産会社とのやり取りや物件の見学など、現地に行くことが必要になります。しかし、不動産クラウドファンディングでは、本人確認から物件への投資申し込み、分配金の振り込みまで、インターネット上で完結します。不動産管理も運営会社がおこなうため、管理の手間もかかりません。

【デメリット1】投資できない可能性がある

不動産クラウドファンディングはその手軽さから、人気が高くなっています。そのため、人気が高い案件の場合、募集が開始されてすぐに応募上限に達してしまうことも。最近では抽選方式も増えているため、複数のサービスに登録をしておき、気になる案件があれば応募しておくといいでしょう。

【デメリット2】レバレッジ効果を得られない

不動産クラウドファンディングでは、不動産投資のメリットでよく挙げられる、レバレッジ効果は得られません。レバレッジ効果とは、金融機関から融資を受けることで、手持ちの資金以上の高額な投資物件を購入し、多くの利益を得ることです。不動産クラウドファンディングにおいて、融資をおこなう金融機関は現在のところありません。自分の手持ち資金でしか不動産投資ができない点は、デメリットといえるでしょう。

REIT(リート)のメリット・デメリット

株式と同様にリアルタイムで売買できるREITのメリットとデメリットを解説します
株式と同様にリアルタイムで売買できるREITのメリットとデメリットを解説します

REIT(リート)も少額から不動産投資が可能な商品です。どのようなメリットやデメリットがあるのかを見ていきましょう。

メリット デメリット
・数万円から投資ができる
・利回りが高めの傾向にある
・換金性・流動性が高い
・市場の影響を受けやすい
・投資法人の倒産・上場廃止リスクがある
・配当控除が適用されない

それぞれどういった内容なのかを解説します。

【メリット1】数万円から投資ができる

銘柄によって必要な金額は異なりますが、数万円から投資が可能です。証券会社のホームページで、取り扱っている銘柄や投資口価格、投資先などがわかるため、一度確認してみましょう。なお、投資口価格とは、証券取引所で日々売買される価格のことです。

【メリット2】利回りが高めの傾向にある

REITのメリットとして、利回りが高めの傾向にある点が挙げられます。これは、複数の不動産に投資がおこなわれており、空室のリスクが分散されているから。また、当期利益の90%超を投資家に分配すると、投資法人の法人税が免除されることから、利益のほとんどが投資家に分配されることも要因です。株式の場合、投資した会社が法人税を支払ったあとの配当を受け取ります。一方、REITの場合は、法人税を引かれることなく、利益の配分を受け取れます。

【メリット3】換金性・流動性が高い

換金性・流動性が高い点も、REITのメリットです。REITは証券取引所に上場している商品のため、株式と同様、証券会社を通じて売買ができます。現物不動産の場合、売却する際には、売却を依頼する不動産会社を決めたり、買主を探したりなど、時間も手間もかかるでしょう。しかし、REIT(の場合、証券取引所の取引時間中であれば、自分の好きなタイミングで売買が可能です。

【デメリット1】市場の影響を受けやすい

REITのデメリットとして、市場の影響を受けやすい点が挙げられます。例えば、不動産市場や経済状況によっても影響を受けます。具体的には、景気が悪化すると賃料収入が下がり、結果としてREITの価格も下がります。また、金利情勢の変化によっても、運用成果に影響が生じるでしょう。

【デメリット2】投資法人の倒産・上場廃止リスクがある

投資法人の倒産や上場廃止リスクがある点は、REITのデメリットです。投資法人の業績が悪化すると、倒産や上場廃止になる恐れがあります。倒産する可能性が濃厚になれば、価格が暴落するかもしれません。また、上場廃止となれば、当然売買はできなくなります。純資産総額を確認するなどして、上場廃止リスクの低い銘柄を選ぶといった対策が必要になるでしょう。

【デメリット3】配当控除が適用されない

配当控除が適用されない点も、REITのデメリットに挙げられます。配当控除とは、投資信託の分配金や株式の配当金による配当所得に対して受けられる控除のことです。控除額は配当所得金額の10%で、課税総所得金額が1,000万円を超えている場合は、超過部分の金額に対して5%となっています。しかし、REITの分配金については配当控除が受けられません。そのため、分配金はすべて課税対象となり、税金が差し引かれます。

区分マンション投資のメリット・デメリット

区分マンション投資ではレバレッジ効果を期待できます
区分マンション投資ではレバレッジ効果を期待できます

不動産投資として一番イメージしやすいのが、区分マンション投資でしょう。下表はメリット・デメリットをまとめたものです。

メリット デメリット
・レバレッジ効果を期待できる
・節税効果を得られる可能性がある
・不動産投資のノウハウを学べる
・空室リスクや滞納リスクがある
・高い利回りを狙いにくい
・融資を受けられない可能性がある

メリット・デメリットの内容を詳しく解説します。

【メリット1 】レバレッジ効果を期待できる

これまで紹介してきた不動産クラウドファンディングやREITと違い、金融機関の融資を受けられる点が区分マンション投資の特徴です。金融機関の融資を受けることで、レバレッジ効果を期待できます。ただし、融資を受ける際には、ある程度の自己資金が必要になることを理解しておきましょう。

【メリット2】節税効果を得られる可能性がある

節税効果を得られる可能性がある点は、区分マンション投資のメリットでしょう。不動産投資で20万円以上の所得を得た場合には、確定申告をしなければなりません。しかし、不動産投資ローンの金利や不動産会社に支払う管理委託料などは、経費として計上が可能です。経費をきちんと計上することで、課税所得を減らし、納めなければならない税金を少なくできます。何が経費となるのかをしっかり確認するようにしましょう。

【メリット3】不動産投資のノウハウを学べる

区分マンション投資のメリットとして、不動産投資のノウハウを学べる点も挙げられます。不動産クラウドファンディングやREITでは出資をするだけです。しかし、区分マンション投資では、物件探しから売買契約、賃貸管理、売却までの一連の流れを経験できます。その分時間も手間もかかりますが、一連の経験ができる点は、今後も不動産投資をするうえで、大きな強みとなるでしょう。

【デメリット1】空室リスクや家賃滞納リスクがある

区分マンション投資のデメリットとして、空室リスクや家賃滞納のリスクがある点が挙げられます。投資物件を複数所有している場合、どこかが空室になっても他の物件で賃料収入をカバーできます。しかし、区分マンション投資で1室しか所有していない場合、空室になるだけで、賃料収入は入りません。家賃を滞納された場合も同様です。空室や家賃の滞納期間が長期化すれば、賃料収入がないうえに、不動産投資ローンの返済をし続けなければなりません。資金繰りの悪化によって、家計にも影響が出る可能性があります。

【デメリット2】高い利回りを狙いにくい

高い利回りを狙いにくい点も、区分マンション投資のデメリット。先述したように、区分マンション投資では空室リスクの影響が大きいため、賃貸需要が高い投資物件を購入する必要があります。しかし、賃貸需要が高い投資物件は、物件価格も高くなる傾向にあります。不動産投資ローンの返済のために、家賃の値上げをすると、入居者が集まらない可能性も。反対に家賃を下げると、不動産投資ローンの返済や税金などで収益がほとんどなくなってしまうかもしれません。区分マンション投資では、長期的に見た収支計画を立てるようにしましょう。

【デメリット3】融資を受けられない可能性がある

区分マンション投資では、金融機関から不動産投資ローンを借り入れることが一般的。ローンを借り入れる際には、金融機関の審査を受ける必要があります。審査には「精算評価」と「収益還元評価」の2つの方法があり、「精算評価」の場合、購入する投資物件の収益性が評価されます。一棟投資の場合、土地も含めて購入するため、土地の価値も合わせて評価されます。しかし、区分マンション投資の場合、購入する部屋の価値のみで評価されるため、評価が低くなり、融資を受けられない可能性も。一方、「収益還元評価」であれば、満室時の賃料収入や周辺地域の表面利回りの相場をもとに収益性が判断されるため、融資を受けられる可能性があります。金融機関がどちらの方法で評価をするのか、確認しておきましょう。

少額で不動産投資をおこなうメリット

少額から始められる不動産投資に共通しているメリットを3つ解説します
少額から始められる不動産投資に共通しているメリットを3つ解説します

少額で始められる4つの不動産投資のメリットをそれぞれ説明しましたが、共通しているものもあります。共通しているメリットは何かを見ていきましょう。

手軽に始められる

少額で不動産投資を始めるメリットとして、手軽に始められることが挙げられます。「不動産投資には資金が必要」と思い込んでいる方も多いでしょう。現物の不動産投資であれば、不動産投資ローンを借り入れ、借り入れる際には諸費用がかかります。また、固定資産税などの税金も払わなければなりません。しかし、不動産投資のなかには、1万円から始められるものもあります。1万円であれば、初心者の方でも始めやすいでしょう。

管理の手間がかからない

管理の手間がかからない点も、少額からできる不動産投資のメリットです。これまでご紹介した不動産投資は、いずれも管理会社がおこなうため、管理の手間がかかりません。現物の不動産投資であっても、管理会社に依頼することはできますが、管理会社とのやりとりが必要です。しかし、少額からできる不動産投資は投資物件への出資がメインとなります。手間がかからないため、収益が上がれば、投資物件を増やすなど、投資の規模も大きくしやすいでしょう。

赤字でも節税効果が期待できる

不動産投資の収益が赤字でも、節税効果が期待できる点がメリットの一つです。例えば、不動産クラウドファンディングによる所得は「雑所得」となります。同じ雑所得であれば、損益通算が可能です。損益通算とは、同じ年にでた利益と損失を相殺するもの。損失を利益から差し引き、所得を減らすことで、納税額を減らせます。ただし、雑所得は給与所得や譲渡所得など、他の所得と相殺できないため、気を付けましょう。

少額で不動産投資をおこなうデメリット

少額で不動産投資を始めるデメリットは3つあります
少額で不動産投資を始めるデメリットは3つあります

少額で始められることから気負わずできる不動産投資ですが、少額だからこそのデメリットもあります。3つ解説するので、よく理解しておきましょう。

投資先が限定される

少額でできる不動産投資のデメリットとして、投資先が限定されることが挙げられます。先述したように、不動産クラウドファンディングでは、いい条件の投資物件は人気が高いため、すぐに募集が終了してしまうこともあります。また、いい条件の投資物件は高額であることも多く、手が届かない可能性もあります。少額からできる不動産投資は、あくまで選択肢の一つでしかありません。不動産投資を検討する際は、幅広い視点から自分に合った商品を検討しましょう。

大きなリターンを得られない

投資額が少額である分、得られるリターンも小さくなる点を理解しておきましょう。例えば、年間利回り8%の商品があった場合、500万円を投資すると得られるリターンは40万円です。しかし、投資額が10万円だった場合、得られるリターンは8,000円となります。コツコツ貯めていきたい方には向いているでしょう。反対に、大きな利益を得たい方は、別の手法を検討したほうがいいでしょう。

元本割れのリスクがある

不動産投資に限らず、どの投資にも通じることですが、元本割れのリスクがあることを理解しておきましょう。特に他の金融商品と違い、不動産投資では不動産を扱っていることから、災害によって不動産価格が下落する可能性があります。地震や台風などの災害は予測できませんが、投資先を選ぶことは可能です。投資先を選ぶ際、災害リスクが低いところを選ぶなどの工夫をしましょう。また、ある程度のリスクを覚悟したうえで、余裕資金でおこなうことが大切です。

少額で不動産投資を始める際の注意点

少額であっても信頼できる投資先や運営会社を見極めることが大切です
少額であっても信頼できる投資先や運営会社を見極めることが大切です

少額であることから始めやすい不動産投資ですが、気を付けなければならない点もあります。本章では、少額で不動産投資を始める際の注意点を解説します。

正しい知識を身に付ける

不動産投資を始める際には、不動産投資に関する正しい知識を身に付けましょう。少額からできる不動産投資は、プロが選んだ投資物件に投資が可能ですが、信頼できる投資先かどうか、ご自身でも判断できるようになることが大切です。また、運営会社も信頼できるかどうか、見極めなければなりません。次のポイントを中心にチェックするといいでしょう。

・出資を募っている運営会社の経営状態
・投資物件を管理する会社の経営状況
・投資物件の情報
・トラブル時の対応

国土交通省からも「小口化不動産への投資をかたった詐欺的勧誘等に係る注意喚起」で、不動産クラウドファンディングにおける詐欺への注意喚起がされています。運営会社が国土交通大臣や都道府県知事からの許可・登録を受けているかどうか、必ず確認しましょう。国土交通省「不動産特定共同事業者許可一覧」で確認できます。

余裕資金で不動産投資をおこなう

不動産投資は、余裕資金でおこないましょう。賃料収入を得られるまでに時間がかかる場合もあるため、生活資金を投資に充ててしまうと、家計が苦しくなってしまうかもしれません。また、不動産小口化商品や区分マンション投資のように、資金が長期間拘束されるものもあります。万一、病気やケガで働けなくなった際の資金は、必ず手元に残しておきましょう。また、車検代や家具・家電の購入費など、数年以内に使えるお金も残しておくと安心です。

短期間でリターンを求めない

少額で不動産投資を始める際は、短期間でリターンを求めるのではなく、長期的な視点で資産形成を目指すことが大切です。不動産クラウドファンディングのように、運用期間が短いものもありますが、収益を得るまでに数カ月はかかります。不動産投資は長く安定的に運用することで、収益を上げるものであることを理解しておきましょう。

まとめ

今回は、少額から始められる不動産投資の種類やそれぞれのメリット・デメリットを解説しました。ひと口に不動産投資といっても、運用期間や所有権の有無、所得区分などは異なります。いずれも長期的な視点を持って運用することが大切です。何を目的とするのかによって、自分に合わせた商品を選ぶようにしましょう。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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