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欠陥住宅とは?よくある欠陥事例や対処法も解説!

欠陥住宅とは?よくある事例と対処法を解説
住む人の健康・安全をおびやかす「欠陥住宅」。中古住宅だけでなく、新築の住宅を購入・建築した場合でも見られるケースがあります。大きな買い物であるマイホームが、ふたを開けてみると「欠陥住宅だった」という事態は極力避けたいものでしょう。

そこで本記事では、欠陥住宅のよくある事例や未然に防ぐためのポイント、欠陥が見つかった場合の対処法について解説します。どのような箇所に注意しておけばよいかがわかるので、住宅の購入を検討している方はぜひ参考にしてください。

欠陥住宅とは?

欠陥住宅とは、安全性に関わる欠陥がある住宅のことです
欠陥住宅とは、安全性に関わる欠陥がある住宅のことです

欠陥住宅とは、住宅の安全性に関わる欠陥がある住宅のことです。欠陥住宅の定義や基準は明確ではありませんが、本来安全性のために備わっている基礎や土台、柱、梁(はり)、床などの住宅の骨組みに欠陥がある場合が該当します。
欠陥住宅が発生する主な原因は、設計ミスや施工の手抜きなどで、トラブルに発展することもあります。欠陥住宅は、経済的負担だけではなく精神的負担も引き起こしてしまう可能性があるため、注意が必要です。

よくある欠陥の事例は?

欠陥の代表例として、ひび割れや雨漏りがあげられます
欠陥の代表例として、ひび割れや雨漏りがあげられます

欠陥住宅となるケースは、主にひび割れや雨漏り、建物の傾きなどが挙げられます。以下では、欠陥住宅の事例として多い欠陥箇所を解説します。

ひび割れ

欠陥の代表例は、住宅の基礎部分や壁のひび割れです。ひび割れは基礎の配筋が不適切だったり、壁に筋交いが入っていなかったりと、図面どおりに施工されていないことが原因となります。ひび割れがある状態だと、災害が発生した場合などに建物の倒壊や被害拡大の恐れがあります。

なかには、安全性に直接関係のないひび割れもあります。それでも、新築住宅の引き渡しから間もない場合は施工会社に依頼し、建物の瑕疵として補修工事をしてもらうことが可能です。

雨漏り

雨漏りは、建物に使用される木材の腐食や家財などを濡らしてしまう欠陥です。雨漏りが発生しやすいのは外壁や屋根、バルコニー、窓などですが、どこから漏れているのかわかりにくいこともあり、原因の究明が困難な傾向にあります。

水漏れ

水漏れの主な原因は給排水管の接続不良によるもので、2階の床下で発生した水漏れは1階の天井に染みて気づくことが多いです。しかし1階の床下で発生した水漏れは気づきにくいため、定期的に確認が必要です。

床の傾き

床の傾きは、施工不良などが要因の地盤沈下で床が傾く欠陥です。また、床が傾くことで基礎や壁などのひび割れが発生したり、ドア開閉の不具合が発生したりすることもあります。地盤沈下が発生しやすくなるのは、軟弱地盤に住宅を建てたケースです。こうした住宅では、沈下を防ぐための適切な対応が求められます。

性能の不足

性能の不足は、見積書や設計図どおりではない施工がおこなわれた際に発生するものです。筋交いが不足していたり、必要な金物が使用されていなかったりすると、大きな地震が発生した場合などに建物が倒壊してしまう可能性が高まります。また、断熱材の不足は室温の影響が出るほか、金銭面や健康面にも負荷がかかりやすくなります。

その他の欠陥

このほかに、床下の通気不良や天井裏・屋根裏の防火違反などの欠陥が存在するケースもあります。いずれも、気づかずに放置してしまうと別の不具合も引き起こす可能性が高いため、注意が必要です。

欠陥住宅を未然に防ぐための対策は?

欠陥住宅を避けるために注意すべき点があります
欠陥住宅を避けるために注意すべき点があります

欠陥住宅の購入・建築を避けるため、どのような点に気をつければよいのかわからない方も多いでしょう。以下では、欠陥住宅を避けるためにできる対策をご紹介します。

施工会社を慎重に選ぶ

欠陥住宅は施工不良によって起こることがほとんどなので、施工会社選びは非常に重要です。信頼できる施工会社に依頼して欠陥を防ぐために、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 施工実績や口コミを確認する
  • 見積書の詳細な内容を確認する
  • 担当者との相性を確認する
  • 構造見学会に参加する
  • 建築現場を見学する

それぞれ詳しく解説していきます。

施工実績や口コミを確認する

まずは、施工会社の実績や口コミを確認してみましょう。カタログ等で施工事例を確認し、これまでのお客様で欠陥住宅だったという口コミがなかったかを調べることで、信頼できる会社か判断しやすくなります。

見積書の詳細な内容を確認する

提示された見積書で不明瞭な点がないかを確認しましょう。見積書には項目ごとに具体的な金額が記載されている必要がありますが、「一式」とだけ記載されて詳細がわからないケースも少なくありません。工事内容や単価がわからずに契約すると、工事中や完成後に追加で費用が発生したり、相場よりも高かったりする可能性があるため注意が必要です。

担当者との相性を確認する

依頼する施工会社の担当者と、良好な関係が築けるかも重要なポイントです。わからないことや困ったことがあった際に連絡が取りやすいか、話しやすいかを確認したり、適切なサポートや提案をしてくれたりするかを確認してみましょう。的確なサポートがないと、希望する住宅を実現できない可能性があります。ほとんどのやり取りが会社ではなく担当者となるため、信頼して任せられるかの見極めが大切です。

構造見学会に参加する

構造見学会が開催されている場合は参加することをおすすめします。構造見学会は、普段隠れている家の内部構造や施工などを確認できるほか、契約前にハウスメーカー・工務店の対応や施工の丁寧さを確認できる貴重な機会です。実際に施工する職人の顔や技術を確認できるのも、安心材料の一つとなるでしょう。

建築現場を見学する

注文住宅を建てる場合は、建築現場を確認しておくのもおすすめです。建築中の建物の状態を確認することで、不具合のある箇所を指摘しやすくなります。建築現場を見学する場合は、突然現場に行くのではなく事前に担当者に連絡しておきましょう。

内見・引き渡し時に確認する

欠陥住宅を防ぐには、内見や引き渡し時の確認も重要な要素です。以下のポイントは、特に注意して確認しましょう。

  • 外壁・内壁や基礎の状態
  • 床の傾斜
  • 床下の状態
  • 窓・ドアなどの状態
  • 雨漏りの状態

それぞれ詳しく解説します。

外壁・内壁や基礎の状態

外壁や内壁、基礎がひび割れしていないか、他の不具合がないかを確認しましょう。すでにひび割れを補修している場合には、適切な処理がおこなわれているかの確認も必要です。

床の傾斜

床の傾斜は、家具の設置や日常生活に支障をきたすだけでなく、基礎などのひび割れやドア開閉の不具合にもつながります。健康被害を引き起こす可能性もあるため、傾きがないか事前に確認しておきましょう。床の傾きを確認するには、ビー玉を転がして自然に転がるか試したり、素足で歩いたりすることで気づけるケースがあります。

床下の状態

可能であれば、床下の状態も確認しておくと安心です。床下に欠陥があると、建物全体に影響を及ぼす可能性があります。外から見ただけではわかりにくいものも、内側を覗くことで発見できることがあるかもしれません。日常生活でなかなか見る機会がないので、内覧時に確認しておくとよいでしょう。

窓・ドアなどの状態

窓やドアなど、建具の状態も確認しておきたいポイントです。スムーズに開閉できるか、鍵付きの場合は開錠・施錠が問題なくできるか実際に試してみましょう。不具合があっても設計ミスとは限りませんが、危険なケースもあるため家族の生活スタイルをシミュレーションして問題ないか確認してみてください。

雨漏りの状態

雨漏りが発生していないかの確認も重要です。防水処理に関する不具合で雨漏りが発生すると、壁や天井の内側で劣化が進行し、耐久性が損なわれます。雨漏りは生活に支障をきたすだけでなく、進行具合によっては修繕するにも高額な費用が必要になるため、早期発見することが大切です。

ホームインスペクターに確認を依頼する

専門的な知識を持たない人だと、欠陥に気づくのが難しいケースもあります。そのため、ホームインスペクターに確認を依頼するのもよいでしょう。ホームインスペクターとは、住宅の欠陥の有無や補修すべき箇所を診断する住宅の専門家のことです。「住宅診断士」とも呼ばれ、主に物件の内覧時に活用されます。欠陥がわかりにくい箇所もプロの目で確認してもらうことで、住み始める際の安心材料となるでしょう。

欠陥が見つかった時の対処法は?

住宅に欠陥が見つかったら、それぞれ適切な場所へ相談しましょう
住宅に欠陥が見つかったら、それぞれ適切な場所へ相談しましょう

実際に欠陥が見つかった場合、どのように対処すればよいでしょうか。以下では賃貸物件、注文住宅、建売住宅、中古物件の4つのケースにおける対処法をそれぞれ解説していきます。

賃貸物件の場合

賃貸物件で欠陥が見つかった場合、自分が所有する住宅ではないため勝手に補修を決めることはできません。しかし、そのままにしておくと生活に支障をきたすほか、健康被害の可能性もあります。そのため、すみやかに大家さんや管理会社に連絡して対処してもらうようにしましょう。

注文住宅の場合

注文住宅を建てて欠陥が見つかった場合は、施工会社への連絡が必要です。注文住宅などの新築物件に関しては、2000年4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)の瑕疵担保責任」と「契約不適合責任」の法律が適用されます。品確法によって、引き渡しから10年の間に対象の瑕疵とされる欠陥が見つかると、買主は無償で補修してもらうことが可能です。また、契約不適合責任による代金の減額請求や損害賠償請求、契約解除などの責任追及もできるため、修繕が必要になっても安心です。

建売住宅の場合

完成した状態で購入する建売住宅の購入後に欠陥が見つかった場合は、購入先の不動産会社へ連絡しましょう。新築であれば注文住宅と同様に品確法が適用されるほか、「宅地建物取引業法(宅建業法)」も影響します。新築の建売住宅の売主は宅建会社であることがほとんどで、その場合「買主が契約不適合を知った時から売主に通知すべき期間を引き渡し後2年以上とする特約」以外は、無効となるように定められています。民法の規定よりも買主に不利な特約は認められません。

中古物件の場合

購入した物件が中古住宅の場合、新築とは対処法が異なるため注意が必要です。新築物件と同様に「契約不適合責任」は適用されるものの、売主によって特約の責任期間や責任範囲が異なります。購入した不動産会社に連絡を入れる前に、どのような欠陥があるのかを写真を撮るなどして証拠に残しておきましょう。万が一に備えるためにも、売主または買主が住宅瑕疵保険に加入しておくことをおすすめします。



また、賃貸・注文住宅・建売住宅のどの形式でも施工会社や購入先の不動産会社・売主が適切に対応してくれなかった場合は、地域の消費生活センターなどに相談しましょう。

欠陥住宅についてよくある質問

欠陥住宅についてのよくある質問をまとめました
欠陥住宅についてのよくある質問をまとめました

最後に、欠陥住宅に関するよくある質問に回答していきます。

そもそも欠陥住宅とは?

欠陥住宅とは、住宅の安全性能に欠陥がみられる住宅のことです。主な原因は設計ミスや施工不良によるもので、建物の基礎や土台、柱、梁、壁、床などの住宅の骨組みとなる箇所に欠陥があるケースが欠陥住宅に該当します。

よくある欠陥は?

欠陥住宅の事例として多いのは、ひび割れや雨漏り、水漏れ、床の傾き、性能の不足などが挙げられます。

欠陥に気づいた時の対処法は?

住宅の種類によっても異なりますが、欠陥に気づいた時の対処法として、まずは施工会社や購入先の不動産会社へ連絡することが大切です。新築の注文住宅や建売住宅であれば、品確法の瑕疵担保責任や契約不適合責任が適用されるなど、買主の負担にならないよう対処されます。購入後のトラブルを防ぐためにも、引き渡し前の内覧時にしっかり状態を確認したり、ホームインスペクションを活用したりして対策しましょう。

まとめ

購入した住宅に欠陥が見つかると、身体的・精神的ストレスを感じるだけでなく、「住宅選びに失敗した」と後悔する方も少なくありません。万が一欠陥が見つかったとしても、買主が守られる法律が適用されるため、負担なく該当箇所を修繕や契約解除が可能です。ただし、欠陥が見つかった場合の保証については契約時期や住宅の種類によって異なるため、契約前に内容を十分確認しておきましょう。購入後のトラブルを防ぐには、施工会社選びを慎重におこなうことが大切です。

阿孫 沙綾

執筆者

阿孫 沙綾

不動産エージェントおよびWebディレクター兼ライターのフリーランス。8年間で不動産売買・賃貸の仲介業、実需や収益不動産の仕入れ・販売業務を経験し、現在は個人エージェントとして活動中。また、幅広いジャンルの不動産業務に携わった経験を活かし、不動産・宅建ジャンルを中心に執筆や編集もおこなう。

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