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地盤調査って必要?調査方法と費用、結果の見方を解説

地震の多い日本では、家を建てる際に地盤調査をおこない、土地の地盤が強いか調べる必要があります。万が一、購入した土地の地盤が弱かった場合でも、地盤改良をおこなうことで安心して家を建てられます。
この記事では、地盤調査の必要性や調査方法、費用などをわかりやすく解説します。

記事の目次

地盤調査とは

地盤調査とは、住宅や建物を建てる前にその土地(地盤)が建てようとする住宅の重さに耐えられる土地か、液状化の危険度などを調査することです。
住宅の重さは建物階数や構造(木造や鉄骨造など)、使用する材料などで異なるため、どのような住宅を建てるか決まってきた際に地盤調査をするのが基本となっています。

地盤調査は義務?どのような時に必要?

2000年(平成12年)の建築基準法の改正、同年施行の住宅の品質確保の促進などに関する法律(品確法)により、新築物件の場合、実質的に地盤調査が義務付けられました。

新築一戸建て(建売住宅)を購入する場合

建築基準法施行令第九十三条では、「地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は、国土交通大臣が定める方法によって地盤調査をおこなう必要がある」と規定され、地盤に応じた基礎の設計が求められます。
また、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)の第九十四条、第九十五条では、住宅を建設した会社や不動産会社(新築住宅の売主など)が建物の瑕疵に対する10年間の住宅瑕疵担保責任(住宅に欠陥が見つかった場合、補修や賠償をおこなう責任)を負うことになりました。

さらに、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)では、建築会社や売主である不動産会社に瑕疵担保責任が生じた場合に、修繕費用を確保するために、「保険加入」か「保証金の供託(法律で定められた額の保証金をあらかじめ法務局などの供託所に預ける)」が義務化されています。

住宅を建設した会社や不動産会社(新築住宅の売主など)がこの保険に加入するための条件の1つとして地盤調査の結果を提出する必要があるため(一部例外あり)、新築一戸建て(建売住宅)は地盤調査がおこなわれていると考えて問題ありません。購入を検討されている方は地盤調査報告書を見せてもらえるよう建売住宅の担当者に確認してみましょう。

注文住宅を建てる場合

上記、「新築一戸建て(建売住宅)を購入する場合」でご紹介しましたが、ハウスメーカーや工務店が瑕疵担保保険に加入する条件として地盤調査結果が求められるため、注文住宅の場合でも地盤調査は必要です。ハウスメーカーによっては地盤調査の結果を踏まえてプランを作成する会社もありますので、どのタイミングで地盤調査をおこなうのか、費用や支払い時期なども担当者に聞いてみましょう。なお、土地を購入して注文住宅を建てたい場合は、このあとでご紹介する「土地を購入する場合」も参考にしてください。

中古一戸建てを購入する場合

中古一戸建てを購入する場合、地盤調査は義務付けられていません。売買にともなって地盤調査を実施することも一般的にはありません。
気に入った物件で購入前に地盤の状態がどうしても気になる場合は、売主の許可を得たうえで購入検討者が費用を負担し、地盤調査もできなくはないですが、売主の承諾を得られるケースを含めてまれです
ただ地盤調査が実質義務化された2000年以前の物件でも地盤調査を実施している場合があるため、不動産会社を通じて売主に確認してみましょう。
もし売主が地盤調査結果を保管している場合は、契約前にみせてもらうように交渉することが可能です。

なお、アットホームでは、実際の地盤調査データを基に地盤の状態を推定し、液状化などの地盤リスクや土砂災害危険箇所などがわかり、地盤補強工法も想定できる「地盤情報レポート」を不動産会社に提供しています。導入している不動産会社でそのレポートを見られます。ぜひチェックしてみてください。

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建て替えをする場合

今まで住んでいた家を解体し新たに家を建てる場合も地盤調査は必要となります。住んでいた経験から「地盤は大丈夫」と思うかもしれませんが、同じ土地(地盤)でも家が建っていた部分の地盤が固く、周辺の庭などは実は地盤が弱かったケースもあります。
また、建て替え前の家と建て替え後の家では、建物の配置や間取り、建物階数や構造(木造や鉄骨造など)により家の重量も変わり、建て替え前の基礎や地盤では十分でない可能性もあるため、基本的には地盤調査をする必要があります。

また建て替えの場合でも、家は新築をするため建築する会社が瑕疵担保保険に加入する条件として地盤調査が必要です。

土地を購入する場合

土地のみを購入する場合は、中古一戸建てを購入する時と同様に、現在の土地所有者が地盤調査を実施しており、報告書を保管していれば確認させてもらえる可能性はあります。

なお、地盤調査が実施されていない土地でも、購入手続きが終わるまでは売主の所有する土地ですので、売主の許可が得られなければ地盤調査はできません。
仮に許可が得られた場合でも、調査にかかる費用負担の取り決めをしておかないと、後々のトラブルの原因となるため注意が必要です。

地盤調査でわかることは?

実際に家を建てていく過程でおこなわれる地盤調査ですが、そもそも地盤によってどのような問題が起こるのでしょうか?ここでは代表的な地盤の問題と、地盤調査をする目的をご紹介します。

地盤の問題とは

軟弱な地盤に家を建てた場合、地震の振動で液状化現象がおきたり、時間の経過とともに家の重さに耐えられず家が傾いたりすることが考えられます。
また、それ以前にも、ドアや窓の開閉がしにくくなる、壁や基礎にヒビが入ることが地盤を原因として起こることがあります。
そのような家は土地としても建物としても資産価値は低下し、売却をする際にも売れないことが起こりえます。

地盤調査でわかること

家を建てる際におこなわれる地盤調査は、地盤の強さを調査し、問題なく家を建てられる土地であるかを知ることが目的です。

調査のなかで、地盤の強さ以外に、昔からある土地なのか切土や盛土などあとから造成された土地であるのか、地下水位(地下水までの深さ)の把握、液状化が起きる可能性、地層の種類などがわかります。地盤調査の結果から、地盤にあわせた基礎を判断したり、結果によっては地盤改良の工事をおこなう必要があります。

地盤調査の方法は?

地盤調査をおこなう方法はいくつかあります

地盤調査の方法は1つではなく、いくつか種類あります。ここでは代表的な調査方法をご紹介します。

スクリューウエイト貫入試験(SWS試験、SS試験、旧スウェーデン式サウンディング試験)

一戸建てを建てる際の一般的な地盤調査方法で、ロッドと呼ばれる鉄の棒を地面に垂直に貫入していくことで地盤の強度を調べます。敷地の4隅(建物を建てる場所が決まっている場合はその場所)と敷地中央(建物を建てる場所が決まっている場合は建物の中央)の計5カ所で調査することが一般的です。
以前は「スウェーデン式サウンディング試験」と呼ばれていましたが、2020年10月に日本の国家規格である日本産業規格(JIS)が改正され、試験名称が「スウェーデン式サウンディング試験」から「スクリューウエイト貫入試験」に変更となりました。SWS試験やSS試験とも呼ばれます。

ボーリング調査(標準貫入試験)

一般的に、マンションなどの大きな建物を建てる際の地盤調査としておこなわれる方法がボーリング調査です。地面に円筒状の孔(あな)をあけて、深さ1mごとに強度(N値)※を計測し、土のサンプルを採取します。採取した土から地層の種類や強度、地下水位の高さなどを調べます。街中のマンション建設予定地で、井戸でも掘っているかと思うような「やぐら」を組んでいたり、大型の機械で地面を掘っていたりする光景を目にされた方もいるのではないでしょうか。

※N値とは標準貫入試験の結果として求められる数値で、76cmの高さから63.5kgの錘(おもり)を落下させてサンプラーと呼ばれる鉄の筒状部品を30cm貫入させるために必要な打撃回数。

表面波探査法

地面に人がわずかに感じ取れる程度の小さな振動をおこし、地面の中を伝わる表面波(レイリー波)の速さを2つの機械で計測し、コンピューターで計測した値を解析する方法です。振動で調査をするので、スクリューウエイト貫入試験やボーリング調査のように地面に穴を掘りません。調査に大きな機械が必要ないため、機械が入れないような場所でも効率よく調査できるのが特徴です。

地盤調査の依頼から着工までの流れ

地盤調査をどのように進めればよいか、依頼から着工、調査報告までの流れを解説します。調査会社によって違いもあるため、事前に流れや要する期間など確認しましょう。

問い合わせをする

土地を購入し、ある程度建物のプランが決まれば地盤調査の依頼、問い合せをします。
調査の申し込みには、周辺地図や配置図、平面図、用途、重量などがわかるものが必要となり、一般的にはハウスメーカーや工務店、不動産会社から依頼します。
もし以前実施された地盤調査結果があれば添付したほうがよいでしょう。

現地調査による地質の想定

地盤調査をする前に現地調査をおこない、地質の想定、周辺の土地の状況(隣地や道路との高低差)、作業環境の確認をします。

見積もりをしてもらう

提出した資料や現地調査をもとに、調査箇所や所要時間、作業内容を検討し、費用の見積もりをしてもらいます。

地盤調査を実施

工事内容、見積もりを確認後、問題なければ地盤調査を実施します。一戸建て住宅で用いられることの多いスクリューウエイト貫入試験であれば半日程度で終わります。

調査報告とその後のサポート

調査が完了すれば地盤調査報告書を受け取ります。
調査の結果、軟弱地盤が判明し地盤改良が必要となる場合は、改良工事の工法の提案を受けます。
また、将来的に調査をした地盤で土地、建物に損害が生じた時に修復費用を保証する地盤保証制度についても確認しておきましょう。

地盤調査にかかる費用相場は?

ここでは一般的な一戸建ての地盤調査をおこなった場合、地盤調査にかかる費用の相場をご紹介します。土地の広さや立地条件、土地形状、作業環境などによって異なってくるため、あくまでも相場の目安として考えてください。

スクリューウエイト貫入試験の費用相場

一般的な住宅でもっとも用いられるスクリューウエイト貫入試験は、5万円~10万円が相場となっています。小さなスペースでもおこなえる試験で、他の方法と比べてもリーズナブルな価格となっています。
ハウスメーカーや住宅会社のなかには、地盤調査費用の一部もしくは全部を建築代金から引いてくれる会社もあります。

ボーリング調査の費用相場

ボーリング調査は、15万円~30万円前後が相場となっています。ボーリングで掘る深さが深くなるほどコストもかかり、40万円~80万円程度になることもあります。

表面波探査法の費用相場

表面波探査法は5万円~8万円前後が相場となっています。スクリューウエイト貫入試験よりはコストがかかり、ボーリング調査よりは安い相場感となります。

地盤調査の費用を抑える方法

家を建てる場合、地盤調査の費用をあらかじめ予算のなかに見込んでおくことが必要です。しかしできるだけ地盤調査や改良工事にかかる費用を抑えたい、建物にお金をかけたいと思われるのではないでしょうか。
ここでは地盤調査にかかる費用を抑える方法をご紹介します。

地盤が強い土地を選ぶ

地盤調査の結果、地盤改良が必要でなければコストは大幅に削減できるため、地盤改良が必要ない硬質な地盤の土地を選ぶことです。
一般的には、水田地帯など周辺に水を含む土地が多いエリアや盛土や河川改修で人工的に埋め立てられた場所、水や池、川、沼など水に関する地名が使われている場所は、軟弱な地盤の可能性があります。

既存の地盤データを確認する

国や民間企業の公開する地盤データを土地選びの参考にするのも一つの方法です。
ボーリング柱状図や土質調査結果を確認できる国土地盤情報検索サイト(国土交通省)やジャパンホームシールド株式会社が提供する「地盤サポートマップ」などで周辺の地盤データを確認することで、弱い地盤の集まる地域や地震の揺れやすさが大きい地域を避けることができます。

また、土地の過去の利用状況を調べる地歴調査を依頼すると費用がかかりますが、自分でも調べられます。
国土交通省の国土地理院では、過去の土地の地図や航空写真を確認できます。法務局に備えつけられている登記簿謄本では、該当する場所(地番)の地目を過去にさかのぼって調べることが可能です。

地盤調査報告書の見方を知っておく

地盤調査報告書を受け取る際は、調査結果を説明してもらいましょう。
報告書の見方を知っておくことも大切です。地盤調査の結果によって、基礎の種類(布基礎やべた基礎など)や地盤改良の要否がわかります。
地盤改良が必要でも工法によって費用も変わるため、地盤調査のどの結果を受けて工法が必要とされるのかを知ることも大切です。

なお、建物の重量によって必要とされる地盤の強度は変わります。建物の構造や仕様を選ぶことで地盤調査費用を抑えられることもあります。

セカンドオピニオンをおこなう

地盤調査結果に対して第三者のセカンドオピニオンを求めることも一つの方法です。
地盤調査の主な目的は、地盤改良が必要かを判断することですが、調査結果が同じでも会社によって地盤改良の必要性や工事方法が変わることもあります。

本来、地盤改良が不要の場合に必要と判断されることで、数十万円から場合によっては数百万円の費用に変わることがあります。
地盤調査結果に疑問を感じる場合、セカンドオピニオンに費用がかかっても、結果的に費用を抑えられるかもしれません。

地盤調査報告書の見方は?

せっかく地盤調査をおこなったのですから、きちんと自分の目で確かめたいですよね

地盤調査報告書の見方を知ることが大切とお伝えしましたが、専門的な用語、単位が並ぶ報告書は一般の方にはわかりにくいのではないでしょうか。
ここでは一戸建て住宅で一般的なスクリューウエイト貫入試験(スウェーデン式サウンディング試験)の地盤調査報告書を解説します。

図1は、スクリューウエイト貫入試験の調査結果のサンプルです。
この試験では、ロッドと呼ばれる鉄の棒に錘(おもり)をのせて地面に貫入させ、錘だけでは沈まない場合、試験機を回転させながら地盤の強度を計測する方法です。

地盤調査報告書

スクリューウエイト貫入試験(スウェーデン式サウンディング試験)見本
貫入深さ スクリューウエイト貫入試験では、25cm貫入させるために要するハンドルの回転数で強度を測定します。貫入深さは、地表面からの深度を指し、調査報告書では25cmおきに地盤の強さ、推定される土質などがわかります。
荷重Wsw 荷重Wswは貫入させるためにかけた荷重のことです。5、15、25、50、75、100kgと段階的荷重をかけロッド(鉄の棒)の沈み方を測定します。
0.75(KN)と記載されていれば75kgの荷重を意味します。
半回転数Na 荷重をかけても貫入できない場合、25cm貫入するのに要する半回転数から地盤の強さを調査します。半回転Naは、25cm貫入させるのに要した半回転数を意味します。
1mあたりの半回転数 半回転数Na(2cm貫入するのに要する半回転数)を1mあたりに置き換えたものです。
換算N値 N値とは地盤の強度を表す数値であり、ボーリング調査でおもりを自由落下させながらロッドにぶつけ、ロッドの先端に取り付けた部品(サンプラー)が、地中30cm沈むまでの打撃回数を測定します(標準貫入試験値)。
換算N値は、スクリューウエイト貫入試験で求められた結果をN値に換算した数値です。
許容支持力
(KN/平方メートル)
許容支持力は、地盤が建物の荷重に対し、どれくらい耐えられるかを表すもので1平方メートルあたり何トンの荷重に耐えられるかで表します。KNは約100㎏です。

地盤調査報告書は、一般の方が理解するのはなかなか難しいですので、まずは調査結果の報告を求めましょう。その際の注目すべきポイントは、以下の点です。

・盛土の在無
・半回転数Naが0の数
・荷重75kg以下の数
・軟弱地盤は地表から何mくらいにどれくらいあるか
・貫入状態(地盤の推定地質、貫入の速さを示すもの)

こういった指標を設計士など専門家に確認してみましょう。

地盤調査の結果が悪かったら?地盤改良工事の種類

地盤調査をした結果、購入した土地が軟弱な地盤だった場合、地盤改良工事が必要です。
地盤改良工事にはいくつか方法があり、家を建てるのに必要な地盤の強度や予算によって工事を進めていくことになります。

表層改良工法

表層改良工事は、地表から2m程度の土を掘り返し、セメント系の固化材を混ぜ合わせることで地盤を強化する方法です。
強固な地盤が浅い層にある時におこなわれる工法で、費用では1坪あたり2~3万円と他の工法と比べて安く抑えられます。
工期も改良面積にもよりますが、一般的な一戸建て住宅であれば1~2日で完了します。

柱状改良工法

柱状改良工事は、軟弱な地盤が2~8cm程度ある場合に用いられ、地盤に直径60cmほどの穴をあけ、土とセメント系固化材を混ぜ合わせた柱状の杭を打ち込んで強化する方法です。支持層の強度と柱状杭の周面に作用する摩擦力で建物を支える仕組みで、一戸建て以外にもマンションやビルでも採用される工法です。
費用の目安は3~5万円/坪で、3日~1週間程度で完了します。

鋼管杭工法

鋼管杭工法は、軟弱な地盤が厚く、強固な支持層が深い場合に、杭状の鋼管を打ち込んで地盤を強化する方法です。柱状改良工法では難しい地中30cm程度までの支持層まで工事が可能です。
他の工法と比べても改良後の地盤はもっとも強くなるため、重量鉄骨造など重い住宅にも適しています。
費用の目安は4~6万円/坪で、3日程度の工期で終了します。

地盤調査は誰がおこなう?

地盤調査は、一戸建ての買主が家を建てるハウスメーカーや建設会社に依頼し、その会社が地盤調査を手配するケースが一般的です。この場合、ハウスメーカーや建設会社から依頼された専門の地盤調査会社が調査を実施し、地盤調査報告書を作成する流れとなります。ただ、専門の調査会社でなくともハウスメーカーや建設会社で調査をする専門の部署がある場合は、その会社で地盤調査をおこなうこともあります。

調査会社はどう選ぶ?

日本では地質調査をおこなう会社だけで1,000社を超えます。一般的には、家を建てるハウスメーカーや建設会社が提携、依頼する地盤調査会社を活用します。数多い事業者のなかで、どのような会社に依頼するのがよいか知っておくことは大切です。
ここでは4つの視点で調査会社の選び方を紹介します。

専任技術者が在籍している

地盤調査には専門的な知識と技術力が求められるため、地盤、地質に関する専任の技術者が在籍している会社を選ぶようにしましょう。
地盤の評価に関する調査、試験の立案、調査結果の適正な評価と対策などの提案をおこなうことを目的とした地盤品質判定士のほか、宅地地盤調査主任、地質調査技士などの有資格者がいる会社は信頼性も高くなります。

地盤調査報告書を発行している

地盤調査の終了後に調査報告書を発行してもらえるかを確認しましょう。
地盤調査報告書の書式は会社によって異なります。地盤改良工事の要否だけでなく、土地形状や地質の種類、地盤の強度まで客観的な数字とともに記載されているため、地盤の証明書として将来売却する際にも活用できます。
調査が完了している分譲地を購入する場合も、地盤調査報告書の写しを請求するようにしましょう。

調査不備があった際に補償してもらえる

地盤調査の判定や地盤補強工事の瑕疵によって建物が不同沈下した場合、地盤や建物の損壊を補修する費用を保険金として支払う制度として「地盤保証制度」があります。
不同沈下は、建物の重みで地盤や建物が不均衡に沈み込む現象をいい、地盤調査から5~6年、長い場合10年以上続く場合もあります。
保証期間(10年、20年)の保証内容を踏まえながら、地盤保証制度を利用できる地盤調査会社を選びましょう。

見積もり金額が適正である

地盤調査、地盤改良工事の目安をお伝えしましたが、費用の見積もり金額が適正であることが大切です。
適正な見積もり金額を知るためには、3社程度の相見積もりすることが有効です。
相場より高すぎる会社にも気をつけないといけませんが、金額が低すぎる会社は作業内容や金額の根拠などをしっかりと確認したほうがよいでしょう。見積もりを比較し、もっとも適正な金額の会社を選ぶ必要があります。

地盤調査に関するよくある質問

最後に、地盤調査に関するよくある質問の解説をします。簡単におさらいしたい場合には、以下の項目を確認するようにしましょう。

地盤調査はどのような時に必要?

新築住宅を建てる時に、住宅瑕疵担保責任保険に加入することが義務付けられており、土地の地盤調査結果が必要となります。
したがって、新たに土地を購入した場合のほか、土地上の建物を建て替える場合にも、地盤調査が必要となります。

地盤調査の費用は?

一戸建て住宅の地盤調査で用いられることが多いスクリューウエイト貫入試験の場合、5~10万円、鉄筋コンクリート造や鉄骨造でボーリング調査を採用する場合は15~30万円が目安となります。
ハウスメーカーや住宅会社などにもよりますが、着工時に支払うことが一般的です。
また、土地の売買では、売主が地盤調査を実施したうえで引き渡すケースもあり、その場合、調査費用はかかりません。

地盤調査の結果で土地が軟弱だったら?

地盤調査の結果、軟弱地盤と判断されれば地盤改良工事が必要となります。
軟弱地盤が地表から何mまでおよぶか、ほかの状況によっても工事方法や費用は異なります。

まとめ

この記事では、家を建てる前に必要となる地盤調査をご紹介しました。人生で家を建てることは一生に一度あるかないかのことですので、わからないことが多いと思います。ましてや住宅は高額なため、失敗はしたくないと考えるのも当然のことです。土地探しや資金計画から引渡しまで、わからない点は納得できるまでハウスメーカーや不動産会社、建設会社に相談してみましょう。
専門知識のあるプロに聞けばわかりやすく丁寧に教えてくるので、不安や疑問も解消されるはずです。

なお、アットホームでは、実際の地盤調査データをもとに地盤の状態を推定し、液状化などの地盤リスクや土砂災害危険箇所などがわかり、地盤補強工法も想定できる「地盤情報レポート」を不動産会社に提供しています。導入している不動産会社でそのレポートを見れるため、ぜひチェックしてみてください。

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吉満 博

執筆者

吉満 博

株式会社あつみ事務所 代表

宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザー
不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性踏まえた長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供。また、これまでの建築設計、不動産売買の実務を踏まえた情報発信を積極的におこなう。

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