このページの一番上へ

クラックとは?原因と放置するリスク・修繕費用の相場を解説

クラックとは?リスクや原因・修繕費用を徹底解説
建物にひびが入っているのを見つけて、不安を感じたことがある方もいるでしょう。建物の外壁や基礎などに発生するひび割れを「クラック」といいます。幅が大きい場合や建物の強度に影響を与えるものである場合、早めに補修しないと、建物の性能に影響を与えるだけでなく、災害発生時の被害が大きくなってしまうことも。

本記事ではクラックとは何なのか、代表的な種類や発生原因、放置するリスクについて解説します。クラックの修繕方法や費用目安も紹介しますので、クラックを発見した時の補修の参考にしてください。

クラックとは?

そもそもクラックとは?
そもそもクラックとは?

クラックとは、建物の外壁や基礎などに発生するひび割れです。割れ目を意味する英語の「crack」が由来となっており、建築業界では建物の劣化を表す言葉としてよく利用されています。

クラックの発生原因はいくつもあり、種類もさまざまです。発生してもただちに問題が起こらないひび割れから、建物の安全性を損なう危険なものまで幅広く存在するため、クラックの種類を理解することは非常に大切です。また、クラックの被害を最小限に抑えるには定期的に建物をチェックし、ひび割れが小さい状態の時に補修する必要があります。

クラックの種類は?

クラックには複数の種類があり、発生しやすい場所や危険性の高さなどが異なります。主なクラックの種類とそれぞれの特徴は、以下のとおりです。

クラックの種類 主な特徴 危険度
構造クラック 幅0.3mm以上・
深さ5mm以上のひび割れ
高い
開口クラック 窓枠やドア枠の角から発生
するもので
雨漏りの原因に
なる可能性があるひび割れ
やや高い
ヘアクラック 幅0.3mm未満・
深さ4mm以下のひび割れ
やや低い
縁切りクラック 素材の異なる壁材の継ぎ目や
時間差で塗装した際に生じる
ひび割れ
やや低い
乾燥クラック 乾燥した塗料の
表面のみに表れるひび割れ
低い

ここからは、各クラックの内容について詳しく解説します。

構造クラック【危険度:高い】

構造クラックは建物の耐久性・安全性がすでに低下している可能性があるためすぐに修理を依頼しましょう
構造クラックは建物の耐久性・安全性がすでに低下している可能性があるためすぐに修理を依頼しましょう

構造クラックとは、建物の構造部分まで達している可能性が高いひび割れです。一般的には幅0.3mm以上・深さ5mm以上あるひび割れを指し、建物の強度低下や耐久性の悪化につながるため危険性が高いと言われています。

構造クラックは地震の揺れや地盤沈下、施工不良が原因で起こるとされており、ひびの幅が大きく、雨水の侵入する可能性があります。このような状態を放置すると、外壁が剥がれ落ちてきたり、コンクリート片が落下したりするなどの二次被害が発生する恐れもあるため、注意しなければなりません。

特にバツ印や斜め、階段状に伸びるひび割れは、建物のゆがみや地盤沈下を表すサインです。そのため、発見したらすぐに専門家に調査を依頼しましょう。

開口クラック【危険度:やや高い】

窓の周辺に発生した開口クラックは雨漏りを引き起こすリスクがあります
窓の周辺に発生した開口クラックは雨漏りを引き起こすリスクがあります

開口クラックとは、窓やドアなどの開口部周辺に発生するひび割れです。建物の過重は開口部に集中する傾向があり、窓やドアの枠の角から斜め方向へひび割れるケースがあります。特に、窓サッシ周辺は温度の変化や地震の揺れの影響を受けやすく、開口クラックが発生しやすい箇所です。その他にも、施工時の補強不足や下地処理の不備によって起こる場合もあります。

窓やドアの枠には雨水が貯まりやすいため、開口クラックが発生すると雨漏りの原因になります。外壁塗装のみでは根本的な改善にならないため、雨漏りを防ぐためにもシーリングや下地の補修をおこなうことが重要です。

ヘアクラック【危険度:やや低い】

髪の毛のように細長いヘアクラックは、すぐに大きな被害を引き起こすことは少ないですが、発見したら要注意するようにしましょう
髪の毛のように細長いヘアクラックは、すぐに大きな被害を引き起こすことは少ないですが、発見したら要注意するようにしましょう

ヘアクラックは、髪の毛のように細いひび割れで、幅0.3mm未満・深さ4mm以下のひび割れを指すのが一般的です。主に、乾燥での収縮や経年劣化によって、塗膜やモルタルの表面に発生します。建物の構造に発生しているひび割れではないため、比較的危険性が低いと言われていますが、放置すると内部に雨水が侵入する可能性があります。雨水が内部に侵入すると、腐食や外壁材の劣化を引き起こし、建物の構造に悪影響を及ぼすため注意が必要です。

ヘアクラックは小さく、建物をよく観察しないと見落としてしまうひび割れです。定期的に建物をチェックし、ヘアクラックが発生していないか確認しましょう。

縁切りクラック【危険度:やや低い】

塗装の継ぎ目や異なる素材の継ぎ目に発生するクラックを縁切りクラックといいます
塗装の継ぎ目や異なる素材の継ぎ目に発生するクラックを縁切りクラックといいます

縁切りクラックとは、外壁材の継ぎ目や異なる材料同士の接合部分に発生するひび割れです。建築材料は気温や湿度によってわずかに伸縮しますが、素材によって膨張率や収縮率が異なります。伸縮の差が、縁切りクラックの発生につながります。

また、施工時に適切な縁切りがおこなわれていないと、同じ素材の継ぎ目に縁切りクラックができる可能性があるため注意してください。放置すると、縁切りクラックから雨水が侵入するかもしれません。そのため、メンテナンスとして外壁塗装をおこなう時には、専門家に縁切りクラックの発生状況も調査してもらいましょう。

乾燥クラック【危険度:低い】

素材が乾燥して発生するクラックを乾燥クラックといいます
素材が乾燥して発生するクラックを乾燥クラックといいます

乾燥クラックとは、コンクリートやモルタルなどに含まれる水分が蒸発し、素材が収縮することで発生するひび割れです。施工直後から比較的早く発生する場合があり、気温が高く乾燥した気候条件で起こりやすい特徴があります。早い段階で発生する乾燥クラックは危険性が低いものの、時間が経過してひび割れが大きくなっていきます。早期にできたひび割れが大きくなってきた場合、補修をおこなうサインとなるため、発見したらすぐに対処しましょう。

クラックの原因は?

クラックはなぜ発生してしまうのでしょうか
クラックはなぜ発生してしまうのでしょうか

クラックを引き起こす原因は一つだけではなく、いくつかの要因が重なって発生するのが一般的です。ひび割れを生じさせる主な原因を理解しておきましょう。

経年劣化

建物は経年変化によってクラックが発生しやすくなります。長年建物を利用すると外壁や塗膜、防水材などが劣化によって柔軟性を失い、ひび割れができやすくなります。

特に、紫外線や風雨を直接受ける場所は建築材料が劣化して雨水が侵入しやすいため、放置していると建物の耐久度が低下するため注意が必要です。また、築年数が経過した建物は外回りだけでなく、下地材そのものが劣化している場合があり、弱い雨でも雨漏りの原因になります。雨漏りの範囲が広がると補修費用が高額になる場合もあるため、建物の外回りの点検を定期的におこないましょう。

自然災害

自然災害によってダメージを受けると、クラックが起こりやすくなるため注意が必要です。たとえば台風で強風が吹くと、下から吹き上げる風で屋根がごくわずかに上に引っ張られ、小さな伸びによってクラックが発生する場合があります。また、地震が発生すると、揺れで外壁や基礎に大きな負荷がかかり、ひび割れが起こるケースもあります。さらに、寒冷地では凍結と融解の繰り返しにより、コンクリート内部が膨張し、既存のクラックの進行が早まるかもしれません。

自然災害によってできるひび割れは危険性が高く、構造クラックにつながる恐れもあります。そのため、大きな災害に見舞われた時はすぐに建物の状態をチェックしましょう。

気温の変化

繰り返し気温が変化すると、クラックが発生します。建築材料は気温の変化によって膨張と収縮を繰り返しており、時間の経過で柔軟性が失われると伸縮に耐えられなくなります。特に昼夜や季節ごとの寒暖差が大きい地域では、伸縮による傷みが蓄積しやすく、クラック発生の可能性が高くなるため注意が必要です。

なお、気温差によるクラックは、伸縮率の違う異なる建築素材の接合部で発生しやすく、縁切りクラックや開口クラックになりやすいという特徴があります。

乾燥

建築材料は、乾燥によってクラックが発生する場合があります。コンクリートやモルタルは、内部に含まれる水分が蒸発すると収縮する建築材料です。収縮によって内部で引っ張る力が大きくなると、耐えきれなくなりクラックが発生します。

特に施工直後は水分量が多く、急激に乾燥するとすぐにひび割れが発生してしまいます。夏場に施工する場合や風通しの良い立地で建築する場合は、建築会社に十分な養生をおこなうよう確認し、乾燥によるクラックを防ぎましょう。

施工不良

施工不良は、クラックを引き起こす代表的な原因の一つです。たとえば、コンクリートの仕上げが不適切だったために沈んだり、型枠を外す作業でコンクリートが型枠に付着して引っ張られたりすると、コンクリートが適切に固まらず、ひび割れてしまいます。

新築や築浅の建物でクラックが発生した場合、施工不良が原因の可能性もあります。そのため、できる限り早めに専門家に確認してもらいましょう。

クラックを放置するリスクは?

クラックを放置するとさまざまなリスクがあります
クラックを放置するとさまざまなリスクがあります

クラックを放置すると、建物に深刻な影響を与えるリスクにつながるでしょう。ここではクラックを放置することによるさまざまなリスクについて解説します。

性能の低下

クラックを放置すると、住宅性能の低下につながります。断熱材に水が侵入して湿気を含むと、本来の断熱性を発揮できなくなるため注意が必要です。

水分は断熱材の空気層を減らしてしまい、外気や室温の熱を遮断する働きを低下させます。熱を遮断できなくなると、室温が安定しにくくなり、冷暖房効率の悪化や電気代の上昇につながります。また、水分を含むと断熱材にカビが生えて悪臭が出たり、カビの胞子によってアレルギーによる喘息症状のリスクが高まったりするのも、リスクのひとつでしょう。

構造体の腐食・劣化

クラックによって建物内に雨水が侵入すると、構造体の腐食・劣化が進行します。ひび割れが大きくなるにつれて雨水や湿気が建物内に入りやすくなり、鉄筋や木材の腐食の原因となります。腐食が進むと建築材料の強度が低下し耐震性が下がるため、災害の発生時に建物が被害を受けるリスクが高くなる恐れもあります。

構造体の腐食が進行すると、大規模な工事が必要となるケースも。大規模な工事をするには高額な費用がかかってしまいます。

雨漏りの発生

外壁や屋根など、雨風にさらされる場所にクラックが発生すると、雨漏りの発生リスクが高まります。特に、窓やドア周辺の開口クラックが発生した場所から、雨水が侵入しやすい傾向にあります。

雨漏りが発生すると室内のクロスや天井材にシミができ、カビの発生につながります。さらに症状が悪化すると、水がつたって雨水の侵入から遠い位置でも雨漏りが発生します。どの位置から雨水が侵入しているのかわからなくなると、原因特定の調査費用や水が伝わる箇所の補修が必要となり、費用が高額になる恐れがあります。

爆裂現象の発生

クラックを放置すると、爆裂現象が発生する場合があります。爆裂現象とは、コンクリート内部の鉄筋が腐食して膨張した結果、その膨張の圧力によってコンクリート表面が剥がれ落ちたり、クラックが広がったりする現象です。

爆裂現象が発生すると建物の美観や性能を損なうだけでなく、剥がれ落ちたコンクリート片やむき出しになった建材でけがをしてしまう恐れもあるでしょう。また、クラックが広がると雨水が侵入する量が増え、爆裂現象の範囲が大きくなる場合もあります。

爆裂現象は建物内部の劣化を示すサインであり、表面を補修しただけでは再発する場合があるため注意が必要です。補修する際には、鉄筋の状態を確認したうえで適切な工事をおこないましょう。

クラックの修繕方法は?

クラックの種類によって適した修繕方法が異なります
クラックの種類によって適した修繕方法が異なります

クラックの修繕方法はいくつかあり、ひび割れの大きさや深さ、発生した箇所に応じて対処します。

誤った方法で修繕すると再発する恐れがあるため、クラックの状態を正確に判断して適切な工法を選びましょう。

シール工法

シール工法とは、クラックが発生した部分にシーリング材や樹脂を充填して、防水性を回復させる修繕方法です。施工方法はシンプルであるため、比較的費用を抑えやすい傾向にあります。

ただし、シール工法のおもな目的は防水性の回復です。深部までの補修にはむいておらず、深部まで影響しているクラックに対しては別の方法で修繕しなければなりません。また、シール工法で施工すると修繕部分が浮き上がるように見えるため、建物の美観を損ねやすい点にも注意が必要です。

注入工法

注入工法は、クラック内部へエポキシ樹脂を圧力をかけて押し込み、補修した部分と建物内部を一体化させる修繕方法です。ある程度クラックが進行していても対応でき、建物の耐久性や強度の回復を目的に施工します。内部まで樹脂を浸透させるため、雨水の侵入リスクも低下し、構造の腐食の防止が可能です。

施工には専用機材や専門技術が必要となり、専門業者へ依頼するのが一般的です。費用面から見ても、シール工法よりも高額になる傾向があります。

補填工法

補填工法は、クラックが発生した部分をU字やV字にカットし、その部分にモルタルや樹脂を充填する修繕方法です。大きなクラックが発生したり、外壁やコンクリートに欠損が生じたりした時に用いられます。

補填工法はクラックを含め、劣化した部分を除去してから補強するため、建物やコンクリートの耐久性の向上につながります。また、補填後に塗装工事も同時におこなうことから、建物の美観回復が期待できるのも補填工法の特徴のひとつです。修繕方法の中でもっとも工事の規模が大きくなりやすく、費用が高額になる点には注意しましょう。

クラックの修繕費用相場は?

クラックの修繕にかかる費用を確認しましょう
クラックの修繕にかかる費用を確認しましょう

クラックの修繕費用相場は、修繕方法によって以下のように変わります。

修繕方法 費用相場
シール工法 500~2,000円/m
注入工法 2,000~6,000円/m
補填工法 3,000~10,000円/m

ただし、足場設置の量が増えたり、高所作業が必要になったりした場合は相場よりも高くなる場合があります。また、依頼先によっても費用は大きく変動するため、クラックの状態を実際に確認してもらったうえで、複数社から修繕費用の見積もりを取得しましょう。

クラックの修繕は自分でできる?

クラックの修繕は種類によって市販のものでも可能ですが、専門会社に依頼するほうが安心です
クラックの修繕は種類によって市販のものでも可能ですが、専門会社に依頼するほうが安心です

ヘアクラックであれば、市販の補修材を用いて補修できます。ただし、クラックの状態を見極めるのは困難なため、独断で施工しないほうがよいと考えましょう。

一般的に、クラックの幅が0.2mm以下のものはヘアクラックと判断されがちです。しかし、ひび割れによっては幅が小さくても、深くまで到達しているケースがあります。誤った方法で修繕すると内部の劣化の進行を防止できず、さらなるクラックの発生につながるかもしれません。

また、クラックを修繕する際は高所作業を伴うケースもあり、転落リスクがあります。そのため、安全面から見ても専門会社への依頼が推奨されます。

クラックに関するよくある質問

クラックに関してよくある質問をまとめました
クラックに関してよくある質問をまとめました

ここからは、クラックに関するよくある質問とその回答を紹介します。

クラックとは?

クラックとは、建物の外壁やコンクリートなどに発生するひび割れです。ヘアクラックのような軽微なものから、構造クラックのような危険度が高いものが存在します。ただし、軽微なクラックだとしても、放置するとひび割れが拡大して建物の耐久性が低下する恐れがあるため注意が必要です。

クラックの原因は?

クラックが発生する主な原因は、以下のとおりです。

  • 経年劣化
  • 自然災害
  • 気温の変化
  • 乾燥
  • 施工不良

クラックは様々な要因によって発生し、その要因によって適切な対処方法が変わります。単純にひび割れを埋めるだけでは再発する可能性があるため、専門業者に確認してもらったうえで修繕をおこないましょう。

クラックの修繕は自分でできる?

ヘアクラック程度の軽微なひび割れであれば、市販の補修材で修繕は可能です。市販のもので修繕する場合、まずクラックの周辺を清掃して下塗り専用材を塗ります。その後、シーリング材や樹脂を充填してヘラでならし、乾燥後に塗装で仕上げます。

まとめ

クラックは建物の劣化が進んでいるサインのひとつであり、放置すると雨漏りや構造の腐食につながる可能性があります。小さなひび割れだからと放置すると、損傷が拡大して建物の耐久性を下げる恐れもあるため注意が必要です。クラックが小さいうちに適切な方法で修繕すれば、建物の耐久性が改善され、安心して生活できるようになります。適切な方法を自分で判断するのは困難なため、クラックを発見したらすぐに専門業者に相談しましょう。

執筆者

渥美 誠

宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター

大手不動産仲介会社など計5社に勤める。不動産売買仲介・不動産買取・事業用定期借地権での法人テナント誘致などに携わる。これらの業務に18年間携わり、不動産売買全般、借地、税金、相続などの分野に強い。現在、不動産・金融webライターとして執筆活動中。愛知県出身。

関連する記事を見る
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る