このページの一番上へ

マンション資産価値の調べ方、マンション評価額の種類や計算方法を紹介

多くの人はマンションを購入する際、資産価値を意識して物件を選んでいます。なぜなら、マイホームとしてマンションを購入しても、ライフステージや家族構成の変化で住み替えが必要になる場合もあるからです。いずれ売却する可能性があることを考えると、資産価値の下がりにくいマンションを選ぶことが重要です。
そこで今回は、マンションの資産価値の調べ方として、マンションの評価額の種類とその計算方法をご紹介します。

マンションの資産価値とは?

マンションの資産価値とは、財産としてどれくらいの価値があるのかを示した金額のことです。資産価値の高いマンションは需要が高くなるため、売却しやすくなります。賃貸にする場合も資産価値が高ければ、賃料を高く設定しても借り手が付きやすくなるでしょう。耐久性や機能性に富み、設備面が充実し、利便性が高く周辺環境が整っている地域に建っているマンションは、資産価値が高くなります。

また、資産価値を示すものに、売却価値と収益価値があります。それぞれの内容を確認しておきましょう。

売却価値

売却価値とは、実際に売れる価格のことです。売却価値の高いマンションは、資産価値が下がりにくく、短期間で売れやすい傾向にあります。マンションの価格は、築年数が経つにつれて下がっていきます。築浅マンションは売却価値が高く、築古マンションは低くなる傾向にあります。とはいえ、需要が高く周辺環境などが整っているマンションのなかには、築年数が経っていても売却価値が下がりにくい物件もあります。

収益価値

収益価値とは、マンションを賃貸にした時に得られる家賃収入のことです。立地や設備、周辺環境、眺望などがよければ、収益価値は高くなります。賃貸物件の場合は、必ずしも築年数が影響するわけではありません。中古マンションでも人気物件であれば、築年数が経っていても人が集まりやすく、資産価値が下がりにくいケースもあります。

マンションの資産価値を示す「評価額」とは?

不動産の価値を示す評価額は、家を購入すると支払うこととなる固定資産税や、不動産を相続する際に支払う相続税など、土地や家屋に関わる税金を計算する際の基準となります。マンションの評価額を示すものには、以下のようなものがあります。

実勢価格(売値)

実勢価格とは、市場で売買が成立する価格のことです。時価ともいわれています。実際に取引され成約となった価格が反映されています。

固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、固定資産税を算出する際の基準となる金額のことです。総務省が決めた固定資産評価基準をもとに、市町村が価格を決定します。また、固定資産税評価額は3年ごとに評価替えがおこなわれています。

地価公示価格

地価公示価格とは、国土交通省が公表している、土地取引の基準となる価格のことです。毎年1月1日時点の標準地の価格を判定し、3月下旬頃に発表しています。

不動産鑑定評価額

不動産鑑定評価額とは、不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準をもとに鑑定した価格のことです。収益性や市場性などの観点から、その土地や建物の経済的価値を客観的に評価した価格となります。

相続税評価額

相続税評価額とは、不動産にかかる相続税や贈与税を算出する際に基準となる価格のことです。国税庁が毎年1月1日時点の標準的な宅地1平方メートル当たりの価格を路線価として、7月1日に公表していますが、相続税評価額は路線価を使って算出します。路線価のない地域では、固定資産税評価額をもとに算出します。

建物評価額

建物評価額とは、総務省が決める固定資産評価基準に従って、建物を立て直す場合にかかる再調達価格(新価)を表したものです。マンションの場合は専有部分のみの評価額を算出します。これは火災保険の保険金額を決める際に使われます。

■用途別にみる、参考にすべき評価額

用途 参考すべき評価額
固定資産税を調べる 固定資産税評価額
相続税・贈与税を調べる 相続税評価額
離婚などで財産分与を調べる 実勢価格
地価公示価格
不動産鑑定評価額
固定資産税評価額
マンションの売買価格を調べる 実勢価格
地価公示価格
不動産鑑定評価額
火災保険の保険金額を調べる 建物評価額
不動産担保ローンの借入可能額を調べる 不動産鑑定評価額

このように、マンションの資産価値を示す6つの評価額(実勢価格、固定資産税評価額、地価公示価格、不動産鑑定評価額、相続税評価額、建物評価額)は、用途別に適したものを利用します。どのような時に、どの評価額が参考になるのかを押さえておきましょう。

マンションの資産価値を調べる方法は?

これまでは、マンションの資産価値を表す評価額にはさまざまな種類のものがあることをお伝えしました。ここからは各種評価額のなかから、固定資産税評価額と相続税評価額、実勢価格を自分で調べる方法をご紹介します。

マンションの固定資産税評価額を調べる

マンションの固定資産税評価額は、自分でも簡単に調べられます。その方法が以下のとおりです。

  • 課税明細書で確認する
  • 固定資産課税台帳を閲覧する
  • 固定資産評価証明書を取得する

もっとも簡単な方法が、毎年市区町村から送られてくる固定資産税納税通知書に添付されてくる課税明細書での確認です。「価格」の欄に記載されています。

この他、東京23区内であれば都税事務所、その他の地域では役所で閲覧できる固定資産税台帳でも確認できます。また、手数料がかかりますが、役所で固定資産税証明書を入手する方法もあります。

マンションの固定資産税評価額の調べ方は、以下の記事で詳しく解説しているため、ご覧ください。

マンションの相続税評価額を調べる

相続税や贈与税を計算する際に基準となるものが相続税評価額です。親が亡くなった時の相続財産によっては、相続税の納税が必要になる場合があります。その際、相続税を算出するのに必要となる評価額です。

相続税評価額は、建物と土地では調べ方が異なります。ここでは、それぞれの相続税評価額の調べ方を見ていきましょう。

建物の相続税評価額

建物の相続税評価額は、家屋の固定資産税評価額と同額です。

建物部分の相続税評価額=固定資産税評価額(家屋)

これは、固定資産税納税通知書に添付されている課税明細書で確認できます。固定資産税納税通知書が送られてくる時期は自治体により異なりますが、たいてい4月から6月にかけて送られてきます。手元に届いたら確認しておきましょう。

土地の相続税評価額

土地の相続税評価額は計算により求めます。その際、路線価方式を用いて計算します。
その計算式は以下のとおりです。

土地部分の相続税評価額=路線価×マンション全体の面積×持分割合

・路線価とは
道路に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価格のこと。毎年7月1日に国税庁が公表します。

・持分割合とは
マンションで区分所有者が持つ所有割合のこと。売買契約書や登記事項証明書に記載されています。

ではここで、マンションの相続税評価額の計算をしてみましょう。

<事前条件>

  • マンションの建物部分の固定資産税評価額:2,000万円
  • マンション全体の敷地面積:5,000平方メートル
  • マンションの路線価:30万円
  • 持分割合:500,000分の4,000
    ※本来、路線価は価格補正のため補正率をかけて調整しますが、複雑になるため今回は割愛します。

建物の相続税評価額は、建物の固定資産税評価額と同額にあるためで2,000万円です。

土地の相続税評価額を計算します。
土地部分の相続税評価額=路線価×マンション全体の面積×持分割合
30万円×5,000平方メートル×4,000/500,000=1,200万円

建物+土地=2,000万円+1,200万円=3,200万円

今回、試算したマンションの相続税評価額は、3,200万円となりました。

参照:2022年分の路線価図・評価倍率表(国税庁)

マンションの実勢価格を調べる方法

ここでは、マンションの実勢価格を調べられる3つの方法をご紹介します。

レインズ・マーケット・インフォメーションを使う

レインズ・マーケット・インフォメーションとは、成約価格をもとにした不動産取引情報提供サイトのことで、全国指定流通機構適格協議会が運営しています。地域を選択すると、物件の成約価格、面積、間取り、築年数、成約時期などを調べられます。

土地総合情報システムを使う

土地総合情報システムは、国土交通省が情報を提供しているものです。取引時期や土地や建物の種類、住所や鉄道路線から、不動産取引価格を調査できます。地価公示の検索も可能です。

不動産会社に査定をしてもらう

実勢価格は、不動産会社に査定してもらうことで調べられます。訪問査定を利用すると、実際の物件や周辺環境、経年劣化具合などを実際に目で見て調べてくれるため、売れる価格に近い査定額を出してもらえます。

また、査定は複数の不動産会社に依頼し、査定額を比較することをおすすめします。なぜなら、不動産会社によって査定額が異なるからです。

物件を売却する際に資産価値について調べる場合、不動産情報サイトアットホームの不動産一括査定依頼サービスを使えば、一度に複数の不動産会社へ査定を依頼することができ便利ですのでぜひご利用ください。

不動産鑑定士に依頼をする

実勢価格を調べたい時、不動産鑑定士に依頼もできます。不動産鑑定士は、不動産の適正価格を判定する専門家です。客観的な眼で不動産の経済的価値を見極めて価格を判定、評価してくれます。

鑑定料の相場はマンションの場合、不動産鑑定事務所により異なりますが、30万円台や40万円台が相場です。

資産価値が落ちにくいマンションを選ぶには?

いずれはマンションを売却したり、貸したりする可能性もあることから、資産価値が下がりにくいマンションを選びましょう。その際、どのようなマンションを選べばいいのか解説します。

人気のあるエリアを選ぶ

人気エリアにあるマンションは売却しやすく、賃貸にしても借り手が付きやすいため、資産価値が落ちにくい物件です。

人気のあるエリアにあるマンションとは、以下のような特徴があります。

  • 交通利便性がいい
  • 生活利便性がいい
  • 治安がいい
  • 災害リスクが低い
  • 文教地区である

資産価値の高いマンションとして、重要かつ比較しやすい特徴といえば、立地条件です。自分の眼で確かめて、人が集まりやすいマンションか確認しましょう。

使いやすく住みやすい間取りを選ぶ

資産価値が落ちにくいマンションを選ぶなら、立地などの条件の他に、間取りも重要です。家族が生活しやすい間取りのマンションは人気が高く、資産価値も下がりにくくなります。

使いやすく住みやすい間取りとは、主に以下のような特徴があります。

  • ワイドスパンでシンプルな間取り
  • 収納が多い
  • 生活動線や家事動線がいい
  • 日当たりがいい

マンションで実際に生活することを考えて、使いやすく住みやすい間取りかをチェックします。ぜひ物件に足を運んで、間取りの使い勝手を確認しましょう。

きちんと管理がされている物件を選ぶ

マンションにはエントランスやエレベーターホールなど、住民の共用部分があります。しっかりと管理されているマンションは、共用部分の清掃が行き届いているため、安心して居住できます。

また、マンションでは一定期間ごとにメンテナンスが必要です。そのため、しっかりとした長期修繕計画が立てられており、修繕積立金も適正価格が設定されているマンションは資産価値が落ちにくい物件です。

以下は、マンションの管理状況をチェックするポイントです。

  • 共用部分がしっかり管理されている
  • 長期修繕計画と修繕積立金がある

マンションを選ぶ時は、どうしても部屋や周辺環境などを重視しがちです。しかし、管理状況も資産価値につながるため、購入を検討するマンション管理のこともしっかりと確認しましょう。

まとめ

マンションの資産価値を示す評価額には6種類あり(実勢価格・固定資産税評価額・地価公示価格・不動産鑑定評価額・相続税評価額・建物評価額)用途によって参考となる評価額が異なります。また、実勢価格、固定資産税評価額、相続税評価額は自分でも調べることが可能です。マンションの購入を考えている場合は、今回ご紹介した評価額の内容を押さえたうえで、資産価値が下がりにくいマンションを選ぶことをおすすめします。

前佛 朋子

執筆者

前佛 朋子

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者 家計コンサルティングZEN 代表

元々はライターだったが専門分野を持とうと考え、興味のあった金融知識を活かせるファイナンシャル・プランナーの資格を取得。Webコラムやメルマガなど金融関連記事を執筆するかたわら、安心とゆとりのある暮らしができる人を増やすために、家計見直しやライフプランなど相談業務をおこなう。ライフイベントに合わせて貯蓄や用途を分類するお金の整理を得意とする。保険や金融商品を売らないファイナンシャル・プランナーとして活動中。

関連する記事を見る
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る