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住宅ローンの借り換えの失敗例は?成功させるコツと注意点を解説

住宅ローン借り換えの失敗例から成功へのコツを解説していきます
「住宅ローン借り換えで失敗することはある?」「借り換え前に失敗例を確認しておきたい」など、現在の住宅ローンよりもいい条件の住宅ローンに借り換えたい方は、いくつかのお悩みを抱えているかと思います。

そこで、この記事では住宅ローンの借り換えを検討している方に向けて、借り換えの失敗例を紹介します。失敗例と共に、借り換えを成功させるコツも解説するため、本記事を読めば条件のいい住宅ローンへと借り換えられるでしょう。

住宅ローンの借り換えの失敗例

住宅ローンの借り換えでの失敗事例を紹介します
住宅ローンの借り換えでの失敗事例を紹介します

住宅ローンを借り換える際、思いもよらぬトラブルが起きたと悩む方もいます。借り換え時は物件の担保評価が低くなっており、契約者の状況が変わっていることが多いため、審査が厳しくなる傾向にあります。最初の住宅ローン審査が通ったからといって、借り換え時も通るとは限りません。借り換えによるトラブル例は以下のとおりです。

  • 健康状態の悪化により借り換えの審査に落ちた
  • 過去の滞納がバレて審査に落ちた
  • 借り換え先を適当に決めてしまった
  • 審査には通過したが、金利条件が悪くなってしまった
  • 諸費用の額が想定以上だった

トラブルの詳細を解説します。

健康状態の悪化により借り換えの審査に落ちた

健康状態の悪化が理由で団体信用生命保険(団信)の審査に落ち、住宅ローンを利用できなかった例です。

住宅ローンの審査を受ける際は、団体信用生命保険の審査も受けなければなりません。団体信用生命保険とは、住宅ローン契約者が病気や事故によって死亡、または高度の障害を負った際に、契約者に代わってローンの残りを返済してくれる保険です。

住宅ローンは最長35年の長期間の契約となるため、完済までに万が一の事態が起こる可能性もあります。しかし、保険に加入しておけば家族がローンの残りを支払う必要はなく、金融機関側も損害を被ることはありません。

申し込み時に現在の健康状態と過去のケガや病気を記入する欄があるため、正確に書きましょう。
特に借り換えの際には、住宅ローンの契約時と健康状態が変わっている可能性があるため、注意が必要です。借り換え時に団体信用生命保険の再加入が必要となり、審査が厳しくなります。
健康上の理由で団体信用生命保険に落ち、住宅ローンを利用できなかった場合は、ワイド団信に申し込んでみてはいかがでしょうか。
ワイド団信とは、通常の団体信用生命保険よりも審査条件が緩和されたものです。ワイド団信の審査に通過すれば住宅ローンを利用できる可能性もあるため、団体信用生命保険に落ちた方はこちらも検討してみましょう。ただし、ワイド団信は通常の団体信用生命保険と比べると0.1%~0.2%程度の金利が上乗せされます。借り換えの目的とずれが生じないかも考えましょう。

過去の滞納がバレて審査に落ちた

住宅ローンや公共料金、携帯料金などの滞納が審査中にバレてしまい、落ちてしまった例です。

住宅ローンの審査では、申込者の信用情報を確認します。信用情報には銀行や消費者金融への申し込みや借り入れ、返済履歴などが記載されており、滞納履歴も載っています。滞納歴が1回や2回程度で、すぐに返済している場合は問題視される可能性は低いでしょう。

ただし、複数回にわたって滞納を繰り返し、滞納分を返済していない場合は要注意です。滞納を繰り返す人は返済能力を不安視されるため、借り入れの審査に落ちやすくなります。住宅ローンは高額の融資をおこなうことから、審査に落ちる可能性が高まると考えておきましょう。

特に、借り換え時には住宅ローンの契約時よりも審査が厳しくなるため、一度契約できたからと安心せずに、滞納をしないようにしましょう。

滞納歴は一定期間経過後に情報が削除されるため、削除後に申し込めば審査に影響はありません。
滞納歴が削除されたあと、申し込みたい方は、信用情報の開示請求をおこなうことがおすすめです。以下に信用情報機関別の開示請求方法をまとめました。

信用情報機関名 情報の開示請求方法
株式会社
シー・アイ・シー
(CIC)
1.指定の電話番号にかけて受付番号を取得
2.認証コードを取得
3.申込者の情報を入力
4.開示請求利用料の支払い
5.開示報告書を閲覧
株式会社
日本信用情報機構
1.「スマホ開示」をインストール
2.クレジットカード&電話、または本人確認書類での認証のどちらかを選択
3.申込者の情報を入力
4.クレジットカードやキャリア決済などで利用料の支払い
5.アプリで情報を閲覧
一般社団法人
全国銀行協会
1.全国銀行協会のサイトにアクセス
2.開示手続きフォームに入る
3.申込者の情報を入力
4.オンラインで本人確認をおこなう
5.手数料を支払う
6.開示報告書のダウンロード

株式会社シー・アイ・シーの開示請求利用料の支払いは、クレジットカードやキャリア決済が利用できます。利用料支払い後は手続きをおこなったスマートフォンやパソコンから情報を確認できるため、すぐに情報をチェックしたい方におすすめです。

株式会社日本信用情報機構は、事前に「スマホ開示」のアプリをインストールしなければなりません。一度インストールしておけば気になった時にすぐに情報開示請求をおこなえるため、こまめに確認したい方はアプリを活用しましょう。

一般社団法人全国銀行協会の本人確認は、写真をアップロードするのではなく、オンラインでおこないます。Webカメラ付きのスマートフォンが必要になるため、申し込み前に確認しましょう。

紹介した開示請求方法はすべてインターネットでの利用方法です。郵送での開示請求もおこなえるため、利用しやすい方法を選びましょう。

借り換え先を適当に決めてしまった

今よりも金利が安い理由ですぐに借り換え先を決めてしまい、後々もっと低い金利を提供する金融機関が見つかった例です。

高額の融資を長期間返済していく住宅ローンは、複数の貸し付け条件をしっかり比較したうえで決める必要があります。金利が高く、借り入れにかかる諸費用や解約手数料も高額になれば、借り換えても損をするかもしれません。

既存の住宅ローンよりも金利の低い住宅ローンが見つかったからといって即決せず、同じような条件でローンを提供するほかの金融機関も視野に入れましょう。貸し付け条件を確認する際に、借り入れにかかる諸費用や解約手数料も確認することが大切です。

トータルの費用でもっともお得な金融機関を選ぶことが、借り換えを成功させるコツです。

審査には通過したが、金利条件が悪くなってしまった

いい金利条件のところに申し込んだつもりが、結果待ちの間に金利が変わってしまい、損をしてしまった例です。

住宅ローンは事前審査を経て本審査に入り、結果が出ます。事前審査には3日〜1週間、本審査には1~3週間ほどかかるため、結果が出るまでに金利が変わる可能性もゼロではありません。借り入れで適用されるのは申し込み時ではなく、結果発表後の金利です。

特に固定金利タイプの適用金利は月によって変動しやすくなっています。固定金利タイプで申し込む方は、余裕をもって申し込みましょう。特に、借り換えの際には、現在の金利条件と比較する必要があるため、慎重に検討しましょう。

諸費用の額が想定以上だった

諸費用の額が想定以上になり、結果的に損をしてしまった例です。

金利の低い金融機関に借り換えても、諸費用で高いお金がかかると総支払額のほうが多くなる恐れもあります。いい金融機関を見つけたら、まずは借り換えにかかる諸費用をチェックしましょう。借り換えにかかる諸費用をまとめました。


  • 事務取扱手数料
  • 繰り上げ返済手数料
  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 司法書士への依頼費用

借り換えの際は既存の住宅ローンの金融機関が持つ抵当権を抹消しなければなりません。抵当権の抹消と、借り換え先への抵当権の設定は司法書士に依頼すればスムーズに進むため、プロにお任せすることが大切です。依頼費用は司法書士によって異なるため、相談時に見積もりをもらっておきましょう。

住宅ローンの借り換えを成功させるコツ

住宅ローンの借り換えを成功させるコツを紹介します
住宅ローンの借り換えを成功させるコツを紹介します

住宅ローンの借り換えで失敗したくない方は、成功させるためのコツを知ることがおすすめです。借り換えを成功させるコツは以下のとおりです。

  • 現在よりも金利が1%以上低くなるかをチェックする
  • 借り換え後も10年以上の返済期間がある
  • 1,000万円以上の残債がある
  • 不安な点があれば担当者に直接相談する

それぞれのコツを解説します。

現在よりも金利が1%以上低くなるかをチェックする

借り換え先を決める時は、既存の住宅ローンよりも金利が1%以上低くなるかを確認しましょう。既存と借り換え先に1%以上の金利差があれば、ローンの残りが多い、または返済期間が長いほうに大きなメリットがあります。

既存の住宅ローンの金利が2%、借り換え先が1%の例を見てみましょう。2つの試算は以下の条件でおこないます。


  • ローン残高は2,000万円
  • 返済期間は30年
  • 元利均等返済

同じ条件で試算した2つのシミュレーション結果をまとめました。

既存の住宅ローン 借り換え先の住宅ローン
月々の返済額 7万3,923円 6万4,327円
年間返済額 88万7,076円 77万1,924円
総返済額 2,661万2,280円 2,315万7,720円

参考: 三井住友銀行「新規借り入れシミュレーション」

月々の返済額は約9,000円、年間額は約11万円、総返済額は約350万円の差が出ます。1%以上の差が出ると大きく変わるため、金利をしっかりとチェックすることが大切です。

借り換え後も10年以上の返済期間がある

借り換えで金利を引き下げることによるメリットを得られるのは、10年以上、残りの返済期間がある場合です。返済額を占める金利の割合が大きいほど、低金利の恩恵を受けられます。ただし、返済期間が10年以下になると返済額を占める割合は元金のほうが大きくなるため、借り換えによる諸費用で損をしてしまうかもしれません。

返済期間が10年以下の場合は、そのまま返済したほうが安く済むケースも多々あります。残されたローン期間に応じて、借り換えるかを検討しましょう。

1,000万円以上の残債がある

ローンの残りが1,000万円以上ある方は、借り換えを検討することがおすすめです。低金利の住宅ローンのメリットを最大限に活かせるのは、ローンの残りが多く、返済期間が長い場合です。1,000万円以下だと元金が少ないため、金利を低くしてもさほどメリットを感じられません。

返済期間同様に、借り換えによる諸費用で損をする可能性が高いため、ローンの残高に応じて借り換えるかを決めることがおすすめです。既存の住宅ローンの金利が高いとお悩みの方は、現在契約している金融機関に交渉してみましょう。

契約者の返済能力や預貯金額によっては、交渉に応じる金融機関もあります。交渉する際は低金利の住宅ローンへの借り換えを検討していることも伝えましょう。金利を下げてもらえば、借り換えなくてもお得に返済を続けられます。

不安な点があれば担当者に直接相談する

借り換えの審査に通過するかが不安な方は、担当者に直接相談することがおすすめです。住宅ローンを提供する金融機関は、インターネット専業のところと店舗を持つ対面型のところがあります。インターネット専業の場合は直接相談することが難しいかもしれませんが、対面型の金融機関に申し込んでいれば、直接話すことが可能です。

ただし、担当者に審査通過の可否を尋ねても、明確な回答はもらえません。審査をおこなうのは金融機関の審査部門のため、担当者では内容を把握できないからです。

住宅ローンの取り扱い経験が豊富な担当者が付けば、担当者個人の見解を伝えてくれます。担当者の意見をもとに借り換えを見送るか、審査を受けるかの判断ができるため、不安な気持ちが強い方は対面型の金融機関を選びましょう。

住宅ローンの借り換えで注意したいポイント

住宅ローンの借り換えでの注意点を紹介します
住宅ローンの借り換えでの注意点を紹介します

住宅ローンの借り換えは新規申し込みとは異なる注意点があります。

  • 借り換えは新規申し込みよりも審査が厳しい
  • 借り換えには諸費用が必須

申し込み前に知っておきたい注意点を解説しましょう。

借り換えは新規申し込みよりも審査が通りにくい

借り換えの審査は新規申し込みよりも審査に通りにくくなるため、落ちる可能性もあると考えておきましょう。借り換えの際は申込者の収入の低下や健康状態の悪化によって落ちる可能性が高いとされています。

収入の低下、または健康状態の悪化のどちらかに該当する場合は、審査への通過が厳しくなるかもしれません。

返済期間が10年以上でローンの残りが1,000万円以上ある場合は、複数の金融機関に事前審査を申し込んでおきましょう。複数の候補を用意しておけば、焦って借り換え先を探さずに済みます。

健康状態の悪化によって団体信用生命保険の審査に落ちた方は、ワイド団信の審査を受けましょう。ワイド団信は団体信用生命保険に比べて健康面での条件が緩和されているため、審査に通過する可能性を上げられます。

ただし、ワイド団信に加入する際には、先述したとおり通常の団体信用生命保険も金利が0.1~0.2%程度上乗せされるため、注意しましょう。

借り換えには諸費用が必須

借り換えには諸費用が発生するため、既存の住宅ローンと借り換え後の住宅ローンの総返済額をしっかり比較したうえで決めることが大切です。

諸費用には事務手数料や繰り上げ返済手数料、団体信用生命保険への特約料などがあり、約30万円かかるとされています。既存の住宅ローンと借り換え先の住宅ローンの総支払額にさほど差がなければ、諸費用が無駄になります。

総返済額に大きく差があれば借り換えたほうが得になるため、返済シミュレーションを活用したうえで借り換えの判断をしましょう。

まとめ

住宅ローンを借り換えたけれど、思うような結果を得られなかった失敗例はいくつもあります。失敗例と借り換えを成功させるコツを参考に、借り換えるかを判断することが大切です。借り換えたほうが得であれば、条件のいい金融機関を3つほど探しておきましょう。

今よりも低金利の住宅ローンに切り替えれば、支払い負担は軽くなります。自身の状況を見極めたうえで、借り換えるかを決めましょう。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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