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住宅ローンは団信なしで契約できる?加入できない人の4つの対処法を紹介!

住宅ローンは団信への加入なしでも契約できるのでしょうか
住宅ローンを組む際、団信(団体信用生命保険)の加入は必須条件だと思われがちですが、すべての人が団信に加入できるわけではありません。団信なしでの住宅ローン契約は可能なのか、団信に加入できない場合の対処法はあるのかを解説します。住宅ローンの契約を検討する際に役立てましょう。

住宅ローンは団信なしで契約できる?

団信なしで住宅ローンを組むこともできます

住宅ローンを組む際、多くの金融機関で団信の加入が義務付けられています。しかし、すべての人が団信に加入できるわけではありません。団信なしでの住宅ローン契約の可否や、団信に加入できない人の特徴を紹介します。

団信とは?

団信とは「団体信用生命保険」の略称です。団信は、住宅ローン契約者が亡くなったり高度障害に見舞われた際に、保険金が支払われ住宅ローンの残金を返済してくれる制度です。住宅ローンの長期返済にともなうリスクを軽減するため、契約時に団信への加入が推奨されています。

団信には、不測の事態に備えるための有用な保障が含まれています。万が一の場合、保険会社は金融機関に保険金を支払い、住宅ローンが完済されるため、家族に負担をかけずに済むでしょう。金融機関も、契約者が返済不能になっても保険金を受け取ることで、融資金の全額を確保することができます。

つまり、団信は住宅ローン契約者や金融機関、保険会社の三者間で結ばれる生命保険の一種です。団信によって、借り手と貸し手の双方が安心して住宅ローン取引を進めることができるのです。

住宅ローンの契約に団信は必要?

団信への加入には、個々の生命保険会社の審査が必要です。健康状態などの条件を満たせない場合、団信の加入は難しいことがあります。団信への加入ができないと、民間の金融機関の住宅ローン契約が難しくなるでしょう。

ただし、住宅金融支援機構が提供している「フラット35」では、団信の加入が必須ではなく、利用者の判断に委ねられています。健康状態がネックになる場合でも、通常の住宅ローン審査に通らなくても、フラット35の審査には合格する可能性があります。

団信に加入できない人の特徴

団信に加入するには条件があります。新規の借入または借り換えをおこなう必要があることと、保険会社の審査に合格することです。
団信への加入は簡単ではなく、健康上の理由により加入が制限される場合もあります。特に、特定の病気や傷病歴がある場合には、加入が難しい状況が考えられるでしょう。

保険会社は、保険金の支払い時に過去の医療歴や病歴を調査します。したがって、正直な健康状態の告知が重要です。虚偽の情報提供が発覚すると、保険金が支払われない可能性があるため、注意が必要です。

団信の種類を紹介

団信にはいくつかの種類あります

住宅ローンを組む際に基本的に必要となる団信の名前を耳にしたことはあるかもしれませんが、実際の内容や種類を詳しく知っている方は少ないでしょう。今回は、5つの団信の種類とそれぞれの特徴を紹介します。

ワイド団信

ワイド団信は、糖尿病や高血圧症などの持病を抱えている人でも、保険に加入しやすくなる特徴があります。保障内容は通常の団信と同様で、死亡や高度障害状態になると保険金が支払われます。

ワイド団信の保険料は金利に対して0.2%~0.3%ほど上乗せされることが多いと考えられます。金利の上乗せは、保険会社が保障内容を提供する一方でリスクを適切に評価するための措置です。

ワイド団信の導入によって、持病を抱えている人も住宅ローンに対する保障を受けるチャンスを得ることができます。ただし、上乗せされる保険料のコストを検討しつつ、自身の状況に合わせた最適な保険選択をすることが大切です。

ガン保障特約付団信

ガン保障特約付団信は、通常の団信にプラスして、ガンの診断時の保障が付帯されています。ガンが初めて診断されると保険金が支払われますが、医師による確定診断が必要です。

保険料は金利に対して0.1%~0.2%ほど上乗せされることになります。金利の上乗せは、ワイド団信と同様に、保険会社がリスク評価をおこなうための措置です。

「ガン団信50」や「ガン団信100」などのプランも用意されており、住宅ローンの残高を一部免除する特典が含まれています。ガン診断時に一定額のローンが免除されるため、家計への負担が軽減されるでしょう。

三大疾病保障付団信

三大疾病保障付団信は、通常の団信に加えて、ガン・急性心筋梗塞・脳卒中の主要な疾病になった場合にも、住宅ローンの返済が免除される保険です。三大疾病保障付団信では、金利に対して0.2%ほど上乗せされます。

基本的には初めて疾病が診断されると保険金が支払われますが、疾病の診断から一定の期間が経過してから保障が適用となることがあります。

七大疾病保障付団信

七大疾病保障付団信は、先述した三大疾病に加え、高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変の生活習慣病に起因する4つの疾患をカバーする保険です。七大疾病保障付団信に加入することで、幅広いリスクに対応した保障が適用されます。

ただし、保障内容は各保険会社によって異なるため、契約前に詳細な確認が必要です。生活習慣病による疾患リスクを考慮した保険は、健康に対する懸念を軽減し、住宅ローン契約者と契約者の家族の安心感を高める役割を果たします。契約する際には、保障内容や保険料、保険金の支払い条件などを慎重に検討し、自身のニーズに最適な選択をおこなうことが重要です。

八大疾病保障付団信

八大疾病保障付団信は、保障内容に慢性膵炎を追加した保険です。保険料は金融機関や借入条件によっても変わりますが、金利に0.3%ほど上乗せされることが多いでしょう。

住宅ローンの返済中に万が一の事態が発生した場合、八大疾病保障付団信は頼りになる選択肢となります。自分に最適なプランを選ぶ際には、専門家と相談することが大切です。

住宅ローン契約時に団信に加入する2つのメリット

住宅ローン契約時に団信に加入するメリットとは?

団信に加入すると、2つのメリットを得ることができます。メリットについてそれぞれ見ていきましょう。

住宅ローンの返済義務がなくなる

住宅ローン契約時に団信に加入することにより、契約者が亡くなったり重大な障害に見舞われると、保険会社が債務を代わりに返済してくれるため、住宅ローンの支払いを家族が負担する必要はありません。

家計の安定と未来への保障を提供する重要な要素です。契約者が不測の事態に巻き込まれた際、家族は家の返済の負担を心配せずに済みます。団信に加入することで、住宅ローン契約者と契約者の家族が経済的なリスクから守られ、安心して暮らすことができる環境が整います。団信の加入は住宅購入やローン契約の際に検討すべき重要なポイントといえるでしょう。

所得税の対象外

通常の生命保険では、一時金を受け取る際に所得税がかかることがありますが、団信は所得税の納税義務が免除されます。契約者の死亡や重大な障害は避けられない出来事かもしれませんが、団信によって債務が免除されるため、家族や契約者自身の経済的な負担が軽減されるでしょう。団信によって保障される際には、所得税の負担を心配せずに済むため、経済的な安心感が得られるといえます。

住宅ローン契約時に団信に加入する2つのデメリット

住宅ローン契約時に団信に加入するデメリットとは?

前章では、団信に加入するメリットを紹介しましたが、一方でデメリットもあります。デメリットを把握しておくことで、団信に加入する際のリスクを軽減できます。2つのデメリットをそれぞれ見ていきましょう。

支払う保険料が高くなる

団信には保険料が高くなるデメリットがあります。通常の生命保険と比較すると団信の総支払額が高くなることがありますが、団信の保険料は住宅ローンの残高に応じて変わるため、返済が進むにつれて負担が軽減されます。

団信と生命保険の比較は個々の状況によって異なるため、自身のニーズや経済状況に合った最適な選択をすることが重要です。将来の経済的安定やリスクへの備えを考慮しながら選びましょう。

保障目的では物足りない可能性がある

病気やケガの保障目的で団信に加入すると、物足りない可能性があります。三大疾病特約を追加しても、団信の効果は基本的に住宅ローンの残債がゼロになるだけで、入院費用や治療費などは保障されません。特約の適用条件や内容は保険会社によって異なるため、契約前にしっかり確認することが不可欠です。
また、すべての病気やケガが団信の対象となるわけではないため、病気やケガでの入院が長期となってもローンの支払いを続けていかなければならないことも。

団信の主な目的は住宅ローンの返済保障であり、健康に関するリスクや医療費に対する保障をつけたい人は、一般的な生命保険の加入も検討しましょう。

団信に加入できない時の4つの対処法

団信に加入できない時の対処法があります

住宅ローンを組む際、団信の加入は多くの人にとって重要な選択肢となります。しかし、健康状態や職業などの理由で団信に加入できない場合もあります。困難に直面した時、どのように対処すればよいかわからない人もいるでしょう。団信に加入できない時の対処法を4つ紹介します。

ワイド団信を検討する

団信への加入が難しい状況でも、審査条件が緩和された「ワイド団信」が選択肢として考えられます。前述したようにワイド団信は一般の団信と比べて条件が柔軟で、糖尿病や高血圧症などの持病を持つ人でも比較的加入しやすくなっています。健康状態に制約がある人でも保障を受ける機会を得ることができるでしょう。

ただし、ワイド団信の特徴として保険料が金利に上乗せされるため、実質的な返済額が増加する可能性があります。保険料の上乗せによるコストをしっかりと計算し、自身の経済状況と将来の返済能力を考慮したうえで選択することが重要です。

また、ワイド団信がすべての金融機関で提供されているわけではないことにも注意が必要です。各金融機関や保険会社によって提供される保険内容や条件が異なるため、契約前に詳細な情報収集が欠かせません。

会社の福利厚生を確認する

個人の保険だけでなく、勤務先の福利厚生に生命保険があるか確認することが大切です。企業が提供する生命保険は、単に死亡や障害に関するものだけでなく、入院や疾病に関する保障を含むことがあります。また、入院や手術に関する給付金や、疾病による収入保障なども含まれるケースも。

すでに保険に加入している場合でも、企業の福利厚生が提供する保険内容を確認し、必要に応じて組み合わせて保障を補完することも検討してみましょう。ただし、保険内容や適用条件は企業によって異なるため、確認を怠らず、自身に必要な保険プランを選ぶことが重要です。

フラット35の利用を検討する

住宅金融支援機構「フラット35」を検討するのもひとつの手段です。住宅金融支援機構「フラット35」では、民間の金融機関とは異なり団信の加入が必須ではありません。

通常、民間の金融機関では住宅ローン契約時には団信の加入が求められますが、住宅金融支援機構「フラット35」は任意であり、審査に通過すれば借入可能です。団信に加入することが難しい人や、保険料を下げたい人は検討してみるといいでしょう。

配偶者の名義で契約をする

住宅ローンを組む方法として、配偶者が一定の条件を満たす場合、配偶者名義で借入を検討することができます。特に共働きの場合、両者の収入を合算して借り入れをおこなう方法もひとつの選択肢です。

ただし、名義人と返済者が異なる場合、住宅ローン控除への影響を考慮する必要があります。例えば、名義人が所得税の軽減措置を受けられる場合でも、返済者が異なると適用されないことがあります。

住宅ローン控除や税金の影響を考慮する際は、税理士などの専門家に相談することが大切です。専門家からのアドバイスを活用して、最適な方法を検討しましょう。

まとめ

民間の金融機関で住宅ローンを組む際には、一般的には団信の加入が義務付けられています。団信に加入することで、死亡時や高度障害になった際の返済義務がなくなるなどのメリットを得られるでしょう。しかし、団信なしで住宅ローンを契約する方法もあるため、ご自身にとって最適な選択をするために金融機関や税理士などの専門家に相談しましょう。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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