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住宅ローンを契約したら生命保険はいらない?利用時の注意点や失敗しないためのポイント

団信に加入したら生命保険は解約していい?
住宅を購入するにあたって住宅ローンを契約したら、毎月やりくりしていけるのか不安になる人も多いと思います。毎月の出費を減らすために、見直しを検討すべき費用は固定費です。特に生命保険の保険料はできるなら減らしたいもののひとつでしょう。しかし、住宅ローンを組んで、団体信用生命保険(団信)に加入したからといって生命保険はいらないと、すべて解約しようとしている人がいたら要注意です。

今回の記事では、住宅ローンがあれば生命保険はすべていらないのか、保険の見直しで失敗しないためのポイントをわかりやすく解説します。住宅ローンを組んで家を購入する予定の人は必見です。

住宅ローンを契約したら生命保険はいらないと思う理由とは?

いざとなった時に備え、複数の保険に加入している人も少なくないのでは?

住宅ローンを契約したら、ローン返済分が増えるので毎月の出費はこれまでよりも増えてしまいます。そのため、毎月の出費を減らすために固定費を見直そうと考える人もたくさんいらっしゃいます。特に生命保険は実際に使う機会がないため、真っ先に見直したい費用になるでしょう。

ではなぜ、住宅ローンに加入したら生命保険がいらないと思うのでしょうか。

それは、住宅ローンに契約すると団体信用生命保険(団信)に加入することになるからです。団信とは、住宅ローン返済専用の保険です。契約者が亡くなったり、高度障害になってローンが返済できなくなることを避けるため、住宅ローンを借りる際には多くの金融機関で加入が必要になっています。(例外として、住宅金融支援機構が提供しているフラット35は団信への加入は任意です)

団信に加入すると、万が一のことがあってもローン残債のない住宅を家族に遺すことができます。
そのため、死亡・高度障害になった時の保険金額にローンの返済額を入れていると、保障が重複していることになります。

例えば、契約者が亡くなった時の遺族の生活費にローンの返済額(10万円)を含めて月30万円と仮定し、10年間の生活費を工面したいと思ったら、生命保険金額は以下のようになります。

生活費(20万円)+ローン返済費(10万円)×12カ月×10年=3,600万円

しかし、団信に加入したことで住宅ローンの返済を保険金に含めなくてよくなった場合、必要な保険金額は以下のようになります。

生活費(20万円)×12カ月×10年=2,400万円

必要な保険金額が1,200万円下がりました。もちろん、必要な保険金額以上に余裕を持って契約するのも一つの考え方なのですが、団信で住宅ローンを保障してくれているなら、余分な保険料は払う必要がないと考える人のほうが多いのではないでしょうか。

結論として、住宅ローンを契約して団信に加入したことで、住宅ローンの返済費用は保険金額から差し引くことができます。死亡・高度障害の保険金は、団信の内容と重複しているので、その分の死亡保障はいらないという考え方は理にかなっています。

さらに、死亡・高度障害に加え、がん・心筋梗塞・脳卒中の3大疾病や7大疾病、8大疾病になった時に住宅ローンが清算される団信もあります。

もし、団信に3大疾病の特約を付けて加入していて、さらに民間の保険会社で3大疾病で保険金が受け取れる保険にも加入しているなら注意が必要です。保障内容をよく確認せずに両方の保険をかけていると、保障内容が重複しているうえ、無駄に保険料を支払っているかもしれません。これはもったいないので、重複している保障はカットして保険料を合理化すべきです。

しかし、一見内容が重複していると思って安易にどちらかをやめてしまうと、本来残すべきだった保障を解約してしまうなどの失敗をする可能性があります。あとから後悔しても、解約してしまった保険をもとに戻すことはできません。生命保険を見直すべきなのか、団信の特約をやめるべきなのかの判断は慎重におこなう必要があります。

住宅ローンを契約したら本当に生命保険はいらない?

住宅ローンに契約したら本当に生命保険はいらないのでしょうか

住宅ローンに契約すると団信に加入することになるため、保障の内容によっては生命保険がいらなくなります。しかし、団信の保障のみでは不十分で生命保険が必要なケースもあります。この章では、生命保険が必要なケースを解説します。

団信のみの保障ではカバーできない場合

団信の保障は基本的に、あくまで住宅ローンの清算です。そのため、死亡時に住宅ローンがなくなったとしても、遺族の生活は続いていきます。遺族の生活費は必要になるのでそのための保険金は必要です。さらに3大疾病になった場合も、あくまで住宅ローンの支払いがなくなるだけで、病気の治療費や生活費は必要です。遺族の生活費や、病気の治療費に備える場合は、団信だけではカバーできません。

また、団信には高度障害や3大疾病、8大疾病などに当てはまらないけど病気やケガで働けないといった就業不能に備える保障はありません。骨折や肺炎などで長期入院するなどして長く働けず収入が途絶えても、住宅ローンの支払いが免除されることはありません。そのようなリスクに備えるなら、民間の保険で備えるしかありません。

ペアローンで契約している場合

ペアローンとは、同じ物件に対して複数人でそれぞれ別の借り入れをして組むローンです。借入可能額を上げたり、おのおのが希望する返済条件で契約できるメリットがある反面、一方が死亡してしまったあとの返済が苦しくなる可能性があります。

団信で一方の返済はなくなったとしても、もう一方の返済は残ります。一人で住宅ローンを返しながら、生活していかなくてはなりません。もし、小さな子どもがいるような家庭だとすると、一人で生活費を稼ぎ子育てもしなければなりません。

そんな時お互いに生命保険を準備していれば、万が一の時には相手のローンがなくなるとともに、生活費は生命保険でまかなうことができます。精神面ではショックを受けても、費用面で支えになるものがあれば気持ちも少しは上向きになれるでしょう。ペアローンで契約している場合には、お互いのために生命保険も併用していると理想的です。

ローン完済後の保障が必要な場合

住宅ローン返済中の保障は団信だけでカバーできていた人も、ローンが完済すると保障はなくなります。住宅ローンを完済したからといって、そこで人生が終わるわけではありません。死亡・高度障害だけでなくケガや大きな病気、介護などリスクは一生涯続いていきます。ローン完済後の保障がまったくなければ、保障がないまま老後を迎えることになってしまいます。ケガや大きな病気は何歳でも起こりえますが、年齢を重ねてからのほうがリスクは上がり介護のリスクも高くなります。

歳を重ねてから生命保険に新規加入しようとすれば、若い時よりも保険料が高くなるのはもちろん、健康状態に不安があれば保険の加入も難しくなる可能性があります。ローン完済後の保障を考えるのであれば、早くから生命保険も準備しておくほうが賢明です。

失敗しない生命保険見直しのポイントは?

生命保険は定期的に見直しするとよいでしょう

住宅ローン契約後には、団信と生命保険で重複している部分は解約して、必要な保障を必要な分だけ用意するのが大切です。しかし、保険に詳しくなければどのように取捨選択すればよいのかわかりません。重複して保険料を払い過ぎていたり、必要な保険を解約しないようにするには、見直しのポイントをよく理解しましょう。本章では、生命保険の見直しで失敗しないためのポイントを解説します。

保険の目的と保障額を明確にする

見直しに限らず、生命保険に加入する時には、保険の目的を明確にすることが重要です。何のために保障を持ちたいのかをまずは考えてみましょう。例えば、死亡保障を用意したい時の目的は、「遺族の生活費なのか」、「お葬式代なのか」のように、必要となる費用を細分化する作業が重要です。目的を明確にすれば、保障金額を算出することができます。遺族の生活費が必要なのであれば、年間(あるいは月間)に何万円が必要なのかを考えます。団信で住宅費がまかなえているのであれば、住宅費を除いた生活費の金額を計算します。

次に、その金額を何年間にわたって準備すべきなのか考えてトータルの保険金を決めます。保険金額が決まったら、保険の種類を選びます。かけ捨てか、かけ捨てではないのかなどさまざまな種類があるので、目的と予算や機能に応じて選択しましょう。

保険を検討する、目的が定まっていないと必要のない保険金を備えることになり、保険料を余分に支払うことになってしまいます。また、住宅ローン契約や子どもの自立など、保険を見直すタイミングで調整するのも困難になってしまいます。保険を考える時には、目的を明確にして保障内容や保険金を考えましょう。そして、目的に合った保険の種類で保障を準備するようにしましょう。

団信の特約の内容を確認する

団信の特約の内容は、年々グレードアップしています。がん団信や、3大疾病、8大疾病をカバーするものから、さらに保障の幅が広く選べるものも販売されています。なかには病気の治療費もカバーできる団信もありますが、その分保険料はローンの利息としてプラスされます。

まずは、加入している団信の内容がどのようなものか、それに対してどれくらいの保険料が徴収されているのかを確認しましょう。

そして、保険の目的を明確にしておくのはもちろんですが、何の病気にどのように備えるのか、その場合団信の保障を選ぶのか一般の生命保険を選ぶのかを選択しましょう。

ただし、保険の知識がないと何が必要なのかを自分だけで判断するのは難しいです。そのような場合は、プロに相談するとよいでしょう。

記事のおさらい

Q. 住宅ローンを契約したら、生命保険はすべて解約してもよい?

安易に生命保険をすべて解約するのは危険です。解約してもよいとすれば、生命保険の保険金に含まれる住宅費返済の部分です。また、保険の目的に照らし合わせて団信で保障がされているものがあれば、適切に調整すべきです。

Q. 住宅ローンを契約しても、生命保険をやめないほうがよい理由は?

団信のみでカバーできない保障を持つ場合や、住宅ローン返済後の保障を継続したい人は、生命保険をやめないほうが賢明です。また、ペアローンの人も生命保険を併用するほうが得策です。

Q. 住宅ローンを契約したので生命保険を見直したいけど、どうすればよい?

まずは、保険を持つ目的を明確にしましょう。必要な保障と必要でない保障をはっきりさせることで、無駄な保障を持たないですみます。次に、団信の内容をよく確認しましょう。団信を活かし、不足した部分を生命保険でカバーするなど無駄な保険に加入しないようにしましょう。自分だけで整理するのは大変なので、専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

この記事では、住宅ローンがあれば生命保険はすべていらないのか、解約をして失敗しないためのポイントをわかりやすく解説しました。住宅ローンを組んだタイミングは、生命保険を見直す絶好の機会です。なぜなら、生命保険は人生の節目(住宅購入や結婚出産、子どもの自立など)で見直すべきものだからです。

住宅ローンを組んだら、団信と生命保険で重複している部分を適切にカットし、必要な保障を必要な分だけ備えるようにしましょう。また、安易な判断で必要な保障をやめてしまうことのないように、見直しは保険の目的や保障内容を正しく理解してすすめましょう。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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