銀行以外で住宅ローンは借りられる?メリット・デメリットを徹底解説

今回は、銀行以外の事業者や事業者の特徴、気をつけなければならない点などを解説します。「銀行で住宅ローンの審査に通るか不安」「住宅ローンで銀行以外の選択肢を知りたい」という方はぜひ最後までお読みください。
記事の目次
ノンバンクとは

銀行以外の金融機関を「ノンバンク」といいます。具体的には、消費者金融や信販会社、保険会社などが当てはまります。お金を預かる預金業務はおこなわず、お金を貸す与信業務を中心におこなっています。
ノンバンクと銀行の違い
ノンバンクと銀行は3つの点で大きく違います。
ノンバンク | 銀行 | |
---|---|---|
法律 | 貸金業法 | 銀行法 |
融資スピード | 早い | 普通 |
金利 | 高い | 低い |
具体的にどう違うのかをみていきましょう。
適用される法律が違う
ノンバンクと銀行は、適用される法律が異なります。ノンバンクは「貸金業法」、銀行は「銀行法」に基づいて営業しています。貸金業法とは、貸金業者に関する規制や貸金業者からの借り入れについて定められている法律です。一方、銀行法とは銀行業務が健全におこなわれるよう、業務内容や経営管理などについて定められています。
融資スピード
ノンバンクは銀行と比べ、融資スピードが早い傾向にあります。審査や貸付の内容によっても異なりますが、審査から融資まで当日に実行される場合もあります。銀行は、審査に時間をかけており、融資まで時間がかかる傾向にあります。
金利
ノンバンクの金利は、銀行と比べ高い傾向にあります。ノンバンクでは預金業務をおこなわないため、外部から資金を調達する必要があります。自社の利益を上げ、貸し倒れを防ぐため、金利を高めに設定しています。一方、銀行は融資業務のほかにも、預金業務、為替業務をおこなっているため、資金調達が安定しており、金利が低く設定されています。
ノンバンクの事業者
銀行以外の金融機関であるノンバンクにはどういった事業者があるのでしょうか。住宅ローンを取り扱うノンバンクには次の3つがあります。
- モーゲージバンク
- 保険会社
- 財形住宅金融株式会社
初めて聞くものもあるのではないでしょうか。それぞれどういった特徴があるのか、詳しくみていきましょう。
モーゲージバンク
モーゲージバンクとは、住宅ローンを専門に取り扱う金融機関です。「モーゲージ」は抵当や抵当権を意味する英語で、不動産を担保にした貸付を専門におこないます。金融機関独自の住宅ローン商品を取り扱っている会社もありますが、多くは住宅金融支援機構のフラット35を主に取り扱っています。

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保険会社
保険会社のなかにも、住宅ローンを取り扱っている会社があります。例えば、日本生命保険相互会社では「ニッセイ住宅ローン」を扱っています。また、保険会社ではありませんが、ほけんの窓口がARUHIと提携し、住宅ローンサービスの提供をはじめました。住宅ローンを契約する際には、保険を見直す必要が出てくることから、1箇所でまとめてできる点は魅力といえるでしょう。
財形住宅金融株式会社
財形住宅金融株式会社は、全国にある約1万社の企業と提携し、住宅融資業務を担う会社です。勤務先で財形貯蓄をおこなっている方が利用できます。取り扱っている商品はフラット35、財形住宅融資の2つです。厚生労働大臣の認定を受けている福利厚生会社で、利用者は約11万人と実績もあり、安心感があります。銀行以外で住宅ローンを組むことを考えている方は、勤務先が提携先になっているか一度確認してみましょう。
銀行以外の金融機関で住宅ローンを組むメリット

銀行以外の金融機関であるノンバンクで住宅ローンを組むメリットを解説します。具体的には次の4つです。
- 審査結果が早くわかる
- 審査基準の柔軟性が高い
- 好きな口座を引き落とし口座に設定できる
- 再建築不可物件でも住宅ローンを組める可能性がある
メリットを理解することで選択肢が広がり、自分にあった金融機関で住宅ローンを組むことができます。一つずつ詳しく見ていきましょう。
審査結果が早くわかる
ノンバンクで住宅ローンを組む際のメリットの1つ目は、審査結果が早くわかることです。例えば、住宅ローン専門金融機関であるARUHIでは、事前審査が最短1営業日、本審査が最短3営業日となっています。銀行の場合、事前審査で一般的に3日〜1週間程度、本審査で1〜3週間程度とされています。
審査の結果が出るまで早いため、気になった物件を他人に購入されてしまうことも少なくなります。また、住宅ローンの金利は融資実行日の金利が適用されます。審査から融資までの期間が短ければ、金利が変動する可能性も低くなり、想定していた金利で住宅ローンの契約が結べます。
審査基準が柔軟
ノンバンクで住宅ローンを組むメリットの2つ目は、審査基準が銀行に比べて柔軟であることです。銀行では、個人属性、返済計画、物件と大きく分けて3つの審査がおこなわれます。一方、ノンバンクでは、審査基準が明確にされているわけではありませんが、ARUHIでは会社員であれば転就職先で1回以上の給与支払い、自営業者であれば確定申告を1回以上おこなっていれば申し込み可能となっており、銀行と比較して柔軟であるのがわかります。
好きな口座を引き落とし口座に設定できる
ノンバンクで住宅ローンを組むメリットの3つ目は、好きな口座を引き落とし口座に設定できることです。銀行の場合は、その銀行で口座を開設しなければなりません。一方、ノンバンクは、預金業務をおこなっていないため、口座そのものがありません。住宅ローンを申し込む際には、普段利用している口座を引き落とし口座として設定できます。
例えばARUHIの場合、全国1,000以上の金融機関から選ぶことが可能です。自分が利用しやすい口座を選ぶことで、返済の管理がスムーズになるでしょう。
再建築不可物件でも住宅ローンを組める可能性がある
ノンバンクで住宅ローンを組めるメリットの4つ目は、再建築不可物件でもローンを組める可能性があることです。再建築不可物件とは、今ある建物を壊して新しく建築することができない物件のことです。担保として価値が低いことから、金融機関から見ると、債権を回収できる見込みが低く、避けたい物件となります。
しかし、ノンバンクは審査基準が柔軟であることから、再建築不可物件でも住宅ローンを組める可能性があります。なお、あくまで可能性があるというだけで、必ずローンを組めるわけではないことを理解しておきましょう。
銀行以外の金融機関で住宅ローンを組むデメリット

銀行以外の金融機関であるノンバンクで住宅ローンを組むメリットを見てきました。しかし、いいことばかりではありません。デメリットもあることを理解しておきましょう。メリット・デメリットの両方を知ることで、より自分にあった適切な選択ができるようになります。
金利が高い
ノンバンクで住宅ローンを組むデメリットの1つ目は、銀行と比べると金利が高いことです。銀行は預金業務をおこなうため、資金が安定しており、低金利で融資が可能です。一方、ノンバンクはリスクの高い借り手に融資をおこないます。貸し倒れのリスクを下げるため、金利を高く設定する傾向があります。
住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2023年4月調査)】」[pdf](p6)によると、借入先別の金利タイプでノンバンクは全期間固定型が45.8%、一方、銀行は変動型が一番多く75.4%となっています。全期間固定型であるフラット35の金利は1.73%(返済期間21〜35年)(2023年7月20日現在)です。一方、変動型は三菱東京UFJ銀行で0.3〜0.4%(2023年7月20日現在)となっています。銀行と比較すると高いことがわかります。
金利タイプや商品が限られる
ノンバンクで住宅ローンを組むデメリットの2つ目は、金利タイプや商品が限られることです。ノンバンクではフラット35を主に取り扱っています。フラット35は全期間固定金利のみのため、他の金利を選ぶことができません。
また、銀行と比較すると、住宅ローンの商品も少ない傾向にあります。銀行であれば、住宅を購入する際にかかる諸費用を対象にしたローンや疾病保障がついたローンなどさまざまなローンがあります。一方、ノンバンクはそういった商品が少ない、もしくはない場合が多いです。銀行以外で住宅ローンを組む際には、金利タイプや商品が限られることを理解しておきましょう。
銀行以外で住宅ローンを組むのに向いている人

銀行以外で住宅ローンを組むのが向いている人は、具体的にどういった人なのでしょうか。本章ではわかりやすく解説していきます。
非正規雇用者や自営業の人
非正規雇用者や自営業の人は、銀行から住宅ローンを借りることが難しい場合があります。それは、正社員と比べて収入が安定していないと判断されることが多いからです。しかし、ノンバンクでは、審査基準が銀行よりも柔軟なため、非正規雇用者や自営業の人でも住宅ローンを借りられる可能性があります。ただし、ノンバンクの住宅ローンはフラット35をはじめ、金利が高い傾向にあります。無理のない返済計画が立てられるか、よく考えて申し込むようにしましょう。
銀行の住宅ローン審査で落ちた人
銀行の住宅ローン審査で落ちた人は、ノンバンクを検討してみましょう。銀行は審査基準が厳しくなっていますが、ノンバンクは保証会社を通さないため、審査基準が柔軟です。銀行の審査に落ちてしまった人でも、住宅ローンを借りられる可能性があります。ただし、ノンバンクでも審査に通らない場合もあります。その場合は、夫婦の収入を合算したり、頭金を増やして借り入れ金額を減らしたり、審査対策をしましょう。
銀行以外で住宅ローンを組むときの注意点

銀行以外の金融機関であるノンバンクで住宅ローンを組む際には、注意点が2つあります。注意点をよく理解したうえで、住宅ローンの契約先として自分に合っているかを検討するようにしましょう。
無理のない返済計画を立てる
住宅ローンを組む際には、無理のない返済計画を立てることが重要です。特に、ノンバンクで扱われる住宅ローンの金利は、銀行と比べて高い傾向にあります。金利は借り入れた金額に対して支払う利息のことです。金利が高ければ利息も増え、結果として返済額が増えることになります。無理して借り入れをすると、返済できなくなってしまう可能性があるため、無理のない返済計画を立てるようにしましょう。また、住宅ローンだけでなく、教育費や老後の生活費などの将来のライフイベントなども考慮しましょう。
貸金業法の登録があるかを確認する
ノンバンクで住宅ローンを組む際には、貸金業法の登録があるかを確認しましょう。貸金業法は、貸金業を営む会社の規制と借り手の保護を目的とした法律です。貸金業法に登録されていないノンバンクから住宅ローンを借りると、トラブルに巻き込まれる可能性があります。登録されているかは、金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで検索できます。なかには、無登録にも関わらず「バンク」「信託」などを会社名に使用し、貸金業務をおこなっている違法業者も存在します。ノンバンクで住宅ローンを組む際には、貸金業法の登録を受けているかを必ず確認しましょう。
まとめ
銀行以外でも住宅ローンを組むことは可能です。銀行と比較して、審査基準が柔軟だったり、審査結果がわかるまで早かったりとメリットがあります。しかし、金利が高く設定されていたり、金利や住宅ローン商品が限られていたりとデメリットもあります。メリット・デメリットを理解したうえで、自分に合っているかを判断しましょう。また、なかには違法業者も存在します。必ず金融庁から貸金業者の登録を受けているか確認し、安心できる会社で住宅ローンを契約しましょう。
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執筆者
民辻伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
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