住宅ローン借り入れ前後に転職したら?審査への影響など気になる点を徹底解説!

本記事では、住宅ローン借り入れ前に転職したら審査が通りにくくなるのか、住宅ローン借り入れ後に転職した場合にやるべきことをわかりやすく解説します。住宅ローン借り入れ前は転職しないほうがよいのか、住宅ローン返済中には転職してはならないのかなど疑問に思っていらっしゃる方は必見です。
記事の目次
住宅ローン審査ではどのような項目が重視される?

住宅ローン審査ではどのような項目が重視されるのでしょうか。
国土交通省が実施し、全国の銀行などを対象に調査・公表している「令和4年度・民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」で調べてみます。この調査では、住宅ローンの審査項目が詳細に取り上げられています。ここで、9割以上の機関が審査で重視すると答えた項目をあげます。なお、調査結果報告には下記にあげた以外の項目もありますが、ここでは省略しています。
民間住宅ローンで審査される項目 | ||
---|---|---|
1 | 完済時年齢 | 98.7% |
2 | 健康状態 | 97.9% |
3 | 借入時年齢 | 97.2% |
4 | 担保評価 | 96.1% |
5 | 勤続年数 | 93.2% |
6 | 連帯保証 | 93.1% |
7 | 返済負担率 | 93.0% |
8 | 年収 | 92.9% |
9 | 金融機関の営業エリア | 90.7% |
結果をみると、完済時年齢が1位で、健康状態や借入時年齢が続いています。健康状態が重視されるのは団体信用生命保険が加入できるかを審査するのに関連しています。団体信用生命保険とは団信とよばれ、住宅ローン契約者が死亡や高度障害状態になった場合、保険金で残債が相殺される仕組みです。一般的に、住宅ローンに加入する時に契約する保険ですが、加入の審査で健康状態の告知が必要になります。
5位以下には、勤続年数や年収など、勤務状況に関する項目が続いていきます。住宅ローンの返済期間は、10年から30年など長きにわたるため、継続して返済ができる安定した収入があるのかが重視されることがわかります。転職は、十分な年収の確保と、安定収入に対して影響するものなので、金融機関も注意して審査をする項目だと推測できます。
借り入れ前に転職したら審査は通りにくくなる?

住宅ローンの借り入れ前に転職をしたら、審査にどのような影響があるのでしょうか。その答えは「通常より厳しく審査される可能性があり、結果として住宅ローン審査に通りにくくなる可能性がある」ということです。ではなぜ、転職が住宅ローン審査に通りにくくなる要素となるのでしょうか。その主な理由は以下のとおりです。
- 収入が安定しないとみられる
- 転職癖があるとみられる
- 転職後の会社規模で収入に影響があるとみられる
- 転職間もないとリスクとみられる
住宅ローンの審査は、借り入れ希望者の返済能力を判断するためのものです。住宅ローン審査を優先させるなら、転職は待つべきという考え方もあるほど、転職が審査に影響するケースがあります。
主な理由は、収入の安定性に関連しています。転職で収入が不安定になるリスクがあるため、金融機関から敬遠される可能性があります。
また、転職回数が多い場合、転職癖があるとみなされることもあります。これにより、将来の収入の安定性が低いと判断され、審査に不利な影響を及ぼす可能性も。転職の回数自体が問題ではないかもしれませんが、収入の安定性に対する評価に影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。
さらに、転職先の会社規模も審査に影響を及ぼす要因です。例えば、大手企業からベンチャー企業への転職の場合、会社の規模が審査項目に影響を及ぼす可能性があります。したがって、転職を検討する際には、新しい職場の規模がどのようになるかが重要です。大手企業への転職のほうが、審査に有利に働く場合があるでしょう。
転職してからの期間も審査に影響します。転職直後に住宅ローンの審査を受ける場合、一般的には勤続2年以上経っていることが条件となります。ただし、勤続期間の条件は明確に記載されていない場合もあります。金融機関によっては、勤続6カ月以上であれば審査を受けられる場合もあります。転職後の勤続期間が1年未満であっても、必ずしも住宅ローンを借りられないとは限りません。転職後いつからであれば住宅ローン審査に影響しなくなるかはわかりません。かといって、転職が確定しているのに告知しないで契約するのは問題です。転職がわかっている場合には、金融機関へ相談しておくのも一つの方法です。
このように、転職は収入の安定性に影響するとみられ、審査が厳しくなるのは避けられません。
住宅ローン借り入れ前の転職でも審査が通るケースはある?

実は、転職をしたこと自体が必ずしも不利に働くわけではありません。以下のような場合には、転職後でも住宅ローンの審査が通る可能性があります。
- ベンチャー企業から大手企業への転職
- 転職で収入が上がる場合
- ヘッドハンティングを受けて転職した場合
住宅ローンの審査では、転職先の会社規模が重要な要素となります。大手企業への転職の場合、安定した経営基盤や信頼性が高いと見なされ、審査に有利に働くことがあります。
また、転職によって収入が増える場合も審査に影響を与える要素となります。住宅ローンの審査では、返済能力が重視されるため、収入が増加すれば審査通過の可能性が高まります。例えば、転職によって昇給やボーナスが期待できる場合、金融機関は収入の安定性が高いと判断し、審査を通過しやすくなるでしょう。
さらに、ヘッドハンティングによる転職も審査にプラスの影響を及ぼす場合があります。ヘッドハンティングは優れたスキルや経験を持つ個人におこなわれる場合が多く、金融機関はそのような個人を信頼性の高い顧客としてとらえる傾向があるからです。そのため、ヘッドハンティングでの転職は審査通過の要因となる可能性があります。
他にも、転職直後や複数回転職している人でも、職歴書とともに転職理由を十分に説明できれば、転職後6カ月から1年未満であっても借り入れができる場合もあるようです。転職が多い、複数回しているなどがそのままマイナス要素にはならなくなってきています。
転職をしても、収入アップやヘッドハンティングなどポジティブな要因なら審査に通る場合があります。ただし必ずしも審査に通るとは限りません。実際には、利用する金融機関に問い合わせたり、専門家と十分に相談をしてください。
住宅ローン返済中に転職したらどうする?

住宅ローン借り入れ前は予定が無かったものの、住宅ローン返済期間中に転職する場合もあるでしょう。審査前に転職していると審査が通りにくくなる可能性があるとお伝えしましたが、返済期間中であれば影響はないのでしょうか。
転職したらまずは金融機関に報告する
住宅ローン返済中に転職したら、速やかに金融機関に報告をしましょう。報告は、住宅ローン契約書に義務として定められていることが多いです。手続きの方法は、借り入れをした金融機関に問い合わせましょう。
転職後、連絡をしていなかったからといって、金融機関側から確認が入ることはまずありません。かといって知らせないままでいるのは危険です。もし、転職をしたのにも関わらず連絡を怠った場合には、住宅ローン一括返済を求められるなどのペナルティが発生する可能性があります。まずは、契約書を確認するか、心配であれば金融機関に問い合わせをしましょう。
転職により住宅ローン返済がきつくなってしまったらどうする?
住宅ローン返済中に収入が減少した場合、これまでと同じように返済を続けていくことが困難になる可能性があります。返済が困難になるなら、計画の見直しが必須になります。負担を軽減する主な方法は以下のとおりです。
- 返済期間の変更
- 借り換えの検討
転職により収入が減少した場合、元々の返済計画では厳しい状況になることがあります。このような場合は、住宅ローンの返済期間を延長すると、月々の返済額を抑えることができます。例えば、元々20年の返済計画であった場合、30年に変更すると月々の返済額を減らすことができます。ただし、返済期間を延長すると総返済額が増えることを忘れないようにしましょう。
収入減により元の住宅ローンの返済が厳しい場合、他の金融機関での借り換えが選択肢となります。住宅ローンの金利は変動する場合があり、現在の金利が低い場合には、別の金融機関で借り換えることで月々の返済額を減らすことができます。ただし、借り換えには手数料や諸費用がかかる場合があるので、慎重に計算し比較するのが重要です。
収入が減少した場合、これらの対処方法を検討し、適切な対応をおこないましょう。早めの対応によって、住宅ローンの返済にかかる負担を軽減し、将来の不安を減らせます。しかし、具体的な対応方法は個々の状況によって異なるため、金融機関や専門家に相談し、最適な選択をおこないましょう。また、借り換えの場合は、転職直後では審査を通るのは難しいので、一定の勤続期間を経てからの申し込みが必要です。
記事のおさらい
Q:住宅ローン審査で重視される項目とは?
A:令和4年度・民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書によると、1位は完済時年齢、2位は健康状態、3位は借入時年齢でした。続いて、担保評価、勤続年数、連帯保証、返済負担率が重視されています。健康状態に加え、返済が継続的にできるかなどの経済状態も重視される傾向にあります。
Q:住宅ローン借り入れ前に転職したら審査は通りにくくなる?
A:住宅ローン借り入れ前に転職すると、通常より厳しく審査される可能性があります。結果として住宅ローン審査に通りにくくなる可能性があります。転職が住宅ローン審査に通りにくくなる理由は、収入が安定しないとみられるためです。また、転職癖があるとみられたり、転職後の会社規模がこれまでより小さいとみなされると、収入に影響が出る懸念があるためリスクとみられます。
Q:住宅ローン借り入れ前の転職でも審査が通るケースはある?
A:転職後でも住宅ローンの審査が通る可能性があるのは、収入アップやポジティブな理由で転職したとみなされる場合です。例えば、収入が上がる場合や収入が上がる要素が見こまれる場合、ヘッドハンティングを受けるなど個人の能力が評価されて転職した場合などです。
Q:住宅ローン返済中に転職したらどうする?
A:転職したらまずは金融機関に報告しましょう。住宅ローン契約書などでも、告知義務として明記されている場合があります。もし故意に告知しない場合にはペナルティを受けることもあるので、速やかに報告しましょう。
Q:転職により住宅ローン返済がきつくなってしまったらどうする?
A:住宅ローン返済中に収入が減少した場合、これまでと同じように返済を続けていくことが困難になる可能性があります。この場合、返済計画の見直しが必要になります。負担を軽減する主な方法は、返済期間の変更や、借り換えの検討があります。
まとめ
本記事では、住宅ローン借り入れ前に転職したら審査が通りにくくなるのか、住宅ローン借り入れ後に転職したらどうすればよいのかをわかりやすく解説しました。住宅ローン借り入れ前の転職は審査に影響しますが、場合によっては審査を通過するケースもあります。金融機関に直接問い合わせをして確認するのも有効です。住宅ローン借り入れ後に転職した場合は、速やかに金融機関へ報告しましょう。報告していないとペナルティを受ける場合もあるので注意が必要です。
具体的な対応方法は個々の状況によって異なるので、金融機関や専門家に相談するのがベターです。
Web上で借りたい金額や職業・年収などの情報を入力すると、借りられる可能性が高い住宅ローンを比較・提案してくれるサービス「モゲチェック」を活用することもおすすめ。そのまま仮審査の申し込みもできるので、自分が審査に通過できるのか不安な方は一度チェックしてみてはいかがでしょうか?
物件を探す

執筆者
長谷川賢努
AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士
大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ