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育休中に住宅ローンは契約できる?よくある疑問と審査について徹底調査!

もし住宅ローン契約をしたい時に育休中だったらどうなるのでしょうか?
マイホームを手に入れたい人にとって、住宅ローンの契約は夢に近づく第一歩です。住宅ローンを契約する方の中には、育児休業と重なってしまう方もいるでしょう。育休中にも住宅ローン契約ができるのか気になる方もいらっしゃると思います。

そこで本記事では、育休中で住宅ローン契約を検討している方々に向け、よくある疑問や審査でチェックされる項をわかりやすく解説します。育児休業を取得する予定の方や、すでに育休中の方でマイホームを購入したいとお考えの方々に役立つ情報です。

育休中でも住宅ローン契約はできる?

育休中に住宅ローン契約は可能なのでしょうか
育休中に住宅ローン契約は可能なのでしょうか

育休中の方でも住宅ローンを組むこと自体は可能です。育休取得者は給与が支給されないだけで、無職や無収入ではありません。そのため、住宅ローンを契約できる場合があります。ただし、金融機関によっては「復職することが前提」のような条件があり、クリアできなければ審査に通りません。すべての金融機関が育休中の方に対してローンを契約するわけではなく、審査条件が厳しい場合もあります。

育休や産休が住宅ローンの審査でプラス要素にはならないのが一般的です。育休中は年収が下がるため、審査をするのは休職前と復職後の年収がベースになります。すると、同じ職場に戻れる場合であっても、審査は厳しくなるでしょう。

特に注意が必要なのが団体信用生命保険(団信)の審査です。育休前は健康でも育休中に体調を崩すなどすると、団信が通らないケースも。ほとんどの金融機関が団信加入を融資条件としているため、健康状態によっては審査やローンの借入に影響が及ぶ可能性があります。

育休中でも住宅ローンの審査は可能ですが、産前産後特有の体調変化が団信の審査や住宅ローンの借入に影響する可能性があります。給与を得られない期間や健康状態を考慮して、適切な金融機関を選び、ローン契約に向けた慎重な計画を立てるのが重要です。

育休中でも住宅ローンは組める?

育休中に組める住宅ローンの種類とは
育休中に組める住宅ローンの種類とは

仕事の復帰を予定していても、育休中では実質収入が減ってしまいます。そんな時、住宅ローンを申し込むにはどのようなローン形態が利用できるのでしょうか。
育休中に申し込みができる住宅ローンの種類は、ペアローン、または収入合算などです。以下にそれぞれの住宅ローン概要を説明します。

ペアローン

ペアローンとは、夫婦がそれぞれ別々の名義で住宅ローンを組む方法です。一つの物件に対し返済責任者がわかれているので、夫が変動金利、妻が固定金利を選択したり、返済期間を夫が30年、妻が20年など変更可能です。お互いがお互いの連帯保証人となる仕組みで、安定した収入が前提になります。

ただし、後述の連帯債務型よりも借り入れ条件が厳しくなる可能性も。両者の収入が住宅ローンを組む前提となるため、パートナーと相談しながら計画を立てる必要があります。

収入合算(連帯責務型)

収入合算(連帯責務型)とは、夫婦のうち一方が住宅ローンの契約者となり、もう一方が連帯債務者としてともに一つの住宅ローンを契約するタイプの借り入れ方法です。ペアローンと異なり、収入合算では契約者は夫婦のうちどちらか1人だけとなります。もう一方はあくまでも連帯債務者としてローンに参加します。

収入合算は、夫婦の収入を合算してローンを契約します。つまり、夫と妻の両方が個別にローンを契約するのではなく、一つのローン契約として扱われます。審査は、住宅ローンの申込人の収入に、パートナーの収入を合算しておこなわれます。例えば、夫の年収が550万円で妻の年収が450万円の場合、合算して年収が1,000万円として申し込みができます。通常、ローン契約者となるのは収入が多いほうです。この場合、収入合算(連帯責務型)によってパートナーの収入が考慮され、より高いローン額を借りることができる可能性があります。

契約は一つですが、収入合算(連帯責務型)では契約者と連帯債務者の両方が審査対象となります。連帯債務者は全額の債務を負うため、2人とも安定した収入があることが前提となります。審査はペアローンよりも比較的容易で、安定した収入があれば審査が通りやすい借り入れ方法です。夫婦間で収入を合算できるため、より高い借入額が可能になります。

収入合算(連帯保証型)

収入合算(連帯保証型)では、夫婦のうちどちらか一方がローン契約者となり、もう一方が連帯保証人として住宅ローンを組みます。連帯保証人は契約者に対して支払いの補償をする役割を担います。連帯保証契約では、連帯保証人は基本的にローンの債務を負わないことが特徴です。主債務者(契約者)がローンの返済をおこなっている限り、連帯保証人には直接的な債務が発生しません。しかし、ローン契約者(主債務者)がローンの返済を滞ったり、返済できなくなった場合には、連帯保証人に支払いの義務が生じます。連帯保証人はその時点からローンの返済を担うことになります。

連帯保証人の存在により、育休中の収入が一時的に減少している主債務者でも、連帯保証人の安定した収入が補完されるため、住宅ローンの審査が通りやすくなるケースが多いとされています。

育休中に住宅ローンを契約するとどうなる?よくある疑問とは?

育休中に住宅ローンを契約するとさまざまな疑問がでてきます
育休中に住宅ローンを契約するとさまざまな疑問がでてきます

育休中で審査を受けると特別必要になる書類はある?

育休中で住宅ローン審査を受ける時は、通常の書類に加えて必要になる書類があります。すべてが必要になるわけではありませんが、以下のような書類が必要になります。

  • 見込年収証明書
  • 育休証明書
  • 育休前の源泉徴収票(または確定申告書)
  • 復職証明書(または復職後に発行された給与明細書など)

まずは、どのような書類が必要か確認したうえで、事前に準備をしておきましょう。

もし住宅ローン審査に通らなかった場合はどうなる?

もし、一つの金融機関の住宅ローン審査に落ちた場合は、別の金融機関に相談しましょう。育休中に住宅ローン審査に落ちてしまうことは、珍しくありません。複数の金融機関をあたっても、住宅ローン審査に落ちてしまう可能性もありますが、検証してみることが重要です。

育休中であることを申告せず審査を受けるとどうなる?

基本的に、育休中なのを隠して審査を受けることはできません、なぜなら、住宅ローン審査で住民票を提出するので、産まれて間もない子どもの存在がわかってしまうからです。子どもの月齢が低いと金融機関では、育休中なのではないかと勤務先に確認を入れるため、あとから申告していないのがばれてしまいます。

審査で虚偽の申請をするのは望ましくないので、育休中であることを隠して審査を受けるのはおすすめできません。

育休中に住宅ローンを契約する審査でチェックされることは?

育休中の人が住宅ローン契約の審査を受ける時にチェックされるのはどのような点でしょうか
育休中の人が住宅ローン契約の審査を受ける時にチェックされるのはどのような点でしょうか

育休中で住宅ローン審査を受ける時、審査ではどのような点がチェックされるのでしょうか?育休中であることに対してチェックされるのは主に以下の2つです。

収入の安定性と継続性

住宅ローンの審査で育休や産休がマイナス要因となる理由は、収入の安定性や継続性が審査で重視されるためです。住宅ローンは長期間にわたる返済が必要なため、金融機関は借り手の返済能力を重視します。ローンの返済による利益を得るためには、借り手が安定して返済可能な収入がある必要があります。したがって、ローン契約時の収入だけではなく、将来的な収入の安定性も考慮されます。

育休や産休を取得した場合、収入が一時的に減少する場合があります。金融機関としては、これらの休暇期間で収入の変動や不安定性がローン返済に影響を及ぼす可能性があると判断します。そのため、育休や産休中の方に対して多額の融資実行を避ける傾向があります。

ローン審査では、現在の資金力だけではなく、将来も安定して返済ができるか否かが評価されます。これにより、産休や育休中の方に対しては、一時的な収入減少だけでなく、復職後の安定した収入の見通しも慎重に判断されます。

住宅ローンの審査は、将来の収入の安定性と継続性が重要で、育休や産休中の一時的な収入減少がマイナスとみなされることがあります。それでも、適切な計画と収入見通しを示せば、育休中でも審査を通過する可能性はあるので、金融機関と相談しながら住宅ローンの契約を検討しましょう。

職場復帰の可否

育休中に住宅ローンを契約する際、審査で特にチェックされる点は、育休後に職場復帰できるか否かです。育休や産休中には、本人が復職を希望しても必ずしも復帰できるとは限りません。さまざまな要因により、復職が難しくなる可能性があるため、金融機関はこの点を重視して審査をおこないます。

育休中や産休中には、次のお子さんの誕生などで再び産休・育休を取得する可能性があるため、収入の安定性に不安が残ります。また、都市部では幼稚園や保育園の入所が難しい場合があり、育休明けで予定通りに職場復職できない場合もあります。さらに、出産による負担で健康状態が損なわれることや、子どもの体調によっては職場復帰が難しいケースもあります。これらの理由から、金融機関は「完済できない可能性がある」リスクを考慮しています。

ただし、金融機関もすべての育休中や産休中の方を審査で除外するわけではありません。重要なのは「可能性」です。育休・産休の取得後に元の職場に復帰し、正社員として安定した給与を今後数十年にわたって稼げる見込みがある場合、金融機関側のリスクが少なくなります。

審査においては、職場復帰の見通しや収入の安定性が評価されるため、育休中や産休中でも審査を通過する可能性はあります。適切な計画と将来の収入見通しを示し、金融機関とのコミュニケーションをしっかりとおこなうことで、住宅ローンの契約が実現できる可能性が高まります。

育休中に契約すると優遇が受けられる住宅ローンはある?

育休中に契約すると優遇がある住宅ローンはあるのでしょうか?
育休中に契約すると優遇がある住宅ローンはあるのでしょうか?

育休中で住宅ローン審査を受けると、収入の一時的な減少などが考慮され審査が厳しくなることが一般的です。しかし、子育て応援を目的に、一部優遇がされる場合もあります。主なものは以下のとおりです。

  1. 借入金利から当初10年間、金利を引き下げる。
  2. 元金返済を最長5年間据置でき、返済期間も延長できる。
  3. 返済猶予取得時の手数料は借入時だけ。

一部の金融機関では、育休中に住宅ローンを組む際に特別な低金利を提供したり、手数料を優遇したりする場合があります。育休中でも収入が減少していることを考慮し、返済の負担を軽減するために実施されています。

ただし、これらの優遇措置は金融機関によって異なります。申請すれば必ずしも適用される訳ではありません。育休中に住宅ローンを組む際は、金融機関との相談を重ね、自身の状況に合った最適な条件を探ることが重要です。

記事のおさらい

Q:育休中でも住宅ローン契約はできる?

A:結論からいうと、可能です。ただし、どの金融機関でも契約できるわけではありません。利用できる金融機関によっては「復職することが前提」のような条件があると、クリアできなければ審査に通りません。基本的に育休や産休が審査の際に、有利になることはありません。場合によっては、団信の審査に影響するケースもあります。

Q:育休中でも住宅ローンが組める?

A:収入合算タイプの住宅ローンや、ペアローンがあります。

Q:育休中で審査を受けると特別必要になる書類はある?

A:育休中で住宅ローン審査を受ける時は、通常の書類に加えて必要になる書類があります。主なものは見込年収証明書や、育休証明書です。すべてが必要になるわけではありませんが、必要な書類は事前に確認し準備をしておきましょう。

Q:もし住宅ローン審査に通らなかった場合はどうなる?

A:一つの金融機関の住宅ローン審査に落ちた場合は、別の金融機関に相談しましょう。

Q:もし育休中を申告せず審査を受けるとどうなる?

A:基本的に、育休中を隠して審査を受けることはできません。審査で虚偽の申請をするのは望ましくないので、育休中を隠して審査を受けるのは避けましょう。

Q:育休中に住宅ローンを契約する審査でチェックされることは?

A:育休中で住宅ローンを契約する時の審査でチェックされるのは、収入の安定性と継続性や職場復帰の可否です。育休や産休がマイナス要因となるのは、収入の安定性や継続性が不安視されるためなので、ローン返済への影響や復職後の安定した収入の見通しも慎重に判断されます。

Q:育休中に契約すると優遇が受けられる住宅ローンはある?

A:育休中の住宅ローン審査は厳しくなりがちですが、子育て応援などを目的に一部優遇がされる場合もあります。金利の引き下げや、元金返済の据置、返済猶予取得時の手数料優遇などがあります。

まとめ

本記事では、育休中で住宅ローン契約を検討している方々が、疑問を持つ内容や住宅ローン審査でチェックされる項目をわかりやすく解説をしました。これから育休を取得する予定の方や、すでに育休中の方でマイホームを購入したいとお考えの方々はぜひ参考にしてみてください。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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