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経営者は住宅ローンに落ちやすい?審査に通るためのポイントや申し込み条件・提出書類を解説

経営者は住宅ローンに落ちやすいのかを解説します
「経営者だと住宅ローンの審査に落ちやすいって本当?」
「会社員と経営者で審査の内容は違うの?」
このように、経営者で住宅ローンの審査に通るのか疑問を感じている方もいるでしょう。会社員と経営者では、審査基準において大きな違いがあります。そこで本記事では、経営者は住宅ローンの審査に落ちやすいのかについて解説します。必要な提出書類や申し込みの条件なども詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

「会社員」と「経営者」の違い

会社員と経営者の違いを解説します
会社員と経営者の違いを解説します

会社員と経営者では、収入の安定性に大きな違いがあります。会社員は毎月一定の給与を得られますが、経営者の収入は会社の業績に左右されるため、不安定になりがちです。

具体的には、会社員の収入源は勤務先からの定期的な給与であり、在籍している限り決められた金額を毎月受け取れます。一方、経営者は役員報酬や役員賞与など、業績に連動した報酬が主な収入源となります。
特に中小企業の経営者の場合、大企業に比べて売上が不安定だったりと、収入が一定でない状況に直面しがちです。たとえ高収入であっても、収入の安定性が不足しているため、住宅ローンの審査をパスできない場合もあるでしょう。
経営者は、会社の業績向上とともに安定した収入を確保することが求められます。

経営者の住宅ローン申し込みの条件

経営者の住宅ローン申し込みの条件は何でしょうか
経営者の住宅ローン申し込みの条件は何でしょうか

住宅ローンの申し込み条件は、金融機関によって異なります。例えば、SBI新生銀行では、以下の条件が定められています。

  • 年齢は20歳以上65歳以下で、完済時の年齢が80歳未満であること
  • 団体信用生命保険への加入が可能であること
  • 日本国籍を有するか、または永住許可を得ていること

上記に加えて、就業状態や収入についての要件もあるため、経営者の方は特に注意が必要です。経営者として住宅ローンを申し込む場合、以下の条件をクリアする必要があります。

  • 業歴が2年以上あること
  • 直近2年間の平均所得が300万円以上あること

ここで重要なのは、「所得」が経費控除後の金額を指すことです。売上総額や経費、税金などを含む金額ではないので、注意してください。

参考:SBI新生銀行 <パワースマート住宅ローン>商品説明書(PDF)

会社員と経営者の住宅ローンの審査基準の違い

住宅ローンの借入審査では、「返済負担率」が重要な基準です。返済負担率は金融機関により異なり、年収に応じて30%以内、35%以内、40%以内などと設定されています。

ここで注目すべきは、会社員と経営者では返済負担率の基準が異なる点です。明確に公表されていませんが、経営者の返済負担率は給与所得者(会社員)より5〜10%程度低く設定される傾向にあります。なお、経営者の場合、25%以内が返済負担率の目安です。例えば、年収700万円で、金利3.5%、返済期間35年とすると、借入可能額は約3,508万円となります。

上記のように、同じ年収でも経営者は会社員に比べて借入可能額が低くなる傾向に。さらに一部の金融機関では、経営者に対して一定の自己資金を求める場合もあります。そのため、経営者の方は住宅ローン借入れ時の審査基準をしっかりと確認することが大切です。



経営者が住宅ローンを組む際の必要な書類

経営者が住宅ローンを組む際の必要な書類を解説します
経営者が住宅ローンを組む際の必要な書類を解説します

ここでは、経営者が住宅ローンを組む際に必要な書類について解説します。

住宅ローン借入申込書

まず、借入申込書の提出が必要です。借入申込書には、名前や現住所、勤務先などの個人情報と購入予定の物件情報、希望の借入金額などを記載します。また、団体信用生命保険への加入申込書もあわせて提出する必要があります。

経営者における所得証明関係書類

経営者の方は、以下の書類を用意する必要があります。

書類 入手先 備考
会社の決算書(附属明細を含むすべてのページ)のコピー 勤務先 直近3期分が必要となる場合が多い
直近の源泉徴収票の原本 勤務先 直近3期分が必要となる場合が多い
住民税決定通知書または課税証明書などの原本 勤務先
※法人の場合
給与総額と課税額がわかる書類

確定申告をおこなっている場合は、以下の書類も必要です。

書類 入手先 備考
確定申告書(付表を含むすべての申告書類)のコピー 税務署 税務署の受付印のあるものが必要で、直近3期分が求められることが多い
納税証明書の原本 税務署 直近3期分が必要となることが多い
法人税・法人事業税の納税証明書など 税務署 法人税・法人事業税について記載された書類

書類の提出漏れがないように、事前に必要な書類を確認しておきましょう。

個人事業主における所得証明関係書類

個人事業主の場合、所得証明書に関する書類は下記のとおりです。
余裕を持って準備をするようにしましょう。

書類 入手先 備考
直近3年分の確定申告書(付表を含むすべての申告書類)のコピー 税務署 税務署の受付印のあるものが必要
直近3年分の納税証明書の原本 税務署

本人確認書類

本人確認のために必要な書類があります。

書類 入手先 備考
印鑑証明書の原本 市区町村窓口 発行後3カ月以内のもので、申込時とローン契約時に計2通用意する必要がある
金融機関届出印と実印 金融機関 発行後3カ月以内で、家族全員の記載があり、本籍と個人番号(マイナンバー)の記載のないものが必要
住民票の写しの原本 市区町村窓口 法人税・法人事業税について記載された書類
有効期限内の運転免許証またはパスポート、または個人番号カード 個人で所持しているもの
有効期限内の健康保険証 個人で所持しているもの

購入物件に関する書類

購入予定の住宅が一戸建て(土地+建物)か、一戸建て(建物のみ)か、マンションかで、必要書類が異なりますが、基本的には以下のような書類が求められます。

  • 不動産登記簿謄本(発行後3カ月以内のもの)
  • 案内図・住宅地図
  • 売買契約書
  • 重要事項説明書
  • 間取図などが確認できるパンフレットなど
  • 工事請負契約書・見積書
  • 建築確認済証または建築確認通知書
  • 固定資産税評価証明書
  • 地積測量図・公図
  • 価格表・建築概要

上記の必要書類をすべて用意して提出してください。通常1〜2週間程度で審査結果が出ます。審査に通れば、ローン契約を締結後に融資が実行されます。

経営が赤字でも住宅ローンを組めるのか

赤字の場合は住宅ローンを利用できるのでしょうか
赤字の場合は住宅ローンを利用できるのでしょうか

「経営が赤字だと住宅ローンは組めないのか」と不安を感じている経営者の方もいるでしょう。

給与所得者の場合、住宅ローンを組む際の審査が比較的スムーズです。なぜなら毎月一定の収入が確保されており、将来の収入見通しも立てやすいためです。
一方で、自営業者の場合は、金融機関の審査がより慎重になる傾向があります。それは、市場環境の変化や健康上の理由などが収入に直接影響を与えるリスクが高いためです。

ただし、「自営業者」といっても「個人事業主」と「経営者」の2種類があります。

個人事業主の場合、赤字決算になると収入がないと判断されてしまうため、住宅ローンの利用が非常に難しいです。しかし、経営者であれば、赤字であっても借り入れが可能なケースがあります。以下で詳しく説明します。

赤字でもローンを組みたいならフラット35がおすすめ

赤字でも住宅ローンを組みたい場合は、「フラット35」がおすすめです。フラット35は、住宅購入や新築、他金融機関からの借換え、一部リフォームなどに利用できるローンです。
一般的な住宅ローンでは、自営業者は直近3期分の決算書の提出が求められます。すべての期間が黒字であれば審査を通過できますが、1期でも赤字があると通過が極めて難しくなります。

一方、フラット35であれば、決算書の提出は不要です。

2年分の確定申告書類を提出さえすれば、審査を受けられます。さらに、直近1期分の「所得」で判断されるため、通常の住宅ローンよりも審査を通過しやすい傾向に。

そのため、経営が赤字でも直近1期分の所得が黒字であれば、借入できる可能性があるのです。

大手金融機関やネット銀行などで赤字経営のためにローンの審査が受からなかった方は、あきらめずに、フラット35の利用を検討してみるとよいでしょう。

フラット35では、さまざまなサポートメニューが用意されているため、住まい作りを後押ししてくれます。リフォーム単体ではなく、中古住宅の購入と合わせればリフォーム費用の融資も可能です。フラット35の主な特徴として、下記の点が挙げられます。

  • 返済期間が最長35年
  • 融資限度額が8,000万円
  • 保証人不要
  • 団体信用生命保険未加入でも利用できる

返済期間は15年から35年までの間で選択可能ですが、20年以下を選んだ場合は原則として期間の延長はできません。

また、融資限度額には建設費や購入価格のほか、諸費用も含まれます。連帯保証人は不要で、保証会社への保証料の支払いも発生しません。
さらに、健康上の理由で団体信用生命保険に加入できなくても、フラット35の利用は可能です。

フラット35の申し込みの際に必要な書類

フラット35に申し込む際に必要な書類があります。個人事業主と経営者の場合で用意すべき書類が異なるので注意してください。

フラット35で住宅ローンを申し込む際に必要な書類

  • 申し込みの書類
  • 健康保険証
  • 運転免許証
  • 確定申告書(2期分)
  • 団体信用生命保険の申込書
  • 保証委託依頼書
  • 住民票
  • 課税証明書
  • その他必要な不動産書類

例えば、経営者の場合は確定申告書が2期分必要ですが、個人事業主の場合は、確定申告書が3期分必要になります。間違えないように、必要な書類をチェックリストに起こすなどして、ひとつひとつ確認しながら用意しましょう。

経営者が住宅ローンの審査に通るためのポイント

経営者が住宅ローンの審査に通るためのポイントを解説します
経営者が住宅ローンの審査に通るためのポイントを解説します

赤字決算であってもフラット35を利用することで住宅ローンを組める可能性はあります。しかし、フラット35も審査が設けられているため、通らなければ住宅ローンの利用はできません。ここからは、フラット35の審査に通るためのポイントを解説します。準備を万端にして審査に挑みましょう。

収入を安定させる

経営者が住宅ローンを申し込む場合、収入の安定性が重視されます。給与所得者は前年の源泉徴収票の提出で済みますが、経営者は直近3期分の決算書の提出が必要であり、それらがすべて黒字であることが求められます。給与所得者は、会社が倒産しない限り毎月の給与が安定しているため、収入が保証されていますが、経営者にはそのような収入保証がありません。
そのため、収入の安定性を直近3期分の決算から安定性が判断されるのです。住宅ローンを借りたい場合には、まずは収入を安定させましょう。

税金・保険料を滞納しない

経営者の場合、税金や保険料の滞納がないかも重要な審査ポイントの一つです。審査時に納税証明書の提出を求められますが、その際に未納があると審査を通過するのは難しいでしょう。そのため、経営者の方は必ず保険料や年金の支払いを滞りなくおこなう必要があります。

居住部分の占有面積に気を付ける

店舗を経営している場合、住宅と店舗が別々であれば問題ありませんが、住宅兼店舗のケースでは、住宅部分の専有面積が50%を超えている必要があります。50%以下だと商用不動産と見なされ、住宅ローンではなくビジネスローンの対象になります。金融機関によって多少の違いはありますが、居住部分が過半数を占めるように調整したほうがよいでしょう。

まとめ

本記事では、経営者が住宅ローンの審査に通ることは難しいのかについてまとめました。会社員と経営者には明確な違いがあり、住宅ローンの審査においても影響が出ます。経営者は業務成績に応じて収入が変動するため、審査に通ることが会社員に比べて難しいケースもあります。

また、提出する書類にも違いがあるため、事前に準備を整えておくことが大切です。もし赤字経営であっても、直近1期分が黒字であれば、フラット35を利用できる可能性があります。経営者が住宅ローンに通るためのポイントもぜひご参考ください。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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