中古マンションを買うなら築何年?築年数ごとの特徴と後悔しないためのポイントを解説

今回は、中古マンションの平均寿命や耐用年数、資産価値と築年数の関係、築年数ごとのメリット・デメリットを解説します。中古マンションを購入する前に気を付けるべきポイントや、購入後にかかる費用も紹介するので、購入を検討している方はぜひ参考にしてください。
記事の目次
中古マンションを買うなら築何年?平均築年数はどれくらい?

中古マンションを購入している人は、築何年のマンションを購入しているのでしょうか。実際に取引された中古マンションの成約状況を見てみましょう。

上記は東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2024年度)」のデータをもとに、成約した中古マンションの築年数(平均値)をグラフにした図です。2014年には19.66年でしたが、2024年には25.28年と、取引されているマンションの築年数が右肩上がりになっています。
新築マンションの価格高騰が続いているため、中古マンションが選択肢として注目されており、住宅ローン減税や金融機関の住宅ローンの条件緩和が影響していると考えられます。また最近では比較的古いマンションを購入して、リノベーションして住む人が増えてきているのも要因の一つでしょう。
中古マンションの平均寿命と耐用年数

中古マンションの寿命は、築何年と考えたらよいのでしょうか。ここでは物理的な寿命と、減価償却する際の法定耐用年数の観点から解説します。
建物の物理的な寿命
鉄筋コンクリート造の建物は耐久性が高く、その寿命は50年とも100年ともいわれています。しかし実際には建物が倒壊するまで放置せず、寿命を迎える前に解体するケースがほとんどで、築100年のマンションは実在しません。
固定資産税台帳のデータをもとに、建物を滅失した年数をもとに寿命を推定した研究結果によると、コンクリート系の建物の寿命は68年としています。
出典:国土交通省「「中古住宅流通促進・活動に関する研究会」報告書 取りまとめ後の取組紹介」
減価償却ができる法定耐用年数
建物の耐用年数を示す数字として、法定耐用年数があります。法定耐用年数とは、資産を会計処理上減価償却する際に用いる年数のことを指し、法令によって建物の構造や用途に応じて定められています。
なお、鉄骨鉄筋コンクリート(鉄筋コンクリート)造の住宅の法定耐用年数は47年です。つまり47年でマンションの価値はゼロになりますが、法定耐用年数=寿命を意味するわけではありません。
出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
中古マンションの資産価値と築年数の関係

次に中古マンションの資産価値を、築年数ごとに見てみましょう。下記では、東日本不動産流通機構(レインズ)が公表したデータをもとに、各築年帯の成約価格・平方メートル単価・下落率をまとめています。
建物は経年により劣化するため、資産価値も年々減少します。築25年頃に資産価値は5割程度になりますが、築31年以降の下落率はほぼ横ばいです。つまり建物の価値がなくなっても、土地の資産価値が残ることがわかります。
築年数 (年) |
成約価格 (万円) |
平方メートル単価 (万円/平方メートル) |
下落率 (%) |
---|---|---|---|
0~5 | 7,808 | 126.08 | 0.0% |
6~10 | 7,156 | 109.09 | ▲13.5 |
11~15 | 6,619 | 99.35 | ▲21.2 |
16~20 | 5,972 | 85.07 | ▲32.52 |
21~25 | 5,320 | 74.71 | ▲40.7 |
26~30 | 3,835 | 57.71 | ▲54.2 |
31~35 | 2,455 | 40.54 | ▲67.8 |
36~40 | 2,742 | 41.24 | ▲67.3 |
40~ | 2,351 | 47.66 | ▲62.2 |
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)」
中古マンションの築年数ごとのメリット・デメリット

中古マンションを購入する際は、築年数ごとの特徴を把握したうえで選びましょう。ここでは、築年帯別それぞれの、メリット・デメリットを紹介します。
築10年未満のマンションの特徴
築10年未満のマンションは、新築時からそれほど年数が経過していません。内装や設備の状態がよいケースが多く、大掛かりなリフォームをせずに済みます。
新築マンションと比べても、遜色ないマンションを割安に買えるかもしれません。新築マンションの購入を検討している方は、築浅マンションも視野に入れて探してみましょう。
築10年未満のマンションのメリット
- 新築マンションよりも安く購入できる
- リフォーム費用を安く抑えられる
- 比較的新しい設備が採用されている
築10年未満のマンションのデメリット
- 中古マンションとしては割高の傾向である
- 物件数が比較的少ないため選択肢が少ない
- 新築マンションではかからない仲介手数料がかかる
築10年~20年のマンションの特徴
築10年~20年は、給湯器やガスコンロなどの設備が寿命を迎える頃です。売主が交換をしていない場合、交換の必要性が出てくるでしょう。
大規模修繕工事を実施するのも築15年頃が多いため、購入時は実施済みか否かを確認しましょう。築20年以内のマンションは新耐震基準で建てられているため、耐震性を重視したい方に向いています。
築10年~20年のマンションメリット
- 建物の状態と価格のバランスがよい
- 建物の耐震性に不安要素がない
- 大規模修繕工事完了後の物件を購入できる可能性がある
築10年~20年のマンションデメリット
- 物件によっては設備の交換などリフォーム費用がかかる
- 購入後すぐに大規模修繕工事を迎える可能性がある
- 修繕積立金が値上げされる可能性がある
築20年~30年のマンションの特徴
築20~30年になると、築浅の頃に比べて5割程度の価格になっていることが多く、比較的購入しやすい時期です。
リフォーム費用はある程度かかりますが、1回目の大規模修繕工事を終えているタイミングでもあり、外装がきれいになっているでしょう。築20年~30年のマンションはストック戸数が多く、選択肢が増えるため、立地条件を重視したい方に向いています。
築20年~30年のマンションのメリット
- 購入しやすい価格帯のマンションが多い
- ストックが多いため立地条件がよいマンションが見つかりやすい
- 大規模修繕工事後のタイミングであるケースが多い
築20年~30年のマンションのデメリット
- 高額なリフォーム費用がかかる傾向がある
- リフォーム内容によっては住みながらのリフォームが難しい
- 外観デザインや給水管など共用部分は分譲当時のままである
築30~40年のマンションの特徴
築30~40年のマンションは、建物の資産価値が下がりきっているため、予算を抑えて購入できるでしょう。また築30~40年のマンションも新耐震基準で建てられているので、耐震性も譲れない方でも安心です。
マンションが建てられ始めた初期の頃に分譲されていることもあり、駅近など立地条件がよい物件が比較的多いことも。リフォームに多額の費用がかかる可能性がありますが、安く購入できるため、購入後にリノベーションを計画している方に向いています。
築30~40年のマンションのメリット
- 予算を抑えて購入できる
- リノベーションをして自分好みの家を実現できる
- 駅近など立地条件がよいマンションが多い
築30~40年のマンションのデメリット
- リフォームやリノベーションに多額の費用がかかる
- リノベーションをする場合すぐに入居できない
- 金融機関の担保評価が低く、希望額の借入ができないことがある
築40年~50年のマンションの特徴
築40~50年のマンションは現行の新耐震基準(1981年6月1日以降に確認申請をしたマンション)を満たしていないマンションが多いものの、耐震補強工事実施済みのマンションもあります。そのためただちに倒壊のおそれがあるわけではありません。
維持管理状況や建て替え計画の有無は、売主もしくは不動産会社に確認してみましょう。フルリノベーション済みの物件もあり、できるだけ予算を抑えて購入したい方に向いています。
築40年~50年のマンションのメリット
- マンションを比較的安い価格で購入できる
- 価格によっては住宅ローンを借りず自己資金で購入できる
- 購入しやすい価格帯のリノベーション済みの物件もある
築40年~50年のマンションのデメリット
- 現行の新耐震基準を満たしていないマンションがある
- 修繕積立金が高い傾向がある
- マンション建替えを検討する時期である
- 金融機関の担保評価が低く、住宅ローンの借り入れが難しい
中古マンションを購入する前に気を付けるべきポイント

中古マンションを購入する際は、どのようなポイントに気をつけたらよいのでしょうか。主な注意点を6つ紹介します。
計画的に適切な修繕がおこなわれているか
適切な時期に修繕がおこなわれているマンションは住みやすく、資産価値も維持しやすくなります。国土交通省が定めた「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に基づいて、大規模修繕工事が計画されているか確認しましょう。例えば給排水管など配管の劣化を放置してしまうと、水質劣化や漏水の原因になりかねません。大規模修繕工事によって配管が交換されているのかも確認しましょう。
管理状態が良好かどうか
マンションの資産価値は、管理状態の良し悪しが影響します。管理委託先や管理形態(日勤や巡回など)を確認し、内覧の際は共用部分がきちんと清掃されているのか、ゴミ置き場の状態、照明器具が故障したままになっていないかなどもチェックしましょう。
空室がどれくらいあるか
マンションの築年数が高くなるほど区分所有者も高齢化し、空室率が高くなる傾向があります。空室が多いと管理組合が正常に機能しづらくなる傾向があるため、購入前に空室がどのくらいあるのか確認しておくと安心です。
地震が起きた時、安心できる物件かどうか
中古マンションには現行の新耐震基準を満たしているマンションと、旧耐震基準で建てられているマンションがあります。耐震性を重視する場合は、1981年6月1日以降に確認申請をした新耐震基準のマンションを選びましょう。
住宅ローンを利用できる物件かどうか
例えば旧耐震基準など、中古マンションの築年数によっては金融機関の担保評価が低く、住宅ローンが利用できないケースがあります。特に築年数が経っているマンションの購入を検討する際は、早めに金融機関へ相談しましょう。
ちなみに住宅ローン控除を受けるには、新耐震基準に適合した住宅である必要があります。1981年以前に建てられた住宅でも、新耐震基準に適合している住宅であることを証明できれば要件を満たすことになります。
しかし、耐震基準適合証明書を取得することは難しく、住宅ローン控除の適用を希望する場合は、1982年以後に建てられたマンションを選ぶことになるでしょう。
参考:国土交通省「住宅ローン減税」
設備表や物件状況報告書を確認する
内覧の際には、気付かなかった不具合や傷がある可能性があります。専有部分の状態や設備の有無は、設備表や物件状況報告書(売買契約締結前に説明あり)で確認しましょう。
中古マンション購入後にかかる維持費はどれくらい?

中古マンション購入後には、維持費がかかります。住宅ローン返済以外にかかる費用が、どのくらいかかるのか把握しておきましょう。ここでは、一般的にかかる費用を紹介します。
管理費
管理費とは、マンションの共用部分の電気代や水道費、管理会社へ支払う管理委託料などをまかなうために、区分所有者が毎月支払う費用のことです。マンションの規模により異なりますが、月額1.5万円~2万円が目安です。
修繕積立金
修繕積立金とは、マンションの修繕や大規模修繕工事に備えて、区分所有者が毎月積み立てるお金のことです。マンションの規模や築年数によって異なりますが、月額1.6万円~3万円が目安です。
固定資産税・都市計画税
固定資産税・都市計画税(市街化区域が対象)とは、土地や建物など固定資産を所有している人に対して課される税金です。不動産の評価によって税額は異なりますが、年額10万円~30万円が目安となります。
保険料
住宅ローンを借り入れる際は、火災保険への加入が条件になるケースがほとんどです。火災保険のほか、地震保険にも加入する際はさらに保険料がかかります。保険会社やプランにもよりますが、年額1.5万円~5万円が目安です。
駐車場代
車を所有している場合は、駐車場代がかかります。立地によって相場が異なりますが、5,000円~3万円が目安です。
まとめ
最後に、中古マンションの需要や資産価値、購入する前に気を付けるポイントをおさらいします。
中古マンションの平均寿命と耐久年数は?
鉄筋コンクリート造のマンションは耐久性が高く、その寿命は50年とも100年ともいわれています。しかし、固定資産税台帳のデータをもとに、マンションを滅失した年数をもとに推定した研究結果によると、平均的な寿命は68年としています。
中古マンションの資産価値と築年数の関係は?
中古マンションは経年により劣化するため、年数とともに資産価値も減少します。築25年で分譲価格の5割程度になり、築31年以降は3割程度と底値になります。
中古マンションを購入する前に気を付けるべきポイントは?
中古マンションを購入する際は、修繕や維持管理が適正におこなわれているか確認し、空室率や耐震性もチェックしておくと安心です。専有部分の状況は、設備表や物件状況説明書で確認します。また住宅ローンを借りる際、築年数によっては金融機関の担保評価が低く、希望額の借入ができない可能性があるため、早めに相談しておきましょう。
中古マンションは築年数ごとに特徴が異なり、価格帯もさまざまです。また立地条件や部屋の向きによっても価格が異なるため、予算や条件に合わせて選べるのも魅力です。不動産会社に相談する際は、優先順位も含めて希望を伝えて、物件探しをスムーズに進めましょう。
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