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【災害対策】地震や台風に備える!部屋探しでチェックするポイントまとめ

みなさんは部屋探しの際、どのようなところにこだわって物件を選びますか?家賃はもちろん駅や買い物施設までの距離、築年数や間取り、設備についてはこだわりのある方は多いと思いますが、大きな地震が起きたり、大型台風が直撃したりしたときのことまで想定しているでしょうか。

気象庁の「震度データべース」によると、震度4以上の地震が2019年は40回、2020年は45回、2021年は54回 と年々増えていることがわかります。地震や台風などの自然災害が比較的多い日本では、地震や台風が起きる危険は常に身近なものといえるでしょう。
そこで、この記事では災害に備えるための部屋探しのポイントをご紹介します。

みんなは災害や防災を意識して部屋探しをしている?

ここ数年、地震や台風、豪雨などの自然災害が多くて心配になりますよね。アットホームで賃貸物件に住んでいる20~50代の男女416名を対象に、防災に対する意識調査をおこないました。すると、以下の結果となりました。

今の住まいを探す際、防災を意識した?

(出典:アットホーム株式会社 アンケート調査「2020年消費者と不動産会社に聞いた!住まいの防災意識に関する調査」

全体的に見てみると「はい」と答えたのは32.5%と少なく、半数以上の方は防災を意識せずに部屋探しをしていたと回答。特に40代や50代になると、70%以上が「防災を意識していない」という結果になりました。

次の住まいを探す際、防災を意識して探そうと思う?

(出典:アットホーム株式会社 アンケート調査「2020年消費者と不動産会社に聞いた!住まいの防災意識に関する調査」)

さきほどのアンケートとは対照的に、次に部屋探しをするに際には75.5%の方が「防災を意識して住まいを探したい」と回答しています。40代でも70%以上、50代では80%以上が防災を意識して住まい探しをおこないたいと思っているようです。

つまり、防災を意識せずに部屋選びをした結果、実際に災害の被害にあい後悔している方も少なからずいらっしゃるということかもしれません。安心・安全に生活するために、「防災意識」は非常に大切なポイントだといえるでしょう。

災害に強い部屋探し、チェックすべきポイントは?

実際に災害に強い部屋を探そうとしても、どうやって探せばよいのか分からない方も多いかもしれません。以下、代表的なポイントを挙げて解説します。

内見前にチェックできること

ハザードマップをチェックする

国土交通省などの機関が公表している、災害の危険を表した地図が「ハザードマップ」です。ハザードマップを見ると、災害の発生しやすさや発生したときの危険度を確認できます。
部屋探しの際は、物件が立地するエリアをハザードマップでチェックしましょう。
ハザードマップは、市区町村や国土交通省が運営している「ハザードマップポータルサイト」でも確認できます。
なお、ハザードマップについての詳しい情報は以下の記事で詳しく紹介していますので併せてご覧ください。

耐震基準をチェックする

「耐震基準」とは建築基準法で定められている建築物の耐震能力を測る基準のことです。
建築基準法は、時代の変化や建物を建てる技術の変化によって改正がおこなわれており、現在の「新耐震基準」と1981年の改定以前の「旧耐震基準」に分かれています。
そのため、中古物件を購入する際には事前にホームインスペクション(住宅診断)をおこなうことをおすすめします。

  建物検査(ホームインスペクション)の情報付き物件を探す
旧耐震基準とは?

1981年6月1日より前に施行されていた耐震基準を「旧耐震基準」と呼びます。旧耐震基準では、「震度5程度の揺れに耐えられること」と「建物自重の20%の地震力が加わっても影響がないこと」が安全とされていました。

新耐震基準とは?

旧耐震基準が改正され、より厳しく安全を追求するようになったものが「新耐震基準」です。新耐震基準では、「震度6強~7弱の揺れにも耐えられること」が安全とされています。さらに「地震力」に対する部材の応力が許容応力以下であり、一定以上の規模の建物は「靱性を有していること」も基準に加わり建物強度のバランスも重視されています。

木造住宅の耐震性は?

鉄筋の建物と木造住宅では、耐震性を確認する際の基準が異なります。木造住宅は鉄筋より地震に弱いと思われる方がいるかもしれませんが、実際にそうは断定できません。建物を揺らして地震力を逃がす「在来工法」や面で揺れを受け止める「ツーバイフォー工法」など、耐震性を高めるための工法で建てられているかを確認しましょう。

建物の構造をチェックする

安全に暮らせる建物には「耐震構造」がほどこされています。以下、耐震構造やその他の構造についてご説明します。

「耐震」「制震」「免震」の構造の違い
耐震構造とは?

地震が起こった時建物に及ぶ影響は、水平方向に加わる力をどう対処するかで決まります。水平方向に加わる力を抑えたり、逃がしたりするための構造が「耐震構造」です。
具体的に、「柱、梁、床、壁の配置」主要部分のバランスや剛性・靱性などが、耐震構造を確立するために必要なポイントとされています。

制震構造とは?

耐震構造が揺れに影響を受けないための構造なのに対し、揺れを吸収するための構造が「制震構造」です。建物内に制振装置(ダンパー)を設置し、地震の揺れを吸収させます。地震の揺れが上層にいくほど増幅する高層マンションなどに有効です。

免震構造とは?

地震が起こったときの揺れをできるだけ小さくする方法が「免震構造」です。免震構造では、基礎と土台の間にゴムをつめるなどの方法が用いられています。揺れが少ないため、家具家電の転倒が抑えられるのもポイントです。

建築年をチェックする

築年数が経つほど、建物の耐震力は弱まっていきます。
純粋な築年数はもちろん、「1981年6月1日以降に建てられたかどうか」も重要です。
さきほどもお伝えしたように、建物の耐震基準は「新耐震基準」と「旧耐震基準」に分かれます。「旧耐震基準」の建物でも耐震補強などがおこなわれている場合もありますので、築年数がたっている物件であるならば、一度不動産会社に相談してみるとよいでしょう。

階数をチェックする

一般的にマンションなどの建造物では、階数が高いほど揺れも大きくなります。とくに高層マンションの高層階の場合、長周期地震動により長い時間大きく揺れることも。
つまり、家具や家電の転倒リスクも高くなる傾向にあります。また、避難する際は、エレベーターを利用すると危険ですので、階段を使って逃げることになるでしょう。階数が高い部屋であればそれだけ時間と労力がかかります。特に高齢者や小さな子どものいる家庭なら、高層階は避けた方がよいかもしれません。

内見時にチェックできること

防災面で気になるポイントは、内見時にチェックしておきましょう。以下に、主なチェックポイントを挙げました。

室内をチェックする

まずは、おおまかに室内の構造を見ていきます。十分なスペースがあり、避難時の動線を確保できるかイメージしましょう。なお、内見の時点では部屋に家具や家電がありません。そのため、自分が暮らし始めたらどのような配置になるかまで想像することが重要です。

建具の立て付け

建具に歪みがなく、開閉はスムーズかをチェックしましょう。なぜなら災害が起こったとき、建具の立て付けが悪いとドアが開かず速やかに避難できないこともありえるからです。

床や壁

斜めになっていたり、へこみが多かったりする床は要注意です。すでに経年劣化が起こっており、強い地震に耐えられない可能性もあります。壁が安全かどうかも併せて確認しましょう。たとえ小さな亀裂だとしても、地震が起こればそこから崩壊するかもしれません。

雨戸やシャッター

台風や豪雨のときには、風で飛んでくるゴミや木の枝、石などにも注意しなければなりません。これらの被害から窓ガラスを守るには、雨戸やシャッターがあると便利です。あらかじめ、雨戸やシャッターの有無を確認しておきましょう。

ガラスの強度

強化ガラスや合わせガラスだと、台風などの際にガラスが割れにくくなりますので、内見する際にはガラスの強度もチェックしておくとよいでしょう。万が一1枚ガラスで不安の際には、ガラス強化シートやシールなども販売されているので、自分で張り付けるのもひとつの方法です。

バルコニーやベランダ

バルコニーやベランダの状態もしっかり見ておきましょう。災害時に火災が発生した場合、バルコニーやベランダから逃げることになるかもしれません。亀裂が入っていたり、すでに壊れていないかチェックしましょう。

室外をチェックする

物件選びで室内をチェックし終わったら、周辺環境も見ておきましょう。以下のような点を確認しておくと、いざという際に安心感が高まります。

共有部や非常階段

集合住宅では、共有部や非常階段を確かめておきましょう。玄関口やエレベーター前などの共有部は住人の誰もが使用する場所であり、災害時の避難経路になる可能性もあります。通路に物が置かれていたらスムーズに移動できません。また、非常階段の位置を確かめ、速やかに利用できる距離や状態であるかも確認しておきましょう。

外壁やフェンス

壁やブロックにひびが入っていると、地震のときに崩壊する恐れがあります。また、サビついて耐久力の弱くなったフェンスも危険です。すでに壊れているフェンスは、台風のとき風に飛ばされてくる可能性もあります。外壁やフェンスに異常がなく、耐久性の強いところを選びましょう。

建物周辺をチェックする

建物の周辺を見渡し、台風の際に飛んできそうなものがないかをチェックします。たとえば折れそうな枝のある木、はずれかけた看板などが近くにある場合、災害時に危険がおよぶかもしれません。その他、地面に断裂がないかなど丹念に見るようにしましょう。

近隣の避難場所をチェックする

あまり避難所までの距離が遠いと、災害時に逃げ遅れかねません。たとえ近い距離にあっても、障害物が多かったり、混雑しそうだったりする道は安全とはいいにくいでしょう。子どもや高齢者がいるご家庭なら、特に避難所までの道のりには気を付けたいところです。

自分でできる防災対策

地震や台風に強い住まいに頼るだけではなく、自分でできる防災対策もあります。その代表例が「防災グッズの準備」です。非常食や衣服、薬や充電器など、普段から防災グッズをまとめておけば、いざというときに役立ちます。避難所での生活はもちろん、自宅での在宅避難の際にも安心して暮らせます。

また、普段からご近所とコミュニケーションをとることも防災対策に繋がります。緊急時には近隣住民との助け合いが必要です。お互いの生存確認はもちろん、物資を貸し借りしたり、作業を手伝ったりする場面もあるでしょう。その際、普段から付き合いがあればそれだけ協力しやすくなります。助け合える関係を作っておくことも、緊急時に役立つ心がけです。

詳しい防災対策については、以下記事でもご紹介していますのでチェックしてみてください。

まとめ

部屋探しでは、「建物構造」や、「周辺環境」などから防災対策を意識することが必要だということがわかりました。また、内見する際にも実際に住むイメージを持ちながら避難時のことも考えて部屋選びをすれば、実際に災害に合った際にも落ち着いて行動できるのでないでしょうか。本記事で取り上げた内容を、参考に安心して暮らせる素敵な住まいを見つけましょう。

執筆者

小倉 ひろ

京都府在住。フリーライター、イベンター。地元で文化事業の運営をしてきた経験から、地方行政に興味を持つ。まちおこし、一次産業についての記事を数多く執筆。近年では愛猫との生活を経て、ペット関係の文章も手掛けている。

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