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持ち家と賃貸どっちがお得?メリットとデメリットを徹底比較

家を引越す際に、「賃貸と持ち家は、どちらがお得なんだろう?」と気になる方は多いと思います。毎月賃料を支払うのはもったいない気もするし、とはいえ持ち家を購入するには大きなお金が必要となります。特に結婚や出産などのタイミングでは、自分たちにどちらが合っているか頭を悩ませる問題かもしれません。
この記事では賃貸と持ち家でどちらがお得なのか、両方のメリットとデメリットを取り上げて解説します。比較検討しながら、家を選ぶ際の参考にしてみてくださいね。

持ち家のメリット・デメリットを比較・解説

持ち家のメリット

まずは、持ち家に住むメリットを見ていきましょう。

自分の資産になる

持ち家は購入したものですので、自分の資産になります。もし何らかの理由で手放すことになれば、売却することでお金が入ってくるわけです。基本的に時間の経過によって資産価値は低下していきますが、立地や状態などにより資産の落ちにくい家もあります。中にはしばらく居住した持ち家を、購入時と同等もしくはそれ以上の金額で売却したというケースも少なくありません。あるいは老後、自分の子どもに資産として残しておくこともできます。

ローン完済後は月々の負担額が減る

住宅ローンを完済した後は、固定資産税や修繕積立金などの支払いのみで住み続けられます。固定資産税とは、不動産などの固定資産に対して課される地方税のこと。住宅を購入すると、毎年払い続けなくてはいけません。なお、固定資産税は地方によって多少違いがあるものの、基本的に以下のように計算されます。持ち家の価値によって金額は異なりますが、おおむね10~15万円程度が目安となるでしょう。

  • 固定資産税=不動産の評価額×固定資産税税率1.4%

修繕積立金は、持ち家がマンションの場合に発生します。これは大規模修繕や不測の事態への備え、共用部の工事費用などのための準備金です。金額はマンションによって異なりますが、国土交通省による「平成30年度マンション総合調査」によれば、一戸当たりの修繕積立金の平均額は平成30年(2018年)時点で月11,243円となっています。

参考:平成30年度マンション総合調査結果

老後に安心できる

老後は健康面への不安があり、居住している間に万が一のことが起きる可能性があります。また、収入がなくなるため、支払い能力を懸念されるケースも少なくありません。そのため、老後は一般的に賃貸物件が借りにくくなるといわれています。持ち家があれば、そうした不安を抱くことなく暮らしを継続できるでしょう。

自由に建て替えやリフォームができる

賃貸は借りているもののため、室内外のリフォームが基本的におこなえません。自分好みの部屋にしたり、生活状況に応じて住みやすく変えたりすることができないのです。一方、持ち家なら自由にリフォームしたり、建て替えたりできます。例えば家族構成の変化などに応じ、最適な住環境を作ることが可能です。

持ち家のデメリット

持ち家にはデメリットもありますので、合わせて確認しておいてください。

まとまった費用が必要

持ち家を購入する際には、以下のように多くのまとまったお金がかかります。

  • 購入金額の頭金
  • 売買契約の手付金
  • 不動産売買契約書等の印紙代
  • 不動産仲介会社への仲介手数料(※)
  • 住宅ローン借入に関わる費用(事務手数料、保証料、火災保険料 等)
購入時の状況によっては、上記のほかにも何らかの費用が発生する場合もあるでしょう。賃貸と比べて、最初に必要なお金が多い点は一つのデメリットです。

※不動産会社が売主の場合、売主から不動産を直接購入する場合を除きます。

気軽に引越しができない

持ち家があって引越す場合、持ち家を売却するか賃貸に出す必要が生じます。いずれも相当な手間と時間がかかるので、簡単ではありませんし、住宅ローンが残っている場合は制限もあります。持ち家をそのまま残して引越すこともできますが、定期的に管理しないと家が劣化しますし、住んでいなくても固定資産税などの税金が発生します。

ローンが負担になる可能性がある

多くの場合、住宅購入では住宅ローンを利用するでしょう。月々の返済が求められますので、これが負担になる可能性があります。たとえ病気や事故などで働けなくなっても、住宅ローンが消えることはありません。実際、新型コロナウイルスの感染拡大による経済状況の悪化を受けて、住宅ローンが払えなくなったり、生活を圧迫していて不安を感じていたりする方は急増しているようです。万が一の際には、すぐ住宅ローンを契約している金融機関に相談しましょう。金融機関によって、負担軽減の措置を検討してくれます。

また、事前の備えとして、住宅ローンは余裕を持って生活できる無理のない金額で借り入れることが大切です。出産や子どもの進学など将来に見込まれるライフイベントがあれば、これにかかる費用も踏まえて検討してください。

修繕費等がかかる

マンションであれば、住宅ローンの他に修繕積立金などの費用が住んでいる限り発生します。また、一戸建てでも家は劣化しますので、定期的なメンテナンスや修繕が必要です。たとえ住宅ローンを完済しても、その後まったく費用負担なく住み続けられるわけではありません。

賃貸のメリット・デメリットを比較・解説

賃貸のメリット

続いて、賃貸に住むメリットをご紹介します。

好きな時に好きな場所に住める

賃貸は、期間が決められている定期借家契約を除き、基本的に居住期間などの縛りがありません。1カ月前を目安として退去を伝えれば、好きな時に好きな場所へ引越せます。例えば転勤が多かったり、定期的に環境を変えたかったりという方にとって、これは大きなメリットといえるでしょう。あるいは住民間のトラブル等が起きた場合でも、引越すことで回避できます。

建物の管理や修繕費用の負担がない

例えば備え付けの設備が壊れても、賃貸では基本的に大家さんが修理費用を負担します。これは、例えば地震による損傷でも同じです。居住者ではなく大家さんに修繕義務があり、生活に支障をきたさない状態に修繕しなくてはいけません。

固定資産税を払う必要がない

賃貸は資産を保有しているわけではなく、あくまで大家さんから借りた家に住んでいます。そのため、居住者が固定資産税を支払う必要はありません。基本的には、賃料や更新料の負担のみで住むことができます。

賃貸のデメリット

賃貸のデメリットについて、持ち家との比較も交えながら見ていきましょう。

自分の資産にならない

賃貸は、借りて住む権利を月々の支払いにより得ている状態です。どれだけ長く住んでも、あるいはどれだけ多くの賃料を支払っても、住居が自己資産になることはありません。

家賃を払い続ける必要がある

賃貸は、住んでいる限り家賃を支払い続ける必要があります。当然のことながら、支払いを止めたり支払えなくなったりすれば、そこに住み続けることはできません。住宅ローンと異なり、支払いの合計額には上限がないのです。

設備グレードが低い

物件によりますが、賃貸物件の設備や建具は、分譲マンションのものに比べてグレードが低いことが多いでしょう。分譲賃貸なら設備グレードは高いかもしれませんが、自由に変更することはできません。あくまで、用意された設備等の環境で住み続けることになります。また、持ち家なら自由に好みの間取りや設備を選んで家を建てられますし、リフォームすることも可能です。しかし賃貸物件では、いくら不満があっても勝手がききません。

持ち家と賃貸どっちがお得?生涯コストを比較

金銭面から、持ち家と賃貸とでどちらがお得なのか比較してみます。

持ち家に住み続けた場合の生涯コスト

ここでは以下条件で一戸建てを購入し、80歳まで住んだ場合の生涯コストを試算してみます。

【購入条件】

  • 購入時の年齢:30歳
  • 世帯年収:800万円
  • 購入価格:4,500万円
  • 自己資金:1,000万円
  • 35年ローンの金利:1.5%(固定金利)
  • 返済方法:元利均等
  • ボーナス返済:なし

このケースでは、毎月の返済額が10万7,164円になります。固定資産税や都市計画税の金額を1年間10万円として、生涯コストを見てみましょう。

【生涯コスト】

購入時頭金:1,000万円
購入時諸費用:250万円程度
住宅ローン返済総額:10万7,164円×12カ月×35年=約5,150万円
修繕費(仮定)
外壁・屋根:10年毎100万円×5回=500万円
水回り・内装:500万円
固定資産税:10万円×50年=500万円
住宅ローン控除:残高×1%×10年=-約386万円
すまい給付金(※):-10万円

上記から、生涯コストは約7,504万円となります。

(※)2022年12月31日までに入居した場合と仮定

賃貸に住み続けた場合の生涯コスト

続いて、持ち家のケースと同等程度の一戸建て賃貸へ、50年間住み続けた場合の試算も見てみましょう。

  • 間取り:3LDK
  • 広さ:90平方メートル
  • 賃料:月15万円×12カ月×50年=9,000万円
  • 敷金(賃料の2カ月分):15万円×2=30万円
  • 礼金(賃料の2カ月分):15万円×2=30万円
  • 更新料(賃料の1カ月分、2年更新):15万円×39回=585万円

上記から、生涯コストは9,645万円となります。

生涯コストで考えるとどっちがお得?

試算の結果、賃貸より持ち家の方が、生涯コストで見るとお得という結果になりました。ただし、お住まいの地域や購入する家の金額によって結果は大きく変わります。大切なのは、ご自身がどれくらいの金額のローンを組めるのかシミュレーションしてみること。下記で簡単にシミュレーションできますので、まずは住宅ローンの借入可能額を確認してみましょう。

あなたは持ち家向き?賃貸向き?特徴を解説

持ち家向きの人の特徴

仕事や収入が安定している人

持ち家の購入には、初期費用だけでも大きな資金が必要になります。また、購入後も住宅ローンの返済や修繕積立などをおこなわなければいけません。仕事や収入が安定していれば初期費用も余裕を持って用意しやすく、ローン返済の計画も立てやすいでしょう。

家を持つことに魅力を感じる人

「家を持つこと」に憧れがあり、ひとつの人生目標として考えている人も少なくないでしょう。そういう人は、家を持つことで仕事や生活に前向きになれたり、所有欲を満たしたりと、メンタル面でプラスの効果が期待できそうです。先に持ち家のメリットについてご紹介しましたが、これを踏まえて持ち家に魅力を感じたなら、購入を検討してみるとよいかもしれません。

リフォームやDIYを自由に楽しみたい人

賃貸では、どうしても家のアレンジなどに制限が生じます。工夫次第で楽しむことはできますが、やはり自由なリフォームやDIYは難しいでしょう。持ち家であれば、自分の自由に部屋を改築することもできます。

ペットを飼いたい人

賃貸物件にもペット飼育可能というものはありますが、例えば大型犬などの飼育は難しいでしょう。ペット飼育が可能といっても、飼える動物などに制限があることも考えられます。持ち家なら、誰にも遠慮することなくペットを飼うことが可能です。

賃貸向きの人の特徴

転勤が多い人

転勤が多いと、たとえ家を買ってもすぐ単身赴任になってしまう可能性があります。しかし、賃貸であれば家族と一緒に拠点を移せるでしょう。転勤が多いからこそ帰る家(持ち家)が欲しいという考え方もありますが、特に子どもが小さくて離れたくないといった場合は、賃貸の方がよいかもしれません。

色んな仕事に挑戦したい人

場所を問わず転職してさまざまな場所でキャリアを積みたい、あるいは地方移住して起業したいといった野心的な人は、住む場所にとらわれない賃貸をおすすめします。

自由な人付き合いを好む人

一度家を買ってしまえば、たとえ近隣に迷惑な人が住んでいたり、住んでいる中でトラブルが起きたりしても、基本的に住み続けなければいけません。しかし賃貸なら、気軽に引越すことができます。人間関係などに悩まず自由に暮らしたい人には、賃貸が向いているでしょう。

転職したばかりの人

たとえある程度お金に余裕があっても、転職直後は持ち家ではなく賃貸に住んでいた方がよいかもしれません。何らかの要因で仕事が継続できず、一時的にでも仕事から離れる可能性もあるでしょう。あるいは、思ったよりボーナスが少なく、見込んでいたほどの年収が得られないかもしれません。そうなれば、住宅ローンの返済計画が狂ってしまいます。もちろん将来的に再び転職することはあり得ますが、いったん現在の職場で仕事に慣れ、見通しが立った段階で持ち家を検討した方がよいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?持ち家と賃貸には、それぞれにメリットとデメリットがあります。賃貸はいくら長く住んでいても自己資産にはなりませんが、持ち家は資産となるため、将来的に売却することも可能です。一方、持ち家は購入時に多くの資金が必要になります。しかし賃貸なら、敷金礼金程度の少ない費用で収まるでしょう。本記事の内容を、自分のライフスタイルやライフステージ、考え方などに合わせた家選びに役立ててください。

執筆者

三河 賢文

ナレッジ・リンクス(株)代表、NPO法人HASHIRU理事、WILD MOVE主宰/ランニングトレーナー。

“走る”フリーライターとして活動。学生時代から15年以上の経験を持ち、現在はディレクションや編集業務も手掛ける。結婚後はライフステージの変化に応じて5回引っ越し。現在は都内の持ち家を手放して千葉県へ移住し、田舎暮らしを楽しむ。趣味はマラソンと薪割り。4人の子と1匹の犬と暮らす大家族フリーランス。

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憧れのマイホームの購入。それは多くの人にとって一生で最も高額な買い物かもしれません。それだけに、家の立地については大きな迷いが生じることもあります。どんな場所を選んでもメリットとデメリットが併存するだけに、ここがベストだという土地を選ぶのは、なかなか難しいことです。それでも、立地を決めるためのポイントはあります。いくつか候補地がある中で、「何を重視すれば自分にとって住みやすいのか」を明確にして、より良い選択をしましょう。
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