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防災公園とは?どんな施設がある?近所にあると便利な公園をご紹介

防災公園とは?

「防災公園」って知っていますか?平常時は近隣の人々の憩いの場、レクリエーションの場として親しまれていますが、災害発生時には人々の命を守るための防災拠点としての役割を担い、都市部の防災構造を強化するために整備された公園をいいます。

防災公園の必要性

都市部は人口が多く建物も密集していることから災害時の危険性が高く、多くの避難者や救援物資を収容するために広大なスペースが必要になります。誰もが立ち寄れて平常時も活用でき、防災施設が整備された防災公園が都市部の防災性を向上するためにも必要とされています。

防災施設

防災公園には主に以下のような設備が整っています。

備蓄倉庫

救助・救護用品、食料品や水、毛布、衛生用品といった生活用品などを収納しています。

耐震性貯水槽

耐震性貯水槽とは、災害時の飲み水・生活用水を貯めるものです。普段は水道管の一部として使用されており、地震が起きた際には、耐震性貯水槽の流出入管に設置されている緊急遮断弁が作動し、貯水槽内に水を確保できる仕組みになっています。

揚水ポンプ

手動で近くの川や池、地下の貯水槽などの水源から水を汲み上げることができる水道ポンプです。生活用水を確保するために利用します。

災害用便槽(マンホールトイレ)

下水道管路にあるマンホールの上に簡易なトイレ設備を設け、災害時でも既存のトイレ機能を維持でき衛生環境が保てるものです。

かまどベンチ・スツール

平常時はベンチですが、災害時には炊き出し用の「かまど」として利用できる設備です。かまどとしてだけでなく、寒い季節には暖をとることもできます。

平常時時はベンチ、災害時はかまどとして利用できる「かまどベンチ」(イメージ)

防災パーゴラ

平常時は主に公園の休息施設として利用するパーゴラ(つる性の植物を絡ませる木材などで組んだ棚のことで学校や公園では藤棚としてよく見る棚)ですが、災害時には設備の骨格を利用してテントを張り、救護室などに利用することができます。

パーゴラのイメージ

防災あずまや

あずまや(庭園や公園内に設置されている休憩や眺望のための小屋で壁のないタイプが多い)の柱と柱の間にシートを張ることで部屋として活用することができます。シートは軒下やベンチ等に収納されています。

あずまや(東屋)のイメージ

太陽光発電の照明

太陽光エネルギーを電気に変換し、停電した場合や悪天候時でも、周囲を照らしてくれる設備です。

そのほか大規模災害時の活動拠点となる防災公園には、ヘリポートや放送施設、情報通信施設、延焼防止のための散水施設なども整備されています。

防災公園の種類

防災公園にはいくつか種類があり、役割もそれぞれ異なります。皆さんの周りにはどんな種類の防災公園があるか、普段からチェックしておくと安心ですよ。

広域防災拠点

広域防災拠点とは、都道府県などの自治体の管轄区域を越えた大規模な災害が発生した時に、自衛隊や警察、消防など広域応援のベースキャンプや物資の流通・配給基地等に活用される場所をいい、概ね都道府県によりその管轄区域内に1箇所~数箇所設置されています。主に以下のような機能を活用し広域的な災害に対応、復旧・復興のための活動拠点になります。

  • 災害対策本部またはその補完機能
  • 広域支援部隊等の活動要員の一時集結・ベースキャンプ機能
  • 災害医療活動の支援機能
  • 救援物資の中継・分配機能
  • 海外からの救助活動要員の受け入れ機能
  • 海外からの救援物資の受け入れ機能

広域的な災害に対応するため、おおむね50ヘクタール以上の広さが必要とされています。

地域防災拠点

地域防災拠点とは、災害時の情報収集、避難や救援、復旧・復興等のための地方自治体の中心的な活動拠点になる場所をいいます。おおむね10ヘクタール以上の広さが必要とされています。

広域避難地

広域避難地とは、地震など災害発生後に火災が起き延焼が拡大、その地域全体が危険になった際に、避難者の命を守るために整備された場所をいいます。一時的に避難する場所で、大人数収容できる必要があるため、10ヘクタール以上の広さが必要とされています。

広域避難地に指定されている東京都荒川区の汐入公園

一時避難地

一時避難地は、災害発生時において広域避難地など安全な場所へ避難するための中継地として機能します。2ヘクタール以上の広さが必要とされています。

広域避難地・一時避難地ともに、その地域で発生しやすいと想定される災害の内容に応じて、自治体により避難場所を変えている場合があるので、自宅や会社・学校が所在する自治体の情報をチェックしておきましょう。

避難路

避難路とは、災害時に広域避難地などの安全な場所へ移動するための道路または緑道をいいます。

緩衝緑地

緩衝緑地とは、工業地域などからの災害を防止または軽減することを目的に、工業地域と市街地の間に整備された緑地をいいます。大気汚染・騒音・振動といった産業公害を緩和する目的もあり、空港の周辺部などでも多く見かけます。
フェンスで囲まれて人が入れない緑地もあれば、広場や野球場、キャンプ場などのレクリエーション施設を備えた緩衝緑地もあります。

都市公園

自分たちにとって、もっとも身近な防災活動の拠点となるのが、町内にある都市公園です。その街区に居住する方の利用を目的に整備された公園をいい、災害時には地域の避難場所として活用されます。

参考:国土交通省ホームページ 「防災公園の整備」

主な防災公園のご紹介

都市部にある主な防災公園をピックアップしてご紹介します。

東京臨海広域防災公園(江東区有明)

東京臨海新交通臨海線(ゆりかもめ)の有明駅に隣接する「東京臨海広域防災公園」は、国と東京都の役割分担のもと整備がおこなわれており、総面積 6.7ヘクタール(都立公園 6.5ヘクタールと合わせると 13.2ヘクタールほど)の広さがあります。都県単位では対応不可能な、甚大な災害に備えるための防災活動の拠点となる公園です。

施設

敷地内には災害発生時に首相官邸や自治体と連携する対策本部となる防災地区本部棟、物資輸送や被災者移送などをおこなう約2.6ヘクタールの大型ヘリポートなどが整備されています。
また、敷地に隣接する「がん研有明病院」は災害拠点病院の役割を持ち、災害時の後方医療施設として機能します。

また、防災体験学習施設「そなエリア東京」では、地震の発災後72時間をどのように生き抜くかの知恵を無料で学ぶことができます。施設の屋上は緑地になっており、休憩したりピクニックを楽しむことも。災害時には自衛隊のベースキャンプとなる多目的広場では「そなエリア東京BBQガーデン」が営業中で、手ぶらでBBQが楽しめる憩いの場として機能しています。

災害時にどう活用されるのか

平常時には、各種防災訓練の場や来園者の憩いの場として親しまれていますが、発災時には、首都圏広域の現地対策本部として機能します。また、自衛隊、消防や警察などの広域支援部隊等のベースキャンプ、災害医療の支援基地となるほか、東扇島東公園(神奈川県川崎市)の物流コントロールセンターと一体的に機能し活用されます。

場所/交通アクセス

【東京臨海広域防災公園】
所在地:東京都江東区有明3-8-35
アクセス:東京臨海新交通臨海線(ゆりかもめ)有明駅 徒歩約2分
東京臨海高速鉄道りんかい線「国際展示場」駅 徒歩約4分
利用時間:6:00〜20:00 ※防災体験学習施設の利用時間は9:30〜17:00(入場は16:30まで)

兵庫県立三木総合防災公園(兵庫県三木市)

兵庫県三木市志染町にある「兵庫県立三木総合防災公園」は、202.5ヘクタールの広さを誇る防災公園です。但馬、丹波、阪神北、西播磨、淡路エリアの中心に位置しており、災害時は全県の広域防災拠点、平常時は兵庫県民のスポーツ・レクリエーションの拠点として活用されています。

施設

公園内はスポーツの森ゾーンと自然体験の森ゾーンに分かれており、スポーツの森ゾーンには複数の陸上競技場や球技場、野球場が整備され、自然体験の森ゾーンには屋内・屋外テニス場やグラウンド・ゴルフ場が整備されています。
中でも屋内テニス場「ブルボン ビーンズドーム」は国際的規模の大会もおこなわれる日本最大級のテニス場として知られています。

災害時にどう活用されるのか

平常時は競技大会が行われるなど多くの方がスポーツ施設を利用していますが、発 災時には、公園に隣接する「兵庫県広域防災センター」と一体になり、救援物資の仕分け・集配、復旧・救援要員の活動拠点として兵庫県全域をカバーする広域の防災拠点として活用されます。
野球場や陸上競技場は、発災時には臨時ヘリポートとしても利用されます。

場所/交通アクセス

【兵庫県立三木総合防災公園】
所在地:兵庫県三木市志染町三津田1708
アクセス:神戸電鉄粟生線 緑が丘駅からバス 防災公園前下車
     神戸電鉄粟生線 押部谷駅から約4km
利用時間:施設により異なる

広尾防災公園(千葉県市川市)

千葉県市川市広尾にある「広尾防災公園」は、約3.7ヘクタールの広さをもつ公園です。側には旧江戸川が流れ、川を渡ると東京都江戸川区になります。公園の最寄りは東京メトロ東西線の南行徳駅で、駅北口から南行徳駅前通りを歩いて約20分の距離にあります。
広尾地区周辺は住民ひとり当たりの都市公園の面積が少なく、避難場所の面積も不足していたことから、防災拠点・一時避難場所の機能を持つ都市公園として2010年に整備されました。

施設

公園内は健康の広場・いこいの広場・花の広場(バラ園)・つどいの広場・水に親しむ広場・あそびの広場・休憩の広場に分かれています。
健康の広場は人工芝のグラウンドとなっていて、野球やサッカーなどに利用できます。休憩の広場は旧江戸川に隣接、緊急用の船着場があり、平常時は釣りスポットとして親しまれています。また、公園内にはデイキャンプコーナーも整備されBBQを楽しむことができます(要事前申し込み、市民の利用に限定)。

災害時にどう活用されるのか

平常時は、色々な遊び方ができる複合遊具施設を中心に多くの子どもたちで賑わう公園ですが、発災時には、一時避難地としての機能のほか、初期救援や緊急輸送等の中継拠点としての機能を担う公園として活用されます。
健康の広場は、発災直後は避難広場として、また救急医療や救援物資の輸送などのための緊急用ヘリポートとしても活用されます。平常時においても、ドクターヘリの離着陸場として利用されています。

場所/交通アクセス

【広尾防災公園】
所在地:千葉県市川市広尾2-3-2
アクセス:東京メトロ東西線 有明駅 徒歩約20分
駅からコミュニティバス利用の場合 広尾防災公園下車
利用時間:特に指定無し

古曽部防災公園(大阪府高槻市)

大阪府高槻市古曽部町にある「古曽部(こそべ)防災公園」は約4.5ヘクタールの広さを持つ公園です。高槻市のほぼ中心に位置しており、市内初の本格的な防災機能を兼ね備えた地区公園として2010年に整備されました。

施設

公園内の多目的広場には、4種類の滑り台を備えた大型の複合遊具や健康遊具があります。複合遊具の上にはテントを張ることができ、発災時は救護室などに使えるようになります。
そのほか、観覧席も有するメインアリーナやトレーニング室を備えた様々なスポーツを楽しめる「古曽部防災公園体育館」や、野球場といったスポーツ施設が充実しています。

災害時にどう活用されるのか

平常時は大人から子どもまで多くの人々がスポーツにレクリエーションにと親しんでいる公園ですが、発災時には周辺住民の広域避難地として、全国からの救援物資等の受け入れと供給を行う、総合的な物流の機能を備えた大阪府北部の総合防災拠点としても活用されます。

場所/交通アクセス

【古曽部防災公園】
所在地:大阪府高槻市古曽部町3-15-1
アクセス:JR東海道本線 高槻駅または阪急電鉄京都本線 高槻市駅からバス 古曽部防災公園下車
利用時間:7:30~22:00

ぼうさいの丘公園(神奈川県厚木市)

神奈川県厚木市温水にある「ぼうさいの丘公園」は、市の広域避難場所に指定されている防災公園で、市の南部に位置しています。約9.4ヘクタールの広大な敷地面積を有しており、発災時には約2万人の避難が可能とされています。

施設

ローラー滑り台など大型の遊具、水遊びのできる池や小動物園など施設が充実しています。野草の景色やバラの花、桜の時期のライトアップなど自然と触れ合いながらピクニックを楽しむ人も。
ソフトボールやサッカーなどのスポーツが楽しめる多目的広場やミニコートのほか、東京2020オリンピック競技大会で注目されたスケートボードが楽しめる、滑走面積約380平方メートルのスケートボード場もあります。

災害時にどう活用されるのか

平常時は1日中過ごせるレジャースポットとして親しまれていますが、発災時には、現地対策本部・非常用通信施設・傷病者室・医務室として活用されます。300トンの飲料水が確保できる耐震性貯水槽があるほか、池の水を生活水・防火用水としても利用することが可能。展望広場は発災時にヘリポートとして活用されます。

場所/交通アクセス

【ぼうさいの丘公園】
所在地:神奈川県厚木市温水783-1
アクセス:小田急電鉄小田原線 本厚木駅/愛甲石田駅からバス 柳町下車
利用時間:9:00~21:00

まとめ

この記事では防災公園の役割や必要性、都市部にある主な防災公園を紹介しました。最近では、2020年に東京都豊島区内で最大の規模を誇る「としまみどりの防災公園(愛称IKE・SUNPARK)」が造幣局東京支局の跡地に開園するなど、防災公園の整備は着々と進められています。

自宅周辺にはどんな公園がありどんなルートで行くと安全か、防災施設がどこに設置されているのかなど、普段から公園を訪れてみるといざという時に安心です。自分にとって身近な公園の防災機能を知っておきましょう。
防災公園では、防災訓練で実際に公園にある防災設備を使える機会もありますし、イベントをおこなっていることもあるので、近所を散策しながら、日ごろから防災意識を高めておくとよさそうですね。

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