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家の建て替え時に使える住宅ローンとは?失敗しない資金計画と選び方のポイントを解説!

家の建て替え時に使える住宅ローンの種類や注意点を解説します
長年住み続けたマイホームも、経年劣化やライフスタイルの変化で「そろそろ建て替えを考えたい」と考えている方もいると思います。しかし、そこで気になることが「建て替えにも住宅ローンは利用できるの?」「まだ住宅ローンが残っているけど、新たにローンを組むことができるの?」など資金にまつわる疑問です。

実は、建て替えにも住宅ローンを活用することは可能です。しかし、いくつかの注意点や知っておくべき制度があります。本記事では、家を建て替える時に使える住宅ローンの種類や特徴、失敗しないための資金計画のポイントをわかりやすく解説します。

家の建て替えで使えるローンの種類

建て替えで使えるローンの種類を解説します
建て替えで使えるローンの種類を解説します

住宅の建て替えを検討する際、利用できる住宅ローンは意外と多くあります。一般的なものは「住宅ローン」ですが、他にも「ペアローン」や「建て替え専用のローン」、そして「つなぎ融資」などの一時的な資金調達方法もあります。

それぞれの特徴やメリット・注意点を把握しておくことで、無理のない資金計画を立てられるでしょう。まずは、建て替えに利用できるローンの種類をわかりやすくご紹介します。

一般的な住宅ローン

通常の「住宅ローン」は、自宅や土地を担保にして融資を受ける仕組みです。過去に住宅ローンを利用していた場合でも、完済していれば新たに申し込みが可能です。

住宅ローンを申し込む際には、古い抵当権を抹消し、建て替えた住宅と土地に対して再度抵当権を設定する必要があります。また、契約者に万が一のことがあった時に返済が免除される「団体信用生命保険」への加入も可能。住宅ローン控除の対象にもなり、プランも豊富なため、完済済みの方には特に使いやすいローンの一つです。

建て替えローン

現在の住まいに住宅ローンの残債がある場合でも、「建て替えローン」を活用することで新しい家の建築が可能になります。建て替えローンは、既存と新規の住宅ローンを一本化して借り入れる商品です。

金利が高かった既存のローンとまとめることで、金利負担を抑えられる場合も。ただし、2棟分の借り入れになるため、借入金額が増大し、審査も厳しくなります。返済能力に余裕があり、住宅ローンが残っていても建て替えたい方におすすめです。

ペアローン

「ペアローン」は、夫婦や親子など2人でそれぞれ住宅ローンを契約するスタイルで「ダブルローン」とも呼ばれます。1人で借りるよりも借入限度額を高められ、返済負担も分散できる点が特徴です。

また、2人とも団信に加入できるほか、住宅ローン控除も個別に利用できるため、節税効果も期待できます。ただし、どちらかの収入が減少すると返済に支障をきたす可能性があり、離婚などで財産分与の問題が生じるケースも。高額なローンを組みたい方に向いていますが、慎重な判断が必要です。

つなぎ融資

注文住宅の建築では、工事の進行に合わせて費用を何度かに分けて支払うことが一般的です。しかし、住宅ローンは建物完成後に一括で融資されることが基本。そのため、工事の途中段階で資金が不足する可能性があります。そこでおすすめする資金調達方法が「つなぎ融資」です。

つなぎ融資は、住宅ローンの融資実行までの間に必要となる資金を一時的に借りる仕組みのことです。自己資金に不安がある場合の強い味方になるでしょう。ただし、つなぎ融資には金利が発生するため、総返済額を事前にシミュレーションしておくことが大切です。

建て替えでローンを利用する時の流れ

建て替えでローンを利用する時の流れを解説します
建て替えでローンを利用する時の流れを解説します

住宅を建て替える際には、通常の新築と異なり、既存の家屋を取り壊す工程が加わるため、全体のスケジュールが複雑になります。ローンを利用して建て替えを進める場合、まずは住宅メーカーや工務店を探し、建て替えの計画案と費用見積もりを取得しなければなりません。

そのあと、ローンの仮審査を申し込み、問題がなければ工事の請負契約を締結します。さらに本審査を経て、仮住まいの準備と引越し、解体作業、新居の建設、そして完成後の引き渡し、登記手続きの流れで進めていきます。特に、ローン審査は仮審査と本審査の2段階に分かれており、それぞれの審査に通らなければなりません。

仮審査では、主に年収や信用情報などから借り入れ可能かを簡易的に判断します。本審査では、書類提出や詳細な確認を経て正式に融資が決定します。

仮審査と本審査の時期と流れ

建て替え計画がある程度具体化し、必要となる資金の総額や工事の概要が固まった段階で、住宅ローンの仮審査に進むことが一般的です。仮審査の結果は数日程度で出ることが多く、審査通過後は、建設会社との契約書類をもとに本審査へと移ります。

本審査では仮審査よりも詳細な情報の提出が求められ、結果が出るまでに1〜2週間ほどかかることが一般的。審査をスムーズに進めるためには、早めにハウスメーカーや工務店を決め、明確な建築プランと見積もりを準備することが重要です。

あらかじめ金融機関の審査基準を確認しておくことで、スムーズな審査の通過にもつながるでしょう。

建て替え時に頭金は必要?

建て替えでは土地をすでに所有しているケースが多いため、新築住宅のように土地の購入費用が発生せず、借入金額を抑えやすい特徴があります。なかには、頭金なしで住宅ローンを利用し、家を建てるケースもあります。

ただし、ローンの融資が開始される前に発生する費用は、自己資金で支払う必要があるため、ある程度の資金準備をしておくことがポイント。例えば、仮住まいの家賃や引越し代、住宅ローンの事務手数料などが挙げられます。

また、注文住宅を建てる際の頭金の目安としては、建物本体価格の10〜20%程度とされています。実際にどの段階で頭金を支払うのかは、依頼するハウスメーカーや工務店によって異なるため、早めに担当者に確認しておくと安心です。

建て替えでローンを利用する場合の注意点

建て替えでローンを利用する場合の注意点を解説します
建て替えでローンを利用する場合の注意点を解説します

建て替えを考える際に、住宅ローンを利用する方も多いでしょう。しかし、その前に確認しておくべき大切なポイントがあります。以下で、建て替え時にローンを利用する際の注意点を詳しく解説します。

自分のライフスタイルや収支に合った返済計画を立てる

何より大事なことは、自分のライフスタイルや収支に合った返済計画を立てておくことです。特に建て替えローンは、住宅ローンの残債がある場合、さらに借り入れをおこなうため、返済額が通常の住宅ローンより高くなる傾向にあります。

金融機関や不動産会社が提供している返済シミュレーションなどを活用し、月々の返済額を試算しておくと安心でしょう。また、返済が厳しいと感じた場合には、頭金の金額を増やす、もしくは借入金額そのものを見直すなど、調整することで無理のない返済計画に近づけられます。

実家を建て替える場合は相続トラブルや贈与税に注意する

親名義の土地に家を建て替える場合には、相続に関する問題が起こらないよう、事前に家族間でしっかりと話し合っておくことが大切です。例えば、家の名義は子で、土地は親の名義であるケースでは、他の兄弟姉妹との間で資産の扱いに関してトラブルが発生する可能性があります。

また、建築費用を誰がどのくらい負担したのかによって、建物の名義割合も調整する必要があります。例えば、親と子が半分ずつ費用を出し合った場合、それぞれ2分の1ずつの名義にすることが基本。もし親が一部を負担したにも関わらず、子の単独名義で登記してしまうと、その金額が贈与とみなされ、贈与税の課税対象になる恐れがあります。

親が頭金を出すだけで名義は子にしたい場合は、「住宅取得資金の贈与」という手続きをおこなうことで、贈与税の特例を適用できる可能性があります。

実家を建て替える場合は契約者や返済方法を話し合う

実家を建て替える場合、誰がローンを借りて返済していくのか、そしてその方法はどうするのかなども重要なポイントです。親だけでローンを組むのか、それとも親子で協力して返していくのかによって、選べるローンの種類も異なります。例えば、親子がそれぞれ契約者となって借り入れ・返済をおこなう「ペアローン」や、親が契約し、その後子どもに引き継ぐ「リレーローン」などがあります。

土地が親名義でも、子がローンを組んで住宅を建てることは可能ですが、その場合は土地にも抵当権が設定されるため、注意しなければなりません。金融機関によっては親に連帯保証人になることを求められる場合もあります。

家族の状況に応じて、どの借入方法が適しているかを慎重に見極めることが大切です。

建て替え時にも活用できる住宅ローン控除制度や補助金

建て替え時にも活用できる住宅ローン控除制度を解説します
建て替え時にも活用できる住宅ローン控除制度を解説します

ここからは、建て替え時にも活用できる控除や補助金制度をご紹介します。

建て替えでも住宅ローン控除を受けられる

住宅の新築や購入時に利用できる「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」は、一定の条件を満たしていれば、過去に利用したことがある方でも再度適用されます。住宅ローン控除とは、年末のローン残高に対して一定の割合が所得税などから控除される制度で、最大13年間適用されます。

建て替えの場合でも、所定の要件に合致していれば、2度目の住宅ローン控除を受けられます。ただし、2024年以降に建築確認を受けた住宅に関しては、省エネ性能の基準を満たしていなければ、控除の対象外となるため、注意してください。控除上限額も住宅の性能によって異なるため、建築計画の段階で、省エネ基準に関して設計者や施工会社とよく相談しておくと安心です。

また、控除を受けるには入居後の翌年に確定申告が必要になるため、忘れずに手続きをおこないましょう。制度の細かな内容や最新の条件に関しては、国税庁や国土交通省などの公式情報をチェックしましょう。

老朽化住宅の解体時に利用できる補助金制度

古くなった家を建て替える際には、取り壊しにかかる費用を支援してくれる補助金制度を利用できる可能性があります。老朽化による倒壊のリスクや安全面への配慮として、解体費用の一部を負担してくれる制度が整えられています。ただし、お住まいの市区町村によって制度の内容や支給条件が異なるため、事前に確認しておきましょう。

また、ブロック塀の撤去などにも対応している自治体があり、対象工事の内容や補助の上限金額も自治体ごとに異なります。申請には、事前の届出や審査が必要になる場合がほとんどのため、取り壊し工事の着手前に、自治体の担当窓口に確認を取っておくことが大切です。

新築住宅への建て替え時にも活用できる補助金制度

建て替えをする場合でも条件を満たせば、利用可能な補助金制度がいくつか存在します。例えば、太陽光発電設備や省エネ給湯器、雨水利用設備など、環境性能を高めるための機器を設置する際に、補助金を受けられる自治体も多く見られます。

また、都市部から地方への移住や地域活性化を目的とした「転入者支援」もあり、空き家の解体と合わせて補助を受けられる可能性も。
さらに、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)のように、高性能な住宅に対して国や地方自治体が補助金を出している制度もあります。ZEHは、エネルギー消費量を自家発電などでまかなえる設計が特徴で、補助金に加え、税の優遇措置も受けやすくなっている点がメリットです。

同様に、長期優良住宅に認定される建物であれば、住宅ローン控除の拡充や不動産取得税・登録免許税・固定資産税などの軽減措置が適用されることもあります。これらの制度をうまく活用すれば、建て替えにかかるコストを大幅に抑えられるでしょう。

出典:国土交通省「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅関連事業(補助金)について

出典:国土交通省「長期優良住宅のページ

建て替えを成功に導くために押さえておきたいコツ

建て替えを成功に導くために押さえておきたいコツを解説します
建て替えを成功に導くために押さえておきたいコツを解説します

スムーズに建て替えを進め、理想の住まいを実現するためには、いくつか重要なポイントがあります。特に大切なことが、予算面での計画性、建て替え全体の段取りの把握、そして完成後の住まいに対する明確なイメージを持つことです。

新しい家になるだけで満足せず、本当に暮らしやすい住まいを手に入れるためには、事前の準備とパートナー選びが重要です。ここでは建て替えを検討する際に、意識しておきたいコツを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

余裕を持った予算設計にする

建て替え工事を始めると、建物本体の建築費以外にもさまざまな費用が発生します。例えば、地盤調査や整備、外構工事などの別途工事費、建物の取り壊しにかかる解体費用、さらに登記手続きのための司法書士費用や印紙代などの諸経費などが挙げられます。

加えて、仮住まいや引越し、新しい家具の購入などの生活費用もかかるでしょう。これらの費用は現金での支払いが必要になることも多いため、予算にはゆとりを持たせておくことが大切です。担当者と相談しながら、各費用の概算を含めた現実的な資金計画を立てましょう。

理想の住まいを追求する

建て替えをすれば、建物が新しくなり、耐震性能や省エネ性の向上などのメリットが得られますが、それだけで満足してしまうには少しもったいないでしょう。せっかく建て替えるのであれば、家族構成やライフスタイルの変化に合わせた理想の住空間を目指したいところです。とはいえ、実際の計画が進むなかで、決断を急がされて「無難なプランで妥協してしまった」などの声もよく耳にします。

こういった後悔を避けるためには、提案力のあるハウスメーカーや工務店を選び、自分たちの理想をしっかりと形にしてくれるパートナーを見つけることが大切です。細かな要望も真摯に聞いてくれるハウスメーカーや工務店が見つかるよう、複数の会社を比較検討して慎重に決めましょう。

建て替え全体の流れをイメージしておく

新築とは異なり、建て替えには解体や仮住まいの手配などの作業も含まれるため、全体のスケジュールをしっかりと把握しておくことが大切です。例えば、どのタイミングで旧宅を解体するか、仮住まいはいつからどれくらいの期間が必要かなど、それぞれの工程のスケジュールを把握しておきましょう。

初めての方には、スケジュールの詳しい把握が難しく感じるかもしれません。しかし、実績のあるハウスメーカーを選べば、必要な手続きや段取りを一緒に整理しながら進めてくれるため安心です。また、仮住まいや解体業者の手配を代行してくれる場合もあるため、どこまでサポートしてくれるのかも事前に確認しておくとよいでしょう。

まとめ

家の建て替えは一生に何度もあることではありません。だからこそ、住宅ローンの選び方や資金の組み方で後悔したくないものです。事前にしっかりと知識を持っておくことで、無理のない返済計画と満足のいく家づくりを実現できるでしょう。

本記事では、家の建て替えで利用できるローンを詳しく解説しました。それぞれのローンの種類や利用条件を比較し、自分たちに合った選択をすることが大切です。また、建て替え時に利用できる補助金制度や控除などもご紹介しているため、ぜひ活用してみてください。ただし、補助金制度はお住まいの自治体によって条件や内容が異なるため、事前に確認しておきましょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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