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注文住宅の諸費用はいくら?内訳の一覧と抑えるコツも解説

注文住宅の諸費用について解説します
注文住宅を建てる際は、土地代と建築費以外に諸費用がかかります。諸経費はそれぞれの条件によって多少異なりますが、注文住宅にかかる総額の10%が目安です。
注文住宅は、数百万円単位の諸費用がかかるため、資金計画に計上しておかなければ予算をオーバーすることになるでしょう。

今回は、注文住宅にかかる諸費用の相場やその内訳を解説します。また、なるべく諸費用を抑える方法や、一般的なケースとしてシミュレーションも紹介するので、注文住宅を検討している方はぜひ参考にしてください。

記事の目次

注文住宅にかかる諸費用とは?相場はどれくらい?

注文住宅の諸費用はどのくらいでしょうか
注文住宅の諸費用はどのくらいでしょうか

注文住宅を建てる場合、土地代と建築以外に諸費用がかかります。まずは諸費用とはどのような費用なのか解説し、一般的な相場を紹介します。

注文住宅の諸費用は土地・住宅の購入・建築以外にかかる費用

注文住宅の「諸費用」とは、土地代と住宅の建築費以外にかかる税金や手数料のことです。ただし諸費用が実際にいくらかかるかは、人それぞれの条件によって多少異なります。

例えば、すでに所有している土地に建築する場合と、建築にあたって土地を新規に購入するケースで異なります。

諸費用の内訳について詳しく後述しているので、自分のケースに当てはまるのか想定しながら、ぜひ読み進めてみてください。

注文住宅にかかる諸費用の相場

注文住宅にかかる諸費用の相場は、土地代と建物建築費の総額の10%が相場です。例えば注文住宅の総額が4,000万円の場合は、400万円が目安です。

ただしガスや水道のライフラインの引き込み工事が必要なのか、また地鎮祭や上棟式をおこなうのかなど、土地の条件や希望によって諸費用としてかかる費用は異なります。

注文住宅の諸費用の内訳一覧

注文住宅にかかる諸費用は、以下の3つに大きく分けられます。

  • 土地購入にかかる諸費用
  • 建物の新築工事にかかる諸費用
  • 住宅ローン利用時にかかる諸費用

それぞれの諸費用にどういった項目があるのかを見ていきましょう。

土地購入にかかる諸費用

土地購入にかかる諸費用の内訳は以下のとおりです。

  • 印紙税
  • 不動産所得税
  • 登録免許税
  • 仲介手数料
  • 司法書士への報酬

建物の新築工事にかかる諸費用

建物の新築工事にかかる諸費用は印紙税や登記費用などの他に、地鎮祭や上棟式の費用も含まれます。

  • 地盤調査費用
  • 建築確認申請費用
  • 印紙税
  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • ライフライン(水道・下水道・ガスなど)の引き込み工事費
  • 設計監理料
  • 地鎮祭・上棟式をおこなう費用
  • 司法書士への報酬

住宅ローン利用時にかかる諸費用

住宅ローン利用を利用する際にも諸費用がかかります。どのような費用がかかるのか事前に確認しておきましょう。

  • 印紙税・登録免許税
  • 融資手数料
  • ローン保証料
  • 団体信用生命保険料
  • 火災保険料、地震保険料
  • 司法書士への報酬

注文住宅の諸費用│土地購入

土地購入時に必要な諸費用
土地購入時に必要な諸費用

土地を購入する場合にかかる諸費用について具体的に見ていきましょう。

印紙税・不動産取得税・登録免許税

不動産売買契約書は、「印紙税法上課税文書」です。そのため収入印紙を貼って印紙税を納めなければなりません。

【印紙代一覧】

契約金額 本則税率 軽減税率
10万円を超え 50万円以下のもの 400円 200円
50万円を超え 100万円以下のもの 1千円 500円
100万円を超え 500万円以下のもの 2千円 1千円
500万円を超え 1千万円以下のもの 1万円 5千円
1千万円を超え 5千万円以下のもの 2万円 1万円
5千万円を超え 1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え 5億円以下のもの 10万円 6万円
5億円を超え 10億円以下のもの 20万円 16万円
10億円を超え 50億円以下のもの 40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円

参照:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」

例えば土地の代金が1,000万円超5,000万円以下の場合は、2万円の印紙税がかかります。なお2027年3月31日までは、軽減措置により1万円です。

不動産取得税とは、不動産を取得した時に1度だけ課税される税金です。税額は原則「固定資産税評価額×4%」ですが、2027年3月31日まで3%が適用されます。

また一定の条件を満たす土地は、固定資産税評価額が1/2になり、45,000円もしくは「(土地1平方メートル当たりの固定資産税評価額×1/2)×(住宅の床面積×2(200平方メートルが上限)×3%)」のどちらか大きい額の控除を受けられます。

登録免許税とは、法務局へ登記申請する際に納める税金のこと。登記には原則、固定資産税評価額の2%(2026年3月31日までは1.5%)の登録免許税がかかります。

※参照:国税庁「登録免許税の税額表

仲介手数料

土地の購入を不動産会社へ依頼した場合は、報酬として仲介手数料を支払います。売買代金によって仲介手数料の上限額は異なり、400万円超は「成約価格×3%+6万円+消費税(適用税率10%)」の速算式で求められます。

司法書士への報酬

土地を購入したら所有権移転登記が必要となり、司法書士へ登記を依頼するのが一般的です。所有権移転登記を司法書士へ依頼する場合、登録免許税以外に司法書士への報酬がかかります。依頼先によって多少異なりますが、3万~5万円が相場です。

注文住宅の諸費用│建物の新築工事

住宅の建築工事に必要な諸費用
住宅の建築工事に必要な諸費用

建物を新築する時にかかる諸費用の内訳を詳しく解説します。

地盤調査費用

注文住宅を建てる場合、地盤調査をするのが一般的です。依頼先や調査方法によっても異なりますが、5万~30万円が目安です。

建築確認申請費用

注文住宅を建てる際は、建築確認申請費用がかかります。自治体や床面積によって異なりますが、100平方メートルまでであれば3万円程度が目安です。

印紙税・不動産取得税・登録免許税

工事請負契約書も課税文書であるため、印紙税がかかります。1,000万円超5,000万円までは原則2万円ですが、2027年3月31日までは1万円に軽減されます。

土地と同様に、建物を取得したら不動産取得税がかかります。税額は原則「固定資産税評価額×4%」ですが3%に軽減され、新築住宅に対しては固定資産税評価額から1,200万円が控除されます。

新築住宅を建てた時は所有権保存登記をすることになり、登録免許税がかかります。新築の注文住宅の場合は固定資産税評価額が存在しないため、法務局が認定した価格の0.4%を登録免許税として支払いますが、住宅の性能や建築時期によって軽減税率(0.1%~0.15%)が適用になります。

※参照:国税庁「登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ(PDF)

ライフライン(水道・下水道・ガスなど)の引き込み工事費

建築する土地にライフラインの引き込みがない場合は、それぞれ費用がかかります。本管からの距離によって変わりますが、水道と下水道は各々30万~50万円、ガス管は10万~20万円が相場です。

自治体によっては引き込み工事費以外に、水道加入金がかかることがあります。総額でいくらになるのか確認しておきましょう。

設計監理料

注文住宅を建てる場合、建築費以外に設計管理料がかかります。建築費の10%程度が目安ですが、ハウスメーカーによっては本体工事費に含み、別途請求されないこともあります。

地鎮祭・上棟式をおこなう費用

地鎮祭や上棟式をおこなう場合は、それぞれ費用がかかります。地域や依頼先によって費用や内容が異なるため、担当者に相談してみましょう。

司法書士への報酬

所有権保存登記を司法書士へ依頼する場合、先述した登録免許税とは別に1.5万~5万円程度の司法書士報酬がかかります。

注文住宅の諸費用│住宅ローン

住宅ローンを借り入れる際の諸費用
住宅ローンを借り入れる際の諸費用

住宅ローンを借り入れる際にかかる諸費用の内訳を解説します。

印紙税・登録免許税

住宅ローンを借り入れる際は、金融機関と金銭消費貸借契約(ローン契約)を結びます。この時印紙税がかかります。1,000万円以上5,000万円以下の借り入れをおこなう場合は、2万円(軽減措置適応時は1万円)が印紙税としてかかるでしょう。

また、土地建物には抵当権を設定することになり、抵当権設定登記に登録免許税(原則、借り入れ金額の0.4%、軽減税率の場合は借入金額の0.1%)がかかります。

融資手数料

金融機関によって異なりますが、融資額の1~3%程度、もしくは定額の手数料として数万円が設定されているケースがあります。

ローン保証料

ローンを借り入れる際に、保証会社を利用する場合は、ローン保証料が必要です。ローン契約時に全額保証料として支払う方法と、金利に上乗せして支払う方法があります。

団体信用生命保険料

ローン契約時には、契約者が死亡、もしくは高度障害状態になった時に備えて、団体信用生命保険に加入することになります。保険料は、金利に上乗せして支払うのが一般的です。

火災保険料、地震保険料

住宅ローンを借り入れる場合、住宅は金融機関にとって担保となるため、火災保険の加入が必須になっていることがほとんどです。なお、地震保険の加入は任意です。
補償内容や保険会社によって金額が異なるため、事前に確認しておきましょう。

司法書士への報酬

抵当権設定登記を司法書士へ依頼する場合、司法書士の報酬が2万~5万円程度かかります。

注文住宅にかかる諸費用を抑える5つのポイント

注文住宅に必要な費用を抑えるポイントを見ていきます
注文住宅に必要な費用を抑えるポイントを見ていきます

注文住宅の建築費用を確保するためにも、諸費用はなるべく抑えたいところです。ここでは、支出を抑える方法を5つ紹介します。

火災保険・生命保険・ローン保証などを見直す

金融機関から火災保険を提案されることがありますが、紹介された保険会社にかならずしも加入する必要はありません。すでに契約している保険会社があれば相談して、補償内容や保険料を比較してみましょう。
団体信用生命保険への加入にともない、生命保険を見直すのも一つの方法です。保険金額を減らして保険料を抑えることも考えてみましょう。

ローンの保証料は一括で支払う方法と、金利に上乗せする方法があります。自己資金が少ない時は、金利上乗せのほうが初期の負担を軽減できます。

仲介手数料がかからない土地を探す

仲介会社を介さず直接土地を購入する場合は、基本的に仲介手数料はかかりません。建築を依頼する会社が決まっている場合は、建築条件付きの土地など、紹介してもらえる物件がないか相談してみましょう。

家具・家電付きの注文住宅を建てる

造り付けの家具やエアコン工事をハウスメーカーや工務店に依頼することを検討してみましょう。建築費は住宅ローンで借入れできるため、自己資金からの支出を抑えることができるでしょう。

補助金制度が適用されるかを確認する

高省エネ性能の住宅を新築する場合、国や自治体の補助金制度を利用できるケースがあるので上手に活用しましょう。
タイミングによっては予算に到達し、受付が終了していることもあります。かならず進捗状況や適用条件を確認しましょう。

引越しの時期は繁忙期を避ける

引越し代金は時期によって異なり、1年のなかでも2月~4月の繁忙期は高騰する傾向があります。可能であれば、繁忙期を避けて引越ししましょう。

注文住宅の諸費用のシミュレーション

実際に土地を購入し、注文住宅を建てるとどのくらいの諸費用がかかるのでしょうか。以下の条件をもとにシミュレーションをしてみます。

【条件】

  • 2024年12月に住宅用地として土地を購入
  • 土地・建物の総額:4,500万円
  • 頭金:500万円
  • 住宅ローン借り入れ:4,000万円
  • 土地(120平方メートル):1,500万円
    (固定資産税評価額は価格の70%の1,050万円)
  • 建物(100平方メートル):3,000万円
    (固定資産税評価額は価格の60%の1,800万円)
土地購入にかかる諸費用
印紙税 軽減措置適用 10,000円
不動産取得税 1,050万円×1/2×3%-控除額 0円
登記費用
(登録免許税+
司法書士の報酬)
1,050万円×1.5%+5万円 207,500円
仲介手数料 1,500万円×3%+6万円+税 561,000円
合計① 778,500円
建物新築工事にかかる諸費用
地盤調査費用 300,000円
建築確認申請費用 30,000円
印紙税 軽減措置適用 10,000円
登記費用
(登録免許税+
司法書士の報酬)
1,800万円×0.15%+5万円 77,000円
不動産取得税 1,800万円-1200万円×3% 180,000円
ライフライン 上下水道80万円・
ガス管20万円
水道加入金30万円
1,300,000円
設計監理料 本体工事費に含む 0円
地鎮祭・上棟式 内容による 150,000円
合計② 2,047,000円
住宅ローンにかかる諸費用
印紙税 20,000円
融資手数料 4,000万円×2.2% 880,000円
ローン保証料 金利上乗せ 0円
団体信用生命保険 金利上乗せ 0円
火災保険料・
地震保険料
5年地震保険付き 400,000円
登記費用
(登録免許税+
司法書士の報酬)
4,000万円×0.1%+3万円 70,000円
合計③ 1,370,000円

合計①+②+③=約420万円

今回のシミュレーションでは土地・建物の総額の10%以内におさまりましたが、軽減措置の適用の有無や、補助金制度を利用するケースでも異なってきます。実際にかかる諸費用は、ハウスメーカーや工務店に相談することをおすすめします。

注文住宅にかかる諸費用のまとめ

注文住宅を建てる際には諸費用がどのくらいかかるのか事前に確認しましょう
注文住宅を建てる際には諸費用がどのくらいかかるのか事前に確認しましょう

注文住宅の諸費用の相場や内訳を解説してきました。最後に大切なポイントをまとめておさらいします。

注文住宅にかかる諸費用とは?

注文住宅の諸費用とは、土地代と建築費以外にかかる税金や手数料のことです。

注文住宅にかかる諸費用の相場は?

注文住宅にかかる諸費用の相場は、土地・建物の総額の10%が相場といわれています。

注文住宅の諸費用を抑えるポイントは?

諸費用のなかでも、土地購入時の仲介手数料は大きな割合を占めます。ハウスメーカーや工務店など依頼先が決まっている場合は、建築条件付き土地のような、依頼先が所有する土地がないか相談してみましょう。売主から直接土地を購入することで、仲介手数料を節約することも可能です。

理想の注文住宅を予算内で建築するためにも、注文住宅にかかる諸費用を正しく把握し、精度の高い資金計画を立てましょう。

桜木 理恵

執筆者

桜木 理恵

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。保有資格は「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」

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