ある事情で「さくらアパート」に引っ越してきた高橋知幸。このアパートでは大家の計らいで回覧板を回すなど、住居人同士の交流が図られていたが、どうも上手くいっていない。そんな時、大家が倒れてしまい、下手をすれば退居を命じられる状況になってしまった。さて、住居人はどう動くのだろうか。
来客が近所の情報をおしえてくる。しかも、話す本人はその情報を知らないのに。どうやら、近所にいるwi-fiの奇妙なアカウント名の主がその情報源らしい。それは誰が、なぜ情報を発信しているのだろうか。wi-fiにのせて発信される情報は、僕の生活をすこしずつ変えようとしていた。
ある日、若夫婦のもとに、「この街で計画停電が夜7時の時間帯で5日間続く」というニュースが舞い込んできた。半年前の「ある事件」以来、冷え切っていた夫婦仲だったが、奇遇にも、この計画停電につられて、これまでのお互いの「隠し事」を、一本の蝋燭の灯りの下、次第に打ち明け合うのだった…。
息子が文鳥をもらってきた。息子は私には反抗的だというのに、夫とは仲がいいみたいだ。夫は最近よくメールをしている。私じゃない女のにおいがするような気がする。経年劣化する縄のように、私たちの関係がいつかちぎれてしまう前に、私は家出でもしてやろうと思った。
DV父と幼い弟妹と暮らす柊也16歳。隣に越してきた自分達とは対照的な幸せな家族。そんなお隣さんに助けてもらう日々の中で頑なだった心が溶けていく。安全に暮らすということ。正しい道。家という当たり前ではない大切なものの話。