テーマ:お隣さん

隣の秘密

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読者賞はノミネート掲載された優秀作品のなかから、もっとも読者から支持された作品に贈られます。

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「ああ、ロミオ様、ロミオ様! どうしてあなたはロミオ様でいらっしゃいますの、あなたは?」
 陸は微笑んで
「黙って、もっと聞いていようか。それとも声をかけたものか?」
「声をかけてくださいな」
 美紀は適当に合わせた。
「ただ、一言、僕を恋人と呼んで下さい……」
「えっ?」
 陸が時計を見て、
「あっ、今から打ち上げ行かないと」
「そう」
「今度、二人でも打ち上げしてくれますか?」
「もちろん」
「じゃあ、また」
 陸が颯爽と駆けて行く。
「芝居のセリフだよね……」
 春風が吹いた。桜がひらひらと舞う中、美紀はゆっくりと歩き出した。

隣の秘密

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