住みタイム 東京都西東京市

住宅地が大部分を占める東京都西東京市。古くからの戸建の家が多く、空が広く感じられる東京都西東京市の南部を歩いていると、一直線に伸びる緑道に到着します。「多摩湖自転車道」という名のこの道は、美しく整備されたサイクリングコース。東京都西東京市から多摩湖まで10.2kmの距離を結んでいて、道の脇に生い茂る木々を眺めながらサイクリングやウォーキングを楽しむことができます。犬の散歩をする主婦や、東屋でひと休みしながら談笑するグループ。緑に囲まれながら朝のひとときを過ごす人たちを見ていると、まるでのどかな田舎の光景のように感じられ、心がなごんできます。

一方、東京都西東京市北部にあたるひばりが丘地区は、比較的マンションの多いエリア。昭和30年代には、保谷町、田無町、久留米町の3町にまたがって広大なマンモス団地「ひばりが丘団地」が建設されました。建設当初は日本で3番目に大きな団地として、当時の皇太子（現・上皇）ご夫妻がご訪問されたほどだとか。規模は縮小したものの、今なお多くの人が暮らす「ひばりが丘団地」に、新たなスポットができたというので、行ってみることにしました。
118号棟を改修して作られた「ひばりテラス118」は、地域外の人でも気軽に利用できるコミュニティセンター。大小6つのコミュニティスペースやカフェ、フラワーショップ、共同菜園ができる畑やカーシェアの設備もある、人々の交流拠点です。この日は、定期的に開催される「にわマルシェ」の日とあって、にぎやかな声が響いていました。雑貨や地場野菜、焼き菓子・パンなど、ここでしか買えない手作りの品々が並び、見ているだけでもほっこりと心が温まります。ほかにも、料理とお酒を楽しむ「にわバル」や、大きな野外スクリーンで映画を観る「にわシネマ」など、「ひばりテラス118」では広い敷地を活かした屋外イベントがたくさん。日々の暮らしのすぐそばに、人々の交流や文化体験がある。ここでの毎日はより豊かで充実した時間になりそうです。

東京都西東京市は昔から武蔵野台地の豊かな自然に恵まれていました。特に田無北部の谷戸地域は水源が豊富で、中世から集落が形成されていたといわれています。そんな谷戸地域で、13世紀に水の守り神・尉殿大権現（じょうどのだいごんげん）を祀って創立されたのが「田無神社」。重厚感のある石畳の階段を登って参道を進むと、趣深い本殿へとたどり着きます。扉や柱に精巧に施された彫刻は、江戸時代の名工・嶋村俊表による歴史あるもの。長い間人々に信仰されてきたこの場所で手を合わせれば、悠久の時の流れに見守られている気分になり、自然と穏やかな心持ちになってきます。

歴史ある神社が見守る地で、のどかな風景に囲まれ、地域の人々とも自然に交流することができる。東京都西東京市の朝に出会ったのは、そんな心が豊かになる暮らしの光景でした。