住みタイム 千葉県松戸市

小鳥のさえずりで目覚めた朝、カーテンを開けてみると、真っ青な空を鳥たちが横切って行きます。今日はバードウォッチングをしようと思い立ち、八柱駅にある公園「21世紀の森と広場」へ行ってみることにしました。

千葉県松戸市が市制50周年を迎えた1993年、「21世紀の森と広場」という名前に未来への希望を託してオープンした公園は、「とにかく広い！」が第一印象。園内は50haの面積を誇りますが、広いだけではありません。ぐるりと林に囲まれた芝生広場や田畑が広がる農村風景、木漏れ日が美しい林の中の散策路、それに池や小川などの水辺スポットまで、さまざまなエリアが存在します。開放的で心安らぐ景色が果てしなく連なり、バーベキューを楽しむグループや、ザリガニやどんぐりを探して走り回る子どもたちの姿も。自然を楽しむさまざまなイベントも実施していて、まさに “自然のテーマパーク”と呼びたくなる施設です。お目当てのバードウォッチングをしに、公園の西側にある自然観察舎へ。建物の中から千駄堀池に集まるさまざまな野鳥を観察することができます。望遠鏡を覗いていると、おや、あれはカルガモでしょうか。備え付けの野鳥観察ガイドブックのページをめくる手が止まらなくなってしまいます。

「21世紀の森と広場」がある千駄堀地区は、公園ができる以前から森林に囲まれた谷が入り組むエリアで、たくさんの植物や小動物が生息していました。そう、千葉県松戸市は昔から自然に溢れ、現在も市の3分の1程度が緑で覆われているほど。江戸時代には、第11代将軍・徳川家斉が鹿狩りを行ったとの逸話も残されています。次は、そんな徳川家と千葉県松戸市の深い関係を探りに、「松戸神社」へ向かってみましょう。

かつて宿場町として栄えた松戸は、江戸と水戸を結ぶ水戸街道に位置したことから、水戸徳川家の恩恵に預かりました。「松戸神社」も水戸徳川家から特別な寵愛を受け、数多の奉納品（御神宝）を授かったそうです。静けさに包まれた境内に足を踏み入れ、御神木である大銀杏を見上げてみましょう。一説には樹齢1000年ともいわれるこの立派な大銀杏には、“水戸黄門”として有名な水戸光圀公にまつわるこんなエピソードがあります。かつて光圀公が鷹狩りに訪れた際、大銀杏に止まった鷹へ弓を放とうとしたところ、鷹は微動だにせず、弓が中心から折れてしまったそう。愕然とした光圀公はその折れた弓矢を奉納し、御神前に鎮謝して帰ったといいます。創建は江戸時代初頭の1626年。約400年にわたって松戸を見守り続け、初詣はもちろん、毎年10月18日に開催される例大祭は多くの人でにぎわい、地域の人々の交流の場となっています。

もう1カ所、水戸徳川家と縁のあるスポットがあります。最後の水戸藩主であった徳川昭武の屋敷「戸定邸」です。木造平屋一部2階建の建物は、大名の下屋敷の面影を伝える近代和風建築。ほぼ当時の姿のまま残っているのは大変貴重で、最後の将軍・徳川慶喜も座ったという客間には思わず興奮してしまいます。襖の上の欄間に施された繊細な細工からも、ここがいかに格式高い場所だったかということがうかがえます。この街が育んできた歴史の豊かさを感じ、ますます千葉県松戸市が好きになっていきます。