一人暮らしで犬を飼うには?心構えや飼う際の条件、費用などを紹介
現在一人暮らしをしている方のなかには、そろそろ自分も犬を飼いはじめたいと思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、きちんとしつけや世話ができるか、外出時に留守番させるのはかわいそう……など、犬をお迎えするまでにいろいろと考え、なかなか犬を迎え入れる勇気がでない方も少なくないと思います。
そこで、この記事では犬を飼ってから後悔しないために、犬をお迎えする前に知っておくべき心構えや、飼育条件などを解説していきます。
記事の目次
一人暮らしで犬を飼うための心構え
一人暮らしで寂しいという方でも、犬を飼えば毎日一緒に過ごす相棒となり、癒しを与えてもらえるでしょう。しかし、犬を中心とした生活を送るとなると、恋人や友人と遊ぶ時間は少なくなるかもしれません。また、犬も生き物ですから、ケガしたり病気になったりするため、急な出費が必要となることも。
犬と暮らす生活はたくさんの癒しと喜びを与えてくれますが、必ずしもいいことだけではありません。飼い主にとって負担となることが少なからずあることを、あらかじめ心に留めておきましょう。
一人暮らしで犬を飼うって大変?
一人暮らしで犬を飼っている方に、アンケート調査を実施しました。
思う…31人
やや思う…20人
あまり思わない…6人
思わない…4人
約半分の方が一人暮らしで犬を飼うことは大変だと思っており、「やや思う」を含めると約8割という結果に。どの動物にもいえますがペットを飼うということは、その動物の命を預かるということです。犬の平均寿命は、10~15年ほどですから生涯面倒をみるのはそれなりの覚悟が必要ですね。
続いて、犬を飼うにはどれくらい大変なのか、飼い主さんたちの意見を見てみましょう。
大変だと思う
- 寝坊しても犬の世話は必ずして出かけないといけないこと。(20代/女性)
- 毎日どんな体調の悪いときでも遊んだり散歩したりしなければならないこと。(20代/女性)
- 散歩と家を空けられないこと。(30代/男性)
- 外泊ができないこと、もし入院でもしたら大変。(70代/女性)
自分の体調が悪いときでも世話をしなければならない、天気の悪い日でも散歩に連れて行かなければならないなどの理由が多いようでした。猫は自分のペースで餌を食べることができますが、犬の場合は食べる量を自身でコントロールできないため外出時のエサの管理は大変です。仕事などで帰りが遅いときは、自動えさやり機などを使うといいかもしれません。
やや大変だと思う
- 室内の温度調節。(20代/女性)
- いろいろとお金がかかる。(40代/男性)
- どれだけ疲れていても散歩をねだるので、外出しなければいけないこと。(50代/男性)
- 外出の際のペットホテル。納得できるサービスの提供が得られない。(60代/女性)
ペットを飼うと毎月飼育代がかかりますが、なかでも犬は狂犬病ワクチンや混合ワクチンを毎年打たなければなりませんし、フィラリア予防薬やノミ・マダニ駆除薬など他の動物に比べてお金がかかります。経済的に多少余裕がないと飼育するのは難しいかもしれません。
あまり大変だと思わない
- 仕事の前後に散歩の時間を確保すること。(20代/女性)
- 自分の具合が悪くてもお散歩と餌はかかせないので大変といえば大変だけど、それも楽しい。あまり人に預けられないので、旅行に出かけにくい。長期に出張のときは、実家に預かってもらうのが大変。(60代/女性)
- 大型犬なので各種予防注射などの費用が高額。(70代/女性)
「大変だけどそれも楽しい」とおっしゃっている方もいらっしゃいますが、帰宅時に愛犬が玄関までお出迎えしてくれたり飛び跳ねて喜んでくれる姿を見ると疲れも一気に吹き飛びそうですね。
いろいろと世話がかかりますが、愛犬がひざの上に乗って甘えてきたり、お腹を見せて愛情表現をしてくれると愛犬のためにこれからも頑張ろうと思えるのでしょうね。
大変だと思わない
- 雨が降ると散歩に行けないことくらいです。(30代/男性)
- 診療時間外に愛犬の体調が悪くなったときです。(50代/女性)
- 与えてくれる喜びが多いので大変とは思いません。(70代/女性)
犬を飼うことは大変ですが、世話がかかるからこそかわいさが増すのかもしれませんね。一人暮らしをしていると、誰もがふと寂しくなったり不安を感じる瞬間があると思いますが、犬がいてくれることで寂しさや不安が和らぎそうです。
犬との生活は楽しいだけじゃない
犬と一緒に過ごすと、一人でいるより心が安らぐことでしょう。たとえ言葉が通じなくても、話しかけるだけで心が癒されます。しかし一方で、犬がいることで自分の時間が減ったり行動に制限が生じたりと、楽しいことばかりではありません。実際にどのようなことが起こりえるのか、ここで詳しく解説します。
世話をしなければいけない
犬を飼ったら毎日世話をしなければなりません。どのような世話が必要となるのか具体的に説明していきます。
餌をあげる
人間と同様に、犬も当然ながら食事しなければ生きられません。成犬であれば1日2回、子犬なら4~5回ほどを目安に餌をあげます。なお、生後3カ月くらいまでの子犬はパピー用のウェットフードをあげるか、ドライフードをふやかして与えるといった工夫も必要です。
トイレを清潔にする
トイレで用を足したら、適宜トイレシートを変えて清潔に保つことが必要です。そうしないと衛生面で問題が生じるほか、においが部屋に染み込んでしまう可能性もあります。
なかにはお散歩中しか用を足さないという犬もいると思いますが、嵐の日など室内で過ごさせざるを得ないこともあるでしょう。そうなれば、トイレを使用することになるので常に清潔でいるよう心がけましょう。
散歩に連れていく
心身を健康な状態に保つためにも、毎日の散歩はかかせません。犬の大きさや骨格にもよりますが、基本的には1日2回を目安として、1回30分程度の散歩をおこないます。散歩中は糞尿を処理する用具、喉が乾いたときに飲ませる水も持参しましょう。周囲の人や他の犬がいると吠えたりかけよったりすることもあるので、うまく誘導することが大切です。また、自治体によってはノーリードで散歩させると条例違反になることもありますので、しっかりリードをつけて散歩するようにしましょう。
お風呂にいれる
身体を清潔に保つために、犬をお風呂に入れてあげましょう。毎日のように入れる必要はありませんが、おおよそ2~3週間に1度は入れてあげるとよいでしょう。
なお、人間用のシャンプーは刺激が強いため、犬専用のシャンプーを用意しましょう。お風呂を嫌がる犬もいるので、最初は慣れさせるだけで大変かもしれません。
お手入れをする
グルーミング(ブラッシングやコーミングなど)や歯みがき、爪切り、耳掃除なども定期的におこないます。また、あまり聞き慣れないものに「肛門腺絞り」というものがあります。これは肛門の左右に一対ある肛門腺が炎症を起こさないよう肛門腺から分泌液を出すためのものです。自分でおこなうのが難しければ、動物病院やトリミングサロンなどで頼むこともできます。
しつけをする
人間と同じ空間で一緒に過ごすためには、問題行動を起こさないようしつけが必要です。すぐに覚える犬もいれば、なかなか覚えず根気強い対応が求められる場合もあるでしょう。以下のようなしつけを、中長期的な視点で取り組んでいくことになります。
トイレ
用意したトイレで、ちゃんと用を足してもらえるようにしましょう。これができないと、家のいたるところで用を足してしまい、室内が汚れてしまいます。また、賃貸物件の場合、床におしっこが染み込んでしまうと退去時に原状回復費として床の張り替え費用を請求されることもありますので、トイレトレーニングはしっかりおこないましょう。
食事
勝手に食べ物を漁ることのないように決められた時間に、ちゃんと食事ができるようにしましょう。なお、よく「待て」をさせてご飯をお預けするケースがありますが、必ずしも必要ではないようです。
無駄吠え
外を通る人や車、犬などの気配を感じたり、来客があった際に無駄吠えする犬もいます。騒がしく周囲にも迷惑な他、放置するとさらに吠えるようになるため、しつけが必要です。
なお、ストレスや不安から無駄吠えするケースもあり、こうした場合は動物病院に相談したほうがよいかもしれません。
犬や人に慣れさせる
人や他の犬を見ると、吠えたり攻撃的になったりする犬もいます。相手が驚くだけでなく、場合によって噛みついたり押し倒したりしてケガをさせてしまうかもしれません。そうしたことがないよう、犬や人に慣れさせることも大切です。
生活音に慣れさせる
家の中では、犬にとって知らないさまざまな生活音が耳に入ります。そのたびに驚いたり吠えたりせず、落ち着いて過ごせるよう生活音に慣れさせましょう。
留守番に慣れさせる
24時間、常に犬と一緒に在宅していることは現実的に困難です。仕事にでかけたり、買い物したり遊びに行ったり、何かしらの理由で外出することはあるでしょう。静かにストレスなく留守番できるよう、まずは短い時間から少しずつ慣れさせることが必要です。
気軽に外泊ができない
犬がいると、気軽に外泊できなくなります。ペットホテルに預けるという方法もありますが、長くても預けられるのは1週間程度でしょう。もちろん、預ける日数が増えるだけお金もかかります。知り合いに預けるのも一つの手ですが、やはり長期であれば迷惑をかけることになりますし、犬にとってもよいことではありません。
病気やケガの際、仕事や学校を休まなければならない
犬も人間と同じように、病気やケガをします。そうなれば病院に連れて行くため、仕事や学校を休むことになるかもしれません。日常生活に影響が及ぶことは、あらかじめ覚悟しておいてください。
一生涯面倒をみなければならない
犬を飼うということは、その命を生涯預かるということです。やむを得ない事情から飼えなくなって里子に出すというケースもありますが、基本的には飼い主として最後まで面倒をみる覚悟が必要です。
このように、犬を飼うとさまざまな手間がかかります。もちろん、犬が大好きなら、こうしたことも苦にならないかもしれません。しかし、犬の世話をする時間が必要となるため今までどおり自分のペースで生活することが難しくなることもあります。まずは、飼い始めた後の生活を事前にイメージしてみることが重要です。
犬を飼育するのにかかる費用は?
アニコム損害保険株式会社の「2021年の1年間にペットにかけた年間支出費用」によると、犬の飼育にかかる年間費用は、345,572円だそうです。犬種や犬の寿命によっても異なりますが、おおよそ350~500万円くらいはかかるようです。
初期費用
犬を飼う際には、以下のような必要が発生します。
- 畜犬登録(生涯に1度)…約3,000円
- 狂犬病ワクチン接種…3,000円~4,000円
- マイクロチップ装着…5,000円~10,000円
※情報登録料 オンライン申請…300円、書類申請…1,000円
- 混合ワクチン接種(1回)…5,000円~10,000円
※子犬の場合、1年に3回接種が必要
- フィラリア予防薬…5,000円~12,000円
※5月~12月分、犬の体重により価格が変わります
- 飼育グッズ…15,000円
これらを合計すると、少なくとも35,000円以上の初期費用がかかります。もちろん犬をペットショップなどで購入するなら、これとは別に購入費も必要です。犬種によりますが、おおむね20万円以上になるでしょう。
年間費用
犬を飼い始めれば、定期的に以下のような費用もかかります。
- 狂犬病ワクチン……3,000円~4,000円
- 混合ワクチン接種(1回)…5,000円~10,000円
- フィラリア予防薬…5,000円~12,000円
※5月~12月分、犬の体重により価格が変わります
- フィラリア抗原検査…1,000円~3,000円
- フード・おやつ…40,000円~55,000円
- シャンプー・トリミング(1回)…3,000円~10,000円
※犬種・ペットサロンによって費用が異なります
- 光熱費…(飼育に伴う追加費用)…10,000円~15,000円
これらは、基本的に犬を飼っている誰もが負担しなくてはいけない費用です。少なくとも年間5万円以上になりますので、余裕を持って飼えるかどうか事前に考えておきましょう。
その他の費用
そのほか、必要に応じて以下のような費用も発生します。
- 去勢手術(生涯で1回)…15,000円~30,000円
- 避妊手術(生涯で1回)…35,000円~60,000円
- ペット保険(1年間)…15,000円~60,000円
- 病気やケガの治療費(1回)…初診料・再診料+治療代・薬代+消費税
※手術や入院が必要となる場合は、高額となることも
- ペットホテル(1泊)…2,500円~
- ドッグラン(1回)…500円~3,000円
- 犬の洋服(1着)…1,000円~
特に病気やケガは突然に起こるものですので、そうした出費への備えもかかせません。場合によっては数万、数十万円の費用が発生する可能性もあります。
賃貸物件で犬を飼うには?
一人暮らしであれば、ほとんどの方は賃貸物件で犬を飼うことになるでしょう。トラブルが起きないよう、以下のような点を理解・注意しておいてください。
今の住まいがペット可物件か調べる
ペットの飼育を許可している物件でないと、犬を飼うことはできません。現在住んでいる、あるいはこれから引越す物件がペットを飼えるのかどうか、必ず事前に確認してください。なかには「相談可」としている物件もありますが、この場合は動物の種類などに制限を設けている可能性もあります。どのような犬を飼いたいのか決めたうえで、不動産会社に相談してください。
ペット可だった場合
ペット可といっても、必ず飼いたい犬が飼えるとはいえません。例えば、犬種や大きさに制限を設けている可能性があります。ペット可の物件でも、実際に飼う前に不動産会社へ連絡してください。なかにはペット可の物件でも、入居後からペットを飼い始めるのはNGという場合もあります。ペット可とはいえ、勝手に飼い始めてよいというわけではないのです。
ペット不可だった場合
ペット不可の物件でも、交渉次第で許可を得られる可能性はあります。ペット不可の理由として多いのは、吠える声やにおいなどです。犬種やしつけなどでクリアできる問題もありますので、どのように解決できるのか提案を含めて交渉してみてください。
ペット不可の物件で犬を飼ったらどうなる?
ペット不可の物件で隠れて犬を飼っていた場合、バレれば強制退去させられるかもしれません。もしくは、住み続けたいのであればペットを手放すよう明示されることもあるでしょう。そうならないよう、無断で犬を飼うことは絶対に避けてください。
ペット可(相談可)の物件を探す
問題なく犬を飼うためには、ペット可(もしくは相談可)の物件を探すのが一番の方法です。以下でペット可(相談可)の物件をご紹介していますので、お気に入りの物件を探してみましょう。
ペット不可の物件に住んでいて犬を飼いたい場合には、許諾を得られるよう準備して交渉することが重要です。ポイントを押さえて交渉すれば、犬を飼える可能性は高まるでしょう。以下で、ペット不可の賃貸物件でペットを飼うための交渉のコツを詳しく解説しています。いざ飼うことになった際の注意点も取り上げていますので、参考にしてください。
犬を飼うときの注意点
犬を飼えるようになったら、自分自身が快適に暮らせるだけでなく、周囲に迷惑をかけないためにも注意すべき点があります。以下にて解説しますので、犬を迎え入れる前にあらかじめ確認しておいてください。
床や壁に傷や汚れをつけない
子犬の時期は、壁や柱を噛んだり壁をひっかいたり、部屋中にいたずらをしてしまうかもしれません。トイレ以外で粗相してしまったり、男の子なら壁にマーキングしたりすることもあります。そうなれば部屋が荒れて傷や汚れがつくほか、においに悩まされてしまうでしょう。においは自分の部屋だけでなく、近隣に及んで迷惑になることも考えられます。そうならないよう、ちゃんとしつけることはもちろん、何かあればすぐ処理することが大切です。
無駄吠えをさせない
子犬の頃は、寂しくて夜鳴きすることがあります。できれば、寝るときも近くにいて安心させてあげるとよいでしょう。成犬になっても、基本的に犬は音に敏感です。そのため、インターフォンの音やテレビから聞こえた犬の鳴き声に反応し、吠えることがあるかもしれません。昨今はテレワークが増え、自宅で仕事する方も多いでしょう。オンラインで会議中に犬が吠えてしまえば、相手を驚かせるほか仕事に影響が出る懸念もあります。無駄吠えしないよう、環境づくりやしつけが欠かせません。
エレベーターなどの共有部は抱っこする
ペット可や相談可の物件でも、全員がペットを飼っているとは限りません。あるいは猫を飼っていて、犬が苦手という方もいるでしょう。そのため、エレベーターなどの共用部分では、抱っこして移動することが大切です。なお、他の犬と鉢合わせた際に興奮して吠えたり暴れたりすることもあるので、慣れさせたりしつけたりすることも忘れないようにしてください。
敷地内で糞尿をしたらかたづける
お散歩中など、部屋の外で用を足した際には片付けるのがマナー。これは、敷地内でも同様です。糞は袋などに入れて持ち帰って処理し、尿は水で流しましょう。敷地をキレイに保つよう努めてください。
何かあったときの預け先を決める
何らかの事情により、家を空けなくてはいけなくなるかもしれません。そんなとき、どこに預けるか事前に決めておきましょう。具体的にはペットホテルを利用したり、知り合いに預かってもらったりする方法が考えられます。なお、ペットホテルも埋まっていれば利用できませんし、知り合いもタイミングによってNGということがあるはずです。そのため、預け先はできれば複数あると安心できます。
まとめ
一人暮らしで寂しいという方なら、犬を飼うことで癒しが得られるでしょう。ただし、必ずしも楽しいことばかりではありません。しつけやお世話など、犬を飼うことでやらなくてはいけないことが増えます。また、旅行など長期で家を空けられなくなるなど、日常生活にも少なからず影響が生じるものです。そうしたことを十分に理解し、犬を飼うかどうか検討してください。
なお、一人暮らしでは賃貸物件に住むことが多いと思います。この場合、住んでいる、あるいはこれから住む物件でペットを飼ってよいか事前に確認しましょう。ペット可、あるいは相談可能という物件でも犬種に制限があったり、住んだ後から飼い始めるのはNGだったりすることもあります。逆にペット不可の物件でも、交渉次第では犬を飼ってよいと許可が得られるかもしれません。
いずれの場合でも、まずは不動産会社に犬を飼いたい旨を伝え、相談することが大切です。ペット不可の物件で隠れて犬を飼うと、強制退去させられるリスクもありますので絶対に避けましょう。そして犬を飼い始めたら周囲への配慮を忘れず、無駄吠えしないようしつけたり、部屋を汚さないよう対処したりすることも重要です。ここで解説した内容を頭に入れたうえで、快適な犬との暮らしを実現させてください。
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<アンケート概要>
調査方法:インターネットリサーチ
対象: 18歳~80歳の男女
調査期間:2022年6月