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ペット不可賃貸物件でも交渉できる?交渉のコツや飼育時の注意点を解説

賃貸物件には、ペットを飼ってもよい物件と、そうでない物件があります。ペットの飼育が許可されている物件は比較的少なく、ペット可の物件であっても1匹までという細則があるケースも少なくないでしょう。「不動産情報サイト アットホーム」で、東京23区内のマンション・アパートなど集合住宅を例として件数を調べると261,112件ヒットしたのに対し、「ペット相談」の条件を追加したところ47,642件まで減ります(※2022年7月19日時点)。つまり、ペット相談可の物件は東京23区内においては全体の18%程度ということになります。

この記事では、ペットを飼いたいのになかなか条件の合う物件が見つからない……という方のために、ペット不可の物件でも、相談・交渉次第でペットを飼えることがあるのかどうかを解説します。

そもそもペット不可物件が多いのはなぜ?

なぜ、ペットを飼ってはいけない「ペット不可」の物件が多いのでしょうか。まずは、その理由についてご説明しましょう。

部屋が傷ついてしまうから

ペットを飼ってはいけない理由として多いのは、「部屋の壁や柱などに傷がついてしまうから」というもの。特に猫のなかには柱や壁で爪をとぐ習性のある個体がいるので、物件の貸主(大家さん)や管理者から敬遠されがちです。犬も部屋のなかを走り回ってフローリングに傷がついたり、建具を噛んで傷をつけたりすることがあります。

部屋ににおいがついてしまうから

次に、「においがついてしまう」という理由も考えられます。
ペットを飼っている飼い主は、においに慣れてわからないかもしれません。しかし、ペットを飼っているお宅に訪問すると、犬や猫の鼻につくにおいが気になることがあります。特に猫や犬のおしっこのにおいは強く、一度しみついたらなかなか取り除くことができません。

騒音トラブルのリスクがあるから

ペット不可の理由として、騒音トラブルの問題も挙げられるでしょう。猫は比較的おとなしいですが、犬の場合は鳴き声がうるさかったり、走り回ったりしてうるさいなど近隣との騒音トラブルが少なくありません。また、猫は高い場所から床に飛び降りることがよくあるので、その際の音も気をつけたいポイントです。

以上のような理由で貸主もリスクが高いと考えることから、ペットの飼育を許可している物件が少ないのです。では、ペット不可の物件は絶対にペットを飼うことができず、交渉の余地はないのかというと、一概にはそうとも言い切れません。以下では、ペット不可物件でも交渉することが可能なのか詳しく解説します。

ペット不可物件でも交渉することはできる?

ペット不可の物件は管理会社ではなく、物件の貸主(大家さん)の意向が反映しているものです。そのため、不動産会社や管理会社ではなく直接貸主と交渉してみた結果、なんとか許可をもらえたというケースもあるようです。もしくは管理会社を通して、貸主さんと交渉をしてもらうという方法も考えられるでしょう。

交渉する場合、どうしてペット不可物件になっているのかを理解してから臨むことが重要です。例えば、猫が爪とぎをして壁や柱に傷をつけられると困るからという理由なら、交渉次第で犬ならば飼ってもいいことになるかもしれません。あるいは、柱は壁を自費でガードすることを伝えれば、飼ってもよいといってもらえる可能性もあります。

ただし、どれだけ部屋を傷付けないようにしたとしても、貸主や管理会社に伝えずこっそり飼うのは厳禁です。
ペットを飼っていることは、遅かれ早かれ知られてしまいます。ペット不可物件でペットを飼っていることが判明し、契約違反で立ち退きになったというケースは少なくありません。立ち退きくらいで済めばまだしも、場合によっては損害賠償の請求や、契約違反として違約金を支払うことになるケースも考えられます。無断で飼うのではなく、必ず交渉して了解を得ることが大切です。

ペットを飼うための交渉のコツ

では、どのような交渉をすれば、ペット不可の物件でペットを飼えるようになるのでしょうか。交渉方法やコツなどについて、以下で具体的にご説明します。

不動産会社の繁忙期を避ける

ペット不可物件と交渉するコツは、不動産会社の忙しい時期を避けることです。特に1月から3月にかけては、繁忙期でどの物件も引く手あまた。そのような状況で交渉を持ちかけても難しいでしょう。「ペットを飼っているのなら、ほかの物件をあたってください」、「無理に借りてもらわなくても、借り手はいくらでもいます」ということになります。

交渉する狙い目は、忙しい時期を過ぎて、空き部屋がまだ残っているタイミングです。不動産会社ももちろん貸主も、空き部屋のままで置いておくことは回避したいもの。ペットを飼っているという多少のリスクはあっても、空き部屋のまま放置するよりはよいと考える会社は多いでしょう。

入居前に交渉する

入居した後に交渉を持ちかけても、契約条件に同意しているため「ペット不可物件なのだから、これからペットを飼うのはやめてください」となりがちです。そのため、ペットを飼う交渉は入居前がよいでしょう。どうしてもその物件に住みたいこと、そして「おとなしい性格だから部屋を傷つけない」など相手側に迷惑がおよばない理由を伝え、事前に交渉すれば了解を得られるかもしれません。

人気の物件を避ける

ペット不可物件と交渉するなら人気の物件を避けた方が無難です。人気が高い物件はほかにも借り手が見つかりやすいので、わざわざペットを飼う人に住んでもらう必要がありません。例えば築年数が浅かったり、駅から至近の物件だったり、リフォームしたてで設備が新しい物件など条件に恵まれた物件などは交渉が難しいでしょう。

トラブルを防ぐための対策を伝える

交渉の際には、相手側が懸念するさまざまなトラブルを防止する対策を伝えましょう。例えば猫が爪とぎをして傷つけるのではないかと心配している場合、「爪とぎ専用のアイテムを用意しているので、ほかの場所で爪とぎをすることはない」ことを伝えます。
あるいは、ペットのおしっこのにおいが部屋にしみつくのを心配している場合は「キチンとしつけてあって、トイレ以外の場所でおしっこすることがない」こと伝えることで、ペットを飼っても問題ないと思ってもらえるかもしれません。

敷金や礼金、家賃を多めに払う

どんなに注意していてもペットは生き物ですから、想定外のことが起きて部屋を傷つけたり、汚してしまったりすることは十分に考えられます。それを想定して、部屋の原状回復のための敷金や礼金を、最初に多めに払っておくという解決策もおすすめです。

ペット可の物件でも敷金は1か月分をプラスして支払うケースが多いので、必要経費と割り切って交渉してみましょう。あくまで基本的に問題は起きないと思うことを前置きしたうえで、「もし傷をつけたり汚したりした場合のことを考えて、入居する前に多めの敷金をお支払いしたいと思いますが、いかがでしょうか?」などと交渉を進めてみてください。
それでも難しい場合は、ペット可(相談可)物件を探してみましょう。

賃貸物件でペットと暮らすためにできる対策と注意点

賃貸物件でトラブルなくペットと暮らすために、覚えておきたい対策や注意点をご紹介します。

部屋を汚さない・傷つけない工夫

まずは部屋を汚さない、あるいは傷つけないための工夫を考えることが大切です。具体的にどのような工夫ができるのか見ていきましょう。

床にクッションフロアを敷く

犬や猫が走り回ってフローリングに傷がついてしまった場合、退去するときに原状回復することが極めて困難です。あらかじめ床にクッションフロアや爪がひっかかりづらいラグなどを敷いて、フローリングに傷がつかないように工夫しておくと、退去時のトラブルが防げます。

壁紙を傷つけないように工夫する

猫は爪をとぐ習性があるので、小さい頃から壁などで爪とぎをしないようしつけることが大切です。爪とぎアイテムを用意して、爪をとぐ場所を覚えさせましょう。また、壁や障子などに爪をたててよじ登るといったことがないようしつけるほか、よじ登れる猫グッズを用意するなどの対策も有効です。

においのついたものは放置しない

部屋にペットのにおいなどがしみつかないようにするには、トイレをこまめに掃除して、においのあるものを長時間にわたり放置しないことが大切です。ペットの排泄物などは小さい袋に入れて、密閉性が高く消臭効果のあるゴミ箱に入れるなどしてにおい対策をしましょう。

また、犬や猫のなかには縄張りを示すために、マーキング(においの強いおしっこを少しだけする)をすることもあります。この場合、マーキングをよくする場所に餌を置いたり、市販の忌避剤を使ったりという対処法がおすすめです。マーキングをしてしまった場所を念入りに消臭することも忘れずに。

近隣住民への配慮

ペットを飼う場合には、近隣住民への配慮も忘れてはなりません。誰もが動物好きというわけではないので、ペットを飼う上での配慮はとても重要です。具体的な対策を見ていきましょう。

鳴き声対策をする

猫は比較的おとなしいのが一般的です。しかし、犬のなかには、よく吠える個体もいます。犬の鳴き声対策として有効なのは、散歩に連れて行って適度に疲労させること。ストレスがあると吠えやすいといわれるので、散歩のときはしっかり遊んであげるのも対策になります。

共用部分では抱っこをする

飼っている側にとってはかわいいペットでも、他人にとっては脅威になることがあります。特に子どもの頃に犬に嚙まれたり追いかけられたりして、犬嫌いになったという人は少なくありません。そのため、マンションのエレベーターやエントランスなどの共用部分では犬を抱っこして、ほかの人に迷惑がかからないよう配慮することが大切です。

敷地内の糞尿は片づける

犬の糞などをきちんと片づけることは、ペットの飼い主としてごく当たり前のマナーです。しかし実際のところ、意外に守られていないことが多く見られます。このようなマナー違反は、ペットを飼うことに対する敵視を生んでしまいます。敷地の内外を問わず、しっかりとペットの糞を片付けるようにしてください。また、おしっこは水の入ったペットボトルなどを持参して洗い流すようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?ペット不可物件で交渉をするコツや、トラブルを防ぐための対策などについてご紹介しました。ペット不可物件であっても、まったく交渉の余地がないわけではありません。不動産会社の繁忙期を避けたり、人気物件を避けたりしながら、ペットが飼えるように交渉してみましょう。
不動産会社や貸主にペットを見せて、しつけがしっかりされていておとなしい性格だと理解してもらうことや、傷をつけたりにおいがしみついたりしないための具体的な対策を伝えることも、ペット不可物件との交渉を成功に導くカギとなります。

ここまでペット不可物件でペットの飼育を認めてもらうためのコツを解説してきましたが、やはりペット不可物件でペットを飼うことはハードルが高いことだと思います。物件数は限られるとはいえ、条件の合うペット可(相談可)物件を見つけ、人とペットが快適に過ごせる住まいを見つけることも視野に入れましょう。

不動産情報サイト アットホームでは、「ペット相談」だけでなく、「大型犬相談」「小型犬相談」「猫相談」と飼っている・飼おうとしているペットに沿ったこだわり条件から探すことができます。ぜひ使ってみてくださいね。

執筆者

ヤマシタ ユキマル

美大卒業後、デザイン事務所に勤務。クリエイターとしてデザインコンセプトやクライアントへ業務改善策などについて提案する文章作成業務をきっかけにライター業へ転身。ライター歴15年。

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