引越しにかかる初期費用はいくら?相場と費用を抑えるコツを徹底解説

そこで今回は、引越し時に想定しておきたい初期費用の目安や、費用をなるべく抑える方法を解説していきます。
記事の目次
引越しの初期費用とは?内訳を確認しよう

はじめに引越しに必要な初期費用として、具体的にどのような項目があるのか、詳しい内訳から見ていきましょう。
新居を借りる際にかかる費用
まず賃貸物件を契約する際には、入居の前に次のような費用がかかります。
敷金
敷金は、入居中に何かトラブルがあった時の備えとして、物件の貸主にあらかじめ預けておく保証金のようなものです。おもに家賃の支払いが滞ったり、借主の責任で修繕費用が必要になったりする場合に使われます。ちなみに敷金は、原状回復に必要な費用(ペットが付けたキズやにおい、借り主の過失でつけたキズなどの修繕費)を差し引いた金額を退去の時に返してもらえるのが一般的。なお敷金の費用目安としては、家賃の1カ月~2カ月分が大体の相場です。
礼金
礼金は、その名のとおり物件の貸主に対する謝礼として支払う費用で、いわば入居するにあたってのサービス料のようなイメージです。そのため礼金は、敷金のように返還されるものではなく、また地域や物件によっては必要ないケースもあります。なお礼金の費用目安は、敷金と同様に、家賃の1カ月~2カ月分が相場です。
仲介手数料
仲介手数料は、物件の契約に向けて、貸主と借主の間に入って対応した不動産会社に対する報酬です。なお賃貸の仲介手数料は、家賃の1カ月分+消費税10%を上限とする法律上のルールもありますが、物件によって負担方法は異なります。具体的には、貸主または借主の全額負担、もしくは双方で折半のどちらかです。なお貸主と借主で折半する際、それぞれで負担するのは、家賃0.5カ月分+消費税10%が上限とされています。そのため仲介手数料の目安は、家賃の0.5カ月分~1カ月分(×消費税10%)がおおよその相場です。
前家賃
前家賃は、毎月の賃料の未回収防止に向けて、翌月分を先払いしておくものです。入居時にも、あらかじめ翌月の家賃を支払っておくのが通常です。仮に3月中に入居をする場合は、4月分の家賃を前家賃として支払います。なお前家賃は、翌月分の賃料に当たるものなので、当然ながら具体的な金額は家賃の1カ月分となります。
日割家賃
日割家賃は、契約や入居のタイミングに応じて発生する物件の賃料です。月初(1日)ではなく、月の途中で物件を借りた場合には、そこから月末までの家賃が発生します。例えば、
3月20日に入居する場合、3月20日~3月31日までの11日分の賃料を日割りして支払います。なお日割家賃の金額は、1カ月分の賃料÷30日(31日)×入居日数で算出されます。
火災保険料
火災保険は、おもに火事・自然災害・盗難などに見舞われた時の損害補償として加入するもので、年払いなどで支払うのが一般的です。不動産会社や各物件で指定されている火災保険を利用する場合が多く見られます。なお火災保険料は、利用する会社などに応じて変動しますが、賃貸物件の2年契約なら1万5,000円程度が大まかな相場です。
保証料
保証料は、家賃の支払い困難時や滞納時など、借主本人に代わって賃貸保証会社が弁済するサービスの利用料金です。連帯保証人の代行を依頼したい場合や、物件によっては契約が必須とされているケースも多く見られます。なお入居にともなう初回保証料の目安は、家賃と共益費(管理費)の合計の0.5~1カ月分が大体の相場です。
退去まで家賃を滞納することがなくても保証金は返還されません。
鍵交換代
賃貸物件では基本的に、入居者が変わるごとに鍵交換がおこなわれており、その際にかかる料金も借主の初期費用として支払うのが一般的です。なお鍵交換代は、各物件で使用されている種類によって変わってきますが、大体2万円前後が相場とされています。
その他料金(クリーニング代など)
物件や不動産会社によって異なりますが、なかには入居前のハウスクリーニングや消毒などがおこなわれるケースもあり、その料金が初期費用に含まれる場合もあります。
引越し費用
引越し会社を利用する際には、その依頼にかかる料金も初期費用として必要です。なお引越し費用は、荷物の量や移動距離など、さまざまな要素に応じて変動します。まず金額に影響しやすいのが引越しの時期で、予約が集中する繁忙期と、その他の通常期では料金は大きく異なります。
その他にも、週末と平日といった、曜日などに応じて変わってくるケースもあります。こうした点も踏まえた引越し費用のおおよその目安としては、以下のようになっています。
単身 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人~ | ||
---|---|---|---|---|---|---|
近距離 | 通常期 | 44,995円 | 55,231円 | 80,085円 | 120,223円 | 129,574円 |
繁忙期 | 67,493円 | 82,847円 | 120,128円 | 180,335円 | 194,361円 | |
長距離 | 通常期 | 73,486円 | 82,200円 | 114,798円 | 151,981円 | 149,100円 |
繁忙期 | 110,229円 | 123,300円 | 172,197円 | 227,972円 | 223,650円 |
※100km未満を近距離、100km以上を遠距離としています。
※近距離は約97km(東京都心部~神奈川県足柄下郡)、遠距離は約350km(東京都都心部~愛知県名古屋市内)で算出しています。
※本州内の引越しを想定しています。
※表は不動産情報サイト アットホーム内引越し料金比較にて算出した引越しの見積もりの平均金額です。
上記からもわかるように、繁忙期と通常期では、引越し費用は平均的に1.5倍近くもの差が出ています。また全体的な金額の差に注目してみると、3人世帯以上から費用が上がりやすい傾向にあり、特にファミリーの引越しで料金が高くなりやすいことも想定されます。ちなみに単身の引越しでは、荷物量が少ない場合はリーズナブルに利用できる格安プランなどもあり、比較的費用が抑えやすい特徴もあります。
その他
ここまでに見てきたような、新たな物件への入居に向けた契約費や引越し料金だけでなく、新生活のスタートにあたっては他にもさまざまな費用がかかります。例えば、家具・家電の購入費・不用品の処分代・退去にともなう各種費用(違約金・修繕費・原状回復費)など。状況に応じて異なるので、引越しや退去の準備として何が必要なのか整理しつつ、どのような費用が発生しそうなのか洗い出してみましょう。
引越しの初期費用の相場は家賃約6カ月分

今までに見てきた各種費用をまとめると、引越し時に必要な初期費用の目安は、家賃のおおよそ6カ月分。もし礼金などがない場合も想定するのであれば、家賃の5カ月分~6カ月分くらいが引越しにかかる初期費用の相場となります。では実際に、引越しに必要な初期費用の総額は次のように算出してみましょう。
初期費用の計算方法
新居の契約費も引越し料金も含めた総額は、次のように計算できます。
入居する物件の家賃×5カ月分~6カ月分+引越し料金
引越し料金は、移動距離・依頼する時期・世帯人数によって相場が変わってきます。まずは、ご自身の引越しパターンを確認しながら、どのくらいの料金目安になるのか把握しましょう。そして新居の家賃から契約にかかる初期費用を計算して、引越し料金と合計して総額を算出していきます。
初期費用を支払うタイミング
賃貸物件の契約に必要な初期費用は、入居審査通過後から契約日までの間に、一括で支払いを求められるのがよくあるパターンです。不動産会社や物件ごとにタイミングや支払い方法が異なることもあるので、申込時に支払い期日を確認しておきましょう。
なお引越し料金は、実際に荷物を運び出す、作業日当日に支払うのが一般的です。引越し会社にもよりますが、現金払いを指定される場合も多いので、あらかじめお釣りのないように準備しておくとスムーズでしょう。
【世帯構成別】引越し初期費用シミュレーション
ではここからは、世帯構成に分けて、新居の契約にともなう初期費用の明細とシミュレーション例を見ていきましょう。
【一人暮らし】の初期費用シミュレーション

それでは実際に、具体的な数字を当てはめながら、初期費用のシミュレーションをしていきます。まずは前述にも出てきた、新居を借りる際にかかる費用の内訳をもとに、敷金・礼金・仲介手数料・保証料は、家賃の1カ月分として算出。なお鍵交換代は2万円、火災保険料は1万5,000円として計算。
入居日:11月16日(入居日数/15日間)
家賃:5万3,000円
日割家賃:2万6,500円(1カ月分の賃料5万3,000円÷30日×入居日数15日間)
※家賃は政府統計「家計調査/家計収支編 単身世帯」より平均5万3,691円を参考に5万3,000円とします
項目 | 金額(円) |
---|---|
敷金 | 5万3,000円 |
礼金 | 5万3,000円 |
仲介手数料 | 5万3,000円 |
前家賃(日割家賃含む) | 7万9,500円 |
鍵交換代 | 2万円 |
火災保険料 | 1万5,000円 |
家賃保証料 | 5万3,000円 |
※敷金・礼金・仲介手数料がそれぞれ家賃1カ月分の場合
上記をもとに計算してみると、家賃5万円の物件に引越しする場合、新居の契約にともなう初期費用は合計32万6,500円。一人暮らしの引越しにおける初期費用の目安は、おおよそ家賃6カ月分となりました。
【二人暮らし】の初期費用シミュレーション

二人暮らしの場合も、敷金・礼金・仲介手数料・保証料は家賃の1カ月分、鍵交換代は2万円、火災保険料は1万5,000円でシミュレーションしていきます。なお入居日や家賃の具体例には、以下の数値を使用します。
入居日:11月16日(入居日数/15日間)
家賃:6万5,000円
日割家賃:3万2,500円(1カ月分の賃料6万5,000円÷30日×入居日数15日間)
※家賃は政府統計「家計調査/家計収支編 二人以上世帯」より平均6万5,290円を参考に6万5,000円とします
項目 | 金額(円) |
---|---|
敷金 | 6万5,000円 |
礼金 | 6万5,000円 |
仲介手数料 | 6万5,000円 |
前家賃(日割家賃含む) | 9万7,500円 |
鍵交換代 | 2万円 |
火災保険料 | 1万5,000円 |
家賃保証料 | 6万5,000円 |
※敷金・礼金・仲介手数料がそれぞれ家賃1カ月分の場合
二人暮らしで、例えば家賃6万5,000円の物件を借りる場合、必要な初期費用の目安は合計して39万2,500円となりました。
【ファミリー】の初期費用シミュレーション

ファミリーの場合も同様に、敷金・礼金・仲介手数料・保証料は家賃の1カ月分、鍵交換代は2万円、火災保険料は1万5,000円で算出してみます。なお入居日や家賃の具体例には、以下の数値を使用します。
入居日:11月16日(入居日数/15日間)
家賃:7万3,000円
日割家賃:3万6,500円(1カ月分の賃料7万円÷30日×入居日数15日間)
※家賃は政府統計「家計調査/家計収支編 4人世帯(有業者1人)-年間収入五分位階級,住居の所有関係別」(第4階級・借家)」より平均7万3,669円を参考に7万3,000円とします
項目 | 金額(円) |
---|---|
敷金 | 7万3,000円 |
礼金 | 7万3,000円 |
仲介手数料 | 7万3,000円 |
前家賃(日割家賃含む) | 10万9,500円 |
鍵交換代 | 2万円 |
火災保険料 | 1万5,000円 |
家賃保証料 | 7万3,000円 |
※敷金・礼金・仲介手数料がそれぞれ家賃1カ月分の場合
ファミリーで、仮に家賃が7万3,000円の場合、新しく賃貸物件に入居するには合計43万6,500円の初期費用がかかるシミュレーションになります。
入居時の初期費用のシミュレーションを見ていきましたが、この費用に別途、距離や時期に応じた引越し費用がかかります。
引越しの初期費用を抑えるコツ

ここまでに出てきたように、引越しの初期費用としてまとまったが金額が必要になることもあり、少しでもリーズナブルに済ませたいですよね。ここからは、引越しの初期費用をできるだけ安く抑えるための方法をご紹介していきます。
敷金・礼金0の物件を探す
敷金や礼金は、物件によってはかからないケースもあり、初期費用を抑えたい時には注目しておきたいポイント。ただし敷金に関しては、退去時の原状回復費にも充てられる費用でもあります。部屋を出る時に、修繕や特別なクリーニングが必要な状態だと、のちのち請求が来るケースも。特に敷金がない物件を選ぶ際には、退去時に別途費用がかかる可能性があることも想定しておきましょう。
フリーレント物件を探す
フリーレント物件とは、入居初期の一定期間限定で、家賃を無料としている賃貸です。最初の数カ月は家賃がかからないため、引越し時のトータルコストを考えると、大きな節約ができるメリットがあります。またフリーレント物件では、契約期間の下限が設定されているのが一般的で、それに満たない時期に退去する際には違約金が発生する可能性も。フリーレント物件を検討する際には、入居時の規約や条件などは、十分に把握しておきましょう。
家賃の安い物件を探す
前述にもあるように、敷金・礼金・仲介手数料・前家賃など、各物件の賃料に応じて設定されます。できるだけ家賃の安い物件を選べば、その分初期費用は抑えられるうえに、毎月の固定費も抑えることができます。もしなるべくコスト面を重視したいのであれば、家賃の安さに注目して物件を探してみるのもおすすめです。
なお不動産情報サイト アットホームでは、希望の家賃額などの各種条件をもとに、より自分に合う物件を見つけることができます。ぜひ不動産情報サイト アットホームを活用してみてください。
仲介手数料の値引き交渉をする
引越しの初期費用に含まれる仲介手数料は、不動産会社に対する成功報酬で、場合によっては値引きの交渉ができることも。どうしても賃貸契約時の初期費用が気になる時には、仲介手数料が抑えられないか相談してみる方法もあります。とはいえ仲介手数料は、ほとんどは適正価格に設定されており、値下げするのは難しいケースが一般的です。
あまり強く交渉をしても、値下げに応じてもらえないことも多いため、難しそうであれば無理に話を進めないのが無難でしょう。
ただし時期や物件などによっては、仲介手数料の割引キャンペーンをおこなっている場合もあるため、こうしたサービスの活用も検討してみてください。
オーナー・不動産会社に家賃交渉をする
どうしても希望の物件を押さえたいものの、なかなか費用面が厳しい場合には、家賃の交渉をしてみるのも一つの方法です。例えば「値下げしてもらえたら、すぐにでも必ず契約する」などの交換条件を付けつつ、交渉してみると話を進めやすいでしょう。
ただし仲介手数料と同じく、基本的には必要最低限の賃料が設定されており、なかなか値下げは難しいケースがほとんどです。家賃交渉も、あまり強引に進めないほうがよいでしょう。
初期費用を分割で支払う
一度にまとまった金額を出すのが厳しい時には、クレジットカードで決済をして、分割払いを選択する方法もあります。ただし不動産会社や物件によっては、支払い方法が指定されており、クレジットカードが使用できないケースもあるので注意が必要です。またクレジットカードの分割払いでは、手数料(利子)がかかってきてしまうため、最終的な支出金額は割高になる点も覚えておきましょう。
家具・家電付きの物件を探す

引越し時には、新生活に向けた、家具・家電を揃えるための購入費がかかる場合もあるでしょう。そうした際には、あらかじめ家具・家電が付いている物件を選ぶことで、大幅に費用が抑えられる可能性もあります。もし引越しにともなって、ひととおりのアイテムを用意する必要がありそうなら、家具・家電付きの物件を検討してみるのもおすすめです。
閑散期に引越しを検討する
引越し会社に依頼する場合の費用は、時期によって大きく異なります。そのため引越しのタイミングが調整できそうなら、なるべく繁忙期を避けたスケジュールにしたほうが費用は抑えやすいでしょう。また閑散期の場合は予約が集まりにくいこともあり、引越し会社としても、契約に向けて価格交渉に積極的に応じているケースも多々あります。このように、閑散期のほうが料金を抑えやすい条件が整っており、比較的安く引越しがしやすいでしょう。
自治体の補助金制度を利用する
例えば結婚や離職時、特定の対象物件など、一定の条件に該当する場合には、国や自治体などによる支援が受けられるケースもあります。もちろん指定された要件などを満たす必要はありますが、お住まいの地域で引越し関連の補助金制度がないか、一度調べてみましょう。
日割家賃の日数をなるべく短縮する
賃貸物件間で引越しをする際には、場合によっては旧居で退去するまでの期間中に、新居への入居日を設定しなければならないケースもあるでしょう。そうなると旧居と新居の入居期間が被ってしまい、二重に家賃が発生することも想定されます。さらに日割家賃が生じる日数が増えてしまうと、初期費用もかさんでしまうことになります。できれば前の部屋を出る退去日と、新居に入る日までの期間は短縮できるようにしておき、なおかつ月末に近い日付で入居できると初期費用も抑えやすいでしょう。
まとめ
引越し時には、新居の契約にともない、敷金・礼金・仲介手数料・前家賃(日割家賃)・火災保険料・保証料・鍵交換代といった初期費用が必要です。さらには引越し会社を使って荷物を運んでもらう場合の料金や、必要に応じて家具・家電の購入費などもかかってきます。なお賃貸物件に入居する際の初期費用は、大まかには家賃の5カ月分~6カ月分ほどの金額となるのが目安で、ある程度のまとまった資金を用意しておかなければなりません。
今回ご紹介したように、こうした初期費用を抑える方法もあるので、予算面が気になる時にはぜひチェックしてみてください。引越しの際には、本記事も参考に、新生活をはじめるための資金も準備しておきましょう。