戸建て投資は儲からない?ボロはどう?メリット・デメリット、平均利回りを徹底解説

そこで本記事では、戸建て投資のメリットやデメリット、失敗しないためのポイントを解説します。また、ボロ戸建ての場合はどうなのかも解説。投資にはリスクがつきものです。メリット・デメリットを把握したうえで、よく検討しましょう。
記事の目次
戸建て投資に関する基礎知識

そもそも戸建て投資とは他の物件と比較して、どのような特徴があるのでしょうか。本章では、戸建て投資の特徴や平均利回り、初期費用を詳しく解説します。
戸建て投資とは
戸建て投資とは、一戸建て住宅を購入し、賃貸に出すことで家賃収入を得る投資方法です。ファミリー層がターゲットとなるため、継続的な入居が期待できることから、長期にわたって安定した家賃収入を見込める点が特徴。また、同じファミリー層がターゲットとなるマンションやアパートと比較して、競合が少ないことから、需要が高いことも特徴として挙げられます。
さらに、戸建て投資は「新築一戸建て」と「中古一戸建て」の2種類に分けられます。新築の場合は、一戸建て住宅を購入する必要があるため、初期費用が高額になる傾向に。しかし、建物が新しく資産価値が高いことから、家賃を高く設定でき、入居者も集めやすくなります。
一方、中古の場合はすでに建物ができあがっているため、新築と比較して初期費用を抑えられます。また、初期費用を抑えられることから、利回りが高くなることも。他には、マイホームの住宅ローンを完済したあとに、賃貸として貸し出す「ヤドカリ投資」と呼ばれる投資手法もあります。
戸建て投資の平均利回り
投資家であれば、どれくらいの利回りであるかは気になるところでしょう。戸建て投資の平均利回りは、物件の所在地、築年数、状態などによって大きく変動するため、一概に断言することはできません。しかし、一般的に新築の場合は5〜6%、中古の場合は6〜8%が相場とされています。先述したように、中古のほうが初期費用を抑えられることから、利回りが高くなる傾向があります。
また、都市部か地方かによっても異なり、都市部は4〜7%、地方は10%が目安とされています。地方のほうが利回りが高くなる理由は、物件価格が抑えられるためです。しかし、場所によっては賃貸需要が低く、空室リスクが高くなるため、慎重に検討しなければなりません。
戸建て投資の初期費用
戸建て投資を始める際には、物件価格だけではなく、さまざまな初期費用がかかります。具体的にどのような費用があるのかを見ていきましょう。
費用 | 内容 |
---|---|
登録免許税 | 土地や物件の権利関係を公的に証明するための登記をする際に支払う費用 |
印紙税 | 売買契約書やローン契約書に課せられる税金 |
固定資産税 ・都市計画税 |
固定資産税は土地や物件を所有することに対してかかる税金 都市計画税は物件が市街化区域内にある場合にかかる税金 |
仲介手数料 | 土地や物件を購入する際に不動産会社に支払う費用 |
これらは、戸建て投資を始める際にかかる主な初期費用です。中古物件の場合は、さらにリフォーム費用が必要となります。
下表は国土交通省の「令和5年度住宅市場動向調査報告書」から、一戸建ての購入価格がいくらになるのかをまとめたものです。
住宅の種類 | 借入 金額 |
自己資金の金額 | 合計 金額 |
---|---|---|---|
注文住宅 (土地を購入した新築住宅) |
4,447万円 | 1,080万円 | 5,527万円 |
中古一戸建て住宅 | 1,707万円 | 1,164万円 | 2,871万円 |
中古の一戸建て住宅のほうが、借入金額が少なく済んでいることがわかります。これは賃貸用ではなく、持ち家として購入した際のデータとなりますが、一つの目安になるでしょう。また、初期費用だけでなく、戸建て投資を始めたあとにも維持費用が継続してかかることを理解しておきましょう。
戸建て投資のメリット

これまでに戸建て投資の概要や利回りを見てきました。それでは、戸建て投資のメリットは何でしょうか。本章で解説します。
長期的な入居が期待できる
戸建て投資のメリットとして、長期的な入居を期待できることが挙げられます。一戸建て住宅は、ファミリー層からの需要が高くなっています。また、ファミリー層は、一つの住宅に長く住む傾向があるため、安定した家賃収入が期待できるでしょう。
実際に、公益社団法人日本賃貸住宅管理協会日管協総合研究所の「第27回賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』」によると、単身者の平均居住期間が3年3カ月であるのに対し、ファミリー層は5年2カ月。
また、入居期間が長ければ、退去の頻度も少なくなります。そうすると、原状回復費用や入居者を集めるための広告費用も抑えられるため、キャッシュフローも安定しやすくなるでしょう。
利回りが高い傾向にある
利回りが高い傾向にあることも、戸建て投資のメリットです。理由は、物件価格が安価であり、初期費用を抑えられるから。人気があるエリアでは物件価格が上昇していますが、空き家が問題となっている今、安い一戸建て住宅も増えています。不動産情報サイト アットホームでは、一戸建て住宅の売却価格の相場を検索できます。
物件価格の目安として、ワンルームマンション投資の場合、新築で1,000万円以上、一棟アパートでは2,000万円程度となります。
しかし戸建て投資の場合、築古であれば100万円程度から始められます。物件価格が抑えられるだけでなく、家賃を高く設定できることも、戸建て投資の利回りが高くなる理由の一つ。賃貸用の一戸建て住宅は供給が少ないことから、高めの家賃設定でも入居が決まりやすくなります。
このように、初期費用が抑えられ、家賃を高く設定でき家賃収入が安定していることから、戸建て投資の利回りは高くなる傾向にあります。
リノベーションの自由度が高い
戸建て投資は、リノベーションの自由度が高い点もメリットの一つです。例えばマンションの場合、管理組合の規約に縛られるため、リノベーションが制限されます。一方、一戸建て住宅の場合、そういった制限がないため、間取りや内装の変更など、自由に改修が可能。リノベーションにより物件の価値を高め、より長期的な入居を期待できます。
また、建て替える場合も、一戸建て住宅のほうが有利です。アパートやマンションの場合、すべての入居者に退去してもらわなければ、建て替え工事ができません。しかし、一戸建て住宅であれば、入居者が退去するタイミングで工事が可能となります。
出口戦略を立てやすい
出口戦略を立てやすいことも、戸建て投資におけるメリットの一つです。出口戦略とは、購入した投資物件を売却する際の計画のこと。不動産投資で家賃収入を得ていても、投資物件の売却価格が低ければ、投資した金額を回収できない可能性があります。そのため、投資物件を購入する前に、どのように売却するのかを考えておくことは重要です。
戸建て投資の場合、一戸建て住宅を解体して、他の土地活用を検討することも可能。例えば、駐車場投資やコインランドリーの経営などが考えられます。また、投資用物件ではなく、居住用の物件として売却することもできます。居住用のほうが買い手は付きやすいため、売却も進めやすいでしょう。
戸建て投資のデメリット

利回りが高い傾向にあったり、出口戦略を立てやすかったりと、戸建て投資にはさまざまなメリットがあります。しかし、メリットだけではありません。自分に合った不動産投資か判断するために、デメリットも押さえておきましょう。
不動産投資ローンが組みにくい
戸建て投資のデメリットとして、不動産投資ローンが組みにくいことが挙げられるでしょう。不動産投資ローンでは、契約者の返済能力だけでなく、投資物件の評価額も重視されます。それは万が一、契約者がローンを返済できなくなった場合、金融機関が投資物件を売却し、その売却価格でローンの債権を回収するためです。
特に中古の一戸建て住宅の場合、評価額が低くなることから、融資が受けにくくなります。また、投資物件の収益性もチェックされます。一戸建て住宅が郊外にあったり、築年数が経っていたりする場合、収益性が低いとみなされることも。しかし、不動産投資ローンを借り入れられる金融機関は、銀行だけではありません。信用金庫やノンバンクなど、他の金融機関も検討してみましょう。
空室になった時のリスクが大きい
戸建て投資のデメリットとして、空室になった時のリスクが大きいことが挙げられます。メリットで先述したように、戸建て投資では、一度入居が決まれば、長い期間安定した家賃収入が見込めます。しかし、もし退去した場合、すぐに入居者が決まるとは限りません。次の入居者が決まるまで、家賃収入が得られない状態となります。不動産投資ローンを組んで一戸建て住宅を購入した場合は、家賃収入がない状態で、ローンを返済し続けなければなりません。
例えば、一棟アパートやマンション経営の場合、空室が一室あっても、他の部屋の家賃収入が見込めます。しかし、戸建て投資の場合、入居者がいなければ家賃収入がゼロとなるため、長期間入居者が決まらなければ破綻してしまう可能性も。このように戸建て投資は、空室になった場合のリスクが大きくなる点がデメリットです。
リフォーム費用が高い傾向にある
戸建て投資は、アパートやマンション経営と比較して、リフォーム費用が高くなる傾向にあります。もし中古の一戸建て住宅を購入した場合、全体的なリフォームが必要となるかもしれません。物件価格が安く抑えられたとしても、リフォーム費用が高額になる可能性も。特に、目に見えない部分はホームインスペクター(住宅診断士)といった専門家に診断してもらうと安心でしょう。中古の一戸建て住宅を購入する際には、物件価格だけでなく、リフォーム費用もいくらかかるのか、事前に見積もりをしておきましょう。
管理状況の把握が難しい
管理状況が把握しにくいことも、戸建て投資のデメリットです。アパートやマンションの場合、管理会社によって廊下や階段などの共用部分の定期的な清掃がおこなわれるため、管理状況が把握できます。しかし、一戸建て住宅の場合、共用部分がないため、清掃や日々の管理は入居者に任せることが一般的。また、入居期間が長いことから、さらに管理状況の把握が難しくなります。修繕が手遅れにならないよう、定期的に点検に入る仕組みを作っておくと安心でしょう。
資産形成のスピードが遅い
戸建て投資のデメリットに、資産形成のスピードが遅いことも挙げられます。例えば、不動産投資ローンを借入金額2,000万円、返済期間20年、金利2%で借り入れた場合。月々の返済額は、10万1,177円となります。もし家賃12万円で貸し出した場合、手元に残る金額は1万8,823円。ここから固定資産税や火災保険料などの維持費を支払うことになります。戸建て投資は少額で始められますが、得られる家賃収入が限られているため、資産を早く増やしたい方には向いていません。
ボロ戸建て投資はリスクが高い?

インターネットや書籍で「ボロ戸建て投資」という言葉を目にすることも多くなりました。初期費用が抑えられることから、注目している方もいるでしょう。本章では築年数が経った一戸建て住宅の投資に焦点を当て、メリット・デメリットを解説します。
ボロ戸建て投資のメリット
ボロ戸建て投資にはどういったメリットがあるのでしょうか。ここでは2つのメリットを解説します。
初期費用を抑えられる
ボロ戸建て投資は、初期費用を大幅に抑えられるというメリットがあります。築年数が経っており、傷みが激しく、家を探している人には選ばれにくいことから、物件価格が下がる傾向にあります。アパートやマンション経営では、不動産投資ローンを組んで投資物件を購入することが一般的。しかし、ボロ戸建て投資の場合は自己資金のみで賄うことも可能です。なかにはDIYでリフォーム費用を抑え、賃貸として貸し出す投資家の方もいます。
高い利回りを期待できる
ボロ戸建て投資は、高い利回りを期待できる点もメリットです。先述したように、ボロ戸建て投資は物件価格を大幅に抑えられることから、高い利回りを期待できます。新築物件と比較して、家賃は低めに設定されますが、一般的に、利回りの理想は15%以上とされています。これを下回ると修繕費がかさんだ場合、赤字経営となる可能性も。また、リフォーム費用が高額になる可能性があるため、物件価格だけでなく、全体的にかかるコストを算出したうえで、購入を検討しましょう。
ボロ戸建て投資のデメリット
ボロ戸建て投資は、場合によっては自己資金のみで始められることから、初期費用を大幅に抑えられるメリットがあります。しかし、当然デメリットもあります。ここでは4つのデメリットを解説します。
リフォーム費用が高い
ボロ戸建て投資は、リフォーム費用が高いというデメリットがあります。築年数が経っていることから、リフォーム費用が高額になる傾向があります。また、外見上は問題がなさそうに見えても、内部の配管や電気系統など、見えない部分に問題があり、追加の費用が発生することも。リフォーム費用を正確に見積もるために、複数のリフォーム会社から見積もりを取りましょう。
入居付けが難しい
ボロ戸建て投資のデメリットとして、入居付けが難しい点も挙げられます。リフォームがされていても築年数が古いことから、新築物件と比べて、入居者から敬遠される傾向にあります。また、もともと賃貸需要が低いエリアでは、空室期間が長くなることも。先述したように、戸建て投資の場合、空室になった時のリスクが大きいため、立地や物件選びが重要となります。事前に賃貸需要をよく調査したうえで、購入を検討しましょう。
融資を受けられない可能性がある
ボロ戸建て投資は、物件の状態によって、金融機関から融資を受けられない可能性があります。繰り返しになりますが、不動産投資ローンでは契約者の返済能力だけでなく、物件の評価額も審査されます。ボロ戸建て住宅の場合、築年数が古いこと、収益を上げられるのかが未知数であることから、評価額が低くなります。もし融資を受ける必要があれば、複数の金融機関に相談することが求められるでしょう。
売却が難しい
売却が難しいことも、ボロ戸建て投資のデメリットです。築年数が古く、資産価値が低いため、買い手が付きにくくなります。更地にするとしても、解体費用が高額になる可能性も。家賃収入を得られていた時は収益を上げられていても、売却する際に解体費用がかさみ、最終的に赤字で経営を終えることになるかもしれません。投資を始める時のことばかりでなく、どのようにして住宅を手放すのかにも目を向けて、出口戦略を考えておきましょう。
戸建て投資で失敗しないためのポイント

戸建て投資に関するメリットやデメリットを見てきましたが、どうすれば収益を上げられるのでしょうか。本章では、戸建て投資で失敗しないためのポイントを解説します。
新耐震基準の物件を選ぶ
戸建て投資では、新耐震基準の物件を選ぶようにしましょう。新耐震基準とは、1981年6月1日から施行された耐震基準のこと。これは、震度6強〜7程度の地震でも建物が倒壊しない水準となっており、高い耐震性を備えている証明となります。
地震や台風などの自然災害で入居者が被災した場合、オーナーに損害賠償が求められる可能性もあります。新耐震基準を満たした一戸建て住宅であれば、災害発生時のリスクを低減できるしょう。
安全性に問題のない物件を選ぶ
戸建て投資では、安全性に問題のない物件を選びましょう。例えば中古の一戸建て住宅の場合、見えない部分が劣化している可能性もあります。入居者が見つかってから問題がわかった場合、トラブルにもなりかねません。シロアリが発生していないか、建物が傾いていないかなど、ホームインスペクター(住宅診断士)やリフォーム会社といった専門家に、問題がないか調査を依頼しましょう。
賃貸需要を調べる
戸建て投資に限った話ではありませんが、賃貸需要を調べることは、安定した家賃収入を得るために欠かせません。例えば、単身者が多い地域で、賃貸用の一戸建て住宅を購入しても、なかなか入居者が決まらない可能性があります。どのような人が住んでいるのかによって、求められるニーズや物件の条件が異なります。賃貸需要を調べ、需要がある地域で戸建て投資を始めれば、安定した家賃収入が期待できるでしょう。
駐車場付きの物件を選ぶ
郊外にある賃貸用の一戸建て住宅を購入する場合は、駐車場付きの物件を選ぶとよいでしょう。郊外の場合、車がないと生活に不便なケースが多いため、駐車場付きの物件の需要は高くなります。また、駐車場があることで、家賃を高めに設定できます。なかには一人につき車一台が当たり前という地域もあります。周辺環境を調べ、どういう物件が求められているのか、把握しておきましょう。
戸建て投資に向いている人

不動産投資といっても、アパートやマンションなど、投資対象はさまざまです。それでは、戸建て投資に向いている人はどういった人でしょうか。
リスクを抑えたい人
戸建て投資に向いている人は、リスクを抑えたい人です。戸建て投資は初期費用が抑えられることから、アパートやマンション経営と比較して、リスクを抑えられます。物件価格が低ければ、高額な不動産投資ローンを組まずに始めることもできるため、返済負担を心配する必要もありません。そのため、戸建て投資は少額の資金から始め、リスクを抑えたい方に向いているでしょう。
地域や社会に貢献したい人
地域や社会に貢献したいと考えている人にも、戸建て投資はおすすめです。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査住宅数概数集計(速報集計)結果」によると、空き家は900万戸となっています。空き家となっている一戸建て住宅を再生し、賃貸に出すことで、地域の活性化や社会貢献につながります。家賃収入を得られるだけでなく、地域や社会に貢献できるとなれば、オーナーのやりがいにもなるでしょう。
まとめ
本記事では、戸建て投資に関する基礎知識やメリット・デメリット、向いている人を解説しました。戸建て投資はアパートやマンション経営と比べ、初期費用を抑えられることから、利回りが高くなる傾向にあります。しかし、物件の評価額が低くなったり、収益性が低く見積もられることから、不動産投資ローンを組みにくいというデメリットがあります。また、中古の一戸建て住宅の場合、リフォーム費用がかかることも。物件価格だけでなく、リフォーム費用を踏まえたうえで、収支計画を立てることが大切です。
メリット・デメリットをよく把握し、戸建て投資を検討しましょう。

執筆者
民辻 伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ