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新築マンション投資の失敗例は?メリットやデメリット、成功のために押さえておきたいポイントを解説

新築マンション投資の失敗例やメリットなどを解説します
不動産投資はマンションやアパートなど、投資する物件の種類によっても分けることができます。なかでも新築マンション投資は、憧れを抱く方もいるのではないでしょうか。しかし、事前にメリットやデメリットを把握しておかなければ、投資を始めてから「失敗した……」と感じるかもしれません。
本記事では、新築マンション投資のメリット・デメリットや失敗例、成功するためのポイントを解説します。ご自身の目的に合った不動産投資をおこなうためにも、よく理解しておきましょう。

新築マンション投資とは

新築マンションの定義を解説します
新築マンションの定義を解説します

本章では、何を持って「新築マンション投資」とするのか、定義を解説します。

新築マンションの定義

「住宅瑕疵(かし)担保履行法」によると、新築とは「新たに建設された住宅であって、建設工事の完了から1年以内で、かつ、人が住んだことのないもの」を指します。そのため、工事の完了から1年以内であっても人が住んでいたことがあれば、新築ではありません。例えば、2024年7月31日に工事が完了したマンションは、2025年7月30日までの間は新築マンションです。もし、この期間内に誰かが入居した場合は中古マンションとなります。また、この期間に入居者がいない場合でも、2025年7月31日以降は中古マンションとして扱われ「未入居物件」として販売されます。

新築マンション投資のメリット

新築マンション投資にはどのようなメリットがあるのでしょうか
新築マンション投資にはどのようなメリットがあるのでしょうか

新築マンション投資には、中古にはないメリットがあります。本章では、新築マンション投資のメリットを4つ解説します。

入居者が集まりやすい

新築マンション投資におけるメリットの一つは、入居者が集まりやすいことです。賃貸物件に住んだ経験がある方は、中古よりも新築のほうを選ぶ心理がよくわかるでしょう。新築マンションは、設備や内装が最新であるため、中古マンションよりも選ばれやすい傾向にあります。また、新築マンションは立地がいい傾向であることも理由の一つ。駅近であったり、商業施設が近くにあったりなど、立地がいいと入居者が集まりやすくなります。入居者が集まりやすければ、空室リスクが低くなり、安定した家賃収入を得られるでしょう。

修繕費が少なく済む

修繕費が少なく済むことも、新築マンション投資のメリットです。新築マンションは建物や設備が新しく、劣化も少ないため、中古マンションと比較して修繕費を抑えられます。国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によれば、大規模修繕工事の1回目は15年前後で実施されている割合が高くなっています。また、1回目の工事金額は4,000万円〜6,000万円が多く、かなり高額です。修繕費が少なく済めば、収益性も上がりやすくなるでしょう。

金融機関からの融資が引きやすい

金融機関からの融資が引きやすい点も、新築マンション投資のメリットの一つです。新築マンション投資は高額であることから、金融機関から融資を引くことが一般的。融資を引く際には、金融機関から審査を受けることになります。審査の際には、投資家の年収や勤務先などの属性をはじめ、収益物件の担保価値なども評価されます。万一、投資家が融資金を返済できなくなった場合、金融機関は収益物件を売却して、融資金を回収します。そのため、収益物件の担保価値は重要です。新築マンションのほうが資産価値が高いため、担保価値も高くなります。

売却しやすい

売却しやすいことも、新築マンション投資のメリットといえるでしょう。不動産投資では、家賃収入だけでなく、売却する際の売却価格で利益を得ることも可能。高く売却できれば、その分多くの利益を得られ、新たな収益物件を購入するなど、不動産投資の規模を拡大させることもできます。新築マンションは、入居者が集まりやすい点と同様、内装や設備が新しいことから、中古マンションよりも多くの買主から選ばれやすい傾向にあります。

新築マンション投資のデメリット

新築マンション投資のデメリットを解説します
新築マンション投資のデメリットを解説します

入居者が集まりやすい、金融機関からの融資が引きやすいなど、新築マンションならではの投資のメリットがあります。しかし、デメリットもあります。本章では、新築マンション投資のデメリットを5つ解説します。

家賃下落のリスクが大きい

新築マンション投資のデメリットに、家賃下落のリスクが大きいことが挙げられます。築年数が経つと、新築マンション建設などの周辺環境の変化によって、家賃は周辺相場と同等の水準まで下がります。また、景気が後退すれば不動産市場も落ち込み、賃貸需要の低下や家賃の下落につながるケースも。家賃が下落すると収益が悪化し、場合によっては赤字経営となるかもしれません。新築マンション投資を始める際は、最初から家賃が下落することを見越したうえで、収支シミュレーションをおこないましょう。

購入価格が高い

新築マンション投資のデメリットとして、購入価格が高い点が挙げられます。特に近年、土地代や建築費が高騰していることから、新築マンションの物件価格が上昇しています。新築に限ったデータはありませんが、築年数別に見た一棟マンションにおける価格を見ていきましょう。

地域 築10年未満 築10年〜 築20年〜
全国 3億615万円 2億2,573万円 1億5,156万円
東京23区 3億3,063万円 2億8,409万円 2億1,649万円
札幌市 2億2,218万円 1億4,921万円 1億2,488万円
名古屋市 3億3,821万円 2億8,952円 1億4,805万円
大阪市 2億1,299万円 3億2,352万円 1億3,389万円
福岡市 5億7,800円 4億1,748万円 1億5,314万円

出典:健美家「収益物件 市場動向 四半期レポート 2024年1月〜3月期

全体的に、築10年未満の一棟マンションが築10年以上のものと比べて高くなっていることがわかります。福岡市にいたっては、5億7,800万円とかなり高額です。購入価格が高額になれば、融資金の返済額も多くなります。地域によっても相場は異なりますが、新築マンション投資は購入価格が高くなることを理解しておきましょう。

利回りが低い傾向にある

新築マンション投資は、利回りが低くなる傾向にあることもデメリットです。これは、新築マンションの購入費用が高く、初期費用が多くかかるためです。実際にデータを見てみましょう。下表は築年数別に見た一棟マンションにおける利回りのデータです。

地域 築10年未満 築10年〜 築20年〜
全国 4.99% 6.49% 8.31%
北海道 6.36% 7.38% 9.81%
首都圏 4.74% 5.47% 7.36%
東海 5.47% 7.42% 9.50%
関西 5.42% 6.48% 8.68%
九州・沖縄 5.60% 7.16% 9.66%

出典:健美家「収益物件 市場動向 四半期レポート 2024年1月〜3月期

どの地域においても、築年数が経っている物件の方が、利回りが高くなっていることがわかります。新築マンション投資を検討している方は、経営初期の頃は利回りが低い点を理解しておきましょう。

節税効果が低い

新築マンション投資は、節税効果が低くなることもデメリットの一つです。不動産投資は節税になると聞いたことがある方もいるでしょう。これは収益物件の購入費用を経費として計上できるため。経費として計上できる金額が大きければ、所得が圧縮され、節税につながります。これは「減価償却」と呼ばれ、建物の場合、構造によって計上できる期間が異なります。具体的には次のとおりです。

構造 年数
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
鉄筋コンクリート造(RC造)
47年
金属造(4mmを超えるもの) 34年
木造 22年
木骨モルタル造のもの 20年

参考:国税庁 減価償却資産の償却率表PDF(平成19年4月1日以降取得のもの)

マンションの場合は、鉄筋コンクリート造が一般的であるため、47年間経費計上できます。計上できる期間が長い分、減価償却費は小さくなり、節税効果が低くなるでしょう。一方、中古マンションの場合は築年数が経っていることから、計上できる期間が短く、減価償却費は大きくなります。

収益の予測が立てづらい

新築マンション投資は、収益の予測が立てづらいというデメリットがあります。それは、過去の運用実績がないためです。過去の運用実績があれば、家賃相場や競争率などの市場動向がだいたいつかめるでしょう。しかし、新築マンション投資の場合は、それらがないため、シミュレーションをしても推測の域を超えません。

いざ経営を始めてみたら、「空室が埋まらない」「家賃が低い」など、予想より大幅に収益を下回る可能性もあります。新築マンション投資をおこなう場合には、不動産会社の専門家などに相談し、十分な情報収集やシミュレーションをしましょう。

新築マンション投資の失敗例と原因

新築マンション投資におけるよく見られる失敗例を解説します
新築マンション投資におけるよく見られる失敗例を解説します

新築マンションは購入費用が高額であることから、収益性を見極めなければ失敗してしまう可能性があります。本章では、新築マンション投資でよく見られる失敗例とその原因を解説します。

利回りが低かった

新築マンション投資でよく見られる失敗例の一つとして、利回りが低かったというものが挙げられます。これは、収益物件選びや資金計画のミスなどが原因で起こります。デメリットで解説したように、新築マンションの購入価格は高額。特に駅に近いところや都市部など、立地のいい収益物件は高額になり、利回りが低くなる傾向にあります。

また、購入価格が高額であれば、初期費用も高くなります。初期費用には、仲介手数料や火災保険料などがあります。初期費用を考慮せずに収益物件を選ぶと、さらに利回りが低くなるでしょう。

他にも、家賃相場が想定より低かったケースも考えられます。先述したように、新築マンションは資産価値が高いことから、家賃も高めに設定されています。しかし、築年数が経てば下落し、当初想定していた家賃収入が得られなくなる可能性も。新築マンション投資は、中古と比較して利回りが低くなることを理解しておきましょう。

節税効果がなかった

節税効果がなかったというのも、新築マンション投資で見られる失敗例の一つです。これは知識不足が原因で起こります。繰り返しになりますが、新築マンションは減価償却できる期間が長いため、年間で計上できる金額が少なくなることから、節税効果も低くなります。わかりやすくするために、新築と築20年のマンションでの減価償却費を比較してみましょう。

<条件>
購入価格:6,000万円
マンションの構造:鉄筋コンクリート造(耐用年数:47年)

減価償却費の計算式は次のとおりです。

減価償却費 = 購入価格 × 償却率

まずは、新築の減価償却費を計算してみましょう。

6,000万円 × 0.022 = 132万円

新築の場合、132万円を47年間、減価償却費として計上します。次に、築20年の中古マンションの減価償却費を計算してみましょう。中古マンションの場合、購入した時点での築年数を踏まえて耐用年数を計算します。

中古マンションの耐用年数の計算式は次のとおりです。

中古マンション購入時の耐用年数 =(新築時の耐用年数 - 築年数)+ 築年数 × 0.2

今回の条件の場合、耐用年数は次のように計算できます。

(47年 - 20年)+ 20年 × 0.2 = 31年

次に、減価償却費を計算してみましょう。

6,000万円 × 0.033 = 198万円

築20年の中古マンションの場合、198万円を31年間、減価償却費として計上します。今回の場合、新築と中古マンションでの減価償却費の年間の差額は66万円でした。このように、新築マンションは、減価償却費として計上できる金額が少ないことから、節税効果が薄くなる可能性があります。中古と比較した場合、節税効果が低くなることをよく理解しておきましょう。

売却価格が低かった

新築マンション投資でよく見られる失敗例の一つに、売却価格が低かったケースもあります。これは、市場の変化や収益物件選びのミスなどが原因で起こります。例えば、景気の後退や金利の上昇などの影響で不動産市場が低迷し、想定していたよりも売却価格が下落する可能性があるでしょう。

また、競合となる物件が増えたり、商業施設が撤退して周辺環境が悪化したりすると、購入したマンションの魅力が下がり、売却価格が低くなることも。そもそも、賃貸需要が低いマンションを選んでいた場合には、売却時には大幅に値下がりするおそれがあります。新築マンション投資を始める際には、今後の地域の開発計画など、先々のことを見越して判断しましょう。

新築マンション投資で成功するためのポイント

新築マンション投資で成功するために押さえておきたいポイントを解説します
新築マンション投資で成功するために押さえておきたいポイントを解説します

新築マンション投資にはリスクもありますが、成功している方もいます。どうすれば成功しやすくなるのか、押さえておきたいポイントを解説します。

不動産投資の勉強をする

まず、不動産投資に関する知識をしっかりと身に付けましょう。収益物件選びや資金計画、リスク管理など、さまざまな知識を学ぶことで、よりよい投資判断ができます。具体的な勉強方法としては、書籍を読む、セミナーに参加するなどがあります。ただし、必要な知識をすべて身に付けることは大変であるため、信頼できるパートナーを見つけることも大切です。すでに不動産投資をして成功している方や不動産会社など、信頼できるパートナーがいると、適切なアドバイスがもらえるでしょう。

事前に詳細なシミュレーションをする

事前に詳細なシミュレーションをおこない、収支やリスクを把握しておきましょう。新築マンション投資の場合、過去の運用実績がないため、収益の予測が比較的立てづらいでしょう。だからこそ、より詳細なシミュレーションをしておくことで、想定外の事態に備えることが可能です。利回りを計算する際には、経費を考慮した実質利回りを使用しましょう。より実態に近い収支が計算できます。また、不動産会社などの専門家に相談すると、より詳細なシミュレーションができます。

出口戦略を考えておく

新築マンション投資を始める際には、出口戦略を考えておくことも重要です。出口戦略とは、いつ収益物件を売却するかを考えること。新築マンション投資で利益を上げても、売却価格が低ければ、投資結果がマイナスで終わってしまう可能性もあります。出口戦略には、大きく3つのパターンがあります。

  • 収益物件として売却する
  • 居住用物件として売却する
  • 更地にして売却する

投資の収益を最大化するためにも、どの選択肢がベストなのか、マンションの購入前から考えておきましょう。

信頼できる不動産会社に相談する

新築マンション投資で成功するためには、信頼できる不動産会社に相談することが重要です。経験や実績が豊富な不動産会社に相談すると、自分に合った収益物件を見つけたり、適切なアドバイスを得られます。その際、一つの不動産会社に絞るのではなく、複数の不動産会社と関係を築くといいでしょう。
さまざまな不動産会社と付き合うことで、地域の家賃相場や賃貸需要、各社の得意とする分野などがわかります。また、担当者との相性もわかるでしょう。新築マンションは高額な投資であるため、信頼できる不動産会社を見つけることが大切です。

まとめ

本記事では、新築マンション投資によく見られる失敗例やメリット・デメリットを解説しました。新築マンション投資は、新築であるがゆえに、入居者が集まりやすかったり、融資が引きやすかったりなどのメリットがあります。しかし、購入価格が高額であることから、利回りが低いという側面もあります。また、耐用年数が長く、減価償却できる金額が少ないため、節税の効果は薄くなります。このようなメリット・デメリットをよく理解したうえで、新築マンション投資を始めましょう。

新築マンション投資で収益を上げるためには、信頼できる不動産会社を見つけることが大切です。信頼できる不動産会社を見つけられれば、ご自身に合った収益物件や適切なアドバイスがもらえるでしょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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