不動産投資の物件を探す際のポイントは?物件の探し方や注意点も解説

不動産投資では物件選びを誤ってしまうと、空室が続いて安定した収入が得られないなどのリスクを抱えてしまうことになります。そのため、不動産投資を始める際は、物件選びを慎重におこなわなければなりません。
本記事では、不動産投資の物件を探す際のポイントや注意点を解説します。
記事の目次
不動産投資の物件を探す際の5つのポイント

不動産投資では、闇雲に物件を探せばよいわけではありません。不動産投資で成功するためには、考慮すべき重要なポイントがあります。まずは、不動産投資の物件を探す際のポイントを見ていきましょう。
予算
不動産投資の物件を探す際は、まず予算を明確にしておきましょう。不動産投資では自己資金と融資のバランスがとても重要です。
中古物件を購入する際、投資物件ごとに融資条件が異なる場合があるため、各金融機関や不動産会社の融資条件をしっかり確認しておきましょう。
投資物件の価格は、立地や新築・中古、規模などで大きく変動します。一棟買い、区分所有、一戸建てなど、購入する物件のタイプでも価格帯は異なるため、リスクとリターンを考慮しながら、無理のない投資をおこなうための予算設定が必要です。
利回り
利回りは、不動産投資で重要な指標の一つです。多くの物件広告に記載されている利回りは「表面利回り」と呼ばれるもので、実際の収益性を正確に反映しているとは限りません。
維持費や修繕費、空室リスクなどを考慮しない表面利回りに惑わされると、投資に失敗する可能性が高まります。
不動産投資では「実質利回り」を考慮することが大切です。実際に発生する経費や、家賃の下落リスクなどを織り込んだ利回りを計算し、実際の収益性を正確に見極めましょう。
利回りに関する知識を深め、計算方法を理解することで、適切な投資判断ができるようになります。
エリア
不動産投資の物件を選ぶ際には、エリア選定も重要なポイントです。エリアを選ぶ際には、下記の2つの方法があります。
- 居住地の近くで管理しやすい投資物件を選ぶ
- 遠隔地でも管理を委託して視野を広げる
特に居住地の近くを選ぶ場合、そのエリアが賃貸需要のある地域であるか確認することが重要です。賃貸需要が少ないエリアに投資してしまうと、空室リスクが高まります。
人口動態を調査し、人口が増加している地域や、減少している場合でも減少率が少ない地域を選ぶことがポイントです。
遠方にある投資物件を選ぶ際は、管理会社選びが重要となります。担当者と実際に会ってコミュニケーションを取ることも難しくなるため信頼できる管理会社を選ばなければ、物件の管理がうまくいかなかったり、トラブルが起きるなどのリスクがあります。
1つの会社ではなく、複数の管理会社を比較検討したうえで、信頼できる会社を選びましょう。
築年数
新築か中古物件か、また中古のなかでも築浅か築古かなど、築年数についても物件選びの際に悩むポイントの一つでしょう。
新築物件は購入費用が高く、利回りは低くなりがちですが、家賃も高く設定でき、入居率も高くなりやすいメリットがあります。
一方で中古物件は、購入費用が低いことから利回りは高く見えるものの、修繕費や管理費用がかさむ可能性があるため、リスクも高くなりがちです。
特に築古物件は、融資期間が短く設定される場合もあり、投資用ローン契約の条件にも影響を与えるため、事前に確認が必要。投資物件の状態をしっかりチェックし、修繕費なども見積もりしたうえで判断することが大切です。
間取りや設備
物件選びでは、エリアごとの需要に合った間取りや設備の選定も重要です。例えば、学生が多いエリアではワンルームや1Kなど、単身者向けのコンパクトな間取りが求められますが、工場の多いエリアでは、単身赴任者向けに1LDKなどの物件が好まれることも。
また、エリアごとの外国人需要や特定企業の従業員の動向を把握し、それに合わせた投資物件を選ぶことで、入居率を高められるでしょう。エリアの特性をしっかりと理解し、需要に合った間取りや設備がある投資物件を選ぶことが、安定した収益を得るためのポイントです。
不動産投資における物件を探す方法

不動産投資における物件を探す方法には、いくつかの種類があります。それぞれの方法にメリットやデメリットがあるため、自分に合った方法で投資用物件を探しましょう。
不動産情報サイトを利用する
多くの方が不動産投資の物件を探す際に利用しているのが、不動産情報サイトです。パソコンはもちろん、スマートフォンでも家の中や外出先など、どこからでも手軽に物件を探せます。さまざまなタイプのサイトが存在し、そのなかには不動産投資に特化した情報を提供しているものも多くあります。
さらに、いくつかのサイトでは不動産投資に関連したコラムや記事も掲載されており、投資初心者が知識を深めるためのよい資料となります。物件選びのイメージをつかむためにも、まずは不動産情報サイトで基礎知識を身に付けるのもよいかもしれません。
不動産情報サイトアットホームでも、不動産投資に関するコラムや物件情報を掲載しているため、ぜひご参考くださいね。
不動産情報サイトを利用するメリット
不動産情報サイトを利用するメリットは、豊富な情報量と便利な検索機能です。条件を設定して検索することで、自分が興味のある地域や予算に合った物件を簡単に見つけられます。
また、インターネット上で確認できるため、時間や場所にとらわれずに情報収集ができる点も大きなメリット。スキマ時間を利用して効率よく物件情報を集められます。
不動産情報サイトを活用する際の注意点
不動産情報サイトには多くの情報が掲載されていますが、サイトに掲載されている情報は客観的な指標が中心で、具体的なアドバイスを得ることは難しく物件のよしあしの判断は投資初心者には困難なことも。
わからない点があれば、不動産会社や周囲の不動産投資家たちに相談するとよいでしょう。
また、不動産会社のなかには「おとり物件」と呼ばれる実在しない物件を掲載していることもあるため、信頼性の高い不動産会社を選ぶようにしましょう。
不動産投資会社を活用する
不動産投資会社は、投資用の収益物件を専門に取り扱っている会社です。
投資収益物件の仲介だけでなく、自社で物件を開発し、販売から運用まで一貫しておこなうこともあります。不動産投資会社に相談することで、購入後の運用も任せられるため、物件購入後に別途管理会社を探す手間を省けるでしょう。
また、販売後の運用まで担当している場合、物件の安全性にも気を使っていることが多く、誠実な対応が期待できます。
不動産投資会社を活用するメリット
不動産投資会社を利用する大きなメリットは、インターネットには掲載されていない「未公開物件」の情報を得られることです。信頼できる投資会社の担当者と良好な関係を築けば、条件のよい投資物件の情報を紹介してもらえる可能性があります。
また、販売後の管理も含めて担当してくれる会社であれば、運用成績を考慮して物件の選定をおこなっているため、より安全な投資が期待できるでしょう。
不動産投資会社を活用する際の注意点
不動産投資会社には、担当者の質にばらつきがあるため、相性が悪い担当者や経験の浅い担当者に当たるリスクがあります。
時には適切なアドバイスを受けられず、無駄な投資をしてしまう可能性も。また、自社の利益を得るために自社の物件のみ、または指定の物件のみをおすすめされることもあります。
より自分に合った投資物件を見つけるためにも、自分自身での情報収集と判断が必要です。
さらに、不動産投資会社を利用する際には、手数料や仲介手数料などの費用が発生します。上記のコストが予想以上に高くつく場合もあり、投資利益を圧迫することも考えられます。
したがって、利用する会社や担当者の信頼性を十分に確認し、慎重に選ぶことが重要です。不動産投資会社に相談する際は、管理会社と同様に複数の会社を比較検討して決めましょう。
不動産情報誌や広告を活用する
インターネット上で得られる情報に加え、地域の不動産情報誌や広告を活用することもおすすめです。
一部の不動産会社や家主は、インターネットに情報を公開することを好まない場合があります。特に地方や都市部から離れた地域の不動産会社では、情報誌や広告を利用して物件を紹介することが一般的です。インターネットに掲載されていない情報が見つかることもあるため、地域内で手に入るチラシをチェックしてみてください。
インターネット以外の情報源をチェックすることで、より幅広い物件情報を集められるでしょう。
不動産情報誌や広告を活用するメリット
不動産情報誌や広告を利用するメリットは、地域特化型の詳細な情報を得やすいことです。広告などの媒体は、インターネット上の情報よりも客観的であることが多く、地域に密着した情報が得られる可能性があります。
不動産情報誌や広告を活用する際の注意点
不動産情報誌や広告にはいくつかのデメリットも存在します。有料の情報源が多いため、初期投資がかかることも。さらに、情報が最新でない場合があり、掲載された物件がすでに売却済みである可能性もあります。
加えて、情報誌や広告は主に賃貸向けに作られているため、収益物件の情報が少ないことも。あくまでも追加の情報収集の手段として考えておくといいでしょう。
競売物件の情報を確認する
競売物件の情報を確認することも一つの方法です。競売に出されている物件のなかには、物件自体には問題がなく、所有者の事情で競売にかけられているものもあります。
競売物件とは、もとの所有者がローンの返済が困難になり、強制的に売却されることになった物件のこと。通常の物件取引では、物件の持ち主が直接購入希望者と交渉します。しかし、競売物件の場合は、裁判所を通すことで所有権が移転します。
購入希望者は裁判所が主催する入札に参加し、もっとも高い入札額を提示した者が物件を取得する形になります。
競売物件の情報を確認するメリット
競売物件には、物件自体に問題がないことが多く、例えば持ち主の自己破産やローンの返済が難しくなったことが原因で競売にかけられるケースがあります。
そのため、購入希望者にとっては、通常の市場価格よりもかなり安価で物件を手に入れるチャンスでもあります。一般的には市場価格の70%程度、場合によっては50%まで割引されることも。
また競売物件には、一般的な不動産市場ではあまり見られないような、特殊な条件の物件が見つかるケースも少なくありません。
例えば、狭い土地の物件や、離島や山間部の物件、農地など、一般の不動産会社が扱わないような物件が競売にかかることもあります。上記のような物件に興味がある場合、競売物件をチェックすると、思わぬ掘り出し物に巡り合えるかもしれません。
競売物件の情報を確認する際の注意点
競売物件の魅力的な価格の一方で、いくつかの注意点もあります。例えば、競売物件が差し押さえられるほど経済的に困難な状況にある場合、入居者に問題があることも考えられます。
例えば、長期間家賃を滞納していたために物件の収益性が低下し、その結果としてローン返済が困難になった場合など。このような場合、新しい所有者は問題となっている入居者に対応しなければなりません。
また、競売物件は入札前に物件を実際に内見できない場合が多く、事前の情報収集が難しいこともデメリットとして挙げられます。物件の内部の状態や詳細な情報を把握するためにも、慎重な調査が必要です。
不動産会社を活用する
不動産ポータルサイトで情報収集をおこなったあとは、実際に不動産会社に相談するのも一つの手です。
不動産会社は物件の売買を仲介する会社であり、大手から地域密着型の会社まで、さまざまな規模があります。です。事前にインターネットで情報を収集しておくと、実際に訪問する際にスムーズに質問ができます。
興味を持っている物件がなくても、担当者との面識を得ておくことで、あとでよい物件が出た時に連絡をもらえる可能性があります。
また、積極的に「投資用物件の購入を検討している」姿勢を示すことで、担当者の対応がさらによくなることも期待できるでしょう。
不動産会社を活用するメリット
不動産会社を利用する大きなメリットは、直接相談できることです。不動産ポータルサイトのコラムや情報ではわからなかったことでも気軽に聞けるため、疑問点を解消する手助けとなるでしょう。
また、自分の希望条件に合った物件を紹介してもらえる可能性もあります。地域の情報にも詳しいため、地元特有の情報を得られることも。
さらに、不動産会社を通して非公開物件の情報を得られることもあります。信頼関係を築くことで、よりよい条件の物件にアクセスできるチャンスが増えるでしょう。
不動産会社を活用する際の注意点
不動産会社で扱う物件の多くは、不動産会社が実際に所有しているものではなく、仲介をおこなうことが多いのが現状です。そのため、同じ物件を他社が取り扱う可能性もあります。加えて、担当者がノルマを抱えている場合には、購入を急かされることも。
また、販売後の管理運用は別の会社に依頼する必要があるため、管理会社も別途探さなければなりません。物件の購入を急かされる点や手間が増える点はデメリットでしょう。
不動産投資で優良物件を見つけるためのポイント

不動産投資を成功させるためには、優良な物件を見つけることが重要です。どれだけ物件の管理を徹底しても、物件そのものの条件が悪ければ成功は難しいでしょう。以下で、優良物件を見つけるためのポイントを紹介します。
不動産投資をおこなう目的を決める
物件探しは、不動産投資に向けて実際に行動をしていると感じられることから、早く取り組みたいと思うでしょう。しかし、まずは不動産投資をおこなう目的を決めることが大切です。具体的には、「相続税対策をしたい」「老後資金に備えたい」などが考えられます。目的に応じて適切な物件は異なります。今一度何のためにおこなうのか、よく考えましょう。
不動産投資の基本知識を身に付ける
不動産投資は高額な資産運用の一つであり、失敗が与える影響はとても大きいものとなります。そのため、投資物件の購入を決定する前に、基礎知識をしっかりと身に付けることが重要です。
具体的には、集客面や利回り計算、経済動向、法律、会計、税務など、多岐にわたる知識が求められます。
不動産投資の知識は短期間で習得するのは難しいため、書籍やセミナー、インターネットを通じて継続的に情報収集をおこなうことがポイント。
また、周囲に不動産投資の経験者がいる場合は、積極的に情報交換をおこなうといいでしょう。
投資物件の条件を明確にする
不動産投資を成功させるために、不動産投資をおこなう目的やリスク許容度に基づき、物件の条件を明確にしましょう。漠然としたイメージで物件探しを始めると、時間ばかりが過ぎてしまうことに。条件が明確になっていれば、ご自身の目的に合った物件を絞り込むことができ、時間と労力を抑えられます。
例えば、節税対策をしたいのであれば、木造の中古物件を選ぶといいでしょう。木造の中古物件であれば、耐用年数が短いため、1年で減価償却できる金額が大きくなります。減価償却とは、高額な固定資産を購入した際の経費を、資産の耐用年数に応じて経費として計上できるもの。減価償却費が多くなれば、課税所得が減るため、所得税が抑えられます。
下記は、明確にすべき条件をまとめたものです。
- 立地
駅からの徒歩時間、周辺環境、商業施設の有無など - 物件タイプ
ワンルーム、1K、マンション、一戸建てなど - 価格
購入予算、家賃相場 - 利回り
目標とする利回り - 築年数
建物の新築・中古、耐震基準など - 設備
オートロック、エレベーター、駐車場の有無など
多いように感じられるかもしれませんが、ここまで明確に決まっていれば、物件を絞り込みやすくなるでしょう。
実際に現地で物件を確認する
不動産投資では、実際に物件を現地で確認することが重要です。現地調査により、入居者の層や建物の外観、共用部の状態がどうなっているかなどを確認できます。資料上では良好な利回りを示していても、実際には老朽化が進んでいる可能性もあるため、実物を確認することが欠かせません。
また、周辺環境や商業施設の充実度も投資物件の人気に影響するため、現地に足を運ぶことが大切。時間帯を変えて訪問すると、夜間の治安状態はどうなっているかなども確認できます。
優良物件に対する準備を整える
優良物件は市場に長く留まることはありません。よい投資物件に出合った場合、すぐに手続きを進められるよう、日頃から準備を整えておくことが重要です。
資金の準備や購入手続きの確認をおこない、すぐに対応できる体制を整えておきましょう。また、投資物件を購入する際には、金融機関から借り入れることが一般的。借り入れが可能なのか、どれくらいの金額を借り入れられるのか、相談しておきましょう。
常に最新の情報を取り入れ、判断力を養っておきましょう。
投資物件を探す際に注意すべきポイント

物件選びでは失敗を避けるために必ず押さえておきたいポイントがあります。以下で詳しく見ていきましょう。
高い利回りに惑わされない
投資物件を探す際には、高い利回りに惑わされないようにしましょう。収益に直結する利回りは、投資家であれば気になるものです。しかし、不動産ポータルサイトやチラシなどで表示されている利回りは、満室であることを想定した際の「想定利回り」であることが一般的。当然ですが、常に満室であることはありえません。初期費用や維持費を含めて計算した「実質利回り」を確認するようにしましょう。
入居者の視点で考える
現地に足を運ぶ際には、単に物件の所有者目線だけでなく、入居者目線でも検討することが大切です。実際に住むことを考えた場合、どのような条件が必要なのかを考慮し、投資物件の利便性や快適性を評価しましょう。
例えば、物件の間取りや設備がターゲットとする入居者層のニーズに合致しているかチェックします。
学生向けの物件であれば、勉強しやすい静かな環境が必要です。また、ファミリー向けの物件であれば、広めの間取りや収納スペースが求められるでしょう。
改善点を洗い出す
現地調査を通して、投資物件の改善点も洗い出しておくことが重要です。例えば、物件内の設備に問題がある場合や、周辺環境に不便な点がある場合には、それらを改善するためのプランを検討する必要があります。
改善点を洗い出し、迅速に対応することで投資後のトラブルを未然に防ぎ、入居者にとって魅力的な物件にするための準備を進められるでしょう。
現地調査を怠ると、あとから想定外の問題が発生するリスクが高まります。物件情報だけに頼らず、実際の状態をしっかりと確認し、総合的に判断しましょう。
まとめ
今回は不動産投資の物件を探すポイントや注意点をご紹介しました。どれだけ魅力的な物件に見えても、調査すると何らかのトラブルが隠されていることもあります。候補となる物件が見つかったら、事前に現地調査や管理状態、周辺環境などを細かくチェックしましょう。
事前調査を怠らず、徹底的にリサーチすることで、より自分の条件に合った魅力的な物件が見つかるでしょう。

執筆者
長谷川 賢努
AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士
大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ