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戸建て賃貸経営とは?メリット・デメリットや始め方を徹底解説

戸建て賃貸経営の詳細を解説します
戸建て賃貸経営とは、一戸建て住宅を入居者に貸し出し、家賃収入を得る賃貸経営の一つです。特に、活用できていない土地を所有しているオーナーにとっては、魅力的な土地の活用方法となるでしょう。

しかし、一戸建ての賃貸経営にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。成功させるためには、それぞれを理解し、適切な準備を進めることが重要です。

本記事では、戸建て賃貸経営のメリット・デメリットを整理しながら、具体的な始め方や注意点を詳しく解説します。

記事の目次

戸建て賃貸経営とは

戸建て賃貸経営の概要を解説します
戸建て賃貸経営の概要を解説します

戸建て賃貸経営とは、一戸建ての住宅を貸し出し、その家賃収入を得る土地活用方法のことです。一般的に、不動産投資といえば、マンションやアパートなどの集合住宅の経営を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、戸建て賃貸経営はこれらとは異なる特徴を持っています。

例えば、建築費の面で、アパートやマンションに比べてコストを抑えやすい傾向があります。そのため、特に多額の資金が必要なマンション経営と比べると、投資リスクが比較的低く、安定した賃貸経営が可能でしょう。

さらに、すでに空き家となっている一戸建て物件を所有している場合、新たに建物を建てる必要がなく、そのまま賃貸経営を始められる点もメリットの一つ。特に、小規模な土地を活用したい場合や、狭小地に適した運用を検討している場合には、戸建て賃貸は特におすすめです。

また、戸建て賃貸経営は地方都市や郊外でも需要が見込める点も魅力の一つ。アパートやマンションに比べると狭い土地でも建築できるため、公共交通機関の便がそれほどよくない地域でも賃貸経営が可能です。

最近では、建築費や郊外の土地価格の上昇によって分譲住宅の価格が高騰していると同時に、供給が減少しているため、賃貸戸建ての需要が増えている傾向も見られます。

戸建て賃貸経営のメリット

戸建て賃貸経営のメリットを解説します
戸建て賃貸経営のメリットを解説します

戸建て賃貸経営には多くのメリットがあります。それぞれのメリットを詳しく解説します。

初期投資を抑えられるため始めやすい

アパートやマンションなどの集合住宅を購入するには、数千万円から億単位の資金が必要になることが一般的です。一方、戸建ての賃貸経営なら、比較的少額の資金で始められるためメリットといえます。
特に中古の一戸建て物件であれば、新築のアパートやマンションを購入するよりもはるかに安価で取得できます。そのため、不動産投資初心者の方でも手を出しやすく、リスクを抑えながら経営できる可能性が高いでしょう。

また、アパートやマンション経営では、駅近などアクセスのよい立地を求められることが多いです。しかし、一戸建て賃貸の場合は、郊外の物件でも借り手が見つかるケースが多く見られます。
特に、車の利用を前提としたファミリー層がターゲットになるでしょう。そのため、駐車場の確保など、入居希望者を増やす工夫を考えやすい点もメリットです。

長期間の入居を期待できる

一戸建て賃貸の入居者は、ファミリー層が中心になる傾向にあります。そのため、賃貸契約の期間が比較的長くなる可能性が高い点が特徴です。特に、子どもがいる家庭の場合、学区の関係で引越しがしにくくなるため、一度入居すると長く住み続けるケースが少なくありません。

また、一戸建ては集合住宅と比べてプライバシーが確保されやすく、隣人トラブルなども発生しにくい点がメリットです。アパートやマンションでは、騒音トラブルや共用スペースでの問題が発生しやすくなりますが、一戸建てならこれらのリスクを低減できるでしょう。
結果として、安定した家賃収入を得やすく、空室リスクを軽減しやすいメリットがあります。

狭い土地でも活用しやすい

狭小地や変形地でも、一戸建て賃貸なら建築できるケースが多いです。アパートやマンションは一定の敷地面積がなければ、建てられないことがあります。一方、一戸建てなら約30坪程度の土地があれば十分なケースが多いため、土地を有効活用しやすいです。

特に、住宅地の狭小地を活用する場合、戸建て賃貸経営と駐車場経営が選択肢に挙がるでしょう。この場合、戸建て賃貸経営のほうがより高い収益を得られる可能性があるため、不動産活用の手段として魅力的です。

管理の手間がかかりにくい

戸建て賃貸経営の大きな魅力の一つは、物件管理にかかる手間が少ない点です。

アパートやマンションの場合、専有部分は入居者が管理しますが、廊下やエントランスなどの共用部分はオーナー自身で管理するか、外部の管理会社に委託する必要があります。

それに対して、一戸建て賃貸では共用部が存在しないため、入居者が自発的に庭や玄関まわりの手入れをおこなってくれるケースもあり、日々の管理業務が発生しにくいことが特徴。さらに、一棟に一世帯だけが暮らすため、隣室との音の問題やトラブルも起こりにくく、クレーム対応に悩まされることも少ない傾向があります。

また、集合住宅のように管理会社へ毎月の管理費を支払う必要も基本的にはありません。一戸建て賃貸は1〜3棟ほどの小規模な経営が多いため、オーナー自身での管理で十分に対応可能です。管理業務の負担が軽く、コストも抑えられる点は、戸建て賃貸経営ならではのメリットでしょう。

柔軟な出口戦略が可能になる

戸建ての賃貸経営では、将来的に経営を辞めた際でも複数の選択肢があります。例えば、以下のとおりです。

  • 物件を売却する
  • 現在の入居者に売却する
  • 自己居住用として利用する

賃貸中の物件を投資家に売却する「オーナーチェンジ物件」として売ることも可能です。そのため長期間住んでいた入居者が住宅ローンの審査が通りやすくなったタイミングで、そのまま購入を希望するケースもあります。
入居者にとって魅力的な物件であれば、売却先に困ることは少ないでしょう。

また、オーナー自身が住むことも可能です。必要に応じてリフォームをおこない、将来的な住まいの一つとして活用できることもメリットです。

税金対策になる

戸建て賃貸経営をおこなうことで、税金の負担を抑えられる可能性があります。例えば、「住宅用地の特例」を適用すれば、固定資産税が最大で1/6、都市計画税が最大で1/3まで軽減されます。そのため更地で所有するよりも税負担が大幅に減る可能性も。
また、賃貸経営にかかる修繕費や管理費、ローンの利息、固定資産税などは経費として計上できるため、所得税や住民税の負担を抑えられます。

戸建て賃貸経営のデメリット

戸建て賃貸経営のデメリットを解説します
戸建て賃貸経営のデメリットを解説します

戸建て賃貸経営には、次のようなリスクもあります。メリットとデメリットを理解し、慎重に判断することが大切です。

空室が発生した際のリスクを軽減しにくい

戸建て賃貸経営は、基本的に一世帯だけを対象とした貸し出しになります。そのため、入居者が退去すると、家賃収入がゼロになってしまうという大きなリスクがあります。アパートやマンション経営の場合、複数の部屋を貸し出せるため、仮に一部屋が空いても他の部屋の家賃収入は入り続けますが、一戸建ての場合はそれができません。

加えて、空室期間中でも、固定資産税や都市計画税などの税金、建物の維持管理費、火災保険、さらには投資用ローンの返済などの支払い義務は継続するので、長期間の空室は大きな負担となるでしょう。空室リスクに備えるためにも、どの程度の期間で次の入居者が見つかるのかを考慮しながらシミュレーションをおこない、慎重に資金計画を立てることが重要です。

また、空室リスクを抑えるためには、適切な家賃設定やターゲット層に合わせた物件の魅力付けも必要です。例えば、ファミリー向けであれば駐車場の確保や設備の充実、ペットの飼育を可能にするなどの差別化が効果的でしょう。立地や市場の動向を見極めながら、長期間の空室が発生しないよう工夫しましょう。

物件の維持・管理が難しい

管理の手間が少ないことをメリットに挙げましたが、一方でデメリットもあります。アパートやマンションのような集合住宅の場合、共用部分の清掃や設備の巡回点検が定期的におこなわれるため、建物の状態を確認しやすい環境が整っています。しかし、一戸建て賃貸には共用部分が存在しません。オーナー自身が頻繁に物件の状況を確認しなければ、建物の劣化に気付きにくいデメリットがあるでしょう。

また、一戸建て賃貸では、管理の大部分が入居者の責任に委ねられることが多いです。そのため、入居者によっては庭の手入れや外壁の清掃、排水設備のメンテナンスなどが適切におこなわれないケースも。メンテナンスを怠ると、建物の老朽化が進み、退去時の修繕費が想定以上に膨らむ可能性があります。

このような負担を軽減するために、不動産管理会社に業務を委託することもおすすめ。管理会社に委託すると、月々の手数料はかかりますが、建物の維持や入居者対応の手間を減らせます。

退去時の修繕費が高額になりやすい

一戸建て賃貸は、アパートやマンションと異なり、共用部分がありません。入居者が建物全体を使用するため、退去時の原状回復にかかるコストが高額になりやすい傾向にあります。特に長期間住んでいた場合、室内の壁紙や床の張り替えだけでなく、キッチンやバスルームなどの設備交換が必要になるケースも。このような場合は、修繕費が大きくかさむことがあります。

また、建物の状態によっては、外壁の塗装や屋根の補修、庭の整備などの費用が発生することもあります。さらに、一戸建てはアパートやマンションと比べて建物の規模が大きいため、ハウスクリーニングやリフォームをおこなう際のコストも高くなりがちに。一室のみのクリーニングで済むアパートやマンションに対し、一戸建ては複数の部屋や階段、玄関周りなど広範囲にわたるメンテナンスが必要です。清掃業者に依頼する際の費用も割高になってしまうでしょう。

これらのリスクを考慮し、修繕費をあらかじめ積み立てたり、適正な家賃設定をおこない、収益の一部を維持管理費として確保することが大切です。

収益が大きくなりにくい

戸建て賃貸経営は一棟貸しとなるため、収益源が一世帯分の家賃に限定されます。そのため、アパートやマンション経営のように複数の部屋を貸し出す場合と比べると、月々の家賃収入が少なくなりやすい点がデメリットです。

例えば、アパートを一棟所有していれば、数世帯分の家賃収入を得られ、仮に一部屋が空室になっても、他の部屋の家賃は継続して得ることができます。しかし、一戸建て賃貸経営の場合は1戸につき1世帯分の収益しか得られないため、長期的に見ると収益性が低くなる可能性も。

もちろん、一戸建てを複数所有すれば収益を増やすことは可能ですが、購入資金や管理コストの増加などを考慮しなければなりません。また、複数の一戸建てを所有すると、それぞれの管理や修繕が必要となり、手間が大幅に増えてしまいます。

戸建て賃貸経営をおこなう際は、単体での収益性だけでなく、長期的な資産価値や将来の売却プランなども視野に入れて計画を立てましょう。

戸建て賃貸経営を始める流れ

戸建て賃貸経営を始める流れを解説します
戸建て賃貸経営を始める流れを解説します

戸建て賃貸経営で成功するためには、計画的に進めることが大切です。具体的には、以下の7つのステップで始めていきます。

  • STEP 1専門家に相談する
  • STEP 2市場調査をおこなう
  • STEP 3収支計画・建築プランを作成する
  • STEP 4契約を締結する
  • STEP 5建築工事が始まる
  • STEP 6物件が完成し引き渡しがおこなわれる
  • STEP 7入居者の募集と賃貸管理をおこなう

それぞれ詳しく見ていきましょう。

STEP 1. 専門家に相談する

まずは、戸建て賃貸経営の専門家や不動産会社に相談してみましょう。特に、初めて土地活用を考える場合、専門知識がないまま進めると、大きなリスクを抱える可能性があります。例えば、「どのエリアなら賃貸ニーズがあるのか」「どのような物件を建てるべきか」など、事前にしっかりと情報収集をしましょう。不動産会社や土地活用の専門会社に相談することで、適切なアドバイスを受けられるため、リスクを軽減できるでしょう。

STEP 2. 市場調査をおこなう

相談を受けた専門会社は、まず市場調査をおこない、その地域で戸建て賃貸経営が成り立つかどうかを分析します。市場調査では、以下のポイントを確認しましょう。

  • 賃貸需要があるか(ターゲットとなる入居者層の有無)
  • 建築可能な建物の規模(敷地面積や建築基準法の制約)
  • 想定される家賃相場(近隣物件の賃料と比較)

市場調査をもとに、戸建て賃貸経営が採算に合うかどうかを判断します。市場調査を怠ると、思ったように入居者が集まらず、結果的に空室リスクが高まるため、慎重におこなうことが重要です。

STEP 3. 収支計画・建築プランを作成する

市場調査の結果を踏まえ、具体的な建築プランや収支計画を立てます。施工会社がオーナーと相談しながら、以下の項目を決定します。

  • 建物の設計(間取りや設備仕様)
  • 建築スケジュール(工事開始から完成までの流れ)
  • 収支計画(建築費、運営コスト、想定収益の試算)

この段階では、収支計画をしっかりと検討し、初期投資額と将来の収益のバランスを見極めることが重要です。また、資金調達が必要な場合は、金融機関からの融資も考える必要があります。

STEP 4. 契約を締結する

収支計画や建築プランに納得できたら、工事請負契約を締結します。契約内容には、建築費や施工期間、完成後のアフターサービスなどが明記されているため、しっかりと確認しましょう。また、建築後の管理業務も、賃貸管理会社と事前に契約を結んでおくと安心です。入居者の募集や家賃管理、修繕対応などを専門としている不動産会社に委託することで、オーナーの負担を大幅に軽減できます。

STEP 5. 建築工事が始まる

契約を締結したあとは、いよいよ建築工事がスタートします。工事期間中は、進捗状況を定期的に確認しながら進めることが大切です。建築中に問題が発生すると、引き渡し時期が遅れたり、追加費用が発生したりなどのトラブルもあります。トラブルを避けるためにも、施工会社と密に連携を取りながら、適宜チェックをおこないましょう。

STEP 6. 物件が完成し引き渡しがおこなわれる

建築工事が完了したら、最終的な検査をおこない、オーナーに引き渡されます。このタイミングで、設備や建物の状態を細かくチェックし、不備がないかを確認しましょう。ここで問題がなければ、正式にオーナーとして戸建て賃貸経営を開始することになります。

STEP 7. 入居者の募集と賃貸管理をおこなう

物件が完成する前から、入居者募集を始めることがポイントです。理想は、完成と同時に入居者が決まり、すぐに家賃収入を得られる状態にすること。仲介会社や管理会社が、広告掲載や内見対応をおこない、早期の入居をサポートしてくれます。入居者が決まったあとは、毎月の家賃管理や建物の維持管理をおこない、長期的に安定した経営を目指しましょう。

持ち家をそのまま貸す戸建て賃貸経営の注意点

戸建て賃貸経営で「持ち家をそのまま貸す」方法を解説します
戸建て賃貸経営で「持ち家をそのまま貸す」方法を解説します

持ち家を賃貸に出すケースは、「親の住んでいた家を相続後に貸す」「住み替え後に元の住まいを貸し出す」などが考えられます。すでに所有している住宅を活用できるため、新たな投資が不要な点が魅力です。

しかし、スムーズに賃貸経営を始めるためには、いくつか注意すべきポイントがあります。ここでは、持ち家をそのまま賃貸に出す際の重要なポイントを見ていきましょう。

住宅ローン返済中の家は金融機関に相談する

もし、住宅ローンが残っている家を賃貸に出す場合は、まず金融機関に相談しましょう。なぜなら、多くの住宅ローン契約では「自ら居住すること」が前提条件とされているため、無断で賃貸に出すと契約違反とみなされる可能性があるからです。
特に、ローンを組んで購入したものの、一度も住まずに第三者へ貸し出した場合、不動産投資とみなされ、金融機関からローンの一括返済を求められるリスクも。そのため、住宅ローンを抱えた状態で賃貸に出す際には、事前に金融機関に相談し、適切な手続きを踏まなければなりません。

ただし、転勤などの「やむをえない事情」がある場合は、金融機関が特例として認めるケースもあります。例えば、一時的に他の地域に赴任することになり、その間だけ家を貸す場合は、金融機関に事情を説明すれば問題なく対応できることが多いです。

住宅ローンを抱えた物件を貸す際は、事前に金融機関と相談し、ルールを守って貸し出しましょう。

賃貸前に原状をしっかり確認する

持ち家を貸す際には、物件の現状を詳細に記録し、トラブルを未然に防ぐことが大切です。賃貸契約では、退去時に借主が原状回復をおこなう義務があります。しかし、事前に物件の状態を把握していなければ、「この傷は貸主のものか、借主のものか」などのトラブルが発生しやすくなります。
特に中古住宅の場合は新築と比べて、元々あった傷や汚れかどうかが曖昧になりがちなので注意が必要です。

賃貸前に物件の状況を記録しておく

賃貸を開始する前に、現状を確認したら物件の状態を写真や動画で記録し、書面にまとめておくとよいでしょう。また、賃貸契約の際には、「経年劣化や自然損耗は借主の負担にはならない」の原則を理解し、トラブルにならないよう説明しておくことも大切です。例えば、畳の日焼けや壁紙の変色は経年劣化に該当するため、借主に修繕費の請求はできません。これらの点をしっかり確認し、原状回復の範囲を明確にすることで、スムーズな賃貸経営が可能になります。

リフォームや修繕を検討する

築年数が経過した持ち家をそのまま貸し出す場合、まず考えなければならないことがリフォームや修繕の必要性です。建物の状態によっては、修繕やリフォームをしなくても貸し出せる場合もあります。しかし、内装や設備が古いと賃貸市場での競争力が落ち、入居者が見つかりにくくなる可能性もあるでしょう。修繕には、給湯器の故障や壁のひび割れの補修などが含まれます。

一方で、リフォームは物件の魅力を向上させるための改装を指し、壁紙の張り替えやキッチンの交換などが該当します。しかし、むやみにリフォームをおこなうと、コストがかかるばかりで家賃に見合わない改装になってしまうことも。
そのため、リフォームを考える際は、まず管理会社や不動産会社に相談し、必要な範囲を見極めることが重要です。「どの程度のリフォームが必要か」「現状のままでも借り手がつくのか」など、プロの意見を聞いてから判断すると、無駄な出費を抑えつつ、効果的な賃貸経営が可能になります。

戸建て賃貸経営に適した土地とは?

戸建て賃貸経営に適した土地を解説します
戸建て賃貸経営に適した土地を解説します

土地活用が難しいとされる土地でも、実は戸建て賃貸経営に向いているケースが多くあります。ここでは、特に一戸建て賃貸に適している土地の特徴をご紹介します。

狭小地

戸建て賃貸経営は、比較的狭い土地でもできるメリットがあります。具体的には、30坪以上の土地があれば十分に建築可能であり、狭小住宅の需要が高いエリアであれば、15坪程度の敷地でも戸建て賃貸経営が成り立つケースがあります。

アパートを建てるには十分な広さがない土地でも、一戸建て賃貸であれば問題なく活用できるため、狭小地の有効活用を考えている方におすすめ。また、自宅の敷地が広すぎて持て余している場合、一部を分割して一戸建て賃貸用の土地として活用することも可能です。

このように、狭い土地や使い道に困る土地でも、戸建て賃貸経営なら柔軟に活用できる点が大きな魅力です。もし「土地が狭すぎて活用できないのでは?」と悩んでいる場合は、一度戸建て賃貸を検討してみるとよいでしょう。

形状や方位に難がある土地

アパートやマンション経営では整形地が求められることが多いですが、一戸建てであれば自由度の高い設計ができるため、条件の悪い土地でも対応しやすいでしょう。
土地の形状や方角が理想的でない場合も、一戸建てなら柔軟に設計できるため、十分に活用可能です。例えば、三角形の土地や変形地であっても、建築可能なスペースを確保できれば一戸建てが建てられます。

また、北側道路に面した土地の場合、一般的には日当たりの問題で敬遠される傾向にあります。しかし、一戸建てなら玄関を北側に配置し、南側にリビングを設計することで、快適な住空間の確保が可能。間取りの工夫によってデメリットを解消できる点は、戸建て賃貸経営ならではの強みでしょう。

アパートが過剰供給されているエリア

周辺にアパートが多く供給されているエリアは、一戸建てなら他の物件と差別化できる可能性が高いです。特に、アパート経営が盛んな地域では、市場が飽和しやすく、空室リスクが高くなる傾向にあります。このようなエリアで一戸建て賃貸をおこなえば、「集合住宅ではなく一戸建てに住みたい」と考えている層のニーズを満たせるでしょう。

一戸建て賃貸を探している入居希望者のなかには「一戸建て」の住環境にこだわりを持っている方も少なくありません。そのため、広範囲で物件を探しているケースが多いです。つまり、周囲にアパートが多いエリアでも、一戸建て賃貸であれば一定の需要が見込めることになります。

また、一戸建てはアパートに比べて競争相手が少ないため、長期的に安定した賃貸経営が期待できる点もポイント。もし「周辺にアパートが多く、供給過多になっている」と感じているなら、一戸建て賃貸の活用もおすすめです。差別化を図りながら、収益性の高い経営ができる可能性があります。

戸建て賃貸経営を成功させるためのポイント

戸建て賃貸経営を成功させるためのポイントを解説します
戸建て賃貸経営を成功させるためのポイントを解説します

戸建て賃貸経営を成功させるためには、適切な計画と管理が必要です。ここからは、成功のために押さえておきたい重要なポイントを解説します。事前の準備がよい結果につながるため、計画段階からしっかりと戦略を立てておきましょう。

収支計画をしっかりシミュレーションする

戸建て賃貸経営の成功のカギを握るのは、緻密な収支計画です。戸建て賃貸経営は、集合住宅の経営に比べると収益性が低くなりやすいため、建築費と家賃のバランスを慎重に考慮しなければなりません。例えば、建築費を抑えることばかりに意識を向け、間取りを狭くすると入居者のニーズに合わず、空室期間が長くなるリスクもあります。

そのため、ターゲットとする層に適切な面積を確保しながら、賃料単価を維持する工夫が必要です。戸建て賃貸経営では、単に建築費の安さだけを重視するのではなく、収支全体を細かくシミュレーションしてみましょう。特に、建築費と家賃のバランスは大きく影響するため、複数のハウスメーカーのプランを比較することが大切です。

定期的なメンテナンスを欠かさない

戸建て賃貸経営では、一度入居者が決まると長期間住み続けるケースが多くなります。だからこそ、入居中のメンテナンスが不足しがちになることも少なくありません。例えば、庭の草刈りや簡単な清掃などは入居者がおこなうことが多いですが、屋根や外壁、給排水設備などの大規模なメンテナンスは、オーナーが責任を持って管理する必要があります。

特に、外装の劣化を放置すると、雨漏りやシロアリ被害につながり、最悪の場合、建物全体の資産価値を大きく下げてしまう可能性もあります。外壁の塗装や防水工事などは長期的な視点で計画を立て、劣化が進む前に対応することで、修繕費を抑えられるでしょう。このようなリスクを回避するためにも、定期的に点検をおこない、必要に応じて適切なメンテナンスを実施することが大切です。

管理会社に業務を委託する

管理の手間を軽減したい場合は、管理会社に業務を委託する選択肢もあります。管理会社を選ぶ際は、一戸建て賃貸の管理実績が豊富な会社を選ぶと安心です。さらに、リフォームや外壁塗装などをおこなった際には、その記録を残しておきましょう。将来的に売却する際の査定額に、プラスの影響を与える可能性があります。

設備の充実度にもこだわる

一戸建て賃貸を選ぶ入居者の多くは、単身者向けのアパートとは異なり、ファミリー層が中心です。そのため、求められる設備にも違いがあります。特に、郊外や駅から距離のある物件では、駐車場の有無が入居率を大きく左右するでしょう。

さらに、食器洗い乾燥機や浴室の追い焚き機能、収納スペースなど、設備の充実度もファミリー層にとっては重要なポイントです。このような設備があることで、他の物件と差別化が図れ、競争力のある物件になります。ただし、先述のとおり初期投資をかけすぎると収支バランスが崩れ、想定した利回りを確保できなくなるリスクも。設備投資をおこなう際には、費用対効果を十分にシミュレーションし、無理のない範囲で導入することが大切です。

「どの設備が入居者にとって魅力的か」「どこまでコストをかけるべきか」を慎重に見極め、収支計画に合った設備投資をおこないましょう。

まとめ

戸建て賃貸経営は、集合住宅とは異なる特性を持つため、収支計画や設備投資、メンテナンスなどのポイントを押さえることが重要です。特に、収支シミュレーションをしっかりおこない、適切な賃料設定とコスト管理を徹底しましょう。

また、ターゲット層に合わせた設備を充実させたり、定期的なメンテナンスをおこなうことで、長期的に安定した経営を目指せます。事前の計画を綿密に立て、リスクを最小限に抑えながら、効率的な戸建て賃貸経営を実現しましょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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