不動産投資の相談先は?質問すべきことや信頼できるかを見極めるポイントを解説

記事の目次
不動産投資の主な相談窓口

不動産投資の相談窓口は、相談する内容によっても異なります。本章では5つ紹介するため、ご自身の相談内容に合わせて、適切な窓口を選びましょう。
不動産投資会社
不動産投資会社は、不動産投資を専門としているため、投資物件の選び方や市場分析など、専門的なアドバイスを受けられます。また、投資物件探しから契約、管理までトータルでサービスを受けられます。不動産投資に関するあらゆるサポートが受けられるため、初心者の方でも安心でしょう。ただし、不動産投資会社によってサービス内容や手数料が異なるため、複数の会社を比較検討することが大切です。
不動産仲介会社
不動産仲介会社は、投資物件探しから融資の手続き、契約まで、不動産投資に関する幅広い知識と経験を持っています。幅広い投資物件情報を有しているため、次のような要望がある方におすすめです。
- 希望に合った投資物件を探したい
- 実際に投資物件を見たい
ただし、なかには自社管理の投資物件だけを紹介する不動産仲介会社もあります。また、仲介がメインであるため、管理会社の選定や運用中のフォローアップなどは対応してもらえない可能性も。そのため不動産投資の初心者よりも、運用経験のある中・上級者向けの相談先といえるでしょう。
不動産投資家
不動産投資家も、不動産投資の相談先の一つです。実際に不動産投資の経験がある方であれば、具体的なノウハウや失敗事例など、リアルな声を聞けるでしょう。例えば、投資物件を選ぶ際に気を付けたことや家族への説明の仕方などが挙げられます。金融機関や税理士など、信頼できる他の専門家を紹介してもらえる可能性もあります。ただし、あくまで一つの例であり、そのとおりにやれば成功するわけではないことを理解しておきましょう。
税理士
不動産投資では、節税対策や確定申告など、税金に関する知識が必要となります。信頼できる税理士がいれば、心強い味方となるでしょう。例えば、次のような内容が相談できます。
- どれくらい節税効果があるのか知りたい
- 不動産投資にかかる税金の計算方法を知りたい
- 確定申告の記入方法を教えてほしい
- 投資物件を売却する際に利用できる制度がないかを知りたい
確定申告では領収書や請求書など、さまざまな書類が必要となります。計算も複雑となるため、税理士に依頼すると、手間や時間が省けるでしょう。
ファイナンシャルプランナー(FP)
ファイナンシャルプランナー(以下、FP)は、お金に関する相談が可能です。例えば、資産形成の一つとして不動産投資が適切なのか、アドバイスが受けられるでしょう。また、不動産投資会社や金融機関とは異なり、中立的な立場からアドバイスを受けられます。
さらに、節税や相続に関する相談も可能です。ただし、FPによって、得意な分野が異なります。そのため、実際に不動産投資の経験があったり、相談の経験があるFPに相談しましょう。
金融機関
不動産投資ローンに関する相談は、金融機関におこないましょう。例えば、次のような内容を相談できます。
- 現在の年収で不動産投資ローンを契約できるかを知りたい
- 不動産投資ローンでどれくらい借り入れできるかを知りたい
- 投資物件を相続する場合はどうしたらいいのかを知りたい
金融機関といっても、メガバンクや地方銀行、信用金庫など、規模や融資条件などはさまざまです。自分に合った不動産投資ローンを組むために、複数の金融機関を比較検討しましょう。
不動産投資でよくある相談

本章では、不動産投資でよくある相談をご紹介します。ある程度答えが決まっているものもあるため、基本的な知識を押さえるためにも、知っておきましょう。
資金に関する相談
不動産投資では、高額な借り入れが必要となるため、自然と資金に関する質問が多くなります。ここでは資金に関する相談を2つご紹介します。
自己資金はいくら必要?
自己資金は、購入する投資物件価格の2〜3割程度が目安とされています。例えば、物件価格が7,000万円であれば、1,400万円〜2,100万円の自己資金が必要です。自己資金が少ない場合でも、不動産投資は可能ですが、金利が高くなる可能性があります。反対に、自己資金が多ければ、返済能力があると判断され、金利が優遇されることも。また、頭金なしのフルローンでも不動産投資ローンを組むことは可能ですが、返済負担は増えるため、慎重に判断しましょう。
投資物件を購入する時にどのような資金が必要?
投資物件の購入時には、物件価格だけでなく、さまざまな費用がかかります。具体的には、次のような費用があります。
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 仲介手数料
- 火災保険料
- 地震保険料
- 不動産投資ローン事務手数料
- 不動産投資ローン保証料
- 税理士や司法書士への報酬料
中古物件を購入する場合は、修繕費がかかることもあります。事前に投資物件の修繕箇所を判断し、おおよその費用を見積もりましょう。
不動産投資ローンに関する相談
初期費用や運用時の費用だけでなく、不動産投資ローンに関する相談もよくあります。ここでは、不動産投資ローンに関する相談内容を見ていきましょう。
家賃収入で不動産投資ローンは返済できる?
不動産投資ローンは、家賃収入で返済することを想定して組むものです。しかし、返済できるかは、投資物件の収益性や不動産投資ローンの返済期間、金利など、さまざまな要素によって左右されます。
一般的に、家賃収入に対して不動産投資ローンの占める割合は、40〜50%が目安とされています。例えば、家賃収入が20万円であれば、不動産投資ローンの返済額は8万円〜10万円。しかし、実際には修繕費や管理委託料などの費用がかかるため、50%以下に抑えるといいでしょう。
年収が低いと不動産投資は難しい?
年収が低いからといって、不動産投資ができないわけではありません。なかには、少額からできる不動産投資もあります。例えば、不特定多数の投資家が出資し、その資金をもとに不動産投資がおこなわれる不動産クラウドファンディング。また、投資家から集めた資金を投資物件に投資し、家賃収入や売却益などの収益を投資家に分配するREIT。これらは1万円程度から始められる不動産投資です。リスクを抑えるためにも、少額から始め、慣れてきたら不動産投資ローンを組んで、投資物件を購入する方法も一つでしょう。
投資物件に関する相談
不動産投資で成功の鍵を握るのは、投資物件選びといっても過言ではありません。そのため、投資物件に関する相談もよく聞かれます。
どのエリアの物件を選べばいい?
購入する投資物件のエリアは、収益性とリスクのバランスを考慮して決めましょう。具体的には、次のようなエリアを選ぶといいでしょう。
- 人口の増加が見込まれるエリア
- 交通アクセスがいいエリア
- 利便性の高いエリア
再開発計画が進んでいるなど、人口の増加が見込まれるエリアは、賃貸需要が高く、空室リスクが低い傾向にあります。また、駅からの距離が近かったり、バスが通っていたりと、交通アクセスがいいエリアも、賃貸需要が高い傾向に。他にも、商業施設や学校などが近く、生活を送るうえで利便性が高いエリアも入居者が集まりやすくなります。
新築物件と中古物件はどちらがいい?
新築物件か中古物件のどちらを選ぶべきかは、投資をおこなう目的や資金状況、リスク許容度によって異なります。下表は、新築と中古のメリット・デメリットを簡単にまとめたものです。
新築物件 | 中古物件 | |
---|---|---|
メリット | ・入居率が高い傾向にある ・修繕費用が少なく済む ・資産価値が安定している |
・価格が安い ・利回りが高い傾向にある |
デメリット | ・価格が高い ・利回りが低い傾向にある |
・修繕費がかかる傾向にある ・空室リスクが高い傾向にある ・資産価値が低下する |
例えば、できるだけリスクを抑えて運用をしたいと考えている方が、中古物件を選んだ場合。修繕費がかかったり、競争力が低下して空室が増えたりと、想定外の出来事に後悔することになるかもしれません。投資する目的によって、おすすめの投資物件は異なるため、事前によく目的を確認しておきましょう。
物件の管理はどうすればいい?
投資物件の管理は、「自主管理」と「管理会社への委託」の2種類があります。また、管理は大きく「賃貸管理」と「建物管理」の2つに分けられます。賃貸管理は、入居者の募集や賃貸の契約手続きなど。建物管理は、共用設備の点検やメンテナンスの手配などをおこなうものです。
自主管理の場合はすべて自分でおこなうため、投資物件の状態を細かく把握でき、コストを抑えられる点がメリット。しかし、上記に挙げたような内容をすべて自分でおこなうことは、時間と手間がかかるでしょう。
管理会社に委託する場合は専門的な知識を持つ方が管理してくれるため、手間がかからず、トラブル対応もスムーズです。一方、管理委託手数料がかかるデメリットがあります。それぞれメリット・デメリットがあるため、どちらが適しているか考えましょう。
リフォーム費用はどれくらいかかる?
リフォーム費用は、投資物件の状態やリフォームの内容によって大きく異なります。例えば、築年数が古い物件ほど、劣化している箇所が多いことから、費用がかかる傾向にあります。一方、新築物件であればリフォームが少ないことから、収益を積み立てておくなどして、将来の修繕費用を備えられるでしょう。
リスクを抑える運用方法は?
不動産投資のリスクを抑えるためには、賃貸需要が高く、空室リスクの低い投資物件を選ぶことが重要です。また、自己資金を多めに用意すると、不動産投資ローンの借入金額を抑えられ、キャッシュフローが安定します。さらに、不動産投資に慣れてきたら、違うエリアや異なる種類の投資物件を購入すると、一つの投資物件にリスクが集中することを防げるでしょう。
不動産投資の相談で質問すべきこと

前章ではよくある相談を見てきましたが、確実に聞いておくべきことはあるのでしょうか。本章では、不動産投資の相談で質問すべきことを解説します。
信頼性を判断する質問
不動産投資の相談先が、信頼できるかを見極める質問をしましょう。不動産投資は高額な売買のため、失敗すると大きな損失につながるおそれがあります。安心して相談できるパートナーを見つけるために、必ず信頼性を判断する質問をするようにしましょう。
具体例として、次のような質問が挙げられます。
- 節税効果はありますか?
- 節税効果をどのように維持しますか?
- 家賃や管理手数料の変動はありますか?
不動産投資をすることで節税効果を得られますが、限定的なものです。なぜなら、不動産投資において節税ができる理由は「減価償却」と「損益通算」によるものです。「減価償却」とは、投資物件の購入価格を、建物の法定耐用年数に応じて経費計上すること。また、「損益通算」とは、不動産投資の赤字を他の所得と相殺すること。相殺して課税所得が減ることで、税額も抑えられます。
質問した際に、このような仕組みを説明してくれるのであれば、問題ないでしょう。しかし、「節税効果はずっと続きます」などと答えるようであれば、相談先として避けたほうがいいでしょう。
また、家賃や管理手数料は変動するものです。築年数が経てば家賃も下がります。しかし「変わりません」と答えるような不動産投資会社や不動産仲介会社は避けたほうがいいでしょう。変動する要素を含めたシミュレーションがおこなわれているか、確認しましょう。
運用後のサポートに関する質問
不動産投資は、投資物件を購入してからがスタートです。そのため、運用後のサポート体制が充実しているかは、収益を大きく左右する要素となります。不動産投資会社および不動産仲介会社に相談する際には、運用後のサポートに関する質問をしましょう。具体的には、次のような質問があります。
- 運用開始後にアフターフォローはありますか?
- 空室が発生した場合にはどのようなサポートがありますか?
運用開始後も、オーナーが投資物件の管理状態を把握できると、適切な対応がとれ、賃貸経営も安定するでしょう。そのため、運用後のアフターフォローの有無や体制の詳細は、確認しておきたい項目です。また、会社によって管理内容は異なるため、空室が発生した場合のサポートの有無や体制で、アフターフォローが充実しているかを見極められます。
提案物件に関する質問
繰り返しになりますが、投資物件が不動産投資の成功を左右します。会社から提案される物件は、必ずしも自分にとって最適な物件とは限りません。そのため提案物件に関するさまざまな質問をおこない、メリット・デメリットをしっかりと把握しましょう。
具体例として、次の質問が挙げられます。
- 提案物件がある地域の経済状況や自然災害のリスクはどうですか?
- 提案物件がある地域の今後の再開発計画やインフラ整備の予定はありますか?
- 提案物件を見に行ったほうがいいですか?
- 提案物件を高値で売却することは可能ですか?
不動産投資にはリスクがともないますが、事前にリスクを把握すると、対策を講じることができます。また、投資物件の将来性を見極めることも重要です。再開発計画やインフラ整備の状況を確認すると、将来的に資産価値が上昇する可能性があるかを判断できるでしょう。
また、内見に行けるかも確認しましょう。中古物件の場合は入居者がいるため、室内を見られない可能性が高くなります。しかし、実際に足を運ぶことで、投資物件の管理状態や周辺環境などを確認できます。もし、内見に行くことを否定する場合は、会社にとって不都合がある可能性も。
さらに、高値で売却できるかは、売却時にならなければわかりません。不動産投資に「絶対」「必ず」はありません。もし「絶対に高値で売れる」と確定する場合は、オーナーのためではなく、自社の利益を優先している可能性もあります。
自分にとって最適な投資物件を購入できるよう、積極的に質問をしましょう。
不動産投資で信頼できるパートナーを見つけるポイント

不動産投資では、不動産投資会社や不動産仲介会社など、さまざまな相談先があります。不動産投資で収益を上げるためには、すべてを一人でおこなうのではなく、専門家の力を借りて、賃貸経営をおこなうことが大切です。本章では、不動産投資で信頼できるパートナーを見つけるためのポイントを解説します。
口コミ・評判を調べる
信頼できるパートナーかを見極めるため、口コミや評判を調べてみましょう。口コミや評判は、実際に相談先を利用した顧客の声であり、実績やサービスの質を客観的に評価するうえで有効です。また、担当者の対応やアフターフォローなど、さまざまな視点から評価されているため、総合的に判断できます。
業績を調べる
業績も調べてみましょう。業績がよければ、顧客や取引先との関係が良好であることが判断できます。また、業歴も調べるといいでしょう。目安として、業歴が10年以上あると安心です。国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」では、免許を持っている不動産会社や管理会社の情報を検索できます。相談先候補の会社があれば、調べてみるといいでしょう。
自分に合ったプランを提案してくれるかを判断する
自分に合ったプランを提案してくれるかを判断しましょう。不動産投資は、投資目的や個人の資産状況、リスク許容度によって、最適なプランが異なります。そのため、信頼できる会社であれば、ヒアリングをしっかりおこない、自分に合ったプランを提案してくれるはずです。自分の考えを聞いてくれず、一方的にプランを押し付けるパートナーは、信頼できるとはいいにくいでしょう。
リスクやデメリットを説明してくれる
リスクやデメリットも伝えてくれるパートナーを選びましょう。不動産投資は魅力的な資産運用の一つですが、同時にリスクもともないます。信頼できるパートナーは、メリットだけでなく、デメリットやリスクについても正直に説明し、投資家が冷静に判断できるようサポートしてくれます。説明されなかった場合には、自分から質問をしてみましょう。リスクやデメリットについての情報が不十分だったり、曖昧に答える場合は、他の相談先を探すことをおすすめします。
まとめ
不動産投資の相談先は、不動産投資会社や不動産仲介会社、税理士など、さまざまあります。相談内容に応じて、適した相談先を選びましょう。また、有意義な相談にするためにも、基本的な知識はあらかじめ押さえておきましょう。本記事では、不動産投資で質問すべきことも解説しました。相談先が信頼できるパートナーとなりえるか、積極的に質問をして判断しましょう。

執筆者
民辻 伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ