不動産投資で悩んだらセカンドオピニオンを受けてみよう|メリットや相談先を解説

今回は、不動産投資に関するセカンドオピニオンについて詳しく解説します。これから不動産投資を始めようと思っている方、所有している賃貸物件に疑問を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
記事の目次
不動産に関するセカンドオピニオンとは?

「セカンドオピニオン」という言葉は、医療分野でよく耳にします。この言葉は、主治医以外の専門家に意見を求めることで、治療方法や診断の確認をおこなうためのもの。セカンドオピニオンを受けることで、患者や家族が納得のいく治療方針を選ぶサポートとなります。
このセカンドオピニオンの考え方は、不動産分野にも応用されるべきだとされています。現代ではインターネットで多くの情報が手に入ります。しかし、不動産に関する専門知識や判断力に関しては、一般の方が短時間で身につけることは難しいもの。
特に、住宅の購入や不動産投資では、物件の価格や適正なローンの借入額など、多くの点で迷いが生じがち。不動産会社は取引を成立させることが主な目的となるため、デメリットを十分に説明しないケースもあります。そこで、セカンドオピニオンを受けることで第三者による客観的なアドバイスが役立ち、より安心して取引を進められるのです。
不動産投資でのセカンドオピニオンの重要性と活用するメリット

不動産投資におけるセカンドオピニオンの重要性や活用するメリットを解説します。
不動産投資でのセカンドオピニオンの重要性
不動産投資に関しては、セカンドオピニオンの重要性がさらに高まります。不動産投資は単に投資のための物件を購入するだけでなく、賃料収入などの運用を含むため、法律や金融、建築に関する幅広い知識が必要です。
上記のような知識を初心者の方がすべてを把握することは難しいものです。物件を販売する会社が信頼できる場合であっても、セカンドオピニオンを活用すれば、リスクを最小限に抑えられるでしょう。投資対象の不動産は金融商品とは異なり、法律的な保護が弱く、会社がリスク説明を省略することもあります。
悪質な不動産会社からは、利益優先の取引を押し付けられ、高額な物件を購入してしまうリスクも。適切なアドバイスを受けることで、物件の管理状況や契約内容の詳細を確認でき、不利な条件を避けることが可能です。不動産投資で成功するためには、自身の知識を深めたり、信頼できるアドバイザーに相談したりする必要があるでしょう。
不動産投資でセカンドオピニオンを活用するメリット
ここからは、不動産投資でセカンドオピニオンを活用するメリットを3つ解説します。
詐欺的な営業手法とリスクを避けられる
不動産会社のなかには詐欺的な営業をおこなう会社もまれに存在し、利益の出ない悪質な物件を販売するケースもあります。契約が完了すると、会社が消えてしまうケースもあり、これに巻き込まれると購入者は大きな損失を被ることに。
特に三為業者(第三者の利益を目的とする業者)は、物件の売買を通して巨額の利益を得ることを目的としている場合が多く、管理が行き届かない物件や不利な契約条件を提示してきます。悪質な会社を避けるためには、セカンドオピニオンを活用し、事前にリスクの確認が重要です。
不動産投資は大きな金額が動く取引であり、一度契約を結ぶと簡単にやり直しがきかないため、慎重な判断が求められます。信頼できる専門家からアドバイスを受け、購入前に物件の正確な情報を得ましょう。
不動産会社ばかりが得をする取引を避けられる
不動産取引では、不動産会社は「仲介手数料」を成功報酬として得るため、取引成立が主な目的です。会社の利益が取引成立に依存しているため、どのような手段を使ってでも契約を成立させようとすることがあります。契約を成立させるために物件の利点のみを挙げられた場合、投資をするための物件の本当の価値を正確に把握することが難しくなることも。
そのため、物件を購入する際には、セカンドオピニオンを通して第三者の意見を聞くことが重要です。専門家からのアドバイスを得ることで、不動産会社の事情を把握し、より賢明な判断ができるようになるでしょう。
専門知識と広い視野を得られる
不動産投資は、不動産に関する専門知識だけでなく、投資に関する知識も必要です。不動産投資が成功するかは、購入者自身がどれだけ不動産投資に関する知識を持っているかに左右されます。
例えば、どれくらいの期間で収益を得るか、売却時のリターンをどのように見込むかなど、投資に関する知識が不足していると、適切な判断ができません。したがって、専門家の意見を求めることが、投資の成功を左右する要因となるのです。
また、物件の購入金額は高額で、売却による資金回収が困難な場合も多くなります。そのため、セカンドオピニオンを活用し、事前に慎重な検討をおこなうことが重要なポイント。投資用ローンを利用して購入する場合、リスクがさらに高まるため、物件選びでも専門的なアドバイスが必要となるでしょう。
不動産投資でセカンドオピニオンを利用すべきケース

不動産投資に興味を持ち、すでに不動産会社に相談したり、物件を所有している方のなかには、何かしらの不安を感じている方もいるでしょう。もし少しでも不安がある場合、セカンドオピニオンを受けることを強くおすすめします。
なぜなら、たとえ現在相談している会社が信頼できるところであっても、状況によっては手遅れになり、問題が改善されないことがあるからです。例えば、新築のワンルームマンションを高額な借り入れで購入し、キャッシュフローが悪化しているケース。この場合、投資用ローンの返済の見通しが立たず、物件を売却してもローンが残り、負債だけが残る状況に陥ることがあります。その状態で収益性の高い物件を追加購入しようとしても、融資審査に通らないことも。
ここでは、セカンドオピニオンを利用するべきケースをご紹介します。
メリットばかり強調された場合
不動産会社から「高利回り」や「節税効果」などのメリットばかりが強調された場合、まずは冷静になって慎重に考えましょう。どのような投資にもリスクがつきものですが、リスクの説明が一切なく、よい面だけを伝えられることがあります。上記のような状況では、他の専門家や不動産会社の意見を求め、リスクとリターンのバランスが適切か確認することが重要です。不動産投資ではリスクを理解し、リスクに備えることが成功の鍵となるでしょう。
特定の物件だけを勧められた場合
不動産には、ワンルームマンション、一棟アパート、一戸建てなど、さまざまなタイプがあります。また、新築や中古などの選択肢も存在します。それにも関わらず、特定の物件だけを強く勧められた場合、不動産会社が利益を得やすい物件を売りたい意図があるかもしれません。
投資家の利益を第一に考えた提案であれば、複数の選択肢を提示するはずです。したがって、特定の物件だけを勧められる場合は、セカンドオピニオンに相談し、より中立的な意見を聞くことをおすすめします。
物件購入後に赤字が続いている場合
投資用の物件を購入してから赤字が続いている場合は、セカンドオピニオンを受けるタイミングかもしれません。特に、資金繰りが悪化する前に対策を取ることが重要です。
不動産投資には、税金対策の一環として、減価償却を利用して赤字を計上する手法もあります。しかし、すべてのケースで減価償却を利用して赤字計上する方法が適切だとは限りません。
赤字が続いてどのように対策すればいいか迷った場合は、物件の収支バランスや将来的なリスクなどについて、セカンドオピニオンを受けてみるとよいでしょう。問題の早期発見と改善を図るためにも、第三者の視点でのアドバイスを受けることが必要です。
出口戦略が明確でない場合
不動産投資では、購入時だけでなく、投資物件をどのように運用し、最終的にどのように処理するか(出口戦略)も重要なポイントです。出口戦略には、売却して利益を確定する、購入した物件に自分で住む、相続するなど、さまざまな選択肢があります。
しかし、上記の選択肢を考慮せずに、物件を購入することは危険です。現時点での不動産会社が明確な出口戦略を提示していない場合は、セカンドオピニオンを受け、一緒に検討してもらうとよいでしょう。
初回の相談時に賃貸物件を提案された場合
不動産投資をおこなう場合、対象の物件が投資家にとって適しているかは、資産状況や投資目的など、多くの情報をもとに判断しなければなりません。しかし、なかには初回の相談でいきなり物件を提案されるケースもあります。この場合、十分な情報収集や個別の事情を考慮せず、物件の販売が目的となっている可能性が高いため、注意が必要です。初回の相談で物件の提案があった場合は、セカンドオピニオンを活用し、すぐに契約しないようにしましょう。
不動産投資に関するセカンドオピニオンをどこで受けるべきか

次に、不動産投資のセカンドオピニオンはどこで受けられるのかを紹介します。
ファイナンシャルプランナー (FP)
お金に関するあらゆる相談に対応してくれるファイナンシャルプランナー(FP)は、不動産投資にも役立つアドバイスを提供してくれます。特に、不動産や相続に詳しい専門家を選ぶことで、よりよいアドバイスを受けられるでしょう。
不動産会社
地域に根ざした不動産会社は、地元特有の情報を持っているため、売買や賃貸に関する詳細な知識を提供してくれます。ただし、1つの会社ではなく、複数の不動産会社に相談してみましょう。1つの会社のみの場合、偏った意見やアドバイスが出てくるかもしれません。複数の不動産会社から話を聞いて、そのなかで自分に合った対策を取るとよいでしょう。
不動産コンサルタント
専門的な知識を持つ不動産コンサルタントは、特定の不動産セクターに特化していることが多いです。自分の投資対象に合ったコンサルタントを選びましょう。
不動産鑑定士
物件の客観的な価値を判断するためには、不動産鑑定士に依頼するのがよいでしょう。物件の適正価格を知り、融資を有利に進めるためにも役立ちます。
ホームインスペクター
物件の購入時には、対象物件の構造や状態を確認するホームインスペクターの利用が有効です。事前に物件のリスクを確認することで、あとの問題を避けられるでしょう。
セカンドオピニオンから得られる情報

不動産投資でセカンドオピニオンを活用すると、どのような情報を得られるのでしょうか。具体的に、どのような質問を投げかけるべきか、重要なポイントを詳しく見ていきます。
不動産の基本的な知識
まず、不動産取引の基礎的な知識として、物件の売買や賃貸手続きの流れ、報酬や手数料の設定を理解しておくことが重要です。売買契約の進め方や、賃貸取引での賃借人との関係性、契約の種類などをしっかりと把握しておきましょう。
また、不動産会社の選び方に関しても信頼できる会社を選ぶために、「大手か地元密着型か」「不動産投資に関する実績の豊富さ」「スタッフの対応の質」などのポイントに基づいて検討することをおすすめします。上記でもお伝えしましたが、複数の不動産会社を比較検討して、自分に合った会社を選びましょう。
さらに、賃貸物件を管理するうえでのポイントや、物件の適正な評価をおこなう手法など、基本的な不動産知識を深めることも大切です。基本的な不動産知識を身につけることで、賃貸物件を購入する際のリスクや、将来的なトラブルを避けられるでしょう。
賃貸市場の現状
投資対象とする物件を貸し出すためには、現状の賃貸市場の分析が不可欠です。物件がある地域の賃貸需要や家賃相場、近隣の競合物件の動向などを確認することで、その物件がどの程度のキャッシュフローを生むかを予測できます。
また、長期的な空室リスクや、家賃の減少リスクを避けるための施策を事前に考えられるでしょう。
物件自体の管理状況も重要な要素です。建物の管理が行き届いているか、賃借人に対して適切な対応ができるかなどの点は、物件の価値を保つうえで大きな役割を果たします。購入した物件が将来的にも安定した収益を生むか判断するためにも、専門家の意見を聞いてみましょう。
物件の詳細
物件に関する具体的な情報を把握することは、投資の成否を左右します。売買契約書や賃貸借契約書、サブリース契約などの内容を細かくチェックし、法的なリスクや不備がないかを確認しましょう。投資用ローンの返済計画や、税金の負担なども含めた総合的な資金計画を立てることが重要です。
また、物件そのものの状態もポイント。建物の劣化具合や修繕履歴、建物が抱える潜在的な問題も調べ、長期的な維持管理が可能かを判断する必要があります。さらに、その物件の市場価値や将来の収益見込みなども、客観的なデータに基づいて検討することが、よい投資をおこなうための鍵となります。
ライフプランと資金計画
不動産投資では、資金調達とライフプランの計画が重要です。購入資金のうち、どれくらいを自己資金として用意し、どれくらいの投資用ローンを組むべきかを慎重に判断する必要があります。どの金融機関から資金を借り入れるか、また金利タイプをどうするかなどの点も、不動産投資の成功に大きな影響を与えるでしょう。
さらに、老後の生活資金やリタイア後の資産運用などを含めた長期的なライフプランも相談しておくとよいでしょう。将来の収入や支出を見越して、安定した投資計画を立てることが、リスクを軽減するための大切な要素です。
相続対策としての不動産の活用方法
不動産は、相続対策として活用されることが多い資産です。
特に現金資産を不動産に換えることで、相続税を軽減できます。しかし、不動産を所有する場合も慎重な対応が必要です。財産評価の見直しや資産分割の方法、さらに将来相続された時に予想される問題なども考慮しなければなりません。
相続対策として不動産投資をおこなう場合に重要なのは、所有する不動産が適切に管理され、価値が維持されるかです。加えて、相続時に適切な資産分割がおこなえるよう、弁護士や税理士など、複数の専門家と連携して計画を立てることが必要です。
専門家とともに綿密な計画を立てることで、予期せぬトラブルや法的な問題を回避できるでしょう。
まとめ
今回は、不動産におけるセカンドオピニオンの活用方法をご紹介しました。セカンドオピニオンを活用することで、物件購入や投資に関するさまざまなリスクや疑問点を解決できるでしょう。不動産の基本知識から、資金計画、契約内容の精査、物件の管理状況、賃貸市場の動向、さらには相続対策まで、幅広い悩みを相談できるのが大きなメリットです。
特に初めて不動産投資をおこなう方は、信頼できる第三者の意見を求めることで、安心して投資をおこなえるでしょう。

執筆者
長谷川 賢努
AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士
大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ