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単身赴任にかかる生活費はいくら?諸手当の種類や節約方法について解説

単身赴任にかかる生活費はいくら?諸手当の種類や節約方法について解説
単身赴任のように、家族で生活拠点が分かれるのには、何かと心配事も付きものですよね。なかでも気になるのは、やはり金銭面という方も多いのではないでしょうか?例えば光熱費なら、電気代やガス代は今まで1世帯でまとまっていたのが、2拠点分に増える想定になります。

今後の家計の負担をなるべく抑えるためには、まず単身赴任によってどれくらい出費が増えるのか、あらかじめ知っておくことも大切。一度生活費を整理し直すことで、何をどう節約できるのかわかりやすくなります。そこで今回は、単身赴任にかかる生活費の大まかな目安をはじめ、できるだけコストカットしていくためのコツをご紹介していきます。

単身赴任とは?

単身赴任とは、会社の人事異動で遠方に転勤となった場合に、同居する家族と離れて新しい就業先付近に住まいを移して働く勤務形態を指します。人材の昇進や育成などに向けて、今までとは異なる支店や営業所に配属する際に発生するのが一般的です。

基本的にはパートナーやお子さんの生活環境やマイホームを維持するために、単身赴任を選ぶ場合が多く見られます。また転勤先との距離感や交通アクセスにもよりますが、状況次第では単身赴任にせず、新幹線通勤にするといったケースも。もしくは転勤にともなって、家族全員で引越しをする選択肢もありますが、どうしてもやむを得ない事情がある時に単身赴任になるのがよくあるパターンです。

単身赴任そのものについて詳しく知りたい人は、下記記事をご覧ください。

単身赴任にかかる生活費は家賃を除き13万円ほど

総務省が公開している「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」によると、家賃を除く生活費に約13万円かかることがわかります。下記の表の金額に家賃を足すことで、月にかかる生活費の目安を把握しましょう。

【単身世帯1カ月あたりの生活費】

項目 単位:円
食料 38,410円
光熱・水道 11,383円
家具・家事用品 5,687円
被服及び履物 4,606円
保健医療 7,625円
交通・通信 18,856円
教育 7円
教養娯楽 17,106円
その他 29,251円
合計 132,931円

参考:総務省「家計調査報告(家計収支編)」2021年(令和3年)単身世帯の生活費の概要データ
※家具家事用品…家具・家事に必要な商品およびサービス
※教育…授業料や参考書など
※教養娯楽…書籍やDVD・CD、旅行宿泊費や趣味の習い事の月謝など
※その他…美容室代、たばこ代など

まず生活費で多くの割合を占めるのは家賃ですが、単身赴任では社宅・寮・家賃補助などが用意されることもあり、上記の表ではあえて外しています。会社の制度によって、自己負担分は大きく変わってくるので、事前にチェックしておくことも重要。就業規則なども見ながら、活用できるものはないか確認していきましょう。さらに住む地域によって、家賃の相場も異なります。どこに引越しをするのか考慮しておくと、より正確に単身赴任後の生活費を把握でき、節約にも役立つでしょう。

また単身赴任では、いわゆる二重生活になるので、会社からの手当が十分に支給されない時には要注意。その分コストもかかりやすくなるため、家計に負担をかけすぎない工夫が必要でしょう。

単身赴任にかかる初期費用は?

単身赴任にかかる初期費用は?

当然ながら、単身赴任では新しい住まいに移るためのコストもかかります。新たな生活環境も自分で整える必要があるので、日常的な生活費だけでなく、次のような初期費用が発生することも想定しておきましょう。

引越し代や物件の初期費用は会社負担のケースが多い

引越し会社による荷物の運送費や、新しい物件の敷金礼金は、会社側から出してもらえる場合も多くあります。もちろん会社によって、費用の一部や全額というように、負担分の割合は異なるため事前の確認も必要です。また会社から補助があるケースでは、利用する引越し会社などが指定されることもあるのでチェックしておきましょう。

なお引越し会社を自分で探す際には、なるべく複数社から相見積もりを取るのがベスト。いくつかの会社で比較検討しておけば、より安い料金のところに依頼でき、さらに値下げ交渉もしやすくなります。

新居で必要なモノは自分で揃える

家具 家電 日用品
ベッド
(寝具)
冷蔵庫 トイレットペーパー・ティッシュ類
テーブル 洗濯機 ゴミ袋
椅子 電子レンジ バス・トイレ・洗面用品
カーテン 電子ケトル 調理器具・食器類
収納 炊飯器 ハンガー
ラグ ドライヤー タオル類
    洗剤類
    物干し竿・選択ばさみ
    掃除グッズ

生活必需品となる日用品類は、ひととおりそろえておく必要がありますが、家具や家電は単身赴任期間や生活スタイルによって省くことも可能です。例えば、寝具は布団だけにしてベッドを省略したり、あまり自炊しないなら炊飯器はやめてレトルトで代用したりなど。もし単身赴任の期間が短いのであれば、コインランドリーや元の自宅などを活用して、洗濯機を買わずに済ませるなども考えられるでしょう。特に家具や家電は費用もかかりやすいので、じっくりと何が必要なのか検討しながら、取捨選択していくのがベストです。

単身赴任で家具を新調するお金がもったいない……という方に向けて、「不動産情報サイト アットホーム」では「家具が付いている賃貸物件特集」も設けていますので、ぜひ検討してみてくださいね。

単身赴任で準備することや必要なアイテムについて、詳しくは下記記事にまとめていますので参考にしてください。

単身赴任で貰える諸手当は?

単身赴任で貰える諸手当は?

全額まではいかなくても、格安で住める物件を用意してもらえたり、元の自宅に帰るための手当が出たり、会社からの補助が出るケースも多々あります。もちろん会社ごとに制度はさまざまですが、単身赴任にともなう手当や支援金のよくある一例について、以下からご紹介していきます。

単身赴任手当の相場は47,600円

厚生労働省の発表している「令和2年就労条件総合調査の概況」によると、単身赴任手当の相場は4万7,600円でした。なお企業規模別の支給額も算出されているなか、もっとも金額が高かったのは、従業員数30~99名以下の会社の平均値で4万9,600円。従業員数100名以上になると、4万6,000円台~4万7,000円台が大体の平均でした。

なお単身赴任手当を出している企業自体の割合としては、従業員数1,000名以上の会社で約66%。そこからは企業規模が小さくなるにつれて、単身赴任手当を支給している会社数も減っていく傾向にあります。とはいえ小規模の会社だと、拠点が特定の地域に集まっている場合も多く、そもそも単身赴任になるケースが少ないともいえます。

こうして考えていくと、企業規模に関係なく、単身赴任手当の有無や金額は変わってくるようです。

単身赴任手当

単身赴任手当は、従業員が二重生活になることを配慮し、会社側からのサポートとして支給されるものです。日常的なコストを補う目的で支給されることが多いですが、会社によっては後述する住宅費や帰省費を補助する意味も含めて、単身赴任手当としている場合もあります。また例えば転勤先までの距離など、何か支給基準が設定されているケースもあり、どう社内の制度を利用できるのかしっかりと確認しておきましょう。

転勤支援金(単身赴任準備金)

荷物の運送費や新居の家具家電代など、主に単身赴任時の引越しに向けた支援金が支給されるケースもあります。ちなみに株式会社産労総合研究所が実施した「転勤者への福祉施策と赴任費用援助の実態調査」では、10.6万円~13.7万円が相場という結果に。移動距離や職位など、各従業員の状況による違いもありますが、10万円前後が大体の基準になるようです。もちろん支給方法も金額も、会社の制度次第で変わるため一概にはいえませんが、あくまで目安として参考にしてみてください。

家賃補助(住宅手当)

家賃補助(住宅手当)

単身赴任先の住居費をサポートするもので、補助の形態は会社によってさまざまです。例えば借り上げ社宅として特別料金で入居できたり、住宅手当として給与に上乗せされたりなど。なお社宅の場合は、会社側がすべて負担してしまうと、従業員側の給与が増えたとして課税対象になってしまいます。ただし家賃の5割以上を従業員が負担することで、非課税かつ会社からの補てんもできることから、賃料の半額を基準にしているケースも多くあります。また住宅手当として上乗せされる場合の金額は、厚生労働省の「令和2年就労条件総合調査の概況」によると、平均して1万7,800円。こちらも参考程度に考えてみてください。

帰省旅費手当

単身赴任では、元々の自宅に帰る際に、その交通費を会社から補助してもらえる場合があります。こうした帰省旅費手当も、会社によって支給方法は異なります。例えば決まった頻度で一定額支給する、実費で請求してから手当として上乗せするなど。また場合によっては、利用できる回数制限など、何か条件が設けられているケースもあります。会社ごとに制度の内容は変わってくるので、一度確認してみるとよいでしょう。

ここまでにご紹介してきたのは、単身赴任にともなう代表的な支援制度で、会社ごとに名称や内容は異なります。また、会社によってはこうした制度を利用するのに手続きが必要な場合も。上司や人事などの担当部署にも問い合わせしながら、正確に把握しましょう。また、単身赴任による諸手当で給与が上がった分、基本的には税負担も増えることになります。つまり社会保険料や所得税といった、給与から差し引きされる金額も多くなるため、手当がすべて残るわけではありません。収入が増えた分をそのまま使ってしまうと、結局のところ赤字になってしまう可能性もあるため注意しましょう。

単身赴任にかかる費用を抑えるコツ

ではここからは、実際の単身赴任での新生活に向けて、できるだけコストをかけないために、覚えておきたい節約方法を解説していきます。

家賃を抑える

社宅や寮ではなく、自分で物件を探す必要がある場合には、やはり生活費の大半を占める家賃を抑えられる部屋を探すのがベストです。先ほども出てきたように、家賃相場は地域による差も大きいですが、物件自体の条件次第でも賃料は変わってきます。例えば駅から近い築浅のマンションというように、好条件がいくつも重なっていると、その分家賃は高くなる傾向にあります。何かしら条件を緩めることで家賃は安くなりやすいので、どうしても外せないのはどの部分なのか検討してみましょう。他にも交通アクセスのいいターミナル駅付近など、利便性の高い物件も割高になりがちです。1駅離れるだけで家賃が軽減できるケースも多いので、立地に注目して探してみるのもおすすめです。

家具家電代を節約する

家具家電代を節約する

前述にあるように、家具家電付きの部屋の物件を借りれば、新しく購入する必要はありません。もしくはレンタルサービスや中古品を活用すれば、わざわざ新品を買うよりも費用は抑えられます。場合によっては、会社の同僚など、知人や友人に使わなくなったものを譲ってもらう方法もあるでしょう。特に単身赴任の場合は、元の勤務先に戻るなど、また引越しをする可能性もあります。そうなると、結局のところ新しく買っても処分しなければならない場合も考えられるため、家具家電類にはあまりコストをかけないほうが無難かもしれません。

外食を減らす

外食を減らす

一人暮らしだったり仕事が忙しかったりすると、どうしても外食に頼ってしまいがちですが、そうすると日々の食費がかさんでしまいます。やはり自炊したりお弁当を作ったりするのが、食費を抑えるのには効果的です。ただ最近では健康志向のレトルト品も出てきており、冷凍品のリーズナブルな宅配サービスなどもいくつかあります。またお米だけ炊いて、惣菜店でおかずを買って食事を済ませるのも節約術の一つです。少し工夫するだけで、食費はグッと軽減できます。

通信費・契約サービスを見直す

特に大手のキャリア携帯などを使用していると、意外と毎月の料金が高くなっているケースは少なくありません。格安SIMなどに切り替えれば、数千円ほど固定費が安くできる場合もあるので、一度見直してみるのがおすすめです。またサブスクリプションサービスも、整理してみると余計な出費になっていることがあります。あまり使っていないものは解約するなど、固定費を少しでも減らす工夫をしてみましょう。

二重生活を維持するのは大変かもしれませんが、ちょっとした部分で意識を変えていくだけでも、ムダなコストは減らしていけます。また節約はコツコツ続けていくことが大切なので、無理のない範囲で費用を抑える方法を検討してみることも重要です。もちろん大幅に生活費が削れるに越したことはありませんが、我慢した分が別の出費になっていては意味がありません。バランスよく節約していけるように、計画してみましょう。

まとめ

いかがでしたか?
単身赴任では、日常的な生活費や引越しの初期費用など、さまざまなコストがかかることを想定しておく必要があります。とはいえ社員に負担がかかる分、会社からのサポートがある場合も珍しくありません。ぜひ社内にある制度も、積極的に活用してみましょう。また今回ご紹介した節約のコツも、より快適な単身赴任生活の参考にしてみてくださいね。
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執筆者

たけなつ

2019年よりフリーで活動しているWebライター。
広告会社でのコピーライターを経て、現在は幅広いジャンルのコラム記事などを執筆。
愛知・東京・北海道と各地を渡り歩き、19歳からの10年で7回引っ越しを繰り返す好奇心旺盛人。

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