賃貸の仲介手数料とは?消費税がかかる?上限や相場・値引き交渉についても解説

この記事では、賃貸の仲介手数料の内容や上限額、相場をご紹介します。また、仲介手数料を抑える方法や値引き交渉についてもわかりやすく解説します。
記事の目次
賃貸の仲介手数料って何?

賃貸住宅の契約をする際、不動産会社へ支払う仲介手数料とはどのような費用なのか解説します。
不動産会社に支払う「成功報酬」
賃貸の仲介手数料とは、不動産会社に支払う成功報酬のことです。
賃貸住宅を探す際、部屋探しに関する相談や、情報収集のために何度か不動産会社を訪れることになります。不動産会社では担当者が物件を紹介してくれたり、内見に同行してくれたりと、部屋探しのサポートをしてくれます。
このようなサポートを受けて、晴れて契約となった時に不動産会社へ支払うのが仲介手数料です。つまり、仲介手数料とは賃貸借契約が成立した際、不動産会社へ支払う成功報酬です。
賃貸の仲介手数料は誰が払う?
賃貸の仲介手数料は賃貸借契約が成立した際に支払うため、借主が支払うものと思われているのではないでしょうか。
しかし、仲介手数料は借主が払うものと決まっているわけではありません。宅地建物取引業法によれば、賃貸の仲介手数料は借主、貸主の双方から受け取れるものと定められています。
実際には、借主が全額支払う場合、貸主が全額支払う場合、借主と貸主が折半して支払う場合の3つのケースがあります。
支払いは成約後
賃貸の仲介手数料を支払うタイミングは、賃貸借契約の成約後です。なぜなら、仲介手数料は不動産会社への成功報酬になるからです。契約が成立しなければ、不動産会社へ仲介手数料を支払う必要はありません。
仲介手数料には上限がある?

賃貸の仲介手数料には、上限が決められています。上限の目安は、宅地建物取引業法により定められています。では、仲介手数料の目安はどれくらいになるのか見ていきましょう。
上限は家賃1カ月分+消費税
賃貸の仲介手数料は、宅地建物取引業法(第46条)によって、国土交通大臣の定める報酬の額(仲介手数料)を超えてはならないと定められています。
その額は、以下のとおりです。
借賃の1月分の1.1倍に相当する金額以内とする
つまり、仲介手数料は「1カ月分の家賃+消費税」が上限となります。
仲介手数料を借主と貸主が折半する場合、その額の上限は宅地建物取引業法により以下のように定められています。
借賃の1月分の0.55倍に相当する金額以内とする
仲介手数料を折半する場合、借主、貸主それぞれの負担は、「家賃0.5カ月分+消費税」を上限として、それぞれが負担します。
また、仲介手数料の負担をケースごとに見てみると、以下のようになります、
-
借主が全額負担するケース
借主の負担は家賃1カ月分を負担。貸主の負担はなし -
借主と貸主が折半するケース
借主と貸主がそれぞれ家賃0.5カ月分ずつを負担 -
貸主が全額負担するケース
貸主の負担は家賃1カ月分を負担。借主の負担はなし
(参照:宅地建物取引業法│e-Gov法令検索)
仲介手数料の税率は10%
仲介手数料には消費税がかかります。現在、消費税は通常の税率10%の他、軽減税率0.8%も導入されています。仲介手数料は一般飲食料品など日常生活に関するものではないため、軽減税率は対象外です。そのため、仲介手数料の消費税率は10%となります。
宅地建物取引業法により、賃貸の仲介手数料は上限が定められていますが、下限は定められていません。
仲介手数料の相場・目安は?

仲介手数料の相場はどれくらいになるのか目安を見ていきましょう。
相場は0.5カ月~1カ月分
賃貸の仲介手数料は、宅地建物取引業法で定められた上限の「1カ月分の家賃+消費税」をもとに、各不動産会社が物件ごとに金額を決めています。
一般的に仲介手数料の相場は、家賃0.5カ月分~1カ月分+消費税となります。
家賃別・仲介手数料の目安一覧
家賃が変わると仲介手数料の目安は以下のようになります。
家賃 | 仲介手数料+消費税 | |
---|---|---|
家賃0.5カ月分 | 家賃1カ月分 | |
5万円 | 2万7,500円 | 5万5,000円 |
7万円 | 3万8,500円 | 7万7,000円 |
10万円 | 5万5,000円 | 11万円 |
12万円 | 6万6,000円 | 13万2,000円 |
15万円 | 8万2,500円 | 16万5,000円 |
20万円 | 10万1,000円 | 20万2,000円 |
※消費税率10%で計算
仲介手数料は抑えられる?

仲介手数料は抑えられるのでしょうか。
賃貸住宅に入居する場合、仲介手数料や敷金、礼金がかかります。他にも引越し代やカーテン、照明器具の購入など何かと出費がかさみ、入居後の生活に支障をきたす場合があるかもしれません。
そんな時、物件によっては仲介手数料を抑えられる場合があります。仲介手数料を抑えられる物件は次の3つが考えられます。
- 不動産会社が貸主の物件
- サブリース契約の物件
- 貸主が全額負担している物件
では、それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。
不動産会社が貸主の物件
仲介手数料は、不動産会社が借主に対して貸主の物件を紹介し、契約が成立するまでサポートした結果、成功報酬として支払われるものです。
そのため、不動産会社が貸主の物件に対して、仲介手数料は発生しません。初期費用を抑えたいと考えている場合は、不動産会社が貸主の物件を探してみるとよいでしょう。
仲介手数料に相当する費用が不要になります。抑えられた分のお金を家具や家電の買い替え費用に回せます。
サブリース契約の物件
転貸や又貸しの意味があるサブリースとは、不動産会社が貸主から賃貸物件を一括で借り上げ、借主に転貸する仕組みのことです。不動産会社が貸主に代わって入居者の募集をし、賃貸物件の管理をおこないます。
この場合、貸主と不動産会社はマスターリース契約(賃貸借契約)を締結し、不動産会社と借主はサブリース契約(賃貸借契約)を締結する形になります。
貸主は一切介入することはなく、不動産会社が直接、借主と賃貸借契約を結ぶため、サブリース契約の物件では仲介手数料が発生しません。初期費用を抑えたい時は、サブリース契約の物件を選ぶのも一つの方法です。
貸主が全額負担している物件
前述のように、仲介手数料は借主と貸主の双方が折半して負担するケースもあれば、借主あるいは貸主のどちらかが全額負担するケースもあります。
例えば、空室が続き早く入居者を見つけたい物件の場合、貸主が仲介手数料を全額負担してくれるケースもあります。
貸主が全額負担してくれる物件では、借主は仲介手数料を支払う必要はないので、初期費用を抑えられます。仲介手数料を抑えたい時は、貸主が全額負担してくれる物件を選ぶとよいでしょう。
その他、不動産会社がキャンペーンを実施して、仲介手数料を半額もしくは無料で対応している場合もあります。賃貸住宅を探すタイミングでキャンペーンを実施していれば、初期費用を抑えられるでしょう。
また、物件によっては仲介手数料を無料としている場合があります。詳しくはのちほどご紹介します。
賃貸物件を探すタイミングによっては、仲介手数料の負担が必要な物件しか見つからない場合があります。このような時、仲介手数料の値引き交渉は可能なのでしょうか。
仲介手数料の値引き交渉は可能?

仲介手数料の値引き交渉は可能です。仲介手数料は宅地建物取引業法により、1カ月分の家賃+消費税10%が上限と定められています。
一方で、下限は定められていないため、値引き交渉の余地はあります。
ただし、仲介手数料は不動産会社にとっては収入源です。値引き交渉に応じれば利益が減ることになります。すぐに入居者が見つかるような物件であれば、交渉に応じてもらえない可能性もあります。
また、不動産会社も入居者を募集するうえで妥当な価格の仲介手数料を設定している場合がほとんどです。むやみに値引き交渉をしないほうが無難かもしれません。それよりも、不動産会社が貸主の物件や仲介手数料が無料になる物件を探してみるとよいでしょう。
勤務先によっては福利厚生で仲介手数料を割引しているところがあります。まずは福利厚生の内容を確認してみてはいかがでしょうか。
「仲介手数料無料」とはどういうこと?

賃貸物件のなかには、仲介手数料が無料になっているものもあります。
もともと不動産会社が貸主の物件や貸主が仲介手数料を全額負担している物件の場合、借主は仲介手数料が無料になります。不動産会社が仲介手数料無料のキャンペーンを実施している場合もあるでしょう。
また、あえて「仲介手数料無料」として入居者を募集していることがあります。例えば、駅から遠い、日当たりが悪いなど立地条件が良くない物件、あるいは築年数が古い物件です。
このような場合、入居希望者が見つからず空室が続いているため、あえて仲介手数料を無料にしていることが考えられます。
仲介手数料無料のメリット
仲介手数料が無料の物件を選べば、初期費用を抑えられます。場合によっては仲介手数料として家賃1カ月分、もしくは家賃半月分の費用がかかります。
仲介手数料の負担がなくなれば、引越し代や新居に必要な照明やカーテンを購入するなど、他に必要な費用を作れるでしょう。
仲介手数料無料のデメリット
仲介手数料が無料のデメリットは、入居者が集まらない何かしらの理由を抱えた物件であるかもしれない点です。立地条件や周辺環境がよくないケースが考えられます。
できれば最寄り駅からの距離や周辺環境、部屋の状況など、仲介手数料が無料になる理由を確認しておきましょう。
また、仲介手数料が無料になる代わりに、家賃が高く設定されている場合もあります。周辺にある条件のよく似た物件に比べて家賃が高い場合、長い目で見れば負担が大きくなるかもしれません。可能であれば、間取りや築年数など条件が近い周辺物件の家賃相場を調べておきましょう。
その他、家賃は相場のとおりでも、他の費用に上乗せされていることがあるかもしれません。例えば事務手数料、書類作成費用など、仲介手数料で賄われるような費用が上乗せされている場合があるので、不動産会社に確認することをおすすめします。
賃貸の仲介手数料についてのまとめ

仲介手数料とは?
賃貸の仲介手数料とは、賃貸借契約が成立した際、不動産会社へ支払う成功報酬のことです。借主と貸主が折半する場合もあれば、借主と貸主のいずれかが全額負担する場合もあります。
仲介手数料の上限は?
仲介手数料の上限は宅地建物取引業法により、国土交通省が定める金額を超えてはならないと定められています。その金額は「1カ月分の家賃+消費税」を上限となっていますが、借主と貸主が折半する場合は、それぞれが負担する上限は「家賃0.5カ月分+消費税」です。
仲介手数料の相場は?
賃貸の仲介手数料は、一般的に「家賃0.5カ月分~1カ月分+消費税」が相場となっています。また、設定されている仲介手数料は不動産会社や物件により異なります。
仲介手数料に消費税はかかる?
仲介手数料は消費税がかかり、その税率は10%です。現在、一般飲食料品や新聞など日常生活に関するものは軽減税率8%が採用されていますが、仲介手数料は対象外になります。
仲介手数料の値引き交渉は?
仲介手数料の値引き交渉は可能です。ただし、仲介手数料は不動産会社にとっては収入源となるため、妥当な金額を設定している場合が多く、むやみな値引き交渉は避けたほうが無難です。
初期費用を抑えるには、仲介手数料の他にも、フリーレント物件や敷金の返金が0円の物件を選ぶ方法があります。以下の特集もご覧ください。