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不動産会社の役割と種類は?管理会社と仲介会社の違いも解説

不動産会社とは?

不動産とは、土地やそれに定着する建物など簡単に場所を動かせないものを指し、不動産会社は土地・建物の取引・開発・賃貸・管理を主な業務とする会社のことをいいます。2020年度の国土交通省の「令和2年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果 」によると、不動産会社(宅地建物取引業者)の数は7年連続で増加しており、全体では12万7,000以上にのぼります。コンビニチェーン大手3社の合計店舗数が5万7,000店弱ですので、かなりの数の不動産会社があることがわかるでしょう。



不動産会社の種類とは?

不動産を扱う不動産会社ですが、その業務内容により「不動産売買」「不動産仲介」「不動産管理」「不動産賃貸」の4つに分類されることが多く、さらに取り扱う不動産の種類によっても分類することができます。ここでは賃貸と売買に大きくわけて、それぞれに関係する不動産会社についてご紹介しましょう。

賃貸物件を取り扱う不動産会社

まずは、賃貸物件を取り扱う不動産会社についてご紹介します。賃貸物件に関わる不動産会社は以下の2種類です。

不動産仲介会社

不動産仲介会社は、不動産を所有するオーナー(貸主)と入居希望者(借主)を仲介する会社です。空き物件の情報を広告して入居希望者を募り、賃貸物件を探している人のサポートをして契約するまでを担当します。

不動産管理会社

賃貸物件の不動産管理会社は不動産のオーナーに代わり、賃貸している物件の清掃・メンテナンスなどの管理をおこない、入居者からの隣人トラブルや設備不良などの問い合わせにも対応します。

不動産購入に関わる不動産会社

不動産を購入する際にも、不動産会社が関係してきます。主な不動産会社を5種類紹介します。

不動産開発会社(デベロッパー)

不動産開発会社(デベロッパー)は、土地の所有者として不動産開発を通じて街づくりや住まいづくりを計画的におこなう会社です。マンションや一戸建て、宅地の開発から、分譲や賃貸の管理までもおこないます。また、不動産開発会社土地活用や賃貸経営の相談窓口にもなります。

ハウスメーカー・工務店

ハウスメーカー・工務店は、建売住宅や注文住宅を建てる建設会社です。ハウスメーカーは独自のブランドを持って全国展開し、住宅展示場などで自社ブランドのモデルハウスを展示するような規模の大きなところが多く見られます。工務店は地域に密着しており、小回りが効き、設計の自由度が高い場合が多いでしょう。

不動産販売代理会社

不動産販売代理会社は、デベロッパーが開発・分譲したマンションや一戸建ての販売業務に特化した会社です。売主と代理契約を結び、とくに新築マンションの販売では、広告・宣伝などの販売活動から契約までを売主に代わっておこないます。

「不動産情報サイト アットホーム」で物件情報を見てみると、最後のほうに「取引態様」という欄を見つけることができるでしょう。不動産売買にかかる「取引態様」には、「売主」「代理」「媒介(仲介)」があります。「代理」は売主から代理権を与えられている代理会社がおこなうため、すべて売主と直接取引をしたのと同じことになります。通常、販売代理会社は売主から販売手数料を受け取り、買主からは仲介手数料をとらないことが多いでしょう。

不動産仲介会社

不動産売買にかかる取引態様のうち、「媒介(仲介)」にあたる仕事をするのが不動産仲介会社です。多くの不動産物件は、不動産仲介会社を介して取引されています。不動産取引には専門的な知識が必要となるため、個人が不動産を売買する際には、プロである不動産仲介会社が間に入ることが一般的です。不動産仲介会社は多くの人に物件を紹介するために、広く物件広告を掲載します。そのため、不動産ポータルサイトの「取引態様」のなかで頻繁に目にするのが「媒介(仲介)」です。

売買の仲介の仕事内容は、「売り物件を仕入れる仕事」と「物件を販売する仕事」の2つに大きく分けることができます。「売り物件を仕入れる仕事」は売主を探すことから始まり、売却希望物件の査定をおこなって売主と媒介契約を締結。「物件を販売する仕事」ではチラシやポータルサイトなどで購入希望者を探し、希望者が入れば物件を選定して案内します。売買の交渉、住宅ローンの相談や紹介をおこない、重要事項説明をした後に契約を締結して物件を引き渡すという流れです。

不動産管理会社

売買物件の不動産管理会社として、わかりやすいのが分譲マンションの管理です。管理会社は分譲マンションの管理組合と契約し、当該マンションに管理人を置きます。管理人は共用部分の清掃や庭木の水やり、共用部分のメンテナンスなどをおこない、状況やトラブルを管理会社に報告します。そして、管理会社は管理人からの業務連絡を受け、必要に応じて対応を指示します。

仲介会社と管理会社の違いって?

ここからは賃貸物件を検討するうえで関係する、仲介会社と管理会社の違いを詳しく見ていきましょう。一般的に、物件探しから入居するまでの間に関わるのが「仲介会社」、入居して退居するまでの間、長く関わるのが「管理会社」です。

仲介会社の役割とは?

仲介会社は入居希望者とオーナーとの間に立ち、契約に至るまでのサポートや業務をおこないます
仲介会社は入居希望者とオーナーとの間に立ち、契約に至るまでのサポートや業務をおこないます

仲介会社は、貸し手である物件のオーナーと、物件の入居希望者である私たちを仲介してくれます。以下が、その具体的な仕事内容です。

仲介会社の業務内容

仲介会社はオーナーから依頼を受けた物件の入居者を募集し、入居者を決定して賃貸借契約を結ぶまでの一連の業務をおこないます。レインズやATBBといった不動産会社専用の物件情報共有システムに空室・空き家の知らせが入ったら、物件情報を不動産ポータルサイトなどで広告。入居を検討する人が現れたら、部屋の内見に案内します。

また、物件探しをしている人から住みたい条件をヒアリングし、気に入りそうな物件を選んで紹介してくれるのも仲介会社です。入居申込書を物件のオーナーに送り、入居審査が通ったら物件の重要事項を説明して賃貸借契約書を作成・締結。入居日に鍵を引き渡して一連の業務を終えます。

仲介会社の売り上げ

仲介とは、名前のとおり物件のオーナーと入居希望者を仲介する仕事です。仲介手数料は家賃の1.1カ月分以内(税込)と決められており、オーナーと入居希望者の双方から半分ずつもらうのが通例です。これは、オーナーに対しては信用できる入居者を探して紹介する対価。そして、入居者に対しては希望の条件をヒアリングして条件に合った部屋をピックアップしたり、部屋がスムーズに内見できるよう下準備をして内見に連れておこなったり、入居審査が滞りなく進むようにアドバイスしたりするサービスへの対価です。

管理会社の役割とは?

管理会社はオーナーから管理を任された物件の維持・管理に努め、入居者の住みよい暮らしをサポートします。

管理会社の業務内容

管理会社の仕事は大きく分けて建物の管理と入居者の管理の2つです。建物の管理では、ゴミ捨て場や廊下など物件の共用部分の清掃、エントランスや廊下の電球の交換などの日常的な管理で物件を美しく保ちます。入居者が退去した際は、部屋のクリーニングや修繕リフォームなどを実施。日常的な清掃以外に、建物の老朽化対策なども講じます。

入居者管理では、家賃の集金代行や滞納家賃の督促などをおこないます。また、入居者間の隣人トラブルやクレームにも対応。水漏れやクーラーの故障など、部屋の設備不良などのトラブルにも対応します。

管理会社の売り上げ

管理会社の費用は物件オーナーの家賃収入から支払われ、どこまで管理してもらうかによりますが、月々の管理費の相場は家賃の5%程度といわれています。

仲介手数料・管理費がない物件がある?

賃貸物件を探していると、仲介手数料がかからなかったり、管理費(共益費)が0円だったりする物件を見ることがあるでしょう。なぜ不要なのか、考えられるケースは以下のとおりです。

仲介手数料なしのケース

仲介手数料がない物件は、不動産会社自身がオーナーであることが考えられます。不動産会社が保有している自社物件なので、手数料不要で案内してもらえるのです。ほかにも、物件オーナーが仲介手数料の上限となる家賃1.1カ月分(税込)を支払っている場合などは、借主側の手数料が無料になります。

管理費なしのケース

管理費(共益費)不要の物件は、家賃の中に管理費が組み込まれていることが多く見られます。一見すると、管理費なしのほうがお得に感じるかもしれません。しかし、初期費用にかかる敷金/保証金や礼金、入居後契約更新をおこなう際に支払うことになる更新料は「家賃の○カ月分」となっていることが多いので、家賃と管理費が分かれているほうがお得という場合もあります。

不動産会社へ問い合わせをするコツとは?

不動産会社の種類や、仲介会社と管理会社の違いについてご説明しました。ここからは引越しなどで物件を探す場合にフォーカスを当てて、実際に不動産会社に問い合わせをする際のコツをご紹介します。「不動産情報サイト アットホーム」からは、問い合わせフォームや無料電話で不動産会社に直接メールを送れたり、通話ができますので試してみてください。

メールで問い合わせるコツ

問い合わせフォーム(メール)で連絡する際は、問い合わせ事項を明確にしておきましょう。気になる物件が決まっているときは、以下の事項をメールに記載しておくとスムーズです。

  • 内見希望日時
  • 引越し予定時期
  • 入居人数
  • 質問したい項目(たとえばペット相談可となっている場合は、動物の種類や頭数の制限など)

さらに、物件の希望条件を記載しておくと内見したい物件と似た条件の物件を紹介してもらえることが多いので、ぜひ記載しておきましょう。希望条件としては、以下のような情報の記載がおすすめです。

  • 住みたいエリア(〇〇駅から徒歩〇分圏内、〇〇沿線の駅近く、〇〇小学校エリアなど)
    ※エリアが決まっていない場合は、通勤・通学する会社や学校の場所を記載して、「通勤・通学時間が〇分以内の場所希望」と指定しておきましょう。
  • 予算(家賃や販売価格)
  • 間取り(広めの1LDK、2K、風呂・トイレセパレート、南向きベランダなど)
  • 周辺の環境(コンビニ・スーパーが近い、自然に溢れている、川沿いなど)
  • 部屋の設備(エアコンあり、室内洗濯機設置可、二口コンロなど)
  • 部屋の場所(角部屋、最上階、2階以上など)

電話で問い合わせるコツ

不動産ポータルサイトのフォーム(メール)から問い合わせると、閑散期であれば当日または翌日には返信があることが多いでしょう。しかし、繁忙期であれば、少し時間がかかる場合があります。たとえば内見に行ける時間が限られていて、急いで連絡したいときなどは電話のほうが早いかもしれません。電話であれば細かいニュアンスが伝わりやすく、質問もしやすいでしょう。

電話で問い合わせるときも、フォーム(メール)で問い合わせる時と同じように事前準備をしておきます。具体的に検討している物件がある場合には、どの物件について問い合わせしたいのか、はっきりと分かる資料を手元に用意しておくとスムーズです。

また、内見を希望する日時も考えてリストアップしておきましょう。問い合わせしたタイミングによっては、検討している物件が成約済みになっている場合もあります。そのため、ほかの物件も紹介してもらえるように、住みたい部屋の希望条件(住みたいエリア・予算・間取りなど)も伝えられるように準備しておくのがおすすめです。

まとめ

日本全国に多くある不動産会社。賃貸や売買、仲介や管理、ハウスメーカーにデベロッパーなど、業務により分類されることをご説明しました。日々の暮らしには、さまざまな不動産会社が関わっています。たとえば家探しでも、利用する不動産会社や担当者によって、巡り合える物件は変わってくるでしょう。
理想の住まい探しのため、本記事の内容を参考にして、不動産会社の種類や役割などを覚えておきましょう。

執筆者

小西尋子

京都ライター事務所

京都市内を拠点にフリーランスの編集ライターとして活動。大学卒業後、出版・広告業界に20年以上携わる。間取りを見ながら引っ越しを妄想するのが趣味。レトロ物件好きで、取り壊しのために2度の立ち退き経験あり。宅建士の資格取得に向けて勉強中。

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初めての部屋探しでは、不動産会社に行くことはハードルが高いと感じることもあるでしょう。「分からないことばかりで大丈夫かな…」と不安を覚えるものですよね。基本的には、不動産会社のスタッフが丁寧に教えてくれるので、分からない状態で行っても大丈夫です。それでも、まったく何も分からない状態よりは、ちょっとした知識があった方が安心。予備知識ゼロで訪問するよりも、ポイントを押さえておくとスムーズに話が進むこともあります。
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