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【完全ガイド】単身赴任とは?期間や費用、諸手当や理由についてわかりやすく解説

【完全ガイド】単身赴任とは?期間や費用、諸手当や理由についてわかりやすく解説
全国的に支店や営業所を展開する企業に勤務している場合、例えば部署異動や昇進にともなって、今の住まいからは離れた地域の拠点に配属されるケースも珍しくありません。
そうした際に、一人暮らしであれば自分だけで引越しをすることになります。ですが同居している家族がいると、全員で転居しようと思っても、そう簡単にはいかない事情が出てくることも少なくないでしょう。このような場合に、新たなライフスタイルの一つとして考えられるのが、「単身赴任」です。
本記事では、もし単身赴任になった場合に、より快適な新生活に向けて知っておきたい基礎知識をご紹介していきます。

単身赴任とは?

単身赴任とは、会社の配属が変わって遠方の土地に勤務しなければならない場合に、同居する家族と離れて単身で就業先の近くに住むことを指します。例えば元々の勤務地が東京で自宅も同じ都内にあったとして、近隣の関東圏内で就業先が変わるなら、転居しなくても通勤できる可能性はあるでしょう。ですがそれが仮に、東京から北海道に異動となったとしたら、道内に住居を移さないと通勤できなくなってしまいます。このように大きく居住地が変わることになった際に、家族の生活を考慮するうえで、一つの選択肢となるのが単身赴任です。

転勤・出向・異動の意味もチェックしよう

転勤・出向・異動とは?
単身赴任と同じように、配属先が変わるといった意味を含む、転勤・出向・異動などの言葉があります。似たような場面で使われる混乱しやすいワードですが、厳密にいうとそれぞれで定義に違いがあるので、簡単に説明していきます。

  • 転勤
    単身赴任と同様に、就業先の変更をともなう配置転換を「転勤」といいます。会社の人事によって一人暮らしのまま居住地を変えたり、家族ごと引越しをしたりする場合が転勤に該当します。
  • 出向
    今までと同じ会社と雇用契約を結んだまま、別の企業に就業先が変わることを「出向」といいます。グループ会社や子会社など、関連企業で勤務するパターンが一般的です。
  • 異動
    ここまでの転勤や出向などをはじめ、昇格や部署の転任といった、人事の動向全般をまとめて「異動」といいます。単身赴任も、異動の1種に該当します。

単身赴任を選択する理由・目的は?

単身赴任を選択する理由・目的は?

では実際に単身赴任を選ぶケースとして、具体的にどのような例があるのか、以下から見ていきましょう。

子どもの教育環境

もし転勤で家族ごと引越すとなれば、お子さんがいる場合、通っている幼稚園や学校なども変わってしまいます。転園・転校になってしまうと、お友だちと離ればなれになるので、寂しい思いをさせてしまう可能性も。せっかく仲良くなった友達に、あまり会えなくなってしまうのはかわいそうという親心から、単身赴任を選ぶケースも見られます。また現在の居住地を学区や教育環境にこだわって選択していた場合、転居によって育児の方針に影響してしまうことも考えられるので、単身赴任にするパターンもあります。

パートナーの仕事環境

特に最近は共働きの家庭もかなり増えてきており、どちらかが転勤となった際に、相手の仕事上の関係から単身赴任を選ぶケースも。会社によっては、パートナーの転勤に合わせて部署異動を検討してもらえることもあるかもしれませんが、なかなかうまくいかない場合も少なくないでしょう。もちろん相手の転勤に応じて、転職をするのも一つの方法です。ですが「同じ職場で頑張りたい」「会社が変わると給料も下がる可能性がある」「部署の責任者になっていて退職も異動も厳しい」など、さまざまな事情から職を変えるのは難しいことも。そこでパートナーの仕事環境を考慮し、単身赴任をするパターンも見られます。

持ち家の管理

購入した持ち家があると、「せっかくのマイホームを手放したくない」などの理由から、家族に住んでもらって自分は単身赴任にするケースもあります。もちろん家族ごと引越しをして、持ち家は売却したり賃貸にしたりする方法もあるでしょう。ですが「一生モノの資産として残しておきたい」「他人に住まれるのには抵抗がある」といった理由から、持ち家を維持するためにも単身赴任を選ぶことも考えられます。

親の看病・介護

例えば看病や介護を必要とする親御さんと同居していたり、もしくは近隣に住んでいたりする場合にも、単身赴任を選択するケースが見られます。自宅近くにかかりつけの病院や施設があることも多く、住環境を大きく変えるのは難しいことも考えられるでしょう。親御さんの看病や介護をしていると、転居によって何かと不便が出てきてしまう可能性が高いため、家族の生活を考慮して単身赴任にする場合もあります。

単身赴任のメリット・デメリット

単身赴任のメリット・デメリット

今までに見てきたように、いろいろな背景から単身赴任を選ばざるをえない事情もあるでしょう。ただし家族と離れるからといって、必ずしもネガティブなことばかりではありません。単身赴任よって、家族にいい影響を与えることもあり、前向きに考えられる要素はいくつもあります。もちろん一方で、家族で一緒にいられないことによるデメリットも。実際に単身赴任を経験したことのある方々にアンケートを取り、メリット・デメリットに関するコメントをいただいたので、以下から見ていきましょう。

メリット

    みんなの声
  • お互いに気が楽!そして、自由なのがうれしいです。(30代/女性)
  • 普段と異なる環境になるので家族の大切さがわかり、マンネリ打破になる。(40代/女性)
  • 家族の学校、職場を変えなくてもよい。(60代/男性)

デメリット

    みんなの声
  • 生活費が二重になる。留守中の家族が散財していないか不安になる。(30代/男性)
  • すべての家事と育児を1人でやらなければいけないこと。(30代/女性)
  • 休みの日は一言も発しないことがほとんど。広い空間でぽつんといるのがたまらなく寂しい。(40代/男性)

上記のように、単身赴任は家族のライフスタイルが大きく変わるもので、いい点も悪い点もさまざまです。なお単身赴任のメリット・デメリットについて、詳しくは下記記事でご紹介しているので参考にしてください。

単身赴任の期間はどれくらい?

厚生労働省が公開している「企業における転勤の実態に関するヒアリング調査」(2016年)の資料によれば、単身赴任期間は「3年以内」の転勤者が7割を占めています。次に多かった「3年~5年以内」の単身赴任期間が2割で、「5年を超える」パターンは1割に留まりました。会社による違いもありますが、単身赴任期間の目安として、だいたいの場合は3年が基準になるようです。

ちなみに同様の資料から、単身赴任者の世代としては40代・50代の割合が高く、役職に就いているケースが多く見られたとのこと。逆に若年層の転勤者だと家族で帯同する傾向にあり、お子さんの年齢も低いとの結果も出ています。

単身赴任の生活費はいくらかかる?

単身赴任の生活費はいくらかかる?

基本的に単身赴任は、通常の一人暮らしと大差はなく、生活費も同じように発生します。ただし引越し費用や家賃など、会社に負担してもらえるケースも。全額まではいかなくても、格安で社員寮を借りられたり別途手当が出たり、会社による補助が出る場合もあります。もちろん会社によって異なるので、事前にしっかり確認しましょう。

また会社側から住宅面の支援がある想定だと、単身赴任で負担になりやすい生活費としては、食費や光熱費、その他雑費と考えられます。総務省が公開している「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」の、単身世帯の生活費(住居を除く)は以下のとおりです。下記の金額に家賃を足すことで、月にかかる生活費の目安がわかります。

【単身世帯1カ月あたりの生活費】

項目 単位:円
食料 38,410円
光熱・水道 11,383円
家具・家事用品 5,687円
被服及び履物 4,606円
保健医療 7,625円
交通・通信 18,856円
教育 7円
教養娯楽 17,106円
その他 29,251円
合計 132,931円

参考:総務省「家計調査報告(家計収支編)」2021年(令和3年)単身世帯の生活費の概要データ
※家具家事用品…家具・家事に必要な商品およびサービス
※教育…授業料や参考書など
※教養娯楽…書籍やDVD・CD、旅行宿泊費や趣味の習い事の月謝など
※その他…美容室代、たばこ代など

上記の表で見てみると、単身赴任では住居費と別に、だいたい13万円前後かかると予想できます。特に比率が高くなっているのは、やはり食費です。できるだけ出費を抑えたい時には、食事から気を付けるのがベターでしょう。一人暮らしだからといって外食が増えると、当然ながらコストはかかりやすくなります。なるべく自炊や作り置きをしたり、安めのお弁当を利用したりなど、工夫するのがおすすめです。

また食費の次にかかりやすいのが、娯楽費や細かな雑費です。例えばコンビニに寄る回数が多いなど、小さな出費が積もり積もってまとまった金額になってしまう……といったパターンは少なくありません。節約したい時には、まず雑費から見直してみるのも一つの方法です。

単身赴任をすると、いわゆる「二重生活」になり、その分家計の負担になりやすい一面があります。特に会社からの手当が十分に支給されない場合、コストはさらに余分にかかるので注意しましょう。

単身世帯でかかる生活費について、詳しくは下記記事にまとめていますので参考にしてください。

単身赴任の諸手当は?

単身赴任の諸手当は?

会社によって名称や金額などは異なりますが、単身赴任にともなって支給される、一般的な手当についてご紹介していきます。

単身赴任手当

単身赴任によるさまざまな負担増を考慮し、会社からの補助として単身赴任手当が付く場合があります。前述にもあるように、単身赴任では二重生活から日常的なコストも増えるので、補填する意味で別途手当が支給されるパターンが見られます。

転勤支援金(単身赴任準備金)

家具の購入費や荷物の運搬代など、会社から引越しに向けた費用が補助されるケースも。一時金として事前に渡してもらえたり、実費を精算してもらえたりなど、支給される形態は会社によってさまざまです。

家賃補助(住宅手当)

例えば住宅手当として給与に上乗せされたり、特別価格の家賃で賃貸物件に住めたり、こちらも補助される形態は会社ごとに異なります。場合によっては無料の社員寮が用意されるなど、水道光熱費だけで住めるケースもあります。

帰省旅費手当

遠方の自宅に帰省する際の新幹線代や飛行機代など、交通費を補助してもらえる場合もあります。

例えば転勤支援金や帰省旅費手当など、支給額が一律ではない手当の場合、会社によっては申請手続きなどが必要なケースもあります。しっかりと就業規則といった社内ルールを確認したうえで、適用される制度があれば活用していきましょう。

単身赴任は住民票を移す?移さなくてもいい?

単身赴任は住民票を移す?移さなくてもいい?

国が定める「住民基本台帳法」によると、原則は引越しをしたら住民票を移さなくてはなりません。ただし単身赴任のように居住地が複数ある場合、正当な理由があるとして、住民票を元のままにしておいてもよいとされています。ちなみに住民票を移さなくてもいい例として、次のようなケースがあります。

  • 元の本拠地に戻る予定があり、通学や転勤などで一時的な居住地とする場合
  • 生活の拠点が変わらない場合(定期的に帰省するなど)

とはいえ住民票を移しておかないと、違反ではなくても不便に感じるデメリットも少なくありません。例えば本人確認書類の内容が旧住所になってしまう、運転免許証の更新や印鑑証明書・所得証明書などの発行が新住所でできないなど……。特に単身赴任期間が長くなる際には注意しましょう。また単身赴任で必要な諸手続きについては、下記記事でまとめていますので参考にしてください。

単身赴任までに準備すること

単身赴任までに準備すること

単身赴任までに準備することを、下記に簡単にまとめました。

部屋を探す

借り上げ社宅や寮など、あらかじめ住む場所が決まっていれば問題ありませんが、自分で物件を探さなければならない場合もあります。特に年度末は引越しシーズンなので、動き出すのが遅いと、なかなかいい物件が見つからない・引越し会社の空きがない、といった問題が出てくる可能性もあります。荷物の移動など引越しの準備が必要なことも考えると、なるべく早めに部屋探しをするのが無難です。

引越し準備

引越しまでの荷造りはもちろん、水道・ガス・電気などのライフラインの開通手続きもしておく必要があります。場合によっては、会社から指定がされる可能性もありますが、そうでない時にはガスや電気の契約先も自分で探さなければなりません。特に費用面が気になる際には、比較検討しながら、どの会社と契約するか決めていきましょう。

新居に必要なモノを揃える

大まかにではありますが、新居に最低限用意しておきたい家具・家電・日用品など、以下の表にまとめました。洗剤やティッシュなどの消耗品なら後日準備しても問題ありませんが、住み始めた時にないと意外に不便に感じることも多いので、事前に準備しておくのがベストでしょう。

家具 家電 日用品
ベッド
(寝具)
冷蔵庫 トイレットペーパー・ティッシュ類
テーブル 洗濯機 ゴミ袋
椅子 電子レンジ バス・トイレ・洗面用品
カーテン 電子ケトル 調理器具・食器類
収納 炊飯器 ハンガー
ラグ ドライヤー タオル類
    洗剤類
    物干し竿・選択ばさみ
    掃除グッズ

例えばベッドなどの大物類は高額になりやすく、一時的な単身赴任のために買うのは気が引けると感じる方もいるかもしれません。そこで単身赴任で家具を新調するのはお金がもったいない……という方に向けて、「不動産情報サイト アットホーム」では「家具が付いている賃貸物件特集」も設けていますので、ぜひ検討してみてくださいね。

単身赴任で準備することや必要なアイテムについて、詳しくは下記記事にまとめていますので参考にしてください。

まとめ

いかがでしたか?
単身赴任は、家族の暮らしを尊重するための一つの選択肢であり、仕事とプライベートを大切にした働き方ともいえるものです。とはいえコスト面などの負担が増えやすい一面もあるので、きちんと家族間で納得したうえで、単身赴任というスタイルを選ぶ必要があります。お互いにとっていい結果になるように、しっかりと相談して決めていきましょう。

また、単身赴任がスタートする際には、引越しも含めてさまざまな準備も発生します。場合によっては、住まい探しから始めなければならないケースも。「不動産情報サイト アットホーム」では、勤務先の企業・工場から住まいを探すこともできます。単身赴任が決まった際には、ぜひ「アットホーム」でお部屋を検索してみてくださいね。

執筆者

たけなつ

2019年よりフリーで活動しているWebライター。
広告会社でのコピーライターを経て、現在は幅広いジャンルのコラム記事などを執筆。
愛知・東京・北海道と各地を渡り歩き、19歳からの10年で7回引越しを繰り返す好奇心旺盛人。

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