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退去連絡はいつまでにどう伝える?解約までの流れや損をしないための注意点

退去連絡はいつまでにどう伝える?解約までの流れや損をしないための注意点
賃貸物件から退去するときに必要な退去手続きの連絡は、「いつ」「誰」にすればよいのかご存じでしょうか?入居に関することについて調べる方は多いかもしれませんが、一方で退去方法については、意外と調べない方が多くいるのが現状です。

賃貸物件から退去するときにはさまざまな手続きが必要であり、退去連絡をしたからといってすぐに退去できるわけではありません。本記事では、賃貸物件から退去するときの手続きや、退去するときにしなければいけない事などについて解説します。賃貸物件から退去することを考えている方は、記事を参考に退去手続きを進めてみてください。

退去連絡は、いつまでに誰に伝える?

退去連絡は、退去日から1カ月前までに、不動産管理会社もしくは大家さんに伝えなければなりません。期間については、賃貸借契約書に記載されている「解約予告期間」を確認しましょう。解約予告期間は基本的に1カ月ですが、賃貸物件によっては期間が異なるケースもあります。本章では、退去連絡をするための確認事項などについて解説します。

賃貸借契約書で解約予告期間を確認する

賃貸物件から退去することを決めたら、まずは賃貸借契約書の解約予告期間を確認しましょう。解約予告期間とは、借りている賃貸物件から退去するときに一定期間前に解約する意思を示さないといけない期間です。
解約予告期間は、退去日から1カ月前とされるケースがほとんどです。ただし、賃貸物件によって解約予告期間は異なるため、退去するときには必ず賃貸借契約書の解約予告期間を確認しましょう。

また、解約予告期間を調べるときには、あわせて「解約通知書(退去届)」が必要かも確認する必要があります。解約通知書とは、賃貸物件を解約するときに提出する書類です。解約通知書は、借りている人が不動産管理会社か大家さん(貸主)へ提出します。提出期限は、解約予告期間と同じ期間に設定されます。

大家さんや不動産会社に退去することを伝える

解約予告期間を確認したら、大家さんや不動産管理会社へ退去することを連絡しましょう。借りている物件から退去することを伝える際は、必ず電話で連絡してください。メールで解約通知をする方法もありますが、メールは届いても気付かなかったり、メールが届いていなかったりするケースもあります。

連絡手段は電話がベター

賃貸物件から退去するときには、大家さんか不動産管理会社に電話で連絡しましょう。メールで解約予告をして、もしも相手方に届いていなかったら大変なことになります。解約予告期間までに解約予告をしなかった場合、1カ月程度の家賃相当分のお金を大家さんに支払わなければ解除できません。

賃貸借契約を解除しなければ家賃が発生してしまうため、損をしてしまいます。無駄な家賃を払わなくてもいいように、退去することは電話で直接伝えるようにしましょう。

「解約通知書」がない場合、送付してもらう

もし解約通知書を紛失してしまっているときには、「解除通知書を無くしたので送ってください」と伝えましょう。解除通知書は決まった書式を利用しなければならず、自分で作成した書類だと受け付けてくれないケースもあります。

なお、解約通知書を請求するときには、時間に余裕をもって連絡しましょう。解約予告期間ギリギリに解約通知書を請求すると、返送前に解約予告期間を切ってしまうケースがあります。解約通知書を請求する場合には、解約予告期間に加えて2週間ほどの余裕を持つ必要があります。

退去連絡が遅れたらどうなる?

退去連絡が遅れた場合、遅れた日数分の家賃がかかります。たとえば、解約予告期間が1カ月だったとして、退去連絡をするのが10日遅れたとしましょう。この場合は、遅れた10日間について賃貸借契約を解除できないため、10日分の家賃を払わなければいけません。

ただし、この場合は10日間の解除を待たなくても、家賃10日分を一括して大家さんに支払えば即日解除することが可能です。

退去連絡から引越しまでの流れ

退去連絡について、いつまでにおこなわなければならないかをご説明しました。ここからは、退去連絡から引越しまでの流れについて解説していきます。

退去連絡や引越しをするときには、伝えなければいけないことなどが多くあります。退去する際になって慌てたり対応に漏れが生じたりしないよう、参考にしてください。

退去連絡をする

退去連絡をするときには退去日を伝えるだけでなく、そのほかの必要事項も大家さんや不動産管理会社に伝える必要があります。具体的には、次のような項目を伝えます。

  • 契約者名
  • 解約する物件の住所と部屋番号
  • 連絡先
  • 退去希望日

退去する日がはっきりしていない場合、おおよその退去日を伝えておきましょう。そして、退去日が確定したら改めて連絡するとよいでしょう。ただし、確定した退去日を伝えなければ、退去連絡にはなりません。解約予告期間までに、確定した退去日の伝え忘れがないようスケジュール管理しておきましょう。

解約通知書(退去届)を送る

賃貸物件から退去するときに解約通知書(退去届)を提出しなければいけない物件であれば、解約通知を大家さんまたは不動産管理会社に提出します。解約通知書は記載日を退去連絡日にするケースと、解約通知書が大家さんか不動産管理会社に到着した日を退去連絡日にするケースがあります。
もし解約通知書の到着日を退去連絡日とされてしまうと、解約予告期間ギリギリに送付した場合に期間を超えてしまうかもしれません。そのため、解約通知書を提出するときには、余裕をもって送付しましょう。

解約通知書の提出後にキャンセルや延期はできる?

解約通知書を提出した後のキャンセルや延期は、できないと思っておいたほうがよいでしょう。解約通知書が大家さんや不動産管理会社に届いてしまうと、解約通知書に記載されている退去日を基準にして、新しい入居者を探し始めてしまいます。新しい入居者がすぐに決まってしまったり、新規入居者募集のためのリフォーム工事を手配したりすると、キャンセルや延期は認められません。
こうした背景から、解約通知書を提出した後のキャンセルなどは、基本的に受け付けてくれないのです。

引越しする

解約予告期間までに退去連絡したら、引越しをします。引越しといっても、やらなければならないことは山ほどあります。引越しをするときの流れは、次のとおりです。

  • 引越し当日までにやることをすべて終わらせる
  • 退去の立ち合いをする
  • 鍵を返却する
  • 敷金を精算する

ここからは、引越しの流れについて詳しく見ていきましょう。

引越し当日までにやることをすべて終わらせる

引越し当日までにやることは多く、次の項目をすべて終わらせておかなければいけません。

  • ライフライン(水道・電気・ガス)の解約もしくは転居手続き
  • 電話やインターネット回線の解約もしくは転居手続き
  • 郵便物の転送届の提出
  • 火災保険の解約手続き
  • 駐輪場・駐車場の解約手続き
  • 住民票の移動手続き(転出届・転入届・転居届)
  • 室内の掃除・原状回復
  • 不用品・粗大ごみの回収手配

引越し当日までにやるべきことは意外と多いため、やらなければいけないことをリスト化しておくとよいでしょう。なかには、すぐに手配できないものも多くあります。リストにスケジュールを書き加えておくと、スムーズに引越し作業が進められるでしょう。

また、引越し作業が完了した直後には、必ず清掃しておきましょう。なぜなら、引越し作業後の室内の状態によって、敷金精算額が変わってしまうケースもあるからです。取れそうな汚れは取り、室内をキレイに掃除しておくことが重要です。

退去の立ち会いをする

引越しが完了して室内の物がなくなったら、大家さんもしくは不動産管理会社と退去の立ち会いをします。立ち会う理由は、室内の物をすべて撤去したかの確認と、室内のキズ・汚れの状態確認です。室内を確認した結果から、敷金精算金額を算出します。

鍵を返却する

立ち会いが完了したら、立ち会い中に賃貸物件の鍵を返却します。また、鍵を返却する際に大家さんへ返さなければならない物があれば渡しておきましょう。

敷金精算をする

立ち会いが完了した後日に、精算された敷金が戻ってきます。ただし、敷金が戻ってこないケースもあるため注意しましょう。敷金が戻ってこないケースとして考えられるのは、次のような場合です。

  • 敷金ゼロの物件
  • 敷金よりも原状回復費用が高くなってしまった

上記のような際には敷金は戻らず、原状回復費用を請求されます。

なお、原状回復とは借主が賃貸物件から退去するときに、部屋を借りたときの状態に戻すことです。実際に修復工事をするのは大家さんで、借主は費用だけ払います。

退去時に損をしないための注意点

退去の立ち会いをする前に「原状回復にかかるガイドライン」をしっかりと読んでおきましょう
退去の立ち会いをする前に「原状回復にかかるガイドライン」をしっかりと読んでおきましょう

賃貸物件から退去するときには、損をしないための注意点を理解しておかないと、無駄なお金を使ってしまう可能性があります。具体的に理解しておくべき注意点は、次のとおりです。

  • 二重家賃を防ぐ
  • 正しく原状回復し退去費用を抑える

新居に引越しする際、新生活において新しい家具・家電に買い替えたいと考える方もいらっしゃると思います。ここからは、退去時に損をしないための注意点について詳しく解説します。

二重家賃を防ぐ

退去日によっては退去する賃貸物件の家賃支払いが長くなり、移転先の賃貸物件の家賃発生期間と被ってしまうケースがあります。

例えば、以下の条件で賃貸物件から退去したとしましょう。

  • 家賃9万円
  • 退去連絡日3月10日
  • 新居の賃貸契約日4月1日
  • 旧居の解約日4月10日
二重家賃を防ぐ

このようなケースだと、新居の賃貸契約日4月1日から解約日4月10日までの10日間、新旧の家賃が被ります。そして、家賃9万円だと仮定すると、4月分の賃料として次の計算式の家賃がかかります。

9万円÷30日(4月総日数)×10日(解約日までの日数)= 3万円

つまり、退去する賃貸物件の4月分家賃は3万円ということです。

なお、通常は日割りで解約日までの家賃を計算しますが、月割りや半月割りで計算するケースもあります。月割りとは月で精算し、半月割りとは15日を基準にして精算する方法です。月割りや半月割りは、1日違いで家賃精算額が大幅アップしてしまうケースもあるため注意しましょう。

正しく原状回復し、退去費用を抑える

賃貸物件から退去するときには、原状回復義務があるキズ・汚れなどに修繕費用を負担する必要があります。原状回復費用には借主負担となるキズ・汚れと大家さん負担になるキズ・汚れに分けられます。つまり、大家さん負担のキズ・汚れまで、借主が原状回復費用を払わなくてもよいということです。
ここからは、借主が負担するキズ・汚れ、大家さんが負担するキズ・汚れについて解説します。

借主が負担するケース

借主が負担すべき主なキズ・汚れは、次のとおりです。

  • ペットによるキズや汚れ
  • タバコのヤニ汚れやにおい
  • 引越し作業時についたキズや汚れ
  • メンテンナンスを怠ったことによる汚れ
  • ネジ穴や釘穴
  • 水漏れや結露の放置による床や壁の腐食など

キズや汚れによっては、借主がつけたキズ・汚れか判断がつかないケースもあります。そうようなことにならないよう、入居時に写真や動画などで入居するときの状態を撮影して残しておくとよいでしょう。

貸主が負担するケース

大家さんが負担すべき主なキズ・汚れは、次のとおりです。

  • カレンダーやポスターの跡
  • 画鋲やピンの穴
  • 冷蔵庫やテレビ裏の電気ヤケ
  • 経年劣化によるクロスの変色など

普通の生活をしていて、ついてしまうようなキズ・汚れは大家さんが費用負担します。ただし、キズ・汚れのついた理由、度合いによっては借主負担になるケースもあるため注意してください。原状回復については別の記事で詳しく解説していますので、詳しく知りたい方は下記を参照ください。

退去連絡する際のおさらい

退去連絡するときには、理解しておかなければいけないことが多くあります。ここからは退去連絡する際のおさらいとして、退去連絡について理解しておくべき内容を再度ご紹介します。

退去連絡はいつまでにする?

退去連絡は、解約予定日からみて原則として1カ月以上間を空けて連絡しなければいけません。
ただし、退去連絡の期限は賃貸物件によって異なります。たとえば賃貸借契約書に2カ月以上間を空けなければいけないという記載があれば、その契約書の記載内容に従う必要があります。

退去することを誰に言えばいい?

退去することは不動産管理会社へ伝えましょう。もし不動産管理会社が管理していない賃貸物件の場合は、大家さんに直接伝えます。

退去の取り消しは可能?

退去の取り消しはできません。退去日をしっかりと確定させてから、退去通知書を不動産管理会社もしくは大家さんに提出しましょう。

まとめ

退去連絡は、退去日からみて1カ月以上空けておこないます。退去連絡をする相手は、不動産管理会社もしくは大家さんです。賃貸物件によっては解約通知書(退去届)が必要になるケースもあるため、退去連絡でよいのか解約通知書も必要になるのか確認しておきましょう。

退去するときには二重家賃を防止したり、敷金精算のトラブルを防止したりしなければいけません。退去を伝えるだけでなく、トラブルにならないよう配慮しておくことが大切です。

執筆者

渥美誠

宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター。

大手不動産仲介会社など計5社に勤める。不動産売買仲介・不動産買取・事業用定期借地権での法人テナント誘致などをおこなう。これらの業務に18年間携わり、不動産売買全般、借地、税金、相続などの分野に強い。現在、不動産・金融webライターとして執筆活動中。愛知県出身。

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