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おとり物件とは?見分け方や対策方法も解説

おとり物件とは?見分け方と対策を解説
賃貸物件を探していると、驚くほど好条件の物件が見つかることが稀にあります。理想どおりの物件を見つけた時はうれしいものですが、注意が必要な場合もあります。なぜならその物件が「おとり物件」である可能性もあるからです。
この記事では、おとり物件がどういうもので、なぜ存在するのかを解説します。また、おとり物件の見分け方や引っかからないための対策を紹介します。

おとり物件とは?

おとり物件とは物件情報が掲載されているにも関わらず、実際には取引できない物件のことです。集客目的のために利用される場合もあることから、「釣り物件」と呼ばれることもありますが、すべてのおとり物件が故意でおこなわれるものだけではありません。

おとり物件が存在する理由

おとり物件が存在する理由は次のとおり大きく2つあります。

物件の情報が最新ではない

成約済みの物件であるにも関わらず、物件情報の更新がされておらず、入居者募集の状態が続いているケースが1つ目の理由です。不動産会社が掲載している物件情報は「自社で管理している物件」と「他社が管理している物件」の2種類があります。自社管理物件は、成約後、すぐに情報を更新できます。他社管理物件の場合は、成約しても管理先から連絡がないことも珍しくありません。その結果、成約後も物件情報が掲載され続けることになります。後者のように、意図的でなくても結果的に「おとり物件」になってしまうケースがあります。

集客のためのダミー物件を掲載している

2つ目は不動産会社が集客のために、ダミー物件を意図的に掲載しているケースです。実際には存在しない好条件の物件情報を掲載し、その物件を目当てに訪れた客に対して「タッチの差で埋まってしまった」とはぐらかし、別の物件に誘導します。このような悪質なおとり物件を掲載する会社は、自社の利益のために強引に成約させようとすることもあるため、注意が必要です。

おとり物件は違法である

おとり物件の掲載は「宅地建物取引業法第32条および景品表示法第5条第3号」に抵触する行為で違法です。物件情報の更新漏れの場合、悪意はなく、仕方のない側面もありますが、基本的には違法であることに違いありません。消費者庁のホームページにも不当表示の例として、「取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得ない不動産についての表示(例…売約済みの物件)」の項目が挙げられています。

消費者庁「不動産のおとり広告に関する表示」



おとり物件の見分け方

おとり物件を見分けるためのポイントをご紹介します

おとり物件を見分けるためにはどうしたらよいでしょうか。物件情報を見る際に気を付けておきたいチェックポイントを紹介します。

家賃相場と比較して安すぎないか

悪質なおとり物件は集客が目的です。好条件をそろえている場合が多く、家賃が極端に安く設定されています。あらかじめ周辺の家賃相場を調べておき、不自然に安い場合は注意をしたほうがよいでしょう。

物件情報は詳細・明確か

物件情報が架空の場合は、住所や物件名などの詳細が明記されていなかったり、実在しない住所や番地を掲載していたりする場合があります。別の物件の写真が使いまわされて、掲載されている可能性もあります。少しでもあやしいと思ったら、念のためインターネットの検索機能で調べたほうがよいかもしれません。

好条件にも関わらず掲載期間が長すぎないか

物件情報の登録日もチェックすべきポイントです。好条件の物件は人気が出てすぐに成約する傾向にあります。長く掲載されている好条件の物件は、実際には契約できないおとり物件である可能性が高いでしょう。

貸主・代理か

物件情報には「取引態様」が掲載されており、そこで物件情報を掲載している不動産会社と物件を所有する大家の関係がわかります。取引態様が「貸主」や「代理」の場合、おとり物件である可能性は低くなります。その不動産会社自体が大家であるか、大家から直接依頼を受けて入居者を募集しているためです。
一方で取引態様が「仲介先物」の場合、仲介元付から情報提供を受けて物件情報を掲載しているだけで、貸主と直接の接点がありません。虚偽がばれにくいため、実在する人気物件をおとり物件として利用している可能性があります。条件がよすぎる場合は慎重に確認したほうがよいかもしれません。

複数の不動産情報サイトに掲載されているか

一般的に貸主は、早く入居者を見つけるために複数の不動産情報サイトに登録します。一方で悪質なおとり物件は、自社に集客することが目的であるため、複数の不動産情報サイトに掲載することはありません。したがって複数の情報サイトに登録されている場合は安心できますが、掲載先が一つの場合は少し注意して念入りに確認したほうがよいかもしれません。

おとり物件に引っかからないための対策

おとり物件を避けるためにできる対策があります

おとり物件に引っかからないためにできる対策を4つ紹介します。

不動産店を調べる

物件情報を掲載している不動産会社が実績のある会社なのか、評判は悪くないかなどを確認しましょう。今はインターネットでもさまざまな情報を調べられます。不動産会社の実績や評判、過去におとり物件を掲載した事実(疑い)などがわかる場合もあります。もちろん、インターネット上の情報には真実でないものもあるため、すべてを鵜呑みにできませんが、念のため確認しておくことは無駄ではありません。

不動産店に電話で問い合わせる

掲載されている情報が不十分な物件は、電話で直接問い合わせてみるのも一つの方法です。架空物件の場合、直接質問しても具体的な説明がありません。はぐらかされることが多いため、相手の対応や説明をよく確認しましょう。

ほかの不動産店に問い合わせる

ほかの不動産会社の取扱物件リストを確認したり、直接問い合わせてみたりすることで、おとり物件を避けられる可能性が高まります。取引可能な物件は、早く入居者を見つけるために複数の不動産会社で募集している場合が多いためです。
他社では取り扱いがなかった場合、近隣で同じような条件の物件がないか聞いてみると、その不動産会社から取引できない物件と指摘されることがあるかもしれません。

内見は現地集合を希望する

内見の予約をする際、現地での待ち合わせを希望してみましょう。おとり物件であれば、実際には契約できない物件のため、現地案内ができません。もし現地での待ち合わせを希望して、はぐらかされたり、「一度来店の必要がある」と言われたりした場合はおとり物件の可能性があります。ただし、取引可能な物件でも来店を求められることが稀にあります。現地集合ができないからといっておとり物件と断定できるわけではありません。

お気に入り登録をして好条件の物件を逃さないようにしよう

納得のいく条件の物件を見逃さないために、お気に入り登録がおすすめです

不動産は一般的な商品と違って、同じものは二つとありません。条件のよい物件ほどすぐに成約してしまいます。そこで、希望の条件をあらかじめ登録しておけば、希望に沿った物件があった時に通知が届くので、いち早く気付けます。おとり物件に惑わされないためにも、信頼できるサイトでお気に入り登録をしておくと、希望に沿った物件を見つけられる可能性が高まるでしょう。
ちなみに、不動産情報サービス アットホームでは「新着物件お知らせメール」に登録すると、検索した条件に当てはまる物件をいち早くメールでお知らせしてくれるので、ぜひ利用してみてください。

探す手間を省くことができるので勉強や仕事で日々忙しい人にもおすすめです!

おとり物件を見つけたらどうすればいい?

情報審査活動に努める不動産屋情報サイトに問い合わせてみましょう。信頼できる不動産情報サイトは、契約済みの物件がいつまでも掲載されないよう定期的に不動産会社に確認をしています。「不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)」や「ポータルサイト広告適正化部会」などの業界団体にも積極的に参加しています。このように情報の適正化に努めているため、安心して利用が可能です。おとり物件に関する消費者からの報告を受け付ける窓口も設置しているので、万が一おとり物件を見つけた場合は窓口に連絡すれば対応してもらえます。

アットホームの情報審査活動について>>

おとり物件に関するまとめ

おとり物件について、よくある質問をまとめました。

おとり物件って?

おとり物件とは物件情報が掲載されているにも関わらず、実際には取引ができない物件のことです。なかには集客目的の悪質な物件もあります。おとり物件を掲載している会社の目的は、客を別の物件に誘導することなので引っかからないように注意が必要です。

おとり物件を見分けるには?

おとり物件は不自然に好条件で設定されています。好条件であるにも関わらず、長く掲載されていたりする場合もあります。一方で取引態様が「貸主」「代理」の場合や、複数の不動産情報サイトに掲載されている場合は、おとり物件ではない可能性が高くなります。

おとり物件に引っかからないようにするには?

物件情報を掲載している不動産会社に直接電話で問い合わせて、その物件の具体的な質問をしてみましょう。内見は現地集合を希望して、相手方の応対を確認することも予防につながります。もし、はぐらかされたり、現地集合を断られたりした場合は注意が必要です。

大量にある賃貸物件情報のなかにはおとり物件が潜んでいるかもしれません。望んでいない物件に誘導されて後々トラブルにならないためにも、おとり物件というものが存在することは頭の片隅に置きながら、よい物件を見つけたと思っても冷静に確認することをおすすめします。その際にはこの記事で解説したおとり物件の特徴や見分け方、引っかからないための対策も参考にしてください。

長尾 真一

執筆者

長尾 真一

ファイナンシャルプランナー(AFP認定者)、企業年金管理士(確定拠出年金)

1977年広島県生まれ。大学卒業後、医療機器メーカー・エアライン系商社で海外営業として勤務した後、ファイナンシャルプランナーに転身。
生活に関わるお金の不安を解消し、未来に希望をもって暮らしていくためのお手伝いをする「生活設計のコンシェルジュ」として相談業務や執筆業務に従事。
企業や学校での講演・セミナーにも年間100回以上登壇しており、これまでの延べ聴講者数は2万人を超え、わかりやすい説明が好評を得ている。

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