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リノベーションマンションとお金の話[5] 「フラット35リノベ」を利用して賢くリノベーションマンションを購入

住まい選びと切っても切り離せないのが「お金」の話。そこで「住まいのお金」のプロをアドバイザーに迎え、「リノベーションマンションとお金」について深掘りしていきます! ※本記事は「RE MAISON at home renovation(2021年5月31日終了)」に2017年4月27日に掲載されたものです。

「フラット35リノベ」は金利が0.6%も引き下げられるうれしい住宅ローン

ライフライン・通信類について

「フラット35」とは、住宅ローンを返済する最長35年間の金利が変わらない住宅ローンのこと。「全期間固定金利住宅ローン」とも呼ばれます。借入の時点で35年先までの返済金額が確定するので、返済プランを明確に立てることができます。また、金利変動のリスクを避けられることもメリットです。

フラット35にはいくつか種類があり、その中にはリノベーション物件で利用できる「フラット35リノベ」というものも。このフラット35リノベとは、どういった住宅ローンなのでしょうか?

「フラット35リノベ」とはどんなもの?

「フラット35リノベ」とは、
①中古住宅を購入して性能向上リフォームを行う場合
②住宅事業者により性能向上リフォームが行われた中古住宅を購入する場合
の、どちらかの場合でフラット35を利用する場合に、金利を一定期間引き下げるというもの。

「性能向上リフォーム」とは、省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性といった住宅性能を、一定以上向上させるリフォームのこと。フラット35リノベに対応する物件の場合は、②の「住宅事業者により性能向上リフォームが行われた中古住宅を購入する場合」に該当しますね。

風呂内さん「フラット35リノベは、リノベーション物件市場を活発化させることに加えて、「住宅は消耗品である」というイメージを変えてリノベーション物件の価値向上を狙った制度と言うことができるでしょう。」

フラット35リノベの適用条件を詳しくチェック!

フラット35リノベには、性能向上の条件によって金利の引き下げ期間が違う金利プランAとBの二種類があります。

金利プランA…金利を借入初年から10年間、0.6%引き下げ
金利プランB…金利を借入初年から5年間、0.6%引き下げ

AとBは利用条件も異なります。違いを詳しく見てみましょう。

●金利Aプラン

以下の(1)から(6)までのうち、いずれか1つ以上の基準に適合させる性能向上リフォームを行うこと。ただし、リフォーム工事前に適合している基準は対象にならない。

▼省エネルギー性
(1)認定低炭素住宅
(2)一次エネルギー消費量等級5の住宅
(3)性能向上計画認定住宅(建築物省エネ法)
▼耐震性
(4)耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)3の住宅
▼バリアフリー性
(5)高齢者等配慮対策等級4以上の住宅(共同住宅の専用部分は等級3でも可)
▼耐久性・可変性
(6)長期優良住宅

●金利Bプラン

以下の(1)から(6)までのうち、いずれか1つ以上の基準に適合させる性能向上リフォームを行うこと。ただし、リフォーム工事前に適合している基準は対象にならない。

▼省エネルギー性
(1)断熱等性能等級4の住宅
(2)一次エネルギー消費量等級4以上の住宅
▼耐震性
(3)耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上の住宅
(4)免震建築物
▼バリアフリー性 (5)高齢者等配慮対策等級3以上の住宅
▼耐久性・可変性
(6)劣化対策等級3の住宅で、かつ、維持管理対策等級2以上の住宅

また、性能向上リフォームに加えてもう1つ、「中古住宅の維持保全に係る措置」も、フラット35リノベの利用に必要な条件となっています。これは金利プランA・B共通です。

中古住宅の維持保全に係る措置

以下の(1)から(4)までのいずれかの措置がとられていることを、適合証明検査機関による適合証明検査において確認する。
(1)インスペクションの実施
(2)瑕疵保険の付保等
(3)住宅履歴情報の保存
(4)維持保全計画の作成

風呂内さん「性能向上リフォーム」の条件は、金利プランAの方が金利引き下げ期間が長いぶん、金利プランBに比べて住宅性能の要求が高いことが分かりますね。求められる性能が高いぶん、工事費が販売価格に上乗せされていると思いますが、引き下げ期間が5年から10年と倍に伸びるので、どちらがいいかは判断が分かれるでしょう。」

参考までに、通常のフラット35と、フラット35リノベ金利プランA・Bの返済額をシミュレーションしてみましょう。

●条件

借入額/¥30,000,000
返済期間/35年
金利/1.12%(全期間固定)
返済方法/元利均等
※金利は融資率9割以下で最も利用が多い金利を設定(2017年4月時点)

[通常のフラット35と、フラット35リノベ金利プランA・Bの比較]
   フラット35リノベ金利
プランA
フラット35リノベ金利
プランB
通常のフラット35
総返済額 ¥34,585,267 ¥35,360,912 ¥36,276,809
1~5年間
の金利
0.52% 0.52% 1.12%
6~10年間
の金利
1.12%
11年目以降
の金利
1.12%
毎月の返済額
(1~5年間)
¥78,141 ¥78,141 ¥86,373
毎月の返済額
(6~10年目)
¥85,201
毎月の返済額
(11年目以降)
¥84,028

借入金は同じでも、金利の優遇があるぶん金利Aプランの返済総額がもっとも少なく、また毎月の返済額も当初5年間は金利A・Bともに¥8,000程度安くなっています。

金利プランBは優遇が終わる6年目以降も、それまでの返済で元金が減っているので、毎月の返済額は通常に比べて¥1,000程度安くなっています。金利プランAは10年目まで優遇が続き、11年目からは毎月¥88,000円の返済と、金利プランBよりもさらに¥1,000程度安くなっていますね。

ちなみに、「中古住宅の維持保全に係る措置」のうち、瑕疵保険は新築住宅では必須となっていますが、中古住宅での加入は任意なので、不動産会社に確認する必要がありますね。また「維持保全計画」とは、いわゆる「長期修繕計画」のことです。

このようにフラット35リノベは、利用条件で「建物の性能を重視」していることがわかります。全期間固定金利による返済額の明確さと、利用条件で建物性能を重視していることから、住宅ローンにおいても「安心・安全」を重視する人は「フラット35リノベ」が利用できる物件を検討するのがオススメと言えますね。

今回のまとめ

このようにフラット35リノベは、利用条件で「建物の性能を重視」していることがわかります。全期間固定金利による返済額の明確さと、利用条件で建物性能を重視していることから、住宅ローンにおいても「安心・安全」を重視する人は「フラット35リノベ」が利用できる物件を検討するのがオススメと言えますね。

●アドバイザー:風呂内亜矢
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、
CFPR認定者、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー。近著に「その節約はキケンです」(祥伝社)、「デキる女は『抜け目』ない」(あさ出版)など。
http://www.furouchi.com/

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