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リノベーションマンション事例「個性豊かな多肉植物が叢る。マンションで楽しむカクタスライフ」

雑誌「LiVES」に掲載されたリノベーションマンションから、今回は、東京都板橋区の木村さんご夫妻の事例をご紹介します。限られた採光条件とスペースで100株以上の植物を愛でる。鉢や雑貨との組み合わせにもこだわって、インテリアとグリーンをトータルコーディネート。(text_ Yasuko Murata photograph_ Takeshi Kimura)

豊かな緑に囲まれた築35年の中古マンションを購入し、リノベーションをした木村武司さんと奥さまの尚子さん。選んだ物件は、高層階にある真南を向いた床面積73㎡の住戸。バルコニー側に大きな掃き出し窓があり、窓辺を埋め尽くすように無数の多肉植物が並んでいる。

一部の鉢は床に直接置かず、細身のスチール製スタンドに乗せて、見え方に変化をつけている。

植物の手入れは武司さんが仕事に出る前の早朝に行う。個々の性質を調べ、季節や天候に応じて水やりや断水をしたり、外に出したり室内に入れたりしている。

ファッション誌やライフスタイル誌などのカメラマンとして活躍する武司さんが多肉植物に興味をもったのは、仕事で撮影する機会が増えてきたことがきっかけだった。

「形の変わったものを一つ購入したことで多肉植物の魅力にはまり、それから数がどんどん増えていきました。同じ種類でも、一つひとつに個性がある。男性が植物にはまるのって、フィギュアをコレクションするような感覚に近いのではないかと思います」(武司さん)

リノベーションでは、浴室以外すべての空間に手を加え、既存の3LDKの間取りを2LDKに変更。バルコニーに面した南側にLDKをできるだけ広く取り、玄関側に寝室と武司さんの仕事部屋を設けている。仕上げはナチュラルなフローリングと白い壁紙を選び、天井をモルタルで塗装している。

左・家具は北欧系とインダストリアル系をミックス。/右・バルコニーの手すりにDIYで台を設置。日光が必要な植物はここに移動。

この家に引っ越してきて、広々としたLDKに植物を置く場所を確保できたことで、武司さんの“多肉愛”はさらに加熱した。現在はたっぷりの採光が望める南側の窓辺に、ヴィンテージのトロリーテーブルやアイアンシェルフを置いて、たくさんの鉢を陳列。シダ類やコウモリランなどの大きめの植物や、垂れ下がって伸びる植物は、天井からプラントハンガーで吊るしている。

左・古いトロリーテーブルや馬脚など、デザイン性のある家具を並べ、植物を置くための台として使用。高さが違う家具を並べると立体感や奥行きが生まれる。/右・サボテンの白いベースは、武司さんが陶芸クラブで制作。AMKKを主宰するフラワーアーティスト東信さんの作品集も、一つの植物のように飾られている。

壁にはアニマルヘッドの花器。

武司さんが選ぶ多肉植物は小さめのものが中心。小さいものは置き場所を取らず、鉢との組み合わせで、高さと大きさのバランスやコーディネイトを楽しめるメリットがある。

「最近では、イメージ通りの鉢をつくりたくて、陶芸クラブに通い始めたんです」(武司さん)

キッチンの立ち上がり壁にも小さな鉢がずらり。室内でも育てやすいサボテンを飾っている。レンジフードやヴィンテージの食器棚の上にも、シダ類や多肉植物が。

木の実やドライフラワーをさりげなく添えた洗面室。棚は工事で余ったフローリング材を活用。

下足棚は個性のある鉢やエアプランツをワンポイントに。

窓が南側にしかないマンションの限られた環境で、これだけ多くの植物を並べつつ、余白や抜けを残すディスプレイで心地良いインテリアをつくり出す。また、キッチンやテレビボードの周辺、下足棚など、家中のちょっとしたスペースに、小さな植物をちりばめる小技も光る。マンション暮らしで楽しむ、等身大ボタニカルライフのお手本がたくさん詰まった空間だ。

CLOSE UP!

小さな鉢をギュッと集めて見せ場をつくる

1.テレビ周辺にもたくさん植物を並べることで、AV機器の無機質さが和らぐ。
2.窓辺のトロリーテーブルには、たっぷりの採光が必要な植物を置いている。
3.特にお気に入りの塊根植物を集めたコーナー。左奥の大きな塊根植物はパキポディウム・グラキリス。「Invisible ink.」の鉢や武司さん自作の鉢と合わせている。

建物データ

〈物件名〉木村邸〈所在地〉東京都板橋区〈居住者構成〉夫婦〈建物規模〉地上15階建て(9階部分)〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈建物竣工年〉1980年〈専有面積〉75.00㎡〈バルコニー面積〉12.33㎡〈設計・施工〉プロポライフ〈設計期間〉3ヶ月〈工事期間〉3ヶ月〈竣工〉2015年

※この記事はLiVES Vol.88に掲載されたものを転載しています。
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