このページの一番上へ

リノベーションマンション事例「日本の民藝、植物、世界各地の手仕事に囲まれて暮らす」

雑誌「LiVES」に掲載されたリノベーションマンションから、今回は、東京都世田谷区の和田さんご夫妻の事例をご紹介します。アンティークのプラントシェルフをきっかけに、植物のある暮らしがスタート。旅先で出会った雑貨などの多国籍なエッセンスが植物と絡み合う。(text_ Yasuko Murata photograph_ Takuya Furusue)

日本をはじめ、アジアやアフリカの手仕事に魅せられ、さまざまな民藝品を集めている和田健二郎さん。ビームスで長年に渡りバイヤーをしていた経験から、世界中のプロダクトに接してきた。6年前に奥さまの求示加さんと娘さんと暮らす家として、中古マンションをリノベーション。設計はランドスケーププロダクツに依頼した。

物件はメゾネット形式で、延べ床面積が約120m2。下階にLDKと水まわり、上階に子ども室と書斎、寝室がある。上下階ともに南に面した広いバルコニーがあり、観葉植物や多肉植物、ハーブなどが並んでいる。室内にも味わいのある鉢に入った大小さまざまな植物がちりばめられ、ヴィンテージ家具や陶芸品、民族衣裳などとともにセンス良く飾られている。

キッチンの壁はヒースセラミックのタイル。手前のベンチには、珍しい植物を集めて飾っている。和田さんご夫妻は、経堂の「Rungta」で植物を購入することが多い。
広々としたLDKの中央には、独特なフォルムの蔓性観葉植物。台はアフリカの工芸品。

「初めて植物を買ったのは26年前。キセログラフィカというエアプランツと、それを置くためのスチール製のスタンドで、今でも窓辺に飾っています。それ以外に植物を育てたことはなかったのですが、この家に引っ越してきてから、徐々に興味が出てきました」(健二郎さん)

窓辺のスチールスタンドに飾ったエアプランツがキセログラフィカ。ソファ横に置いたパキラは、屋根のように斜めに曲がった幹の形が気に入って購入した。

玄関ホールの腰壁は大谷石張り。正面には韓国の古い箪笥を配した。額装した小代焼のタイルやアフリカのマスク、ドライフラワーを壁のアクセントに。

植物への興味を決定的にしたのは、バルコニーに置いているアンティークのプラントシェルフとの運命的な出会いだ。100年以上前のイギリスのアンティークで、鉄が錆びていい具合に経年変化している。このシェルフに合う植物を探しているうちに、数が増えてしまったという。

「植物は育てやすさは気にせず、形が気に入ったものを選びます。我が家の環境に適応せずに枯らしてしまったものもありますが、そんなことを繰り返しながら詳しくなっていきました。顔色を見ながら水をやり、外に出して光や風に当ててみたり。動物の世話に似ていると思うのですが、育てていて動きがあるのが楽しいですね」(求示加さん)

トイレの壁面をドライフラワーで演出。小鹿田焼の手洗い鉢は特注でつくってもらった。

階段の吹き抜けに吊るしているのはイームズの木製ギブス。

LDKの一角は小上がりスペースで、大谷石の壁に設えた飾り棚には健二郎さんが特に気に入っているスリップウェアや写真集など。その傍らには大きなサボテンや観葉植物が並び、ギャラリーのような空間となっている。

左・小田鹿焼、小代焼などのスリップウェアや民族マスク、古書を展示した小上がり。/右・ヴィンテージのパタパタ下駄箱を墨色に塗装。シックな葉色のドラセナを合わせた。

「毎週のように友人が遊びに来ますし、家にいる時間が快適なので、外食はほとんどしません。今は好きな民藝や植物に囲まれた空間で、家族や仲間と過ごす時間が一番幸せですね」(健二郎さん)

CLOSE UP!

多国籍の伝統と植物が息づくビオトープ

1.ウッドデッキにソテツや睡蓮鉢などを並べた南国情緒漂うバルコニー。
2.アンティークのプラントシェルフ。石像は鹿児島県で多く祀られている田の神。
3.風合いのあるテラコッタやアジアの民族衣装が植物を個性豊かに引き立てる。
4.大型のユッカ・ロストラーダとウチワサボテン。鉢はタイで購入したもの。

建物データ

〈物件名〉赤堤の住宅〈所在地〉東京都世田谷区〈居住者構成〉夫婦+子供1人〈建物規模〉地上5階建て(4、5階部分)〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈建物竣工年〉1981年〈専有面積〉121.99㎡〈バルコニー面積〉57.13㎡〈設計〉ランドスケーププロダクツ〈施工〉イカハタ〈設計期間〉2ヶ月〈工事期間〉2ヶ月〈竣工〉2009年

※この記事はLiVES Vol.88に掲載されたものを転載しています。
※LiVESは、オンライン書店にてご購入いただけます。amazonで【LiVES】の購入を希望される方はコチラ

関連する記事を見る
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る