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リノベーションマンション事例「引き算でつくるシンプルな空間で愛用の自転車を眺めて暮らす」

雑誌「LiVES」に掲載されたリノベーションマンションから、今回は、東京都目黒区の深瀬さんご夫妻の事例をご紹介します。2度のリノベーションを経て、好みや物の整理がついたというご夫妻。 素材や色を絞り、厳選した愛用品だけを取り入れて、スッキリと気持ちよく過ごす。(text_ Satoko Hatano photograph_ Takuya Furusue)

今回が2度目のマンションリノベーションとなる深瀬敦巳さん、美保さん夫妻。以前の家では好きな色や素材を加えていく「足し算のリノベーション」をDIYにも挑戦しながら時間をかけて進めたそう。

「少しずつ手を加えるやり方だと、100%満足のいく空間をつくるのは難しいです。もう少し広い家を探していたこともあり、引っ越しと2度目のリノベーションを決めました」

と話す敦巳さん。見晴らしの良い角地に建つ築37年のマンションを取得して、以前の家でも水まわりのリノベーションを頼んだ早川友和建築設計事務所の早川友和さんに、一から設計を依頼した。

3LDKの間取りを広々とした1LDKに変え、キッチンを中心に回遊動線を確保。友人を招く機会が多いため、キッチンに人が集い、広々としたリビングダイニングでくつろげるプランを採用している。

キッチンを中心に回遊動線を得た室内。左奥が水まわりで右奥がベッドルーム。玄関の土間を居室側まで延長し、空間の意識的なつながりや広がりを演出している。

特徴的なのは、玄関土間とLDKの間に設けたガラスの間仕切りと回転扉だ。ご夫妻の趣味である自転車やスニーカーが土間の造作収納に美しく収まり、居室から見るとまるでガラスのショーケースのよう。

玄関土間の壁面収納には、趣味の自転車やスニーカーが。シナ合板は扉付き収納。

「回転扉は開く角度によって客人をリビング側へ誘導したり、開放して風の通り道をつくったり。閉めて暖房効率を高める機能もあります」

と早川さん。シンプルなインテリアを希望したご夫妻の意向を受けて、細身の黒いスチールをガラスの枠に用いて空間を引き締めている。

玄関土間から2面彩光の明るいLDKを見る。黒いスチール枠が広い空間を引き締めている。

もうひとつご夫妻がこだわったのが素材使いだ。LDKの床はナラ材、ベッドルームにつながるバスルームは白いサブウェイタイルで共にヘリンボーン張りで仕上げている。

ガラスの引き戸を介して隣り合う、ベッドルームと窓際の明るいバスルーム。
寝室から水まわりを見る。ガラス引き戸のスチール枠やタイル仕上げはご夫妻の要望。

コンクリートと木、鉄、タイル、そして白×黒という素材や色味を絞ったインテリアについて早川さんは、

「素材感を大事にして、シンプルかつぬくもりのある空間に仕立てました。また、お2人はインテリアのイメージをインターネットのブックマーク機能をもつピンタレストで伝えてくれました。アノニマスでも良質で感性に合うデザインを世界中から収集するやり方は今どきだし、求める空間の共有化にも役立ちました」

リビングには玄関から続く壁面収納を造作。シナ合板のフラットな表情と収まりが扉の存在を忘れさせる。シングルソファは敦巳さんが20年来愛用しているもの。

左・愛着のある品々が見えるように食器棚にはガラス扉を採用。白いカウンタートップはシンクと一体成型のデュポンコーリアン。水栓は独製の「DORN BRACHT」。/右・既存の個室と水まわりの場所を入れ替えてバスルームを窓側へ移動。床、壁、天井と棚板も白で統一して、グリーンが映える明るく清潔感のある空間に仕立てた。

再度家づくりに臨んだご夫妻も、

「物と空間の好みが整理できて、すっきりと暮らすことが心地いいと思えるようになりました」

と話す。2度のリノベーションを経験して、本当に自分たちらしい暮らし方と空間を手に入れたようだ。

床の端材に防腐処理を施してテラスに敷いた。植物とも好相性。

建物データ

〈物件名〉SYNCOPATED, REVOLVING DOOR CONDO〈居住者構成〉夫婦+犬一匹〈建物規模〉地上5階建て(5階部分)〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈建物竣工年〉1979年〈専有面積〉75㎡〈バルコニー面積〉12㎡〈設計〉早川友和建築設計事務所〈施工〉シースリーデザイン〈設計期間〉3ヶ月〈工事期間〉3ヶ月〈竣工〉2016年

※この記事はLiVES Vol.89に掲載されたものを転載しています。
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