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【50㎡】 マンションリノベーション事例「専有面積以上に感じられる優れたアイデアで広々 !」

【50㎡】マンションリノベーション事例「専有面積以上に感じられる優れたアイデアで広々 !」

雑誌「relife+」に掲載された中古マンションリノベーション事例から、今回は東京都世田谷区福田さんの事例をご紹介。視覚的な効果や、設備を配置する場所の工夫により、専有面積以上の広がりを感じさせる空間に。お子さんの成長に合わせてフレキシブルに活用できる移動式家具も注目です。(text_atsuko tanaka photograph_kazashito nakamura)

  • 物件価格:2700万円(購入時)
  • 工事費:約1000万円(税・設計料込み)
  • 東京都世田谷区 福田さんの家
  • 夫34歳 妻33歳 長男0歳 (取材時)
  • 築年数:41年(1981年築)(取材時)
  • 専有面積:50.00㎡
  • 設計:オフィススグルフクダ
収納や寝室、設備をすべて両脇に寄せたことで、面積以上に広く感じられる。壁面はグレイッシュなピンク、天井はグレー、と使う色を厳選。「黒や茶など強い色を使わないことで、スケール感を曖昧にしています」(福田さん)

コンパクトながら仕事スペースも含んだリノベーション

建築家・福田俊さん一家の住まいは、世田谷区にある専有面積50㎡の中古マンション。

「以前は賃貸住まいでしたが、妻とそろそろ持ち家をという話になり、立地と価格、ペット可の条件を満たしたのが唯一この物件。緑道沿いで環境がいいのも気に入りました。できれば広さはもっと欲しかったのですが、予算的に難しく、建築家の自邸ならではの試みの意味合いも込めて、仕事スペースを含んだリノベーションに踏み出しました」。(ご主人)

キッチンの扉も、対面の壁や扉と色や材質、モジュールを揃えることで生活感をセーブ 
右・ワークスペースはバルコニーに面した北側に配置。集中したいときは収納キャビネットで緩やかにゾーニングできる/左・コーヒーを淹れる福田さん。「面積が狭いのと、南北にバルコニーがあるという特徴から、まずはつなげて開放感を持たせよう、というテーマから出発しました」

専有面積以上の広がりを感じさせる工夫

居室は南北2面にバルコニーがあるつくり。

「この開放感を生かし、専有面積以上の広がりを感じさせるようなプランを目指しました」。(ご主人)

まず南北に視線が抜ける大きなホールを確保。収納や寝室、サニタリーはすべて脇に寄せ、同じモジュールの壁と建具でフラットに覆いました。建具も壁のような印象で、中にどのような空間が広がっているか、想像力をかき立てられます。

全体に「嘘を含んだ空間づくり」を試みた、という福田さん。「床にフローリングやタイルを使わず、長尺のリノリウムを用いたのは、スケールを探す手がかりを消すための選択です」。また、天井と天井近くの壁をグレーで塗り込めたのは、「視覚的に天井を下げることで、認識する空間が横に押しつぶされる効果を狙いました。横方向の広がりが強調されていると思います」。

食事の際は、壁に寄せて配置したソファの前にテーブルを。ソファとテーブル、キャビネットは同一モジュールでつくられているので、自由に入れ替えて居場所をつくることができる

壁と建具をフラットに並べて見た目スッキリ

壁と建具を同一モジュールでフラットに並べているので、眺めがスッキリ。「最初はどれが何なのか、混乱したことも(笑)」。収納の扉の下に、猫用の通り道を設けて食事の場に 
建具は一般的なサイズよりもひと回り小さめ。スペースをフル活用し、大容量の収納を確保した

フレキシブルに活躍する可動式家具

さらに注目したいのが可動式の家具。夫妻それぞれの衣類を収めたキャビネットはキャスター付きで場所を特定せず、そのときどきで間仕切りにするなど、フレキシブルに活躍。ソファやテーブルも自由に移動でき、食事の場も長男の遊び場も、自在につくることが可能です。

家具は移動が自在。フレキシブルに活用中

右・収納キャビネットの上は、高いところが好きな猫の定位置。撮影中も飛び乗って人間観察/左・収納キャビネットを移動させる福田さん。用途に合わせて仕切ったり、オープンにしたり、フレキシブルに使える

奥行のある間取り

ワンルームの間取りであっても奥行きがあるため、仕事中、生活音はほとんど気にならないと福田さんは話します。

「将来、息子が大きくなったら、今使っているワークスペースを子ども部屋にして、自分は別の場所に事務所を借りてもいい。選択肢はいろいろあるので、柔軟に考えていきたいですね」。(ご主人)

キャビネットを縦置きにすれば通路が生まれ、奥行きが強調される。照明は天井近くを取り巻くように付けたスポットライトのみとした。天井の高さを視覚的に固定しないための工夫

視線を外に向けて開放感を取り入れる

ワークスペースは視界良好。「建物は昔の団地に似たいわゆる“階段室型”で、窓の外に通路がないため、開放感を味わえます」。壁面にはオープンな本棚を造り付けた 

右・玄関脇のクロゼットは姿見も兼ねている。より広々と見える効果も/左・部屋を広く取るため、玄関は潔く最小限のスペースに。土間を横方向に延長させて、ゆとりを加えた

寝室は最小限の広さに。包まれる感じで快適!

もうすぐハイハイができそうな長男を見守る夫妻。安全に過ごせるよう、テーブルを移動させて寝室前の空間を広げ、スペースを確保
寝室はダブルベッドがぴったり収まる広さ。「日中は日がよく入って暖かく、包まれるような感じで子どもと気持ちよくお昼寝できます」と奥さま。将来的には造作の2 段ベッドを入れるプランもあるという 

サニタリー空間の有効活用で収納力アップ

右・洗面室は隣接するバスルームの脱衣室も兼ねるため、ゆとりあるスペースを確保した。天井近くに棚を設けて日用品などの収納場所とし、洗面台の下はオープンにしてすっきりと/左・トイレは十分な奥行きを利用し、手前に収納を設けた。書棚の不足分を補うのに一役買っている

建物データ

<建物規模>地上4階建ての4階<設計期間>2020年3月~ 9月<工事期間>2020年10月~ 12月<設計>オフィススグルフクダ<施工>DESERGO(家具・建具製作含む)

南北に個室、真ん中に水回りという3DKをほぼワンルームに変更し、キッチンを壁付けに。収納、寝室、サニタリーをすべて同じモジュールの壁や建具の中に収めた。キャビネットは移動が自在で、テーブルやソファと組み合わせることで様々な空間を創出できる

※この記事はrelife+(リライフプラス) Vol.45に掲載されたものを転載しています。
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