分譲マンションとは?メリットやデメリット、賃貸との違いなど徹底解説!

記事の目次
分譲マンションとはどんなマンション?
分譲とは「分割して譲渡する」こと。そして、一棟または複数棟のマンションを1住戸ごとに「分割」して販売しているものを、分譲マンションと呼びます。
新築マンションの場合、デベロッパーが売主であるケースが多く、チラシやインターネット広告、看板などで大々的に広告されるので、目にする機会も多いのではないでしょうか。
一方で中古の分譲マンションは、分譲マンションを購入した人が引越しなどの理由で売りに出したもので、一度でも誰かが入居したことがある物件をいいます。売主が個人のケースが多く新築マンションほど広告はされません。新築と中古いずれの分譲マンションも、不動産情報サイトなどで簡単に探すことができます。
賃貸マンションとの違いは?
一般的に、賃貸マンションはオーナー(大家さん)が所有する土地に建て、1住戸ずつ貸し出すマンションを指します。所有者はオーナーのままで、毎月の家賃や管理費をオーナー(または管理会社)に支払います。一方、分譲マンションは一住戸ずつ別々の人が購入し「区分所有者」となります。
購入した場合、物件の所有者になるので、自分の意思でリフォーム・リノベーションすることができます。ただし、賃貸マンションはオーナーの所有物なので、基本的に借りた状態のまま使用する必要があります。
分譲一戸建て・分譲賃貸とは?
分譲マンションと似た言葉に、分譲一戸建てと分譲賃貸があります。それぞれの違いは以下のとおりです。
分譲一戸建て
分譲一戸建ては、いわゆる建売住宅のこと。不動産会社等がまとめて購入した土地を分割し、分割した土地にそれぞれ戸建住宅を建築して販売するものです。
分譲賃貸
分譲賃貸は、分譲マンションの所有者が引越しで住まなくなった際や、投資目的等で貸し出される賃貸物件です。
分譲マンション購入者に聞く、購入の決め手と条件
実際に分譲マンションを購入した人たちは、どのようなきっかけやポイントで購入に踏み切ったのでしょうか? 気になる購入の決め手と、購入の条件について聞いてみました。
住まい探しのきっかけは?
新築マンション

(出典:不動産情報サービス アットホーム『住宅購入のプロセス&マインド』調査2022年度版)
中古マンション

(出典:不動産情報サービス アットホーム『住宅購入のプロセス&マインド』調査2022年度版)
新築マンション、中古マンションともに、住まい探しのきっかけは「生活環境・ライフスタイルを変えたかったから」という意見がトップでした。賃貸物件ではなく購入を決めた理由としては、「賃料を払うのが嫌になったから」「前の住まいに不満があったから」が新築・中古で共通して上位にあり、新築では金利などの日本の経済情勢が購入に最適な時期と思ったからという意見も多く見られます。
分譲マンションの平均購入金額は?
新築マンション
平均金額
予算 | 購入価格 | 頭金 | 援助金 | 世帯年収 |
---|---|---|---|---|
42,160,700円 | 44,277,100円 | 9,391,500円 | 3,004,200円 | 8,784,900円 |
月額平均
ローン返済額 | 管理費 | 修繕費 |
---|---|---|
107,900円 | 22,600円 | 17,100円 |
分譲マンションの平均購入金額(出典:不動産情報サービス アットホーム『住宅購入のプロセス&マインド』調査2022年度版)
中古マンション
平均金額
予算 | 購入価格 | 頭金 | 援助金 | 世帯年収 |
---|---|---|---|---|
35,489,200円 | 31,622,700円 | 6,193,400円 | 1,850,900円 | 7,766,000円 |
月額平均
ローン返済額 | 管理費 | 修繕費 |
---|---|---|
85,300円 | 22,000円 | 14,900円 |
分譲マンションの平均購入金額(出典:不動産情報サービス アットホーム『住宅購入のプロセス&マインド』調査2022年度版)
次に、実際の購入価格を教えてもらい、新築・中古それぞれの平均価格を出してみました。購入価格の全国平均は新築マンションで約4,400万円、中古で約3,200万円。それぞれ住宅ローンの返済額は、新築で約10.8万円、中古で約8.5万円となっています。住所地や敷地の大きさによっても費用は違いますが、賃貸で月々支払っている家賃と比べて、そう違いがないと思った人は多いかもしれませんね。
購入者が最後まで重視した仕様・設備
新築マンション

(出典:不動産情報サービス アットホーム『住宅購入のプロセス&マインド』調査2022年度版)
中古マンション

(出典:不動産情報サービス アットホーム『住宅購入のプロセス&マインド』調査2022年度版)
予算の範囲内で、住む場所に加えて仕様や設備等、すべての希望条件を満たす物件を見つけるのはかなり難しいものです。そのため、理想の条件から妥協が必要になるかもしれません。それでも、最後まで譲れない条件としてもっとも多く重視された設備が「宅配ボックス」でした。共働き世帯の増加や長引くコロナ禍で、オンラインショップの利用が増えたことや対面での受け取りを避けたいという心理が働いたことも背景の一つかもしれません。
分譲マンションを購入するメリット
生活環境・ライフスタイルを変えたくなったとき、その手段としてまず引越しを考える人も多いのではないでしょうか。その際には、賃貸と購入という選択肢があります。では、分譲マンションを購入したとき、どういったメリットがあるのでしょうか?
快適に暮らすための設備が充実している
新築マンションには、時代に合わせたハイグレードの設備が充実しています。分譲時から年月が経った中古の場合でも、より快適に暮らすために所有者がリノベーションを施していることも多く、快適に暮らせる物件は少なくありません。中でも、分譲マンションの購入者が譲れない設備として、最後まで重視した設備が次のものです。
宅配ボックス
新築・中古それぞれの購入者で1位となった設備が「宅配ボックス」です。宅配ボックスがあれば、荷物の受け取りのために家にいる必要がありません。また、再配達を依頼したり、たびたび来てもらうことを申し訳なく感じたりすることもないでしょう。子どもがいるご家庭では、子どもだけの留守番中に外に出ることなく防犯面でも安心できるでしょう。
ウォークインクローゼット
荷物の多くを占める衣服やカバンなどを、1箇所にまとめて収納できるウォークインクローゼット。これがあれば、リビングなどの居住空間を広く、すっきりと使うことができます。また、ある程度の広さがあるウォークインクローゼットなら、衣替えを簡単におこなえるほか、スーツケースなど大きな荷物も収納できます。
浴室乾燥機
浴室乾燥機はバスルームの湿気を取り除くだけでなく、さまざまな機能があります。雨の日や花粉の気になる季節にも天候を気にせず洗濯物を乾かせますし、浴室のカビの発生も防いでくれます。冬場の入浴では暖房機能で浴室を事前に暖めておくことで、気持ちよく入浴できるでしょう。また、高齢者のヒートショック予防にも役立ちます。
ディスポーザー
アンケート項目には入っていませんでしたが、人気の高い設備としてディスポーザーがあります。ディスポーザーはキッチンの流し台の排水溝についており、生ごみを細かく砕いて排水と一緒に流せる設備です。生ごみの腐りやすい夏場でも腐敗臭をほとんど感じることなく、ゴキブリなど害虫も発生しにくくなります。
セキュリティ対策が充実している
分譲マンションには、高いセキュリティ性が備わっています。受付にコンシェルジュが常駐しているケースもあり、セキュリティ対策の充実した物件なら、不審者の侵入を防いでくれる安心感があるでしょう。また、訪問販売などを断りやすいというメリットもあります。
ダブルロック(二重施錠)
ダブルロックは、個々の部屋に鍵を2つ付けることで、セキュリティを向上させる仕組みです。開錠に時間がかることが空き巣犯の心理的負担となり、空き巣の抑止力になるのです。
防犯カメラ
防犯カメラがマンション入口やエレベーター内、駐車場などの目につきやすい場所に設置されていれば、空き巣やストーカー被害などの犯罪を未然に防ぐことができます。万が一、事件や事故が発生した場合でも、24時間で監視・記録されることで証拠が残るという安心感もあります。
24時間有人管理
24時間有人管理されている物件には、マンション内に管理人や警備員などが24時間ずっと常駐しています。敷地内で不審者の侵入などを見張ってくれているため、犯罪の抑止になります。
先ほどご紹介した住まい探しのきっかけアンケートで、新築マンションを購入した人では16%以上が「財産・資産がつくりたくなったから」と答えました。このように、購入したマンションは自己資産になります。
駅近など便利な場所であれば、売却時に高く売れたり、賃貸物件として高い家賃で貸せたりする可能性もあるでしょう。
老後も生活しやすい

老後は、利便性のよいマンションで暮らしたいという人が増えています。マンションは、室内に段差を極力少なくしたフラットフロアのものが多く、高齢者に多い転倒事故の予防になります。また、エレベーターを備えた物件が多く、買い物などで外出しやすい点もメリットです。
定年までにローンを完済していれば、老後に家賃の心配をしなくて済みます。一戸建てでは老朽化による補修など個人でおこなわなければいけませんが、マンションなら共用部分は管理組合に任せられるので管理面も安心です。ただし、ローンを完済しても、管理費等の支払いが発生する点は注意しましょう。
共用施設も充実している
分譲マンションには24時間ゴミステーションや宅配ボックス、駐輪場など、誰でも使える便利な共用施設が充実しています。物件によっては来客時に便利なゲストルームをはじめ、キッズルーム、ラウンジ、フィットネススタジオなどを備えており、生活に潤いを与えてくれます。
コミュニティが作りやすい
マンションに住んでいると、人間関係が作りにくいと思っている人が多いかもしれません。しかし、分譲マンションでは区分所有者(購入者)全員がマンションの管理組合員になるため、理事会などで入居者同士のつながりができます。マンションによっては、管理会社が共用施設を利用してイベントやサークルなどを催し、入居者同士のコミュニティづくりをサポートしている場合も少なくありません。
分譲マンションを購入する際の不安
分譲マンションを購入する場合は、物件価格の10〜20%程度を「頭金」として用意するなど、購入時にまとまった資金が必要です。それ以外にも、購入には賃貸とは異なる点がいくつかあります。
毎月の支払が必要になる
分譲マンションの購入費用は金額が大きいため、住宅ローンを借りて月々返済していくのが一般的です。そのほか、毎月の支払いとして管理費・修繕積立費などが発生しますし、駐車場が必要であれば別途駐車場代、火災保険料などもかかります。また、固定資産税など毎年かかってくる費用もあります。
賃貸物件を借りる以上に費用がかかりそうだ……と思うかもしれませんが、自分に合った資金計画、返済計画を立てることで月々の支払いを調整することも可能です。
住宅ローンに通るか不安になる
住宅ローンとは、住宅の取得を目的としたローンです。大きく分けて、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して融資する「フラット35」と、都市銀行や地方銀行、信用金庫などの民間金融機関が提供する「銀行ローン」の2種類があります。
住宅ローンは、誰でも組めるわけではありません。借入れする人・物件の両面から審査があり、これに通過することが必要です。例えば、完済時期が80歳以上になるローンの組み方だと通らないなど、さまざまな審査条件があります。そのため、住宅ローンを組む前に、自分が借りられる金額を知っておくことが大切です。住宅ローンの選び方、そして審査に受かるための対策については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
頭金など初期費用が必要になる
先にお伝えしたとおり、マンション購入時には初期費用として、頭金などのまとまった金額が必要です。頭金の目安は、一般的に住宅購入価格の10〜20%。実際には頭金なしでも購入可能ですが、この場合は月々の返済額が大きくなり、家計を圧迫してしまうかもしれません。そのため、ある程度の頭金は計算に入れておいたほうがよいでしょう。
頭金以外の諸経費には、以下のようなものが挙げられます。
- 金融機関への事務手数料
- 保証会社への手数料
- 金銭消費貸借契約の印紙税
- 登記費用 など
新築マンション購入時の初期費用についてはこちらの記事も合わせてご覧ください。
すべての諸費用を合わせた金額は、住宅購入価格の3~5%前後が目安になるといわれています。頭金や税金などの諸費用に関しては、以下記事で詳しくご紹介していますので参考にしてください。
分譲マンションを選ぶポイント

高額な買い物である分譲マンション。完済するまで長期に渡り住宅ローンを払い続けることになるので、失敗はしたくないですよね。ここで、分譲マンションを選ぶ際に気を付けておきたいポイントをまとめました。
立地・エリア
まず大切なのが立地です。周辺エリアの治安や交通の利便性、駅からの距離、周辺施設などをチェックしておきましょう。スーパー、コンビニ、病院はもちろん、スポーツジム、図書館、動物病院など自分や家族が暮らすために必要な施設が周辺にあるかどうか、営業時間なども含めてよく確認します。お子さんがいる場合は、学区等の確認も欠かせません。将来まで見据えて検討しましょう。
もし、資産価値を求めている場合は、現在の周辺環境だけでなく今後の都市計画に注目してみましょう。再開発が計画されているエリアなら、地価の高騰や人口増加が期待できます。例えばお子さんの独立などを機に住み替えを考える際、より高い値段で売却できる可能性もあるでしょう。
管理状況
「マンションは管理を買え」という言葉もあるほど、どのような管理がおこなわれているかは重要なポイントです。管理に力を入れていないマンションでは、共用部分が汚れていることも多いでしょう。また、管理状態が悪いと修繕や手入れのために一時金を徴収されたり、建物自体の耐用年数が短くなったりする可能性があります。
中古マンションの購入を検討している場合は、マンションの管理組合に問い合わせて長期修繕計画を聞いたり、ごみ捨て場、廊下やエレベーターの清掃状況や植栽の手入れなど共用部分を実際に観察したりして、管理状況をチェックするとよいでしょう。入居者向けのイベントが活発なマンションであれば、お互いに入居者かどうかを見分けられるようになり防犯面でも安心です。
総戸数
マンションの総戸数が少ない物件は、管理修繕費などの負担が上がる場合があります。一方、入居者を把握しやすく、低層で閑静な環境が期待できるでしょう。
これに対して総戸数の多い物件は、選べる間取りのタイプが多く、共用施設が充実しているなどのメリットがあります。その反面、通勤・通学にエレベーターが混んだり、騒々しかったりというデメリットも。自分や家族のライフスタイルに合わせて選びましょう。
築年数
購入を検討している物件が中古マンションなら、まずは建物構造が耐震基準を満たしているかどうか確認しましょう。耐震基準とは地震に対する建築物の強度基準のことで、「旧耐震基準」と「新耐震基準」があります。耐震等級は1から3まであり、数字が大きくなるほど強度が高くなります。
マンションの耐用年数は、構造、あるいは使われている建材、管理状態や立地等の要素で異なります。管理やメンテナンスが行き届いていれば100年以上持つ建物も。さまざまな角度から検討して、納得できる物件を選びましょう。
災害リスク
立地やエリアの重要性を取り上げましたが、駅からの距離や周辺施設の充実度はもちろん、分譲マンション購入を検討するエリアの災害リスクも調べておきましょう。災害リスクについては、自治体が公表しているハザードマップなどで確認できます。また、不動産会社でも教えてもらえますよ。
まとめ
分譲マンションにはグレードの高い住宅設備が整っており、共用部分にも便利な施設が充実しているので、快適に暮らすことができます。しかし、購入時に頭金などのまとまったお金がかかりますし、住宅ローンの返済以外にも管理費や修繕積立金が必要です。そのため、事前にしっかりと資金計画を立てましょう。これからマンションの購入を検討している人はここで取り上げたアンケート結果や解説した内容を、ぜひ参考にしてください。
<アンケート概要>
■調査対象
過去2年以内(2020年6月以降)に自己居住用として住宅を購入した全国の21~49歳の男女 1,200人
■調査方法
インターネットによる調査
■調査期間
2022年7月1日(金)~7月4日(月)
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